追い風吹くか 洋上風力発電2010年7月5日
再生可能エネルギーとして期待される風力発電。海外は普及が進むが、国内では騒音や低周波音の問題を抱え、伸び悩む。「なぎ」を「追い風」に変えようと、国や電力会社は陸上に比べ安全性が高く、経済的な洋上風力発電の実用化に動き始めた。 (栃尾敏) 風力発電は、太陽光発電とともに再生可能エネルギーの主軸として期待されている。 世界風力エネルギー会議(GWEC)によると、世界の風力発電累積導入量(二〇〇九年末)は約一億五千七百九十万キロワット。毎年、前年比20〜30%で順調に伸びている。 トップは米国でドイツ、中国、スペイン、インドが続く。日本は十三位。世界シェアは1・3%程度で、新設量(〇九年)の割合も約0・5%にとどまる。 風力発電はコストが低く採算性が高い。枯渇の心配がなく発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない。半面、まとまった電力を得るには広大な土地が必要で、景観や鳥類の衝突、騒音問題がある。風がないと発電できず、年間の稼働率は20〜25%程度、火力発電の70〜80%に比べて低い。 【二つの方式】 これらの弱点を克服するのが洋上風力発電だ。英国、デンマークなどで積極的に導入され、ドイツや米国でも計画が進む。 台の部分を海に浮かべるフロート式と、海底に設置する着底式の二タイプがある。フロート式は、水深が深い日本でも利用できる海域が広いが、浮かべるのに費用がかかり実用化されていない。 着底式はヨーロッパで実用化済み。だが、水深が二〇メートルより浅いところしか建設できないため、遠浅の少ない日本では適用海域が限られる。 国内では東京電力が両方法を研究中。フロート式は東京大と連携し、〇四年から二年間、福島県沖で洋上風況を観測した。並行して横浜市にある東電技術開発研究所で水理実験をした。 【台風対策】 東電技術開発研究所洋上風力発電技術グループマネージャーの福本幸成さんは「欧州と違い、日本では波だけでなく台風の暴風雨に耐える風車でないと。地震や塩害対策も必要」と説明する。 研究所では、水路に二百分の一の風車模型を浮かべて波を起こし、揺れ具合を調べてコンパクトで揺れが少ない形状を探った。現在は経済性を高めるための検討を続けている。 着底式は、水路での模型実験を〇五年から実施。台風のとき、波で土台がずれたり転倒しないよう安定性がある形を検討してきた。今年六月からは独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で実用化に向けた実証試験を開始した。 【安全と経済性】 福島県沖での洋上風況観測の結果、年平均風速は七・三メートル。陸上の風力適地の一・二倍で、エネルギー的には一・八倍になるという。風の強弱の度合い「乱れ強さ」も陸上より小さく、安定していた。風車の耐久性の面でも好環境にあることが分かった。 着底式の実証試験では、千葉県銚子市の南沖合三キロ、水深一一メートルの地点に着底式風力発電設備と風況観測タワー(高さ百メートル)を設置。一四年までの四年間、設計・施工方法や遠隔監視技術など運転保守方法の確立、海洋生物や鳥類に与える影響を調べる。風車は高さ百三十メートル、羽根の直径九十メートル。費用は三十三億円。 これまで企業、自治体が湾内や海岸線沿いに建設した例はあるが、沖合での施工は国内で初めて。出力は二千キロワット以上、つくった電気は海底ケーブルから東電の送電網をつなげて一般家庭や事業所に供給する。 「安全性と経済性の両立が難しい。漁業者など海を利用する人たちの了解を得ることも大切」と福本さんは話す。
以上、中日新聞 - 2010年7月5日(http://www.chunichi.co.jp/article/technology/science/CK2010070502000129.html)
■一言
洋上は陸上に比べると、風はよくなりますが、施工やメンテナンスにコストを要します。そのため、風車を大きくしたり、大規模ウィンドファーム化が欠かせないようです。そうなってくると、投資できる人が電力会社とかIPPに限られてきます。本来、電力会社は再生可能エネルギーの導入には慎重ですので、固定価格買取制度とか、国が戦略的に再生可能エネルギーを入れていくんだという強い姿勢を見せることが重要ではないでしょうか。 |
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