空を見上げて

諸事情でブログを休止しておりお越しいただいた皆様すみません<m(__)m>

番外編 ショートストーリー

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

ドアを開くと2人の内人が立っており、先程の声とは違う内人が

「殿下、お料理を中へお運びしてもよろしいでしょうか?」

「え、あぁ…。」

シンは2人の内人を部屋に招き入れた。
1つのワゴンには七面鳥などの料理やクリスマスケーキなどを乗せており、
もう1人の内人は顔がよく見えないように俯きながら飲み物を乗せたワゴンを押して入ってきた。

「殿下、私は先に下がりますが、この者が殿下のお食事の給仕をさせて頂きます。」

とシンがドアを開けてから一向に口を開かず、俯き加減の内人のみが残り、
もう一人の内人が部屋を出ると、シンが気になる内人が

「殿下…。お、お食事を…。」

と言うのと同時にその内人の手首を掴み、その拍子にゆっくりと内人が顔を上げると

「チェギョン?」

「シ…シン君、ただいま。」

「どうして、お前がここに?」

「あのね…、お姉さまが極秘で韓国に一時帰国させてくれたの。」

「……。」

「シン…君?」

チェギョンはシンがこのように突然の事を怒ったと思い、恐々シンの顔を覗き込もうとすると

「チェ…チェギョンなんだよな…、本当にお前なんだよな…。」

とシンはこの状況がまだ幻を見るようで、信じ難くゆっくり確かめようと手をチェギョンの頬に
当てようとすると、チェギョンはその手を優しく包み込むように、重ね合わせてそのまま頬に当てた。

「本物だよ、本物のシン・チェギョンよ。」

と言い終わらないうちにすぐさま、シンはその体を強く抱き寄せ、チェギョンである事を更に確かめた。

「なんだよぉ…、脅かすなよぉ…。」

「ごめんね、シン君…。」

シンはようやくこの腕の中にいるのは紛れもない、この世で愛すべき妻である、チェギョンがいる現実に
落ち着き、ようやくその強く抱きしめた腕を緩めると

「はぁ…、一生分の幸運を使った気分だ…。」

「そんな、大袈裟なぁ…。」

妻は相変わらず、愛くるしい笑顔で俺を見つめそう言うと

「さ、折角のお料理やら、ケーキよ!食べましょ?」

『ふふっ』とシンは笑い

「さすが、それでこそシン・チェギョンだな!」

チェギョンはシンの手を取って、ワゴンを引き寄せてソファー前テーブルに料理を並べると2人きりの
クリスマスパーティーが始まった。

「まずは、乾杯ね。」

チェギョンが立ち上がり、シャンパンを取りに行こうとすると

「いや、俺が持ってくるよ。」

シンが立ち上がって、シャンパンのあるワゴンまで行くと、ワインクーラーの下にカードが挟まっており
それを手に取ったシンはカードを開くと

『dear シン
 happy MerryChristmas!
 突然の事で驚いたでしょ?私たち家族からのサプライズプレゼントは気に入ってくれた?
 今回は女帝陛下の特権を最大限に生かした特例処置よ、但し東宮殿限定だけどね!
 チェギョンも急遽の極秘帰国だったけど、シンに会いたいって言ってたから、2人へのプレゼントね
 ああ、それから、明日の正午までは、誰も東宮殿のプライベート空間には立ち寄らないように
 きつく言ってあるから、心置きなく2人の時間を楽しんでね ♪
 明日の昼食は皆で一緒に頂きましょう。
 では、よいクリスマスを…
                                      へミョンより』

シンは、やはり『何かあるとは思ってたけど…してやられたな…』まだまだ姉に頭の上がらない弟は
クリスマスプレゼントというよりも、先日の自身の証人喚問や、チェギョンの異国への出国を余儀なく
させた、自分達への懺悔も含まれるであろうこのプレゼントに心が熱くなった。

「シン君?どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。」

シンははシャンパンをグラスに注いで、二つのグラスを持ち、ゆっくりとソファーに腰掛けて
1つをチェギョンに渡すと

「シン君、ありがとう。」

嬉しそうな妻の顔を見ると、すぐにでも抱きしめたくなるのだが、そこは昨夜の電話で話した
妻のクリスマスのしたい事を叶えるために我慢をし

「さ、改めて、メリークリマス。」

『カシャン』

2人のクリスマスの乾杯が終わると、シンはシャンパンを口に含みながらゴクゴクと横で飲む
妻の唇から喉にかけてシャンパンを飲む様子を注意深く見ていると、少々官能的な感覚にとらわれたが
彼女は前の料理にフォークで刺してシンに『あーん♪』と夫に向けると、シンのよこしまな感覚は
すぐに消え去り、シンも恥ずかしさがあって

「え、いいよ。自分で食べれるよ。」

「いいじゃない、ね♪」

少々強引でも、この笑顔と上目遣いの目にシンの拒否などは通用せずに、チェギョンの差し出す
フォークの先にある物を口に入れた。

「美味しい?」

「うん、美味しいよ。」

「よかった…、これね、私が料理長さんに少し手伝ってもらって作ったのよ。」

「そうだったのか?」

「うん!」

妻はちょっとハニカミながら、嬉しそうにシンの反応を喜んでいた。

「マカオに行って、少しだけどチェ尚宮お姉さんに、少しだけ料理教わってるのよ。」

シンは楽しそうに話す妻の表情を見ながら相槌を打ち、妻の言う事に聞き入っていた。

「本当はね、妃宮はこういう料理って必要ないし、しなくてもいいんだけどね、
 でもマカオにいる時だけって約束で、ちょっとだけ家事を手伝ってるのよ。
 シン君に私の手料理とか食べて欲しかったから、今日はちょっと無理を聞いてもらったのよ。」

