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ごみ問題の解決を目指すうえで、「ごみゼロ」という言葉が
最近それなりによく使われるようになっているかと思います。
町田市のごみゼロ市民会議もそうですが、「ごみゼロ社会を目指して」
といった表現をみかけることが、ひところにくらべてずいぶん多く
なりました。
日本の自治体として唯一ゼロ・ウェイスト宣言をしている
徳島県の上勝町にしても、「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言」
というかたちで、ごみゼロという言葉をゼロ・ウェイストと同時に
使っているようです。ゼロ・ウェイストという言葉になじみのない方が
まだまだ多いなか、わかりやすさを考えて上勝ではゼロ・ウェイストを
ごみゼロと言い換えているのかなと思います。
意識的にこのふたつの言葉を同じ意味で使う場合は別としても、
そもそもゼロ・ウェイストとごみゼロは同じものなのでしょうか。
ごみをゼロにしたいという思いから、ごみゼロという言葉を使っていても、
焼却炉や最終処分場に頼らないごみの処理を考えていこう、
もっと言えば「燃やさない、埋め立てない」という基本方針を掲げて、
そのためにはどうしたら良いのかを逆に考えていこうという発想がない場合、
それはゼロ・ウェイストとは同じではないでしょう。
あるいは、いつまでにごみをどのくらい減らすという具体的な目標の数字が
はっきりと示されていない場合や、資源化しにくいもの、リサイクルに
向かないものを最初から作らないように企業やメーカーにお願いを
していくという視点がない場合も、その場合のごみゼロはゼロ・ウェイストと
同じではありません。
だとすると逆にいえば、うえに挙げたような発想や視点がはいっている
ごみゼロは、実質的にはゼロ・ウェイストと同じということになるでしょう。
ごみゼロという方針を掲げる場合に、おそらくは現実的でないという理由から、
ゼロ・ウェイストの要素をそのなかにいれないことが多くあるように思います。
たしかにそうすれば、とても現実的な目標が作れるのかもしれません。
ですが、ごみをゼロにするというごみゼロの元気なかけ声は、あっというまに
名前だけのものになってしまうのではないでしょうか。
実際には、何年たっても現状はあまり変わっていないということになりは
しないでしょうか。
ゼロ・ウェイストのウェイストという英語には、「ごみ」という意味だけでなく、
「浪費」や「無駄」という意味も一緒にあります。
ですからゼロ・ウェイストという言葉には、ごみをゼロにしていこうという
理念と同時に、浪費や無駄をゼロに近づけていこう意味が含まれているのです。
つまり、わたしたちにとって浪費や無駄のないライフスタイルの実現を、
ごみの問題を通してみんなでチャレンジしていこうという方向が、
ゼロ・ウェイストのなかにはこめられています。
時間をかけてじっくりと目標をクリアしていこうという発想は、長い目でみれば
けっして現実からかけ離れたものとは言えないのではないでしょうか。
それなりに高い目標を設定するときに、変化はみえてくる気がするからです。
もちろんごみゼロというかたちで取り組まれている全国各地の試みは、
とてもすばらしいものだと思います。その一方で、ごみゼロという言葉を
文字通りに活かしていくためにも、ゼロ・ウェイストの考え方について
知ることには意味があるのではないかとも思う最近です。
※ ゼロ・ウェイストとごみゼロの違いについては、ロビン・マレーという方の
『ゴミポリシー』(築地書館)という本のなかで詳しく説明されていますので、
ご関心にある方はそちらをどうぞご覧ください。
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