行くなら奈良!

奈良の寺社、古墳を歴史を交えての紹介と日欧交渉史を中心に情報を発信します。

全体表示

[ リスト ]

長崎旅行記Pt.7

イメージ 1

イメージ 2

島原半島は火山による火山灰に覆われ米作に向いた土地ではない。 また、山が海岸線に迫っている地形で農業用の土地は不足していると言えようか。 
当時島原の領主は、大和生まれの松倉重政で、当初は筒井順慶に仕えていた。 後に、秀吉の旗本の地位にあったが、関が原の合戦にて巧妙に家康に取り入り、島原を与えられることとなる。 そして、この事は、島原の民にとっては不幸なことであった。
彼は、三代将軍、家光から「キリシタンの取り締まりが緩い。」と叱責を受け、以後、彼はキリシタン弾圧に力を入れるようになる。 もちろん、こうしたのは、我が身かわいさ故に他ならない。
彼の弾圧は、すさまじいものであった。 当初は、火あぶり等の処刑であったが、キリシタン達は喜んで殉教していった為に、棄教させるために拷問を行うようになる。 女子供でさえも容赦はなった。 子供が拷問に遭うのを見て棄教した母親もいたようだ。むしろ、この方が人間らしいとも思えるのだが。
裸にされ、鉄の鋏で指を捻じ曲げられる。 顔、体に「切」「支」「丹」と書かれた真っ赤に焼かれた鉄の鏝で焼かれる。 真っ赤に焼けた鋏で肉を細かく切られるという方法で指を切られ骨を砕かれる。
炭火の上で両手両足を取られ、回転させられながら口から煙が出るほど炙られる。 片方の鼻に灰を押入れ、もう一方の鼻には硫黄を竹につめそれを吹き付けられ、息の根は止まり顔は爛れた。
生まれてきたばかりの嬰児の頭で瀕死状態の祖母の顔を何度も叩く。 まったく、人間が人間を苛めるほど醜いことはないが、よくもまぁこのような拷問を考え出したものだと呆れてしまう。 拷問を考案することに快感さえ覚えていたのではないか。
このような、弾圧が行われ、外国人宣教師はいなくなり、一応、この地での表向きのキリシタンはいなくなっていった。 

原城は「島原の乱」の舞台になった所である。 一般的には、天草四郎時貞が率いたキリシタンによる一揆とされている。だが、果たして実際はキリシタンによる一揆であったのだろうか。
布石はあった。 火種は既に燻っていたのである。 ましてや天候不順による凶作が続き、領主から厳しい取立てが行われたとしたならば。。。
領主、役人は、何につけても税として取り立てた。 子供が生まれれば人頭税、いろりをつくればいろり税、窓を作れば窓税、なすびを植えれば一本につきなすびの実をいくつ出せ。。。そして、出すことができなかったら厳しい拷問を行って、搾取してきた。

島原領主、松倉重政の死後、息子の勝家が継いだ。 この息子も、酷いことをしたが、それは親以上であった。 彼の部下、田中宗甫は、彼の知行地、口之津で、大百姓、与三右衛門に米を「更に三十表出せ」と要求する。 与三右衛門はないと答えると、長男の嫁を捕らえ、籠に入れてそのまま川の中に放り込んだ。
与三右衛門は、せめて嫁の身代わりとして自分か長男に代えるよう依頼するも、拒否される。 理由はいたって簡単で、男は農作業の働き手として重要であるからだ。
哀れなことには、嫁は臨月をむかえており、川に放り投げられて六日後に川の中で出産。 そして次の日、嬰児と共に亡くなった。 二人の死体が彼らの下に運ばれてきた。
嫁の出身地、天草からは、彼女の両親も来ていたと言う。 母子の死体を見て怒りを覚えない人間はいまい。 これはほんの一つの例にしかすぎない。 恐らく、このような厳しい年貢の取立て、搾取、そして、命令に従わない場合、このような惨い拷問が数多くなされていたのであろう。
そして、怒りは頂点に立つ。 数年続いた凶作で、食べ物はなく(否、あってもすべて年貢として搾取されてしまったというべきか)どうせ、飢え死にしていくなら、その前に徹底抗戦をしてやろう。と思うのが虐げられた人間の心理である。
立ち上がった口之津の農民たちは、他の島原半島の地の農民と呼応し、役所を焼き討ちし、役人達を殺害、島原城を取り囲むも、落城が不可能と知るや、原城跡に籠城するようになる。

