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善福寺公園の上池にスオウの木が2本あって、きれいな花を咲かせている。
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「スオウ」という言葉の響きが気になって調べていたら次の記述があった。
花蘇芳。マメ目マメ科ハナズオウ属の高木。中国原産で、江戸時代初期のころに日本に渡来。別名「蘇芳(すおう)」。

なるほど、蘇芳は江戸時代に日本にやってきたのか、と家人に話したら、「あれ? 『源氏物語』に蘇芳のことが出てるよ」という。
光源氏が31歳のとき、物語の絵合せが行われた話があり、その中に「左は、紫檀(したん)の箱に蘇芳(すはう)の花足(けそく)」という表現がある。(花足とは足つきの膳とか供え物を盛る器のこと)

え? おかしいな、とさらに調べるとこんな記述。
「蘇芳」という言葉はマレー語の「サパン」から来ている。また、この「蘇芳」から名づけられたのは、この花の色が、神代から重要な赤色染料とされた”スオウ”の木の染汁の色に似ていることから。
とすると、「神代から重要な赤色染料とされた”スオウ”の木」が『源氏物語』に出てくるスオウで、花蘇芳とは別の種類のものなのだろうか。

平安時代、スオウの色は高貴な色だったようで、上皇・皇后・東宮・親王が乗る唐車の御簾は蘇芳染めなのが特徴で、蘇芳色の糸で編まれ、縁は錦とされた。
さらに調べると、正倉院宝物に「スオウ」があり、香薬とされている。その解説によると、「スオウはマメ科の植物で、染料原料として有用である。ただし本品がスオウであるかどうか、最近疑義が生じている」とある。で、さらにスオウについての詳しい説明では「スオウ(蘇芳、蘇方、蘇枋)は、マメ科(クロンキスト体系の分類ではジャケツイバラ科)の小高木。インド、マレー諸島原産」となっている。
正倉院にあるのが本物のスオウかどうかは別として、やっぱりスオウは中国原産の花スオウとは別種らしい。

ホントかどうかはわからないが、こんな話を聞いた。スオウはインドとかマレー半島でしか育たない植物で、中国や日本でいくら植えても育たないという。土壌や気候が違うとだめなのだろうか。手に入らなければ何がなんでも代わりを求めたくなるのが人間というもので、やむなく代用品としての花蘇芳が普及するようになったのかもしれない。

スオウについての記述は『今昔物語』にもあり、「蘇芳色なる血多くこぼれて」という下りがある。暗赤色を蘇芳色と呼び、凝固しかけた血の色を描写していたという。元来、蘇芳色とは不吉な色のようだ。
芥川龍之介の『藪の中』にも「死骸のまわりの竹の落葉は、蘇芳に滲みたようでございます」という記述がある。

それがなぜ高貴な色になったのか、興味深いが、さきほど「上皇・皇后・東宮・親王が乗る唐車の御簾は蘇芳染めなのが特徴」と書いたが、では天皇の色はというと、紫だった。紫色は昔は巻き貝の一種から分泌される液を化学反応させて得られた。これを貝紫色といって、澄んだ赤みの紫色をしていた。英語名はロイヤルパープルとかティリアンパープルといったそうだ。

ヨーロッパでも、中国でも、そして日本でも、最高位の色は紫で、それに次ぐ色が蘇芳色だったという。
中国や日本では、貝紫の代用として植物のムラサキを用いたが、もうひとつ、藍染の藍に蘇芳を掛け合わせると紫色が出たという。
蘇芳色は紫に準じる色というので、珍重されたのかもしれない。
血の色を不吉ととらえるのは現代人の発想なのだろうか。

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