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010
「今から、そいつのカードを使って、其のピエロを呼び出す。」 は? 終に(ついに)、余りにも長く生き過ぎて、忍は頭が可笑しく(おかしく)なって終った(しまった)か。 其れとも、手で頭を回し過ぎたのでは無いか? 「準備は良いか、一緒にこういうのじゃ「ヤタ」」 「ヤタ?」 「そうじゃ。ヤタじゃ。タイムスリップをしたときの様にワシは1人では其のピエロを呼びだせん。御主(おぬし)の力が必要じゃ。」 「円(まる)でジブリスタジオ作製「天空の城ラピュタ」の最期の台詞の様だな」 「良いか?一勢(いっせい)の斉(せい)で言うのじゃぞ」 「おおおおっとっと言おうとしちまったよ。よくある、ふざけをするんじゃ無(え)えよ」 「ワシはふざけて居らん(おらん)。一斉の斉で」 「ヤタ(夜出)」 其の瞬間、僕が持っていたトランプから、印刷されていたピエロが出て来た。 例えるならば、ハクション大魔王とか、魔法のランプから出て来る、青いお化けの様な物だ。 「こんにちは。マドマーゼル。御用件は何でしょうか。何なりと、我を召し遊ばせ給え(たまえ)」 …。 www。 「おい、僕は男だぞ」 「おっと済みません。マドマーゼルは此方ですね。」 ピエロが僕の方を見て、「マドマーゼル」と言ったので、取り合えず、直して置いた。 済みません。正確に言って置きたいので。 「おい、御主、何をしておる、速く仕い(せい)。ピエロは忙しいから、すぐ帰ってしまうぞ」 「え?そんな事を言っても、何をすれば、良いんだ」 そう、兄として、僕は、何をすれば良いのだ? 「ワシに命令しろ!ワシは御前の強制の命令には逆らえん(さからえん)から」 「だから、何を命令すれば良いんだ!」 僕ら、暦と忍は、ピエロを挟んで、話した。 「未だ、解らんのか、ヤタガラスを呼ぶのじゃ!」 「ああ、其の話、じゃあ、忍、ヤタガラスを呼べ!」 「ああ、違う!こうじゃ「おい、忍、其のピエロに、ヤタガラスを呼んで来いと、命令しろ」じゃ」 「え?」 「解りました」 僕らの話を悟って(さとって)くれたのか、ピエロが返事をした。 011
ピエロは、何やら、僕の家を這いずり回り始めた。 僕はてっきり、其の「ヤタガラス」とやらを、ピエロが、手品で出してくれるのかと思った。 しかし、違った。 命令を承諾したピエロは(承知しましたとか言っていたが、其れはまさか)僕の家をどすどすと歩き回り始めたのだった。 そして、ピエロは、在る場所に辿り着く。 押入れ。 「おい、押入れの中に何が在るんだ?」 僕は、この三人の中で最もこの家に付いて詳しい、この僕が、この家をつい最近知った、元吸血鬼と、今さっき来たピエロに聞いた。 「ヤタガラスだ」 その押入れには、確か、僕の記憶では、烏は入って居ないが…。 「ヤタガラスと似た様な絵だ」 ? 012
ピエロは、何やら、箱を取り出した。 其れは、透明な箱だ。 トレーディングカードゲームが入っている箱だった。 ポケモン。 ポケットモンスター。 モンスターを訳すと、怪物。 若しくは、化け物。 化物語に置いて、此れまで、ポケモンが出て来なかった事は奇跡中の奇跡だ。 西尾維新様は寧ろ、態と(わざ)と避けていたのでは無いか? ポケモンは幼稚だと。 だとしたら、其れは、間違っている。 異なっている。 怪しい、真実であり、異なっている真実だ。 ピアニカの件と同じだ。 素晴らしく出来た楽器で在る所の鍵盤ハーモニカが、事も在ろう荷に、小学生が使うと言う理由だけで、蔑まれて(さげすまれて)いる事に似て居る。 其の素晴らしさが、無いが代にされている。 ないがしろ。 無いが代。 蔑ろ。 蔑まれている。 ポケモンは芸術だ。 特に、ポケモンカードは。 其の、バラエティー豊かな絵は見ていて飽きが来無い(こない)。 大人に成ってから改めて見ると其の素晴らしさが良く身に染みて来る。 花、鳥、風、月、ポケモンカードだ。 013
花はな、鳥とり、風かぜ、月つきに感動出来る様に成ったら、大人だと言う。 其の中に、ポケモンカードを入れて良いと思うのだ。 其れはともかく、其の芸術のセンスが溢れる、ポケモンカードに、ピエロは一体、何の様なのか。 其の透明の箱を空けて、ピエロは、カードをあの、特有のトレーディングカードを大量に所持している人の成れた捜し方で、探し始めた。 そして在るカードを引っ張り出してきた。 「ヤミカラス」 闇烏。 悪タイプのポケモン。 ゲームで言う所の、金、銀のカセットが発売されたときに、新しく登場した、闇タイプのポケモン。 この年齢で、其の、ゲームで言う所の2代目のカードが此処に存在している理由は、決して、僕が高校生2年生のときに、中古品の店にフラっと1人で出掛けて、物珍しい、「闇タイプ」のカードで有る所の「ヤミカラス」を一枚買った訳では、決して無い。 其処迄残念な高校生活は僕は決して送って居ない! と、僕は今、沸いてきた直江津高等学校2年生のときの思い出を、打ち消した。 「ヤミカラス」 ピエロが言った。 「御主の古代アメリカに置いての、本来の姿を現せ。気紛れ(きまぐれ)な御主の其の性格の元。ピエロの気紛れな性格の元。」 そんな呪文の様な事を言ったが先か言う前にか、カードから、「大きな烏」が出て来た 狭い押入れが、僕と忍とピエロとでっかい烏で一杯いっぱいに成った。
