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こっちが復活しないねと突っ込まれ(アハ)生存確認はプロフィールからw

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最近斎場づいているわけではありませんが斎場記事が続きます。
前回槇さんの「風の丘葬斎場」に続いて、伊東さんの「瞑想の森 市営斎場」です。

JR那加駅より車で約5分。
「瞑想の森 市営斎場」は岐阜県各務原市の権現山ふもとに位置し、元火葬場であった場所を「公園墓地 瞑想の森」として再出発を果たしたものです。



瞑想の森 市営斎場

イメージ 1

■設計:伊東豊雄建築設計事務所
■構造:鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)
■竣工:2006年6月
周辺地図(マピオン)

建築としての最大の特徴は、構造と意匠を同時に果たす”ぐねぐね”=「自由曲面シェル」です。
これは近年のコンピュータ解析技術によって成せる技の一つで、設計者がイメージする自由曲面を構造的な安全確認も踏まえた上で合理的に作り上げられるようになりました。

斎場は背中に山、前面に池を配しており、水面が落ち着く晴れた日には白い曲面が水盤に映し出されより幻想的な雰囲気をかもし出します。



自由曲面シェルは庇、屋根、壁、柱の境界を曖昧にするかの様にゆらゆらと揺らぎ、そして内外の境界は全面ガラスであるものの極めて外と内との関係が希薄になるよう意図されている。
この曖昧さが空間的広がりをより強いものにしている。
イメージ 2

【写真上段:敷地入り口から斎場を見る】
屋根はt=200mmのコンクリートスラブで構成されているものの、その無色化された白さと揺らぎから、コンクリートの重厚さとは真逆に浮遊感さえ感じる。
外皮は・・・(というか自由曲面でそのまま内皮にもなっているのでここでは”表皮”と呼びます。)表皮は弾性リシン吹き付けで、雨ダレが気になる庇の先端部分は光触媒塗装という仕様だが果たしのその効果は如何に・・・・
白い建築は相当のメンテ予算を付けてないと数年後には見れない程になりますからね。。。個人的にはその辺の経時変化を伺うべく2、3年後にもう一度訪れたいです。

人が終焉の時に訪れる場であるが、斎場そのものが故人と共にここからゆらゆらと空へと飛び立つかのような印象さえ覚える。

【写真中段左:建物と池の関係】
斎場前には池が配されており、池の畔側に並ぶロビーと3室ある待合室からは、ガラス越しに一切の障害物なしに池が、更に外に広がる緑が一体として感じられるようになっている。

【写真中段右、下段左右:庇と柱】
一切の継ぎ目なく連続する自由曲面シェル。
柱には100φ強の雨樋が柱内部にサヤ管状に内蔵されており雨水処理がなされる。
このディテールは長期のメンテ等々が問題指されるところだが、善くも悪くも設計者の思い切りを感じます。。。



斎場内部
イメージ 3

【写真上段左:エントランスホールから事務室を見る】
屋外から入る採光と、外から連続する高い天井により非常に開放感がある。

【写真上段右:ロビーから正面の池を臨む】
自由曲面シェルにより構造要素の柱、梁、壁などの境界も曖昧だが、こうしてロビーから外に目を向けると自分のポジションも外か中かが曖昧に感じる。
もはや外・内という概念が無意味化している。

火葬から収骨までの時間を過ごす待合室からも同様の景色を臨めるので、故人との別れをこの水面に写す事もあるのではないだろうか。

【写真下段左:ロビーから待合室方面を臨む】
ロビーに限らず、建物全面のガラスには方立が一切なくフラットで、水平方向の視界が滑らかに連続する。
その代わりに風圧を負担すべくt=19mmの強化ガラスが使用され、カーテンウォールが一定高以上の箇所については天井から片持ちでガラス受けのアームを下げてガラスが受ける風圧力を負担している。

【写真下段右:ロビーから収骨室方面を臨む】
室内の照明は間接照明となっており、白い立体曲面の天井にオレンジ色の間接照明が拡散し、なんとも幻想的な空間を演出している。
パッと見直接照明は無かったようだが、夕方には業務を追える斎場としては、360度から入る自然光とオレンジの間接照明があるだけで斎場として必要十分な灯りを確保している。



