|
北尾トロの『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫)を読んだ。 〜作品紹介〜 ワイドショーも小説もぶっとぶほどリアルで面白いのがナマの裁判だ。しかもタダで誰でも傍聴できる。殺人、DV、詐欺、強姦…。突っ込みどころ満載の弁明や、外見からは想像できない性癖、傍聴席の女子高生にハッスルする裁判官。「こいつ、絶対やってるよ!」と心の中で叫びつつ足繁く通った傑作裁判傍聴記。 ☆ 本書は本の雑誌「ダ・ヴィンチ」でもお馴染みのライター、北尾トロの実録・傍聴記である。 さすがライター、まずタイトルの付け方がイイ。 実はこの本は家内が買ってきた本を借りて読んだのだが、家内が書店で手に取った理由というのが、タイトルを見て面白そうだと思ったからなのだそうだ。ま、確かに。 しかし僕としては、タイトル以上にこの作品を注目したいのは、裁判員制度との関係だ。 裁判員制度は、平成20年の5月までには始まることが決まっている。こういう制度ができることくらいはマスメディアで目にされた方も多いだろうが、実際に2年後に始まる、と聞いてピンとくる人は少ないのではなかろうか。 しかし、もう始まることは決まっているのだ。着々と準備も進んでいる(はず)。この記事を書いている僕も、読んでいる貴方も、裁判員になる可能性だってあるのだ。 一般人にとって、今までは裁判とは縁もなく一生を終える場合のほうが多かっただろう。しかし、これが始まれば被告や原告という立場でなくても、裁判員として公判に立ち会うこともでてくるのだ。 僕は大学時代法学部生でありながら、恥ずかしながら裁判を傍聴したことはない(ゼミによっては、当然傍聴をしているところもあったが)。いや、それどころか裁判の仕組みも胸をはって説明できるほどではない。しかし、裁判員制度が始まるのに裁判のことをあまり知らないのではすまされない。 ということで、かなりの興味を持って読み始めたわけである。 ☆ 本書のスタイルは、とにかく1幕1幕ごとにありとあらゆる種類の事件の公判の傍聴が出てくる。傍聴して著者が感じたことを中心にまとめてあるのだが、著者は思ったことをかなりストレートに書いていてわかりやすいと言えばわかりやすい(これは後で書くある欠点にもつながってくるのだが)。 傍聴シロウトからスタートした著者であるから、いろいろなことにアタックしていき、裁判に関する色々な蘊蓄を知ることもできる。 へぇ、大事件の裁判でも比較的簡単に傍聴できるもんだな。 ほぉ、傍聴にもマニアが存在するのか(←この人達、すごすぎる。傍聴しているだけで、判決内容もほぼ予想できるようになるらしい。 やっぱり弁護士も検事も、裁判官も人間なんだなぁ。 公判の雰囲気というのが、かなり伝わってきた。 ☆ しかし、ちょっと僕が感じた欠点もある。 一つは、公判の種類は豊富だが、終始同じような雰囲気の傍聴記なので、ちょっと後半(公判じゃないよ)単調に感じた。その意味では、巻末の特別座談会は面白く読めた。 そしてもう一つは、著者の裁判への好奇心だけが原動力になっているので、どうしても興味本位になってしまっていると感じた。先に書いたがその好奇心でもってこれだけの傍聴記が書かれたわけだから仕方ないかもしれないが、中には万が一当事者が読めば眉を顰めるような所もあると思うのだが。 ☆ 欠点を差し引いても、本書には読む価値があると思う。今まで傍聴なんてしたことのない大多数の人には、手近な裁判入門書と言えるだろう。 あとがきで、作家・角田光代も書いている。
近く日本は裁判員制度を導入する。いつか私たちのところにも、裁判員の役割がまわってくるようになるのだろう。多くの人が困惑するに違いない。私はずいぶん前からそのときを想像して困惑していた。だからこの本に会えてよかったと思う。 |
全体表示
[ リスト ]



タイトルの面白さにちょっと気になっている本です。ふむふむ傍聴記なのか〜。学生時代友人が「裁判傍聴サークル」なるものに入っていたのを思い出しました^^;
2007/2/13(火) 午前 0:15
わりと面白く読みました。ミステリなどではわりとお馴染みの裁判シーンですが、実際の法廷は一度も見たことがないので…。でも「興味本位すぎる」というご意見には頷けますねー。もう少し、事件によって、視点というか角度を変えた見方をしてほしかったかな…。
2007/2/13(火) 午前 10:53
私もこれ読みたいって思っているんです。裁判は見たいと思いつつ一度も見たことがないんですよね。本で雰囲気が味わえるのはいいですね。
2007/2/13(火) 午後 9:09
>あんごさん。やっぱりタイトルって重要ですよね。それにしても「傍聴サークル」とは!あんごさんのお友だちも法学部ですかね?
2007/2/14(水) 午後 11:18
>cuttyさん。そうですね、ミステリではけっこうおなじみですよね。あ、あと「逆転裁判」ってゲームもまさに法廷シーンが舞台(あれは、ホントの法廷とはかなり異なるようですが)。僕も、もうちょっとメリハリのある傍聴記だともっと良かったと思います。
2007/2/14(水) 午後 11:20
>ミラさん。これは入門書としてはなかなか良いと思いますよ。実際に裁判に行かれる前に読まれてはいかがでしょうか。雰囲気はじゅうぶんに味わえると思います。
2007/2/14(水) 午後 11:23
そうそう、「逆転裁判」!あれは嵌りました〜〜!春に4が出るそうですね。今から楽しみです。
2007/2/16(金) 午前 10:23
僕は携帯版でPLAYしていて、今「3」の真っ最中です。そうですか、もう「4」の時期なのですね。早く「3」を進めなくちゃ!
2007/2/16(金) 午後 11:06
この本はけっこう楽しめました。ちなみに「興味本位すぎる」という点はしょうがないかなと私は思いました。トロさんの本の特徴は興味のおもむくまま、そこに突っ込んでゆく、という感じがしてますので。
2007/2/18(日) 午後 11:31 [ ちいらば ]
確かにそうなんですよね。ダ・ヴィンチの企画記事を読んでもそんな感じですもんね。そうでこそ、ライター稼業は務まらないのかもしれません。
2007/2/21(水) 午後 10:04