「そうだったんだ、嬉しいよ、ほんとに。」

俺は妻の頬に手を当てて、ゆっくり額に軽くお礼のキスをした。

「ありがと、お前が頑張ったご褒美だ。」

妻も少し驚きながらも、頬を赤く染めて、恥ずかしいのか慌てて

「あ、シン君、これも食べて!」

と色々勧められるままに、料理を口にして、食事がひと段落した頃
シンはチョギョンを胸に抱き寄せて、肩を抱いていると、チェギョンもそのシンにもたれ掛るように
寄り添っていた。

「今日は、最高のクリマスだな…。」

「そうね、夢の様だね…。」

「うん、でも、夢でもなんでもない、触れたくて仕方なかったお前がここにいる…
 それがどんなに幸せか…」

「うん、私も前には決してシン君は、振り向いてくれないって思ってたから、
 今でも少し信じられない気もするの。」

「チェギョン…。」

シンは今までの2人の関係が誤解とすれ違い、何よりも互いの気持ちに早く気付けなかった事が
今もこうして、妻の心の棘として残っているのだと思うといたたまれない気持ちなった。

「最初はお前の存在を、俺は邪険に思っていたはずが、ついつい目はお前を追っていた
 そんな、訳の分からない自分の気持ちを持て余していたんだ。
 でも、本当の気持ちに気が付いた時にはもうどうにもならない程にお前を追い詰めていたんだ。
 だからお前をマカオになんて…。」

今は後悔しか残らない事でもあったシンは

「ごめんなチェギョン…。」

「シン君…。」

「俺は、お前に酷い事したと思ってる…。」

「いいの…今は私を見てくれてるでしょ?」

「ああ、お前しか見えない…、こんなにお前を愛してる自分を知った時は驚いたけど
 嬉しかったんだ。」

突然、ふわっとした物がシンの体に包み込んだ。
それは片時も離れた難く、シンがこの世で一番大切なチェギョンが優しく彼を抱きしめると

「私も、シン君を愛しているわ、これからもずっと…。」

ゆっくりと、抱きしめあった腕を解きお互いに見合うとシンが

「チェギョン…
 変わらぬ永遠の愛を、俺はずっとお前だけに送るよ。」

ゆっくり、シンの顔がチェギョンの顔に近づき、優しく口付けた。
最初はゆっくりと互いの唇の感触と、柔らかな温かい気持ちを味わう様に交した口付けは
やがて、啄ばむように微笑み合い、次第にシンの腕はチェギョンの体をすっぽりと包み抱くと
シンは、チェギョンと最後に抱き合ったあの日の、彼女の匂いや温かさを再び実感すると共に
またあの、甘く熱い思いがシンの心を支配しだすと

「チェギョン、俺の願いを聞いてくれ。」

チェギョンはシンを一心に仰ぎ見つめると

「今夜は、お前を抱きしめて離したくない…
 お前と一緒に溶け合いたいんだ…
 いいか?…」

チェギョンも望んでいた事とはいえ、口に出して言えずに静かに、頷きシンの首に手を回すと
それが合図になったのか、優しく宝物を扱うようにゆっくり抱き上げ、ベッドに横たえると

「チェギョン…愛している。」

「シン…。」

今度は深く長い口付けをしながら、身にまとうものを脱ぎすてて
2人は離れた時間を埋め合わすかのように抱きしめ、互いの体温を肌を通して存在を感じ合い
再び見つめ合うと

「シン…くん、私、幸せよ…。」

チェギョンは嬉しくなって一粒の涙を流すと、シンはその涙を指で拭い、額にキスをして
真っ直ぐにチェギョンの瞳を見つめると

「俺もお前とこうして、いられる事が幸せすぎて怖いくらいだ。」

チェギョンはシンの切なく愛しいその目を見ると何も言えずに、シンに抱きつき

「今夜は絶対私を離さないで…お願い…。」

「チェギョン…。」

2人はひたすらにお互いへの愛を最大限に与え合い、それを必死で受け止め合って
再び永遠の愛を誓う、熱く、甘い、切ない聖夜の夜となった。

【聖なる夜 完】

「シ…ンくん、シンクン、シン君!」

『遠い向こうから俺の名を呼ぶ声がする…
 やけに、現実的だ…
 それに、俺がこの世で一番愛する妻の声に似ている…』

シンは夢とも現実もつかない、幻を見るような思いで、薄目を開けると
そこには、遠く離れたマカオの地にいるはずの妻が、俺を起こそうとしている…

「シン君、起きたぁ?」

「ん、あぁ…」

夢とは思えないこの現実的な状況に、シンは戸惑っていた…
どうやら、同じベッドで当然のように休んでいたはずの妻が先に目が覚め
俺を起こしにかかっているようだ

「シン君、今日はクリマス・イブよ♪」

「ああ、世間ではそうらしいな…」

キラキラと大きな目を爛々とさせてる妻の、ご機嫌な様子に、俺はこういう時間によって
楽しく目覚めの良い朝となったが、シン自身、チェギョンと知り合うまでのクリスマスは、
皇室自体も、特化した宗教と親密にしているわけでもなく、
淡々と他の日と変わらずに本を読んだり、カメラをいじり現像をするなどといった、
ほぼ変わらぬ日常を過ごしていた。