場内で気になったものなど
イメージ 4

【写真上段左右:炉前ホールを仕切る間仕切り】
これまたゆらゆらと揺らいでいる。
黒色スチールのフラットバーで海藻の揺らぎのような印象を覚える。

【写真下段左:入口のエントランスホールに置かれたベンチ】
以前行った伊東豊雄展でも展示されていた伊東氏デザインの木製ベンチ「リップルズ」。2度目の対面でした。
色の異なる木材を積層させ波紋を表現。木製でありながら相変わらずシャープでした。

【写真下段右:各種サイン】
装飾を一切無くすことで静寂感を作り出している場内。
各コーナーの壁にさりげなく飾られたサインは、これまた最低限の主張で必要十分な情報を与えてくれています。



イメージ 5

【写真上段:高台から斎場を臨む】
このアングルからみると200mmあるコンクリートスラブが風になびく薄い布のように感じます。

一般の人は勿論、メンテ以外の時には屋根の上には上がれませんが、斎場の竣工式典の時には一般の方もこの屋根の上に上がれました。←ウラヤマシイ。
伊東展では、この波打つ斎場の屋根の型枠が再現されその上には上がったのですが・・

自由曲面シェルの構造体に対して、事務室、収骨室、告別室等々の各室は入れ子状に独立しているのがよく判ります。

【写真下段左:待合ロビーから待合室方向を見る】
斎場にピアノとは組み合わせは異質のように感じますが、竣工して間もなくクラシックコンサートが開かれたそうです。
私も何かの記事で演奏会の様子は見た事がありました。

【写真下段右:天井と外皮のガラスとの取り合い】
写真下段左や他の写真でも確認できますが、外部や内部間仕切りなど全ての箇所で垂直部材(ガラス)とうねった天井がこのように納まります。
何が言いたいかというと、”直線が全くない”ということ。ガラス屋さんのご苦労をお察し致します(汗)



昨今の建築は、構造デザインのポテンシャルをコンピュータの発達によって補いながら具現化してきたものが多く出現してきている。
この瞑想の森もそうだが、意匠設計者と構造設計者との共同によりどちらがかけても成立しない建築デザインがこれからも多く出現してくるであろう。

個人的には瞑想の森を始め、伊東氏や他の建築家からも絶大な信頼と実績を作っている建築構造家の佐々木氏は影の立役者だと思っている。


<施設見学にあたって>
1月1日と友引の日は休館日。開場するAM8:30から10:00の間は自由に見学が可能です。
事務室で受付後基本的に見学自由ですが、事前に斎儀の予定を確認の上迷惑とならない日取りと時間を選ぶ方がよいでしょう。

その他の画像
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閉じる コメント(50)

astakさんこんにちは。
建築には全く文句はなく、ただただ後は維持管理がしっかりされ続けていってほしいと祈るばかりです。
ここは行くことができてほんとによかったです。

2007/6/22(金) 午後 0:54 m_s_k_z 返信する

シンプルサンプルさんこんにちは。
実際にその場に立つとよりいっそうこの自由曲面が成す空間に包まれるようなそんな感じを受けます。
すっとロビーのソファーに座って池を眺めながら、しばし私も瞑想にふけりました。

2007/6/22(金) 午後 0:56 m_s_k_z 返信する

訪れられたんですね。私も昨年訪れました。青い空に浮かぶ白布のような軽い様相の建築ですよね。斎場の概念を少し変えれたのかなと感じます。確かに『白』は経年変化が気になるところですよね。
丘の上に登られたのですね。尊敬します。

2007/6/22(金) 午後 1:10 hase 返信する

HASEさんこんにちは。
車寄せの向いにある植栽から上へと上がっていきました。やぶのギリギリ手前まで上がったのですがどうしても上からのふかんで屋根面や入れ子状になっている室内を見たかったんです。

2007/6/23(土) 午前 11:46 m_s_k_z 返信する

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本当だ! ガウディのグエル公園の回廊みたい。爽やかですね。す〜といたくなる斎場ですね。

2007/6/24(日) 午後 4:58 [ - ] 返信する

角が無く曲線で統一され、包まれる。。といったイメージが。
真っ白な屋根や波打つような美しい曲線。。。
誘われるよう菜空間を感じます。
斎場のイメージ少しずつ変わっていきますね。

2007/6/25(月) 午前 8:41 [ hii*agi**aor* ] 返信する

カフェグアイさんこんにちは。
このユラユラと揺れるラインに沿って私自身もふらふらと徘徊しておりました(笑)

