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よつぎアント

 
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第在話
 
よつぎアント
 
 「蟻の怪異。
有在蟻。
あいつにとってもマイナー中のマイナー怪異だと言っておったの
ヨーロッパでは、蟻を潰す事を避ける国が有るそうじゃ。
蟻の様な小さな生物は、「妖精の最終形態」だと考えるのだそうだのう。
天使はレベルが堕ちると妖精に成る。
更に堕ちるとドンドン小さな生物に成り、最終的には蟻に成る。
しかし、どんなに小さく成っても『有る』物は『有る』。
有る物を無い物にする事。
「無いが代」「蔑ろ」にする事は怪異「有在蟻」が最も嫌う事じゃ。」
うん?
僕は忍の話しの一部に異変を感じた。
「忍。言葉の事で少し気に成った事が有るんだけれど、「ないがしろ」って、書き方が2つあるか?」
「ん?そうじゃよ。正しくは、と言うか元々は「無いが代」が正しいぞ。「蔑ろ」は当て字じゃ。蔑ろは意味を失った、格好付けの漢字じゃ。」
忍のその返答を聞いて、僕は合点した。
「そうか。そう言う事か」
「そう言うことじゃ。」
「おい忍。僕の話を最後迄聞け!」
「そうさのう。最後迄聞いてやるか。世の中には自分の歌を最後迄聞いて欲しくて化けて出る例も居るからの」
ん?そうなのか。
しかし僕はそのシンガーソングライターの霊の話は今は深く気か無い事にして置(お)く。
怪異関連が一気に2つも関わってくると、訳が分からなくなる。
「つまり、こういう事だな忍。本来は「無いが代」だが、『漢字って一文字で発音を多く含む事が多いよね』という勝手な思い込みから生まれた漢字が「蔑ろ」なんだな。」
「ご名答じゃ。当てたからと言って、調子に乗るのじゃよ」
うん?
「僕このまま調子に乗っても良いのか?」
「いやいや、最近では調子に乗ると日本人は潰そうと躍起になるが、儂はもっと調子に乗って良いと思うのじゃよ。以前日本にバカンスに来たときは日本人は、楽しそうにして居ったぞ。何か小さな事が有ると最高まで引き上げて楽しんで、調子に乗って。余韻まで楽しんで。」
「まあ、確かに真面目な話、日本人は恐いからな。出る釘は打たれるとか。釘を打つ者の感情は勿論「妬み」なんだろうしな」
「妬みのう。「有在蟻」は妬みを含めた全ての感情を大切にする。
喜怒哀楽、更なる行く手数多(ゆくてあまた)の感情を1つ、1つ大事にする。
『在る物、有る物を無い様に扱う事を嫌う』怪異じゃ。
重し蟹。
重し蟹は重さを取って行く怪異ならば、有在蟻は重さを自分で持ち続ける様に押し付ける怪異じゃ。
「自分で感じた感情は自分で管理しろ」と注意する怪異じゃ」
「処で、忍。どうして突然僕に「有在蟻」の話を始めたんだ?」
「…それはじゃな。其れはじゃな。後払いと言う事じゃ。
儂が初めに御主(おぬし)に情報を提供してやったのじゃ所以(から)ドーナツに拠る(よる)支払で応じ様とそう言う事じゃよ」
そう言うことなのか。
忍野忍…。
商売が上手くなりすぎたな、御前。
「はあ、御前、商売上手になったな」
「お?どうした主(ぬし)、急にしょぼくれおって。」
「嫌、どうしてこうなったのかなと思って。お前はもっと、古風な喋り方の古き良きキャラクターへ進化するという道もあったのでは無いかと思っただけだ」
「その、進化とか、道とか、ポケモンの事は儂は良く分からないが」
「忍!御前(おまえ)影の中でDSやっていたが、ポケモンをやっていたのか!
進化とか、○番道路とか。御前、其れポケモンって、ポケットモンスターって、怪異がモンスターのゲームをするってどうなんだ?」

返事が無い。
急に静かになった。
「おい!忍」
「何時ドーナツを買いに行くのじゃ?」
 「「斧ノ木余接」の怪異としての性質は、陰陽調節じゃ。
ご主人様、大学受験生だったよな。
それなら分かる筈(はず)じゃ。
基本中の基本。
数学、否(いな)算数の基本じゃな。
絶対値。
プラス、マイナス。
おばかを演じておる儂じゃが、今は本気(マジ)モードじゃぞ。」
お前、此れまで馬鹿を演じていたのか?
「「陰」の反対は「陽」じゃ。そのくらいは小さな小さな子供もわかるぞ。
「陰」はマイナス。
「陽」はプラス。
斧ノ木余接はこの「陰」と「陽」の調節をする事で「普通ではありえない現象」を好き勝手に起こせるのじゃ。」
僕は今迄の忍野メメ、忍野忍の怪異に関する説明は一応の処頭で理解できた。
しかし、今回の「斧ノ木余接」に関する説明は今一、本当に基本的な部分で【理解不能】だった。
某ノヴェログで言う所の「訳ワカメ」だ。
ノヴェログというのはノベルとブログをくっ付けた造語だ。
最近流行っているらしい。
果たしてインターネット上で無料で文章を公開して作者に金が遣って来るのかどうか不明なところだ。
しかし、画面上で読むのと紙で読むのとでは文章の印象が違うのは確かだ。
インターネットで文章を全部公開してしまっても、紙は紙versionで買う人も居るのだろう。
そもそも、手をちょびちょび動かして文章を書くだけで金を稼ごうなど、傲慢な考えだと言えば、確かにその通り(とおり)だ。
 「お?お?お?さては御主、儂の話を理解出来てないのお
ふふん。そして何故(なぜ)「有在蟻」の怪異と「斧ノ木余接」との関係性も分かって居(お)らぬの?」
忍野忍…即ち(すなわち)…嫌な吸血鬼だった。
「だから、そのとおりだ。僕はお前の話を理解出来ていない」
「んまあ、怪異を正しく理解する等、元々無理な話じゃがの
其れでも有る程度迄は理解出来るはずじゃ」
「僕を虐めるのはもう良いから、詳しく話してくれよ。」
「ふう、疲れたの。やはりあいつの真似は疲れる」
「お前、お前、戦場ヶ原の『暦弄り(こよみいじり)』を真似したな!」
「ばれて仕舞(しま)っては仕方が無い。詳しく話そうか。」
「初めからそうしろ!」
「斧ノ木余接の顔を見たか?」
「ん?斧ノ木余接の、顔?ああ、見たよ。なんだか、一言で言うと、「無表情」だな」
「ご名答じゃ」
「いや、感想に対して正解不正解は無い筈(はず)だが」
「否(いな)、今回の話しの場合は正解不正解が存在するのじゃ。
有在蟻よろしくの。
有在蟻に遭ったら、存在すると言う言葉をよく使うのじゃぞ。先に助言しておくが」
「おまえ、僕に随分と優しくなったな。頼んでもいないのに助言をしてくれるなんて。」
「グフン!」
忍は咳払いをした。
そして続ける。
「斧ノ木余接は言ってしまえば、「カオナシ」じゃ。
表情が無い。
顔が無い。
かおなし。
実際には感情が有るのじゃが、「有る感情を平たく伸ばして伸ばしたときの衝撃でアンリミテッドな現象を起こす」のじゃ。分かったか」
その部分の話をして居る場所は、ミスタードーナツのお食事席だった。
僕は忍のご機嫌を取る為、又、忍と約束した「月一位で連れて来てやっからよ」
(アニメ版だとつきひフェニックス其の参)
という約束を我ながら珍しくも、律儀にも守っていた。

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