「な〜に、それぇ〜〜!」

『つまんない』と言わんばかりに、顔を膨らませ、不満を言いたげな妻の言い分を聞こうと
ベッドの上で体を起こし、チェギョンに向き合い手を握ったシンは

「じゃあ、お前は何して過ごしたい?」

「うーん…、そうね。まずはクリスマスツリーを飾って、クリスマスケーキや七面鳥を料理して
 シン君と一緒にクリスマスを楽しみたい。」

「……。」

「何よ、嫌ぁ?」

俺は『嫌』というよりも、想像がつかないというのが、正しい表現かもしれない。
しかし、妻の愛くるしい顔が俺の顔を覗き込み、この必死なお願いを聞かない訳にはいかないと思い

「わかった!」

シンは、妻の言い分をすべて叶えるべく、ベッドを降りデスクに置いてある携帯を取りコン内官に
電話をした。

「あ、コン内官ですか?突然で申し訳ない。お願いがあるのですが…」

シンはいくつかのお願い事をコン内官に頼むと、電話を切りチェギョンの方に向くと

「これで、お前の言うツリーを飾り、ケーキや料理の準備も出来そうだ。他にしたい事はないのか?」

「他に?、そうね…。シン君と一緒に過ごせるならそれでいいよ、それが一番したい事かもね。」

『ふっ』とシンは笑うと、自分も妻も同様に、そばに居ることを望むこんな単純な願いが
叶わなかったのが、今こうして、彼女の頬に触れ、艶やかなプルンとした唇にキスしようと
顔を近づけた瞬間…



『ピピッ、ピピッ、ピピッ』

「う、う〜ん?」

けたたましく鳴る目覚まし時計を止めて、おぼろげな視界や、意識がはっきりしてくると
どうやら、先程までの事は夢だったようだ。
体を起こし、横にいるはずもない、愛しい妻の姿も形跡もなく、妻は遠い地にいるという
現実感だけが、俺に突きつけている。

妻が祖国を離れ初めて海外で過ごす事となったクリスマスの予定を、昨日も妻と電話で
話したせいだろうか、やけに、リアルな夢だっただけに、落胆はかなり大きいようだった。
マカオの町はイルミネーションで、クリスマス一色だという事や、東宮殿でもクリスマスは
しないのか?など、話題もクリスマスの事だっただけにシンは

「そうだよな…、夢でしかないよな…。」

時計を見ると、もうしばらくすればコン内官が起こしに来る時間に
この停滞した気分を払拭する為にも、シャワーを浴びる為にバスルームへと向かい
頭から熱いシャワーを浴びると、現実感ある感覚に戻ってきた。
シンがバスルームから出てくると同時に、コン内官も部屋に来て

「殿下、おはようございます。」

「ああ、おはよう。」

「殿下、本日は宮殿での朝のご挨拶の後、市内での養護施設への訪問の公務が夕方前までございます。
 その後、明日の夕方まで一切オフとなっており公務はございません。」

「え?確か、女帝陛下からの急ぎの承認書類を早く決済しないと!って言ってましたよね?」

「はい、殿下にお任せした書類は、女帝陛下のスケジュールの都合で、急なキャンセルが
 発生しまして、女帝陛下自らなさるとの指示を受け、近頃ハードワークとなっている殿下に
 『休め』とのご指示も頂いております。」

「そうですか、ま、あの姉さんが言うことだ、ここは素直に聞きましょう。」

「では、朝の挨拶のお支度を。」

シンの支度が整うと早々に、朝の挨拶にいつものように朝見の間にシンが姿を現すと
なぜか、温洋の離宮にいるはずの、ヒョン陛下、ミン妃の両親も揃い女帝陛下は
もちろんの事、太皇太后陛下も居並ぶ光景に、驚きと戸惑いのシンをよそにへミョンは
必要最小限の侍従だけにして、ゆったりとした空気になると

「シン、コン内官から聞いていると思うけど、今日の午後からのオフは、あなたへのささやかな
 クリスマスプレゼントよ。」

「姉さん、ありがとう。
 しかし、朝からいかがなさったのですか?皆、揃って…。」

と珍しく居並ぶメンバーに、違和感を感じつつシンは注意深く話を聞こうとすると
退位してから、表情も穏やかになった父であるヒョンが

「いや、別に他意はない。
 ただ、今日はクリスマスだ。今までは皇位についていた事もあって、公務ばかりで
 家族とゆっくり過ごす事はなかった、せめてこういうきっかけでもなければ、
 家族と団らんという訳にはいかないだろう。」

「そうですね、こういう機会に家族の絆を深めるには良い事です。」

とそう言う太皇太后も、この家族団らんを思いのほか楽しんでいるようで、終始にこやかに
微笑んでいた。

「しかし、今日の公務が終われば、突然のオフでまる1日、明日の夕方までとは、手に余ります。」

シンの心中を思い図ったようにへミョンはシンの思いに答えるべく

「あ、それに関しては大丈夫よ、もう一つ私たち家族からのシンへのプレゼントがあるのよ。」

「プレゼントって?」

「それは、公務から帰ってからのお楽しみよ。」

おもむろに、コン内官が遠慮気味に

「殿下、そろそろお時間ですが…。」

「ああ、そうですか。
 では、公務に行ってまいります。」

「いってらっしゃい。
 かえってからのプレゼント楽しみにしてね!」

と手を振りシンを見送るへミョンや、皆の態度に違和感を感じつつも、公務へと向かった。
移動中の車中でも、今朝のへミョン達の様子やコン内官も若干いつもと違う感じに
違和感を拭い切れないシンは

