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東野圭吾の話題作、『容疑者Xの献身』(文藝春秋)を読んだ。 〜あらすじ〜 数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ 天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか? 本書は年末恒例「このミステリーがすごい!」(宝島社)で昨年のベスト1の栄誉に輝いた。 そして年明け、東野圭吾はついに本書で念願の第134回直木賞を受賞することともなった。 東野圭吾にとって本書は、ある意味記念碑的な作品になったように思う。 しかし、今回の受賞までには著者も愛読者も長い長い忸怩たる期間があったはずだ。『秘密』(文春文庫)しかり、『白夜行』(文春文庫)しかり、、少なくともこの2作は直木賞を取ってもおかしくない作品だったと思う。まあ今さらこんなことを言っても意味がないし、今回の受賞が嬉しいことに変わりはない。 そう言えばドラマ化の影響か(ドラマはどんな出来なのだろう?)先日、『白夜行』がついにミリオンセラーになったという報道を見た。一つのミステリ作品がミリオンセラーになることは余りないことで、まさに快挙だと思う。まさに万人に読んでいただきたい一作。 さて本題、『容疑者Xの献身』の感想である。 僕には東野圭吾が本格ミステリにとことんこだわった一作だと感じた。匠の技である。 冒頭から一気に物語に引き込まれる。やむにやむれずかつての夫を殺害する羽目になってしまった靖子と、その犯罪を、信念を持って隠し通そうと画策する数学教師・石神。そして殺人事件を追っていく過程で、靖子に、さらには石神に迫っていく警察。メインストーリーは、この石神対警察、あるいは石神対かつての良きライバル湯川学という構図の息詰まる攻防である。 この攻防、最大の興味はいかに石神が靖子を警察の目から逃れさせるか、それを警察や湯川がいかに追いつめていくかというところだが、極力余計なものを排したテンポの良い文章でページを繰る手は止まらない。 それから、名著『博士の愛した数式』(小川洋子、新潮文庫)もそうであったが、数学の積極的な取込が功を奏している。リーマン予想や四色問題など、数学界ではポピュラーな問題だが、それを知らない読者でも興味を持って読むことができる。 そして、一番唸らされたのは、やはり第16章以降の展開、つまり石神の自供以降である。まさか、そこまで見越して最初から計画を立て、あまつさえ人のためにそこまでするとは(しかも靖子には知らせることなく)、、、最後の最後で靖子が訴えでなければ石神の考える完全犯罪は成立したということか。実際にそこまで警察は追及できないものかという疑問はさておき、石神なりの信念で靖子を守ろうとした(ある意味)狂気の論理的思考の破綻=最後の咆哮が読んでいて実際に聞こえてきそうにさえ思えた。 うーん、どこまで凄い作家なのか東野圭吾。野球で言えば、ハイアベレージヒッターである。直木賞受賞で勢いがつき、これからますます磨き抜かれた作品を期待したい。
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面白そうですね。まだ読んでないんですよ・・・。白夜行ってミリオンセラーなんですね。今、上司に貸し出し中です。^^
2006/2/19(日) 午後 10:53
そうですか!今からこの面白さを味わえるなんて羨ましいです(^^)ぜひ読んでみてくださいね☆白夜行、上司の方もあまりの面白さに、一気に読んで睡眠不足で仕事に来られるってことはありませんか?
2006/2/21(火) 午前 1:07
これは文句なしに直木賞!すごいものを感じました。心理の数式を完璧に導き出した石神はすごかったですね。
2006/3/8(水) 午前 8:46
今までの数々の著作は、どれも直木賞取ってもおかしくありませんでしたが、落選するたび東野圭吾はこれでもかと作品を書いてきましたね。『容疑者X』はその極致の作品だったと思います。石神にも東野圭吾の筆致にも鬼気迫るものを感じました☆
2006/3/8(水) 午後 11:47
トラックバックありがとうございます。東野さん、これで直木賞が取れなかったらもういらないです、って言ってたんですよね。他の作品も読んで見たいと思います。
2006/5/14(日) 午前 1:56 [ 葉月 ]
今までの落ち方からすると、その発言は当然でしょうね。他にも傑作・佳作が目白押しなのでぜひ読んでみてください。
2006/5/14(日) 午後 10:02
こちらもTBさせてもらいますね♪図書館でもスゴイ人気で、三ヶ月も待ちました(買えよっていう話ですが・・・^^;)ついに直木賞をとりましたね!!本当に泣きそうになりました。おめでとう!っていう気持ちでいっぱいです。
2006/5/20(土) 午後 5:03 [ さき ]
三ヶ月待ちですか。。直木賞受賞作ですし、あまり東野作品を読んだことない人も予約されているんでしょうね。本当に今回の受賞は嬉しいことです。
2006/5/21(日) 午後 4:53
TBさせていただきました。私は、直木賞受賞前に図書館に予約したんですが。。。あはは。(私も買えよって?)しかし待っただけありました。あっという間に読んでしまいました。実は東野圭吾は初めてだったので、今度は別の作品を読んでみようと思います。
2006/5/21(日) 午後 11:31 [ マンゴスチン ]
いやいや。図書館で予約し、じっと待ち、読んだあとに待った甲斐があったと言えるのも読書の楽しみですね。東野作品、本書が初めてでしたか!たくさん作品はありますが、次は何を読まれるのでしょうね!?
2006/5/21(日) 午後 11:40
TBありがとうございます。湯川・草薙コンビの新作がまた読めればいいですよね。
2006/7/2(日) 午後 11:33 [ roa**v ]
そうですね、なかなか良いコンビだと思います。容疑者Xの献身を超える作品は、並大抵ではないですが、東野圭吾ならやってくれるんじゃないかと。
2006/7/4(火) 午前 0:04
TBありがとです♪
2006/7/15(土) 午前 11:42 [ さき ]
どういたしまして♪
2006/7/17(月) 午後 2:41
ほんと最後の咆哮は聞こえてきそうでしたね。咆哮のシーンの時にはもう完全に本の世界にどっぷりつかってたからイメージできたんですよねぇ…。東野先生の文章に読者を取り込む力があったように思います。
2006/7/26(水) 午後 11:35
そうですね、あの場面まで行くと完全に感情移入してました。あれが最初のほうで出てきてもそんなに痺れなかったでしょう。あれだけの物語を読み、あれだけの石神の思いを読んだからこそのあの咆哮の意味を理解できる、、、東野圭吾、凄いです。
2006/7/28(金) 午後 11:55
東野圭吾先生は大好きな作家の1人なんだけど、まだ読んでないのです。是非買わねば・・・。泣けますか?
2006/7/30(日) 午前 9:20
泣けるかどうかは読み手によっても変わると思いますが、東野圭吾の鬼気迫る描写は体感することができると思います。女性描写など賛否両論ある部分もありますが、僕は傑作だと思います。
2006/7/30(日) 午後 11:13
直木賞受賞作品だとかってことも知らず…なぜだか、こんな時期に図書館の新刊コーナーにあったので借りて読んだんですww湯川先生デビューでした。あとで読んだ『ガリレオ』とかとは、また違った雰囲気の本でしたね。
2007/2/11(日) 午後 8:58
もう発売から1年以上経つのに新刊コーナーにあるとは、、、やはり直木賞効果でしょうか?(笑)
2007/2/14(水) 午後 11:33