2007/6/26(火) 午後 0:54 m_s_k_z 返信する

ひいらぎさんこんにちは。
実際に訪れ、感じてみるとおっしゃる通りの感覚をもう10倍くらいでうけます^^。
形式的、歴史的な斎場建築と比較するとかなりオープンで明るい斎場です。

2007/6/26(火) 午後 0:57 m_s_k_z 返信する

建物及び外構を見た感じですと3年後にはメンテナンスで複数の業務委託契約が結ばれそうな感じですね・・・
3年後以降毎年行けばその時々の業者によってメンテナンスの品質が変わって面白いかもしれませんよ〜

光触媒も水の当たる部分であれば洗い流されますが、流されていった先がどうなるか興味深いですね!!
せっかくの白なので全部光触媒にしたいところですが、外壁5,000円前後・ガラスコート6,000円前後の平米設計単価では予算が厳しいですよね・・・

2007/6/27(水) 午後 5:28 [ mar**o800*111 ] 返信する

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うちの診療所の近くですね。

2007/6/28(木) 午前 7:33 [ サイコン ] 返信する

marlboさんこんにちは。
詳しい解説ありがとうございます。大変参考になりました。
想像するに設計者も全部光触媒にしたかったと思いますよ。でも予算がね^^;
人の建物で観察するのもなんですが経年変化が気になります。。。

2007/6/28(木) 午後 0:21 m_s_k_z 返信する

ミニ好きさんこんにちは。
そうでしたお近くでしたね。
本来の利用ではなく見学するだけでもかなりよい場所です。
ただご存知だと思いますが地理的に自ら行こうとしなければ絶対に通らないような場所にありますからね。。

2007/6/28(木) 午後 0:24 m_s_k_z 返信する

前回に引き続き、ここもまた斎場とは思えませんね。市民の反応も良好でしょうか?^^

2007/6/29(金) 午後 7:07 Blueocean 返信する

blueoceanさんこんばんは。
前の記事の「風の丘葬斎場」が”静”だとすれば、こちらは”動”を感じる斎場ですよね。
市民はどうか分りませんが、市は設計者の伊東さんを指名で設計が始まったので十分満足でしょう!←ほんとはどうか^^;

2007/6/30(土) 午前 0:56 m_s_k_z 返信する

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こんにちは。書き込みありがとうございました。瞑想の森は近いので見学に行ってみたいです。さて、土門拳記念館に行ってまいりました。よろしければ写真をごらんになってください。(あまり鮮明ではないですが)http://blogs.yahoo.co.jp/lily1971lily/17901392.html

2007/8/25(土) 午前 9:50 ゆり 返信する

ゆりさんこんにちは。
近いのならば絶対に行った方がいいです!この写真の何倍も感動し、得る物はありますからオススメしておきます^^。読んだかもしれませんが、記事最後の方の<施設見学にあたって>を参考にして見学されるとよいと思います^^b

土門拳に行かれたのですね!早速お邪魔します。

2007/8/26(日) 午後 2:37 m_s_k_z 返信する

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こんにちわ。
竣工式の時に屋根に登った者です(笑)
屋根の上では、みなさん子供のように大喜びなさってました。

建築ジャーナルの去年12月号に特集がありました。
建築的な視点と火葬場の専門家では、評価の分かれる火葬場みたいですね。 削除

2007/10/3(水) 午前 2:41 [ 東博君 ] 返信する

東博君こんにちは。
HP拝見いたしました。かなりの充実度とご専門に感銘いたしました。

竣工式と見学会、特に見学会で屋根に上がれたのは貴重な体験でうらやましいです。
私は丘に登り、草木を掻き分けて屋根の上の状況と入れ子状になった室内を確認していました(笑)

HPの瞑想の森のページにリンクを張らせていただきました。(直リンクNGでしたらお知らせください)

2007/10/5(金) 午後 0:48 m_s_k_z 返信する

先ほど大阪市北斎場の記事を書いてたらここに来ました。

すいふう苑も行きましたがここも是非行ってみたいものです。

2007/10/7(日) 午前 11:58 [ ぱぴ ] 返信する

papillon_gifubusさんこんばんは。
すいふう荘もまた今までの火葬場のイメージとは全く異なる”場”ですね。
佐藤総合計画の設計で行きたいですがここまたなかなか遠い場所です(汗
TBありがとうございます。

2007/10/8(月) 午前 2:18 m_s_k_z 返信する

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