「コン内官。」

「はい、殿下。いかがなさいました?」

というコン内官のシンからの質問に、戸惑うかのような表情に、言いかけた言葉を飲み込み

「いや、いいです。で、あとどれくらいで養護施設に着きますか?」

「はい、あと10分少々で到着となります。」

「わかりました。」

と車窓から見える景色に視線を向けていると、目的の養護施設であろう建物が見えて
到着すると、すぐさま先程までの疑問は置いておき、大韓民国皇子である、シン太君として
にこやかな表情を保ち、出迎えの職員や、子供たち、その一挙手一動を見逃さないマスコミへ
満面の微笑を向けた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

いつものように、無難に公務を終えて宮に戻ったシンは、いつもなら宮殿のへミョンに
報告へ行くのだが、コン内官より
『報告はお休み明けの明後日の朝で良いとの指示を頂いております。』
との言葉によりそのまま東宮殿の車寄せに着き、いつもの様に中へ入るとなにやら、
バタバタと騒がしい。

『なんだ?』と思いつつ、不思議と足は玄関からパビリオンへ向かい、目に飛び込んできたのは
大きなクリスマスツリーだった。
綺麗に飾られた、そのツリーがパビリオンの中央に鎮座し存在感を与え、
色とりどりのツリーの飾りが映えて、さらにこのパビリオンが一気にクリスマス一色となった。
ただただ見つめるだけのシンの横に現れた、へミョンが

「綺麗でしょ?」

「姉さん!こ、これは?」

「見た通りのクリスマスツリーよ!貴方へのプレゼントよ!
 皇室は元々特化した宗教ってないけど、ある種のイベント的に考えれば、いいものよねぇ…。」

「でも、どうして東宮殿に…。」

「ま、いいじゃない、ここは宮殿内で唯一の洋館として独立してるし、
 正殿には来賓等の関係上こういうものは置けないでしょ?」

「はぁ……。」

「何よ、嫌なの?殺風景よりマシじゃない♪
 ま、いいわ。これで、少しはこういう物を見てゆっくり過ごすのも良いでしょ?
 じゃあね!」

そう言うとへミョンは手をヒラヒラと振りながら、正殿へと帰って行った。

『はぁ…、どうしろと言うんだよ…俺一人で見ても飾りの付いたただの木だぞ…。』

そう思ってもツリーは完成し、飾り付けの終わったツリーにイルミネーションを付けると
そろそろ、夕方近くとなった、パビリオンに違った風景を見せた。
準備をしていた侍従たちも片づけをして、早々に下がっていき、この東宮殿にはシンだけとなった。

とりあえず、自室へ戻り着替え、この後の有り余ったオフをどうする事もなく、時間潰しに本を開き
ちょうど自室のガラス戸からツリーが見える位置のソファーで読み始めると

『コンッ!コンッ!』

ドアをノックする音に反応したシンは

「はい、何ですか?」

「女帝陛下より言づかりました、本日のクリスマス用のお食事をお持ちしました。」

『ん?この声…。』
シンは聞きなれた、しかしここにいるはずのない声を耳にしていると

「お部屋にご用意してもよろしいでしょうか?」

『似ている…、でも…』
更に、確信とあり得ない思いとが交差して、恐る恐るドアのノブに手を掛けてドアを開いた。

【後編へ続く】

『イヤ、待てよ…。俺、誰かとキスしたっけ?…』

何か考え込むシンの様子に気になるチェギョンが、心配そうにシンを覗き込み

「シン君?まさかヒョリンや私以外の他の誰かと、キスしてたの?」

「……。」

遠い微かな幼少期の記憶を辿るシンはチェギョンの声も聞こえずに思い出そうとしていると

「あ、俺もあったかも?…」

「え?何が?やっぱり私の知らない誰かとキスしたの?」

「いや、違うよ、もっと遠い昔の話さ。多分皇太孫になったばかりの話だったと思う。」

「そんな、小さな頃って…。」

「あの時はもう宮殿に住んでいて、当時はほぼ毎日皇帝陛下だった、お爺さまに会いに行ってたんだ。」

「うんうん。」

珍しくも、シンの幼少期の話が聞けると楽しみなチェギョンはシンの話に聞き入ってた。

「その日も、お爺さまにご機嫌伺いに上殿に行ってて、父上や母上達と一緒だったけど、
 俺は退屈で1人宮殿内を探検しだしたんだ、確か…」

シンは話ながらも朧気な記憶の糸をたどり、思い出す。

「大きな池の周りに野原みたいなとこがあって、そこにうずくまる何かを見つけたんだ。」

「それって、なんなの?」

「確か、俺と同じ年くらいの女の子だったと思う、それに何か抱えてた…。」

チェギョンもシンの話を聞きながら同様に、何かを思い出そうとした。

「それで、何か話して、笑った女の子が『約束』って言ってキスしてきたんだ…。」

と言いシンはチェギョンを見ると、黙りこくり難しい顔をしている様子に

「チェギョン?どうした?キズ痛むのか?」

「ううん、シン君ちょっと待って、私もそういう記憶あるの…。」

「記憶?」

「うん、どこかは分からないけど、大きな池の野原でね、子犬と遊んでてそこに男の子がいたのよ…。」

「犬?男の子?」

「確かね、迷い犬だったと思うんだ、やけになついてそれで、私はおじいちゃんに連れてこられて、
 でもおじいちゃんはそこにいなくて…。」

「もしかして、お互いのその記憶って俺たちなんじゃないか?」

互いの朧気な記憶の話の断片を繋げると、一致しやすくほぼ確信に近い思いでシンは言った。
よく考えると、あの頃は頻繁に上殿に伺っていたのは、祖父の体調が悪くて、
何度も祖父の住まう上殿に参内したはずだった。
仮定としてチェギョンの祖父が皇帝である祖父を見舞っていたのも不思議ではない。
未確認ではあるが、ほぼ間違いないと思ったシンは、早速携帯を出し何処かに電話をした。

