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前田伸夫の『特命交渉人 用地屋』(アスコム)を読んだ。 〜あらすじ紹介〜 深夜の墓堀、自宅爆破、拉致、負傷、妻の「戦死」…。史上空前の公共事業、成田空港。空港反対運動切り崩しの張本人とまで呼ばれた、元空港公団ノン・キャリア職員が、命を賭けて明かす国家事業と成田闘争のアンタッチャブル! ☆ ある雑誌に載っていた本書の紹介記事を読み、猛烈に興味をそそられて買った『特命交渉人 用地屋』。 著者は、かつて新東京国際空港公団(現在の成田国際空港株式会社)に勤務し、成田空港建設用地を所有者から買収する、いわゆる第一線の用地職員(=用地屋)であった人だ。 本書はそんな著者が明かす、用地買収に関する数々の裏話をまとめたものである。ある意味、暴露本あるいは告発本と言っても過言ではないと思う。 著者がどのようにして土地の所有者と交渉し、土地を買っていったか。。。その手法は、一般的な感覚からすれば、エー?そんなことまでするの?と思うようなものばかりだ。中には違法スレスレのウルトラCまである。 なぜそこまでして空港用地を買わなければならなかったか。成田空港建設が日本国家の一大事業であったことはもちろんだが、それだけ著者が土地を買うという使命感に燃えていたのだろうと思う。 1960年代〜70年代前半を経験していない僕にとっては、書類や映像の中でしか見ることのできない学生運動、過激派、反体制運動。これらの運動は成田にも当然のように飛び火し、いわゆる「成田闘争」を生み出していく。 つまり、当時の土地買収は、たとえば現代での買収とは根本的に異なる、権力(公)対反体制という側面を孕んでいたのである。 現代は現代で、土地所有者の権利意識の高揚など、土地を買うことの難しさはあるだろうが、1960〜70年代はそういう時代であった。 著者をはじめ、当時の新東京国際空港公団用地部の面々は、命の危険をさらしながらも、国家事業のため黙々と土地を買っていくのである。 本書の中でも、反対農民や支援学生との丁々発止のやり取り、命を賭けた業務遂行など非常にスリリングな部分はとても面白く読める。 そして、同じ用地部の中でも飛び抜けた存在であった著者が、どうやって農民の信頼を得、上層部の憶えめでたくなり、密命を帯びた仕事をしていったか。興味のある方は、ぜひ読んでみていただきたい。 それにしても繰り返し思う。ある時は拉致され、ある時はタケヤリで重傷を負わされ、家が爆破され、妻に過労で先立たれるような仕事をしなかればならなかったのか、と。本書を読めば、おそらく著者がいなければ確実に成田空港開港が数年、いや十年遅れていたのではないかというくらい獅子奮迅の活躍ぶりだ。 仕事にかける情熱、空港用地を俺が買うという矜持、賞賛に値するが、僕はマネをしたくないと思ってしまった。 ところで本書を読んで、びっくりすることはたくさんあるが、成田空港はまだ完全な姿になっておらず、用地買収も完了していないというところにも驚かされた。学生運動の頃からやっている買収がまだ終わっていないなんて、、、 初めて明かされるような話もあるであろう。第一線にいた著者だからこそ書き得た迫真のノンフィクション。それが本書だ。 腰帯であの田原総一朗が絶賛しているが、僕も負けじと絶賛したい。
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これは、読まなければいけない本ですね。実は、私自身もそこまでハードではありませんが、土地に関する仕事をしていたことがありますので、本当に興味あります。
2006/8/11(金) 午前 1:01 [ gak*1*66* ]
それは奇遇ですね!土地の仕事をされたことがあれば、本書は絶対に面白いと思いますよ。土地って、こういう仕事をするまではよくわかりませんが、知れば知るほど興味深いものです。
2006/8/21(月) 午後 7:32
> maa*aka**さん
仕事辞めて何しようか?今のんびりとしてるところですが、国が用地交渉人を募集中、なんか面白そう……応募してみようかな?
2017/12/22(金) 午前 8:17 [ 原憲義 ]
> maa*aka**さん
仕事辞めて何しようか?今のんびりとしてるところですが、国が用地交渉人を募集中、なんか面白そう……応募してみようかな?
2017/12/22(金) 午前 8:18 [ 原憲義 ]