天草四郎時貞は、本名を益田四郎時貞、洗礼名をジェロニモと言った。 父親は、益田甚兵衛好次で、キリシタン大名として知られ肥後の半分と天草諸島と領としていた小西行長に仕えていたが、関が原の合戦にて敗将となり、多くの家臣は、土着し浪人となった。
天草諸島に住んでいたこれら浪人達の内、「島原の乱」を扇動し、企画者的役割を果たした五人が、26年前に追放されたキリスト教神父の預言を公言した。 「26年後、必ずや善人が生まれるだろう。 その幼子は、習わざることなしに諸学をきわめ、やがては野山に白旗を立てて、緒人の頭に十字架を立てるだろう。」
その少年こそが、天草四郎で、反乱軍の大将として担がされた。 四郎は、天草の島から半島まで歩いて渡ったという伝説が残るが、一揆側の士気を高めるための方便にしか過ぎない。
四郎率いる、一揆軍は、それぞれの村人に一揆軍に参加することとキリシタンになることを強要し、拒否すると殺すと脅された。 中には参加したくない者、キリシタンになりたくない者もいたと言う。 しかし、状況が状況だけに、参加しなければ、いわゆる「村八分」にされることを恐れたに違いない。
村の中には、女子供も含めて村の全員が加わった村もあったと言う。 一揆側は、総勢3万七千人に登った。

幕府側は、一揆の鎮圧になりふり構わない行動を取った。 オランダ船から大砲で攻撃させたのである。 これには一揆側も抗議した。 「攻城については日本国にも武芸に秀でた武人がたくさんいるのに、オランダ人の加勢を乞うこと、心得ぬことである。」と。
まったく、なりふり構わぬ行動であり、恥じるべきであろう。 このオランダ船からの攻撃は、だがしかし、一発も命中しなかったと言う。 当初、劣勢であった幕府軍ではあったが、知恵者、松平伊豆守信綱が軍を指揮を執るようになってから諸国の大名が一揆の鎮圧に駆けつけ、総勢12万4千になった。 知恵者は、兵糧攻めすることに方法を切り替えた。

ここ、原城は、否、原城址には、天草四郎の墓(写真1)、そしてキリシタン墓碑などがあり、史実を伝えている。 原城は、断崖絶壁に立っている。 柵の向こうに、3体の小さい像(写真2)が建っているのを見つけ、よく見てみると海側を向いている。 ちょっと、気になったので柵を乗り越えて覗き込む。 
十字架を掲げた、一見して明らかに西洋人だと分かる像一体。 日本人侍一体。 キリシタンの日本人女性一体。が確認された。 しかし、気をつけなければならない。 なぜなら、後ろは断崖絶壁なのである。 この像と断崖絶壁の間は人一人通れる位のスペースしかない。
恐々、足元に十分気をつけて、とりあえず写真一枚収めることにした。 後で写真を確認した所、真ん中の日本人侍は、天草四郎で、「将軍大菩薩」と彫られている。
左の女性は、四郎の姉で、右側の西洋人は、フランシスコ ザビエルである。 しかし、変な取り合わせである。 四郎はキリシタンだった。 なのに、なぜ「大菩薩」になるのだろう? 彼も右隣の姉も十字架を提げている。 左にはザビエルもいて、キリシタンの趣を放っているのに。。。
ここからの風景は、実に美しい。 海の向こう側には、天草諸島が浮かんでいる。 風景が美しすぎる為に、悲劇はよけいに痛ましく感じる。
断崖絶壁に立っていると言うことは、守りは良かったのかもしれないが、それは、時代が経つにつれて、否、新しい兵器が生まれるに従って立地条件としては良くないものになって行く。
つまり、大砲が開発され、海から狙われればひとたまりもない。 故に、廃城となった。 ここの石垣も、松倉重政が建てた島原城建築の為に運び出された。 一揆側が立てこもった時も、恐らく、城として堅く守れるようなものではなかったであろう。
石垣は、現在もある程度は残されているが、建物の痕跡は皆無に等しい。 この石垣のみが、歴史の目撃者である。

やがて、兵糧が尽きて、飢えに悩んだ頃を見計らって幕府側の総攻撃が開始され、3ヶ月もの間続いた一揆は終末を迎えた。 一揆側は、老若男女問わず幕府と内通していた一人を残して全員が殺された。 この地では、農作業をしていると今でも人骨が出てくると言う。

このようにして、島原の乱は、搾取され続け、数々の拷問を受けて人間扱いされず、飢餓で死にかけていた農民たちによる一揆の性格がまず強く、一般に言われているキリスト教を禁止された事によるキリスト教徒による反乱ではない。 実際、島原の乱が勃発したと時には、外国人神父はおらず、教徒達も一掃され(隠れ)た時期である。
また、キリスト教の教えには、迫害されても報復はしてはならず、実際、彼らは迫害を受けても、殉教の道を選んだり、拷問や死が怖くて棄教したのである。 乱を起こすと言うことは、キリスト教の教義にはなく、異端なのである。 
更に、この事件の責任として、領主、松倉勝家が処刑されたことも見逃せまい。 結局、一揆は、彼の悪政によるものと幕府が判断した為に、武士には名誉とされる切腹ではなく、処刑という処分がくだったのである。
たまたま、キリスト教徒が乱の中心となったこと。そして、幕府側にとっても「キリシタンは怖い」「信者になるとこのように皆殺しにするぞ。」というように日本国内にアピールする狙いがあった事で、世間一般には、キリスト教徒による反乱と位置づけられた。と考える方が妥当であろう。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事