「シン君、どうしたの?」

「あ、いやちょっと確認で…、あ、コン内官ですか?」

『殿下?如何なさいましたか?キム内官に不手際でも?』

「いえ、そうではないんです、昔の事で聞きたいことがあるのですが、いいですか?」

『はい、殿下。私でお答え出来る事なら、申し上げます。』

「昔、僕が、聖祖陛下のお見舞いに日に何度も上殿へ参内した事がありましたよね?」

『はい、左様でございましたが、それが、如何なさいましたか?』

「その時に、チェギョンの祖父であるシン氏も宮殿にお越しになった事を覚えていますか?」

『シン氏ですか…。』

少し感慨深げに思い出すコン内官。

『はい、確かに数回ほど宮殿にお見えになられました。確か、妃宮様も一度はお越しなったはずではと思いますが。』

「やっぱり、そうでしたか?今、チェギョンとその話をしていて、上手く思い出せなかったので助かりました。」

『お役に立ててなによりでございます。あの時はちょうど聖祖陛下はシン氏に、妃宮様とシン殿下の婚姻の約束を
 何度も嘆願なさっておいででしたから、妃宮様もご一緒に宮殿にお見えになられた日に、
 シン氏がようやく承諾されたのです。』

「婚姻の約束はユルではなかったのですか?」

『いえ、最初からシン殿下にと仰っておいででしたよ。』

「そうだったのですか…。」

『私も久々に、懐かしいお話が出来て、嬉しゅうございます。』

「いや、はっきりしてよかったよ、ありがとう。
 あと、数日でそちらに戻りますが、何か変わったことはありませんか?」

『いえ、今のところは何も、ただ女帝陛下が若干オーバーワーク気味なのが心配ではあるのですが…』

「そうですか、しかし帰国後には僕がまた手伝いますので、姉上には程ほどにと伝えて下さい。」

『かしこまりました、殿下も健やかにお過ごしになり、無事のお帰りをお待ち申しております。』

「ありがとう、あと少しだけこっちでゆっくりさせてもらうよ、じゃあ。」

と言って電話を切りポケットにしまうと、横で聞いていたチェギョンも、何か思い出したようで

「シン君…。」

「やっぱり、その話はお前のようだな、それにお爺さまはユルにではなく、俺との婚姻を望んだらしい。」

「そう、そうだったの…。私もね思い出した事があって…。」

「思い出した事?」

「うん、確かあの時はお父さんも忙しくて、チェジュンが風邪かなにかで、お母さんもチェジュンに付きっきりで
 私1人だったけどお爺ちゃんが、『いいところに連れて行ってあげる』って言って、連れてこられたのが、
 そこのお庭だったんだと思うの」

「うん、それで。」

シンも知らない話かもしれないと、身を乗り出して聞き入ると

「それでね、すっごくキレイにお花が咲いてて、それを摘んで花冠とか作って遊んでたら、『クゥーン』って
 声が聞こえて、見てみると子犬が迷ってたみたいで、それで、子犬と一緒に遊んでたら、男の子が来たのよ、確か…。」

「そうだ、それで、その子犬2人で育てたいって言って、俺とお前と子犬とひとしきり遊んだ頃にコン内官に見つかって
 宮殿内での犬の飼育は難しいからって、子犬を連れて行かれたんだよ。」

「そうだっけ?それに、あ!…。」

「どうした?」

「いや、その…。」

「何だよ、何か思い出したんだろ?言えよ。」

明らかに、何か思い出した様子のチェギョンは、頬を赤らめて、俯いた。

「違うの…。あのね…。」

シンはチェギョンにかぶりつきで見つめるように注目すると

「やっぱり、私のファーストキスはシン君だったわ…。」

「え?」

「あの、子犬を見つけて嬉しくて、一緒に育てようって約束して、約束のおまじないで、
 私がシン君にキスしたんだわ…。」

「そうっだったか?」

「えぇ…、肝心なとこ覚えてないのぉ…。ひどいなぁ、シン君。」

実はシンも聞き入りながら密かに思い出し、1人嬉しく喜んでいた時にチェギョンも思い出したようだった。

「じゃあ、ここでもう一度キスしようか?そうしたら、俺の記憶も戻るかも?」

と片時も触れずにはいられない、シンはこれを口実にチェギョンにキスをしようとした。

「何、言ってるの?ここは保健室で、いつ先生や子供達来るかわからないでしょ?」

「いいさ、俺たちは夫婦で、ここは外国だ。キスくらいで驚かないよ。」

と、強引にチェギョンの肩を抱き、瞳を見つめると、優しいキスをした。
チェギョンも、無理には離れようともせずに、ただ、シンの唇から伝わる優しいキスを味わった。

一旦、唇を離し互いを見合う2人は少しはにかんで、笑いそしてシンは

「俺、お前と一緒になるのがそんな小さな頃からだったなんて、つくづく俺は幸せだな。」

「私もよ、シン君と一緒にいれるって本当に幸せで嬉しいよ。」

「やっぱり、今日は早く家に帰ろう。」

「え?なんで?町をブラブラしないの?」

「それよりも、する事があるんだ、お前を抱きしめてお前を感じる事。」

「え?シン君?何言ってるの?」

「いいから早く!」

そう言って、チェギョンの手を取り、急いで家に戻ったシンとチェギョンは再びベッドで
擦り傷に気を付けながら、愛を確かめ合ったのでした。

番外編 first kiss 【おわり】

マカオでの、充実した休日を過ごすシンとチェギョン。
今日も天気が良く、折角の晴天に、まだベッドで抱き合い、互いの体温を感じつつも
新婚旅行の朝から連日、愛の確認をしてそのまま眠り、目が覚めると
ベッドから出難い状況が続く、この数日に迫り来る、シンの帰国までの貴重な時間を
無駄にしない為にも、チェギョンは絡みつくシンの腕を払いのけ、身繕いをして
朝食を準備し、テーブルを挟んで、簡単な朝食をとっていると

