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★倒置法の魔術師★
帰宅すると唐突に母が云った。
母:
あ、わたし6月にアメリカ行ってくるから。
昨年渡米した親戚の家に出掛けるのだろう。
狂犬:
あっそう。
母:
だから、しばらくよろしくね。
父:
一ヶ月も行くんだと。
狂犬:
っ、えええええーー!! 仕事は?!
母:
休みもらっちゃった。
狂犬:
えええーー?? よくOKしてくれたね!?
母:
社長にね、
「実はお願いがあるんですけれど、いま機嫌良いですか?」
って聞いたら、「うん、いいよ、なんだい?」っていうから、
「6月仕事やめたいんですけれど」って云ったの。
狂犬:
また、思い切ったなあ。
母:
それで「7月からまた雇ってくれませんかって」
狂犬:
はあ?
・・・つまり、彼女としては特に
「最初に大きな(無理な)要求を出しておいて、
次に小さな(実際の)要求を飲ませる」と、
いうテクニックを使ったわけでは、
まったくなく、
それこそ微塵もなく、
ごく自然に彼女の云い方で
「一ヶ月間だけ仕事を休みたいのですが」と、尋ねたに過ぎない。
わかります。
わかっているんです、お母さん。
突っ込みどころは多々あるが、
そんなものは彼女の功績(?)の前ではかすんでしまう。
・・・軽い目まいを覚えた。しかしうらやましい。
狂犬:
スゴイよ・・・かーちゃん。
我々が軽い虚脱感に包まれている中、
母はやっぱり、楽しそうに笑うのであった。
♪[OH, PRETTY WOMAN] ROY ORBISON
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