|
「何だ? なにかいるのか?」 湖畔沿いの木々の暗闇から満夜が輝く深い時間。 目を凝らしてその先にいるであろうものを見てみると人影だった…。 『まさか、こんな時間にこんな所で、いったい誰なんだ?』 《パシャ》 と水音がしてさらに近づくと何も身につけない裸体空に浮かぶ満月の光にさらす女性の後ろ姿を見た。 「……。」 俺はその光景に言葉を無くし、ただ立ち尽くすだけになったが、その姿が周りの 情景と重なり幻想的で、夢か現実の境界線を見失う程に美しく まるで月から遣わされた月夜の天女の様な彼女の姿から目が離せなかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2004年夏 シンは芸術高校に入って初めての夏休みを迎える事となった。。 期末試験も終わり目の前に迫った夏休みを前に生徒達が、俄かに浮足立つこの終業式までの期間。 オリエンテーリングや休暇中に出される課題準備期間でもあり、普段とは違う雰囲気の校内の様子には 我関せずのクールな皇太子イ・シンは傍観者のように、雑誌をパラパラとめくり、傍では夏の課題準備とも、 単なる夏休みの遊びの計画とも言える、イン・ギョン・ファンが何やら騒がしく、それでいてコソコソと 話していた。 そこに、インがもっともらしくシンに話しかけた。 「なあ、シン。 夏休みってずーっと公務なのか?」 「基本そうだが、何だ?」 「課題映像のロケハンをしようと思ってさ…。」 「ロケハン?…」 「新学期の提出課題の分だよ。」 横からファンがカメラを構えながら補足としてシンに話し、インは話を続けた。 「俺の親父の別荘で、いい感じの場所もあるし、もちろん私有地内だから簡単に外部の者は 入って来れないようになっているからセキュリティーも万全なんだ。」 そこに妙なテンションのギョンが横やりで 「シ〜ン! お前が来なきゃ何にも始まらないだろぉ〜。」 「何故だ?」 「お前が来ると撮影対象(女の子)がいっぱい集まるからに決まってるだろ♪」 シンは『俺は客寄せパンダか?』などと思いながらそんなシンの様子にも気にも留めずに続けるギョンは 「俺の一存で即答は出来ない。」 「じゃあ、聞いてくれよ。」 なおも粘るギョンに少々呆れつつ返事するシン 「そうだなぁ…。」 一般の年相応の男子なら、”夏休み”という単語は心躍るフレーズなのだが… 皇族であり、皇太子でもあるシンにとっては、ただ学校の授業が無いだけで、あまり変わらない 公務と皇帝学の勉強で特段彼らほど待ち望む物は無い、学校の課題のためとは言え、シンが公務以外で 外出をするという事は、それ相応の対応も必要となり、極端に面倒な事に関わりを嫌うシンもきっぱりと 断る事も珍しい事ではなかったが、彼らとの関わり合い上無下に断ることも出来ない。 「参加できるかどうかは確認しないと分からない。」 「じゃあ、近日中に返事くれよ。」 「分かった。」 そんなやり取りのあった、数日後の正殿への朝の挨拶で皇太后陛下がどこで聞いたのか 「そういえば聞きましたよ、この夏休みに学校の友人の別荘に泊まるとか?」 目線を部屋の端で控えているコン内官に向けると、彼はいつものように柔らかい笑顔で会釈をし シンの疑問は納得したように皇太后に答えた。 「はい。 夏休み明けの課題提出の準備の為です。」 いつもとは少々違う話題に、にこやかにその話題の中に入るように皇帝陛下が話し掛けてきた。 「そうか太子は、映像科だったな。」 「はい。」 「どうだ? 学校での授業は楽しいか?」 「はい、皇帝陛下。」 「太子が希望して進学した学校だ、多くを学ばねばならない。」 「はい、陛下が入学を許可して頂き、感謝しております。」 皇帝陛下の満足げな様子に、控えめながらもシンに釘を刺すように皇后陛下が話し出した。 「しかし、太子は学生でもありますが、皇太子としての務めも疎かにはできませんよ。」 「はい、心得ております、皇后陛下。」 皇后のシンへの忠告に、それを穏やかに制するように皇太后は 「まあいいではないか、皇后。 シンもこの夏の経験が、太子の今後の糧となろう事もあるであろう…。」 「はい、皇太后陛下。」 「太子。 いや、シン。」 「そなたもたまには、同じ年の友人たちと親交を深める事は悪い事ではない。 そなたも存分に楽しんで来るがよい。」 「ありがとうございます、皇太后陛下。」 皇太后の鶴の一声で、シンは公務以外で初めて、宮殿を出て外泊し、イン達友人と過ごす事になった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ インの別荘に出発する当日直前に、コン内官が遠慮がちにシンの様子を窺っていた。 「コン内官、どうかしましたか?」 「はい、皇后さまが出発前にお部屋に来るようにと、お呼びでございます。」 『出かける前までお小言か?』そんな風に思いながらも返事をした。 「わかった。」 一旦東宮殿から皇后のいる正殿の部屋へ向かうと 「私をお呼びとお聞きしお伺いしましたが。」 「太子、そこへお坐りなさい。」 促され皇后に向かい合うように座ると 「先日、両陛下がお許しになった本日の外泊の件ですが…。 皇太后陛下や、皇帝陛下の特別な取り計らいで、許可された事、あなたは皇太子という 立場をくれぐれも忘れてはなりませんよ。」 「はい。」 シンの形式的な返答に満足がいかないのか皇后は話を続けた。 「皇帝陛下は現在、我が国保有の歴史的文化遺産の返還に力を入れておられます。」 「存じております。」 「本来、夏休みの間に皇太子であるあなたには、陛下のお力となりお助けせねばならないのですよ。」 「……。」 「それに太子は、時期皇帝となる為、何をおいても皇帝学を学び、鍛練をする事を最優先にする事は 最も重要なのです。」 「はい、心得ております皇后陛下。」 『結局また”皇太子として…、時期皇帝として…”それしか言葉が出てこない母… いや皇后は俺を息子ではなく皇太子してしか見ないんだな…。』 ふと一瞬、遥か遠い記憶が甦る。 「シン。」 「オンマ。」 そこには微笑ましい当たり前に子を抱く母の情景が浮かび、消えてはまた現実に引き戻された。。 「……ですから、くれぐれも皇太子としてどうあるべきか、決して忘れてはいけませんよ。」 「はい。 では、出発の時間ですので、僕は失礼いたします。」 言いきる形で皇后陛下を振り切るように部屋を辞して、そのまま車寄せに向かい、リムジンに乗り込んだ。 【続く】 |

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用




皇后とシン君は ちょっと寂しい関係なんですね・・・・
仕方のナイ事だけど・・・シン君が可哀相になりますね・・・
冒頭に出てきた女性は Tちゃんでしょうか? (o→ܫ←o) ┣¨キ┣¨キ
2009/8/1(土) 午後 11:11
サンチェさん(ん?大仏?)!!こんばんはぁ
そうなんです(悲)
シンが5才で東宮殿の主となってから、オモニではなく、皇后様になって
親子らしい関係は途絶えちゃったんですねぃ(おろぉ…)
冒頭の女性は皆様の期待に応える形になってるいるはず!!
サンチェさんも気に入ってくれるかしらぁ?
2009/8/8(土) 午後 10:21 [ kyomao ]