「ねえ、シン君。」

「なんだぁ?」

まだ、完全に起ききっていないシンが、コーヒーカップに口を付けチェギョンの
問いかけに返事すると

「今日はどこ行こうか?昨日は図書館行ったでしょ?」

「ん?ああ、そうだなぁ。」

とまだ、昨夜の余韻も残ってか、曖昧に返事するシン

「今日は、シン君のしたいこと一緒にしようよぉ。」

チェギョンの言う『一緒にしたいこと』と言う言葉に

「じゃあ、またベッドで俺の願いが叶うのか?」

と半分冗談で言うと、怒ったチェギョンは

「シン君!もうっ!真面目に考えてよ!」

「わかったって。」

『でもなぁ…俺のしたいことって…。』

「実際ここでの行きたいとこってわからないし、結局お前のしたいことや行きたい所がいいよ。」

「うん。じゃあ、行き先決めずに町をブラブラしてみる?」

「わかった、食事が終われば出掛けよう。」

と、早々に食事を済ませて、外出準備が整うと、手を繋いで町に出掛けて行った。
ここの、コロアン島は、マカオ島とは違って、リゾート地でもあり、時季外れの今は、さほど人は多くはない。
何気なく歩く、町並は住宅街でもあるこの辺りは、若干生活感のあるエリアと言っていい所だ
ほどなく、子供達の賑やかな声が聞こえてくると、そこはこぢんまりとしているが、分校ぽい小学校で
どうやら、外でバスケットの授業中のようだった。
垣根の向こうがグランドといった、開放的な小学校で、先生が1人に、生徒が8人、で何か揉めているようだ

「ねえ、どうしてバスケット出来ないのぉ?」

「カルロが風邪で今日はお休みなんだ。」

と、1人の生徒が先生に苦情を言い、先生も困惑気味だった。

「ねえ、あの人って博物館のお姉さんじゃない?」

「あっ!ほんとだぁ…。」

そう言うとすぐにチェギョン達に走り近づき、

「ねえねえ、お姉さんって博物館のお姉さんでしょ?暇だったらバスケしようよぉ!」

と、唐突にこの小さな子達のお願いにシンは子供達にニッコリ笑うと、
チェギョンと共に振り返り小声でこの事態を相談しだした。

「おい、まさか一緒にバスケするって言うんじゃないよな?」

「ダメ?いいじゃない楽しそうだし。シン君バスケ上手で、特に予定もなかったし、少しだけ遊ぼうよ。」

『え!マジかよ…。折角2人きりで過ごすんじゃなかったのかよ?』と、心で呟くと

「ん?どこか行きたい所でも思い出した?」

「いや、そう言う訳じゃないけど…。」

「じゃあ、良いじゃない。」

イマイチ乗り気になれないシンに袖口を掴んで甘えるように

「お願いぃ…。」

と上目遣いで、俺が嫌と言えないこの手を使われると断れずに、小さな声で

「わかった、でも少しだけだぞ!」

「うん!」

と相談の様子を注意深く見ている子供達にチェギョンは

「いいよ!」

子供達の顔がみるみる内に、輝きだしシンとチェギョンの手を掴んでグランドへ誘導すると
先生が申し訳なさそうに『すみません』と言われ、結局シンとチェギョンがバスケのメンバーに入り、
先生が審判になり、ゲームが開始された。

普段より若干小さめのコートにシンとチェギョンは敵味方に分かれ、流石バスケは上手なシンと
ボールを追っかけるのが精一杯のチェギョンと対象的だが、チェギョンのチームのシルビアという
女の子がなかなかのもので、必死にシンのパス回しに付いていきガードしていることで、
試合も均衡している。

もちろん、シンも子供相手に本気ではなく、かなり手は抜いているが、このシルビアに限っては
油断出来ないでいた、ちょうどシルビアを交わし、ボールをゴールに向けてシュートを打つと
キレイな放物線を描き、ゴールへと吸い込まれた。

シンのチームは盛り上がり、何人かの子供とハイタッチしている。
それでも、細かくパスを回し、繋いでシルビアも追い上げを図り、ゴール下で待つチェギョンにボールを
回しそれをシュートしようとした瞬間ボールを無理にガードしようと、した男の子がチェギョンにぶつかり、
チェギョンがつんのめるように横に倒れた。

「チェギョン!」

慌てたシンはチェギョンの元に走り寄って、その場で体を抱きかえると、心配そうに顔を覗き込んだ。
突然地面に倒れたので、腕や膝を擦りむいて痛かったが、何よりも心配そうに覗き込むシンの顔のアップに驚き、
慌ててシンの胸を押し当てて離れようとするが、離れようとはしないシンに、

「シン君、大丈夫だから。」

「大丈夫なものか!腕や足を擦りむいてるのに。」

シンはチェギョンの体に、傷が付くなどとんでもないという勢いで、チェギョンを抱き上げて

「シ、シン君!お、下ろしてよ。」

「嫌だ!」

慌てる様子のシンを見て先生が

「簡単な消毒なら保健室へお連れします。」

「お願いします。」

と即答でシンが言うと、そのまま保健室までチェギョンを抱えて行きました。

〜保健室〜
「ホントに、大袈裟なんだから…。」

保健室のベッドに腰掛けて、ブツブツ言いながら、先程の痛がるチェギョンを、
よそに先生のからの見よう見まねで、丁寧に消毒をした。
その上、軽い擦り傷にたいそうな包帯をチェギョンの腕や足に巻き、初めての事に満足げなシンは

「何を言うんだ、これぐらいでも不十分なのに、帰ったらすぐに医者に診せるからな!」

と、腕組みをしてチェギョンを見下ろして言い放った。
夫は妻の事となると、普段のクールさも冷静沈着さも、どこえやら吹き飛ぶらしい。

「でも、シン君がこんなに優しいなんて、嬉しいな…。」

「俺は、いつも優しいじゃないか。」

「いつもは意地悪なの!」

「ま、それだけ言い返せるんだから、大丈夫だろうけどな。」

「なんか久しぶりだわ、こういう保健室って」

そう言いながら周りを見渡し、物珍しく見ていると、シンもチェギョンの横に座り
同じように周りを見渡した。

『はっ!』とした表情で何かを思い出したチェギョンはニコニコ笑った。

「ん?どうしたんだ?」

その様子にシンは聞き返すと

「え?ううん、なんでもないんだけど、少し思い出した事があって…。」

「思い出した事?」

チェギョンの言う思い出し事に興味を持ち話を聞くシン。

「うん、よく考えると私のファーストキスってシン君以外だったかも?って…。」

「な、何?何処の誰なんだ?チェギョン、お前…。」

チェギョンの突然の爆弾発言に『確か合房の時、俺とのキスがファーストキスだ!って…、言ってたよな?』
と、シンは合房の時を思い出しつつも、自分の知らないチェギョンがいて、しかも自分が初めてでないのが
ショックだったのか興奮気味に言うと

「シ、シン君落ち着いてよ、小学校の頃だし、しかも相手は女の子よ。」

『小学校?…女の子?…。』ますますわからないシンは困惑しチェギョンに問い正した。

「どうしてそんな奴とキスしたんだ?」

「あれはね、ちょうど保健室で王子様とお姫様ごこっこしてて、その成り行きでキスしたのよ。」

「王子様とお姫様?なんでそういう事してたんだ?」

「女の子は一度はお姫様に憧れるのよ、その時もお姫様役が私で、相手役の子のなんて名前だったっけ?」

必死で思い出すも出てこないので諦めたチェギョンは

「とにかく、女の子が王子様だったのよぉ!」

『はぁ…、わからん』という仕草で、首を振るシン。

「シン君は元々王子様だから、そういう事しなくてもいいでしょ?、じゃあさ、シン君のファーストキスって……」

そういいながら、ふとあのタイでの写真のキスを思い出したチェギョン。

「どうした?」

急にチェギョンの顔が曇って俯くと、シンも例のタイでの写真を思い出したのか

「ばかだなぁ…。あれは俺の中ではでキスじゃないんだよ…。」

「でも…。」

「それ以上言うと、あの写真以上に熱烈なキスするぞ!」

「何言ってるの?シン君。」

「でも、俺が決めたファーストキスは…。」

『チェギョンだ!』と言いかけて、何か引っかかったようにシンは考え込んだ…

【後編に続く】

チェギョン編

早朝、目が覚めると横には、キレイに整った容姿端麗の夫が眠っていた。
昨夜の名残である自身の胸に刻まれた愛情の印である刻印が私に
『お前は俺のもので、俺もお前のものだ』と言いたげな夫の思いが詰まっている
何も身に付けない夫の裸体は、少し筋肉が付き、美術館によくある彫刻のように
美しく、その均整取れた夫の腕に抱かれて、愛の確認をしたのだ。

そう思うと、恥ずかしくもあり、しかしながら、夫によって自分が徐々に
女である事を自覚させられ、証明されるように、妻として、女として愛される喜びを知って欲張りになる。

夫は、一国の皇子で、私達は祖父達の遺言の元、出会い結婚する事となった。
最初は私の実家の為にと、決意した皇太子との結婚、幸いにもクラスは違えども、同じ学校に通う同級生でも
あった。
私が、宮家と関わりを持つ前は、雲の上の人達の話で、毎朝仰々しい車列を組んで、警護に守られながらの夫を
遠巻きに眺める1人だったはずが、結婚して横にいる夫はその皇太子というのだから、世の中って
不思議な事ってあるのだ。

とにかく、結婚前から夫には意中の彼女まで存在し、偶然にも夫が彼女にプロポーズする現場まで、
見てしまった。
不可抗力とはいえ、かなりの驚きと、小さなショックを抱え、その場を立ち去るも、再び意外なシチュエーションで
再会し、挙げ句には皇太子妃として、宮家に嫁ぐ事が決まると、その夫となる皇太子は、皇太子妃という妻で
名ばかりにしか思っていない私に、
『いつかお前が耐えられなくなったっら離婚してやる』と唯一私に約束できる事として言った。
私は、聞き違いか?とも思ったが、どうやら本気らしい、『どう言うこと?』とますます夫の考えがわからないまま
流れ上国民や全世界人々が見守る中で私達は正式な夫婦となるべく、結婚し私は皇太子妃となった。

結婚後もそんな夫に不信感を感じつつも、何故か気になる存在で、夫は私から見てもどこか投げやりで、
自分の事でも他人事のように対応する事に、疑問を感じつつも、今では彼の宿命や背負う重責の苦労も
嫌と言うほど理解出来るが、当時は子供過ぎる私には理解も出来ず、想像も付かない世界である宮家に嫁ぎ、
毎日が新しい発見ばかりで、周りの侍従達も呆れ、時には結果として振り回す事もあった、一般人な私は
私なりに宮家に馴染む努力もしたが、やはり慣れないこの宮家では、少し浮いた存在なのかもしれない。

マイペースな私に夫はなおも無関心を貫くも、私の目線が変わったのは、実家への里帰りに夫の悪戯心から、
狭いシングルベッドで2人で就寝する事となった私達は、互いに初めての異性との添い寝に、寝付きも悪く
気付けば、私が夫に抱きつくなどという大技までやってしまった。
そんな事があったせいか、後日談で夫も私との添い寝に正気ではいられなかったと聞き、
少し私達の間にあった距離感が縮まった。

しかし、そんな思いも束の間で、ある時、夫の誕生日パーティーに、夫が唯一プロポーズした彼女の登場は、
私を惨めにさせ2人の間に割って入った私は、悪者なのだと思い知ったのだ。
その後も、夫が単身で行った海外訪問先でのその彼女との密会していることや、
その彼女からは妻である私の存在など気にも留めずに「今でも愛していると」言いきられ、夫には

「お前には関係ない」

とまで言われ、最後には夫と彼女の口付け写真まで見ることとなり、何もかもかもが、分からなくなった。

そんな私を唯一助け、慰めてくれた夫の従兄弟でクラスメートの友人である彼に、何かと頼る事も多く、
場合によっては私と彼は一時期許嫁だった事も知り、彼は私に特別な感情も持っていると言われたが、
それでも私には夫が唯一の愛する人であり、決して従兄弟の彼に心が寄ることも無かっただけに困惑した。
後で夫から聞いた話では、相当に私と彼との関係が気になり、正気でいることが出来なかったと、
自身の不甲斐なさを言っていた。

その後、この4人の奇妙な関係と思いが複雑に絡まり、私と夫との心の距離も時に近づき、
互いを思い合うかのような瞬間の次には、疑心暗鬼になり絶対的に寄り添う事も難しいと感じると、
最初に弱音を吐いてしまったのは私だった。

あろうことか、国民を前に『離婚』という言葉を口に出し、浅はかな自身の思いだけで周りの混乱を考えず、
私には、後悔してもし足りない事を今になってようやく理解するには遅すぎたのだった。
しかも、愛する夫への裏切り行為となる事を、考え及ばずその時に夫の本音を初めて聞いた私には、
奈落へ落とされる思いだった。

事はそれだけでは収まらず、宮家への混乱は次々に起こり、果てには皇太子の存続まで危うい状況に夫は
窮地に立たされる事になり『すべては私が引き起こし、最愛の人を苦しめている』そう思うと
居ても立ってもおられず、思いあまって初めて私は夫への愛を吐露し、私の必死の思いに、
夫も心を開き初めて私達の心は結ばれた。

一時期の迷いとはいえ、離婚まで決意し「宮」と夫に決別を決めたのにギリギリの所で、夫との本当の愛を
知る事になった私は、今はこうして離れずにいる事が、どれだけ幸せなのか、身に染みてわかる。
夫が公務で、女性からの熱い視線や声援を受けることも、女の部分の私は不安でもあり、小さな嫉妬を覚える。
出来る事なら夫の視界には、自分ただ1人だけ見つめて欲しいと、独占欲まで沸いてくる。

そんな夫自身は、私をこの世で唯一の女性だと言い切る。
自分自身も、見た目も特別美人ではなく、品格教養に秀でている訳ではないが、
『ただそばにいるだけでいい』と言う夫に、寄り添う事しかできない私は、
子供のようにまとわり付き、切ない表情で、愛しい目で、私を欲する夫の情熱を受け入れるのだ。

そして、連日の熱く情熱的な愛の儀式に、私達は溺れて欲し合う。
こんな日々が、いつまでも続くと願いはするものの、彼は数日後に帰国し、私達はまた離ればなれになる。
だから、こうして夫が安心して穏やかに眠る顔を目に焼き付け、いつか、またこうしてベッドで同じ寝顔を
見られる日が必ず来ると信じて待つしかないのだ。

「う、う〜ん…。」

と言って仰向けから、半身をこちらに寝返りを打った彼は、無意識か?私の腰に腕を回し、
もっと密着させるように、抱き寄せようとする。
私は、彼に身を預けて、更に顔が近づく私。
すると、ぱっちり目が開いた彼は意地悪ぽくこう言った

「何、旦那の顔を盗み見してるんだよ?」

と『ふふっ』っと笑う様に私の顔を覗き見た。

「な、何も盗み見なんてしてないわよ。」

と明らかに狸寝入りだった、夫に悟られまいと不自然に振る舞おうとすると

「どうだか?」

と『俺は知ってるんだぞ』と言わんばかりの自信満々な彼は、ご満悦のようで

「なんなら、もっとじっくり見ろよ!俺は構わないぞ。」

と更に顔を近づけようと、悪ふざけし出した。

「だから、違うってば!」

と彼の胸に手を当てて引き離そうとすると、両手首をつかまれ、一気に彼が上から覆い被さるように
私を組み敷くと

「お前に見つめられると、愛おしくて、どうして良いか分からなくなるんだ…」

と言って優しく甘い口づけをした。

それが、合図となったのか、再び彼との甘く切ない愛の儀式が始まり、私も彼と同様に愛おしく、溢れるばかりの
彼の思いを、受け止め何とも言えない幸福感に酔いしれた

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
kyomao
kyomao
女性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

宮 創作

宮 関連

韓流関連

登録されていません

その他創作

標準グループ

登録されていません

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事