取り合えず…押入れから出る! 僕の家のの押入れは其れなりに大きめなのだ。 其れでも、3人と一匹では空間が耐え切れない。 かあ、かあ、そう言って、烏は、月日ちゃんの部屋へ飛んで行った。 月日ちゃんは、昨日、「ものすごくたいへんな、ともだちのじけんかいけつ」したのだそうだ。 貝木泥舟が残したお呪いの回収の中で、一際大変だった事件が有ったのだろう。 ピエロが家の中をドタドタと歩き回っても、全く気が付かなかったらしい。 僕とピエロと、忍は烏を追いかけた。 烏は器用(きよう)にドアノブを開けた。 月日ちゃんはベッドで熟睡中で有る。 不意に、でっかい烏が喋り始めた。 「死出の鳥。 しでのとり。 何時までも生きる。 何時までも。 しかし、具体的には? そう、今迄で良かろう。 我と共に、アメリカへ行きはせんか。 しで。 ワシと共に、ワシは、高貴な本物の様に、鷲の様に、優雅では無い。 しかし、私と共に居ると楽しいぞ。 御前が、知らない家族に居座るのは、此れまでじゃ。 何時までもではなく、今迄じゃ。」 詰まり、烏が、杜鵑に求愛をしていた。 不意に、月日の体から、白い鳥が現れた。 そして、此方(こちら)も喋った。 「はい。承知しました。お待ちしておりました。 私は貴方と、共に参ります」 其の瞬間、其の死での鳥の目の下辺りに黒い・が現れた。 後で忍に聞いて見た所、あれは「ピリオド」らしい。 ただの・で無く、ピリオド。 決して終わらない生命に、終わりをちゃんと与えたという、ヤタガラスに拠る印らしい。 ヤタガラス、闇烏の闇の黒さを持って、死出の鳥はその永遠に終わりを与えた。 其れが、ヤタガラスが杜鵑に出来る、唯一の事だった。 そう言って、杜鵑は、烏のプロポーズを承諾して、でっかい黒い烏と共に月日と火憐の部屋から出て行って仕舞った(しまった)。 後日談
と言うか、今回の落ち。
気が付くと、僕の手には、ジョーカーのカードが在り、其処には、ヤタガラスと、☆とジョーカーが描かれていた。 「結局なんだったんだろうな」 「ワシから説明を受け様として居るな。一体何個掛かると思っているんじゃ。 ポン・デ・リングを何輪分掛かると思って居るのじゃ?」 お前は、交渉が上手く成り過ぎだ! 「ポン・ポン・デ・リングなら幾らでも奢ってやる(おごってやる)!」 「其んな、ちゃらんぽらんなドーナッツは嫌じゃ!丸で(まるで)ピエロの様では無いか!」 「ああ、確かに。」 「日本語には、完了形の言葉が少ない。ワシは他の国の言葉も話せる、素晴らしき、バイリンガルだから、其れが良く分かる。日本人は、未来に夢見るか、過去を憂うかしかせん。 今、此の(この)瞬間を持って、世界は変化した!と言う言葉を使うのが恐ろしいのじゃ。 だから、確かな過去か、夢の未来しか見ん。 自分で自分の手で何かを変える事が恐いのじゃな。 自分が先駆的に世界を変える事が嫌いなじゃ。 だから、何時迄も生きたいとか、考えるのじゃ。 死出の鳥は、日本の怪異じゃ。 ヤタガラスは外国の怪異じゃ。 タイプは違う。 タイプが違うからこそ、引き合うのじゃ。 相性が良いと言う言葉は、其々(それぞれ)違う性格の者同士の事を指すのじゃ。 誤解仕(さ)れ勝ちじゃがな。 全く別のタイプ、「聖なる鳥、フェニックス」と、「闇の鳥、ヤタガラス」が相性が良いのも、頷ける。 最近、ツイッターとか言う、物が有るじゃろ?」 「御前は、世俗化し過ぎだ」 「アレに使われておる、鳥の名前は、「以津真天」と言う怪異じゃ。どういう意味かと言うと、『何時迄画面の前で、呟いているのか!さっさと行動せい!行動を!』と言う意味じゃ!」 「そうなのか?」 「そうなのじゃ!今、ワシが素の様な意味にたった今した(完了形)のじゃ!それから、他にも有るぞ 。ラッキーに関する逸話がの。東洋の占い、手相占いで言うと*のマークが出ていると幸運の持ち主だと言う味だそうじゃ。其れから考えてどうも儂は演繹(えんえき)するに日本の低俗な楽器製作会社「YAMAHA」のロゴマークの事じゃが」
「おい忍!日本のYAMAHAの事を低俗と称するのを辞めろ!日本のYAMAHAという名前の職場で働いている人が何人居ると思っているんだ?!」
「はん!日本のピアノなど、真似ごとに過ぎん。低俗じゃ低俗じゃ」
「ヨーロッパの本格派の雰囲気を味わって来た御前からすれば日本のピアノと言うのは本格派では無いが、其れでも日本人は一生懸命頑張っているんだ!」
「まあ良い。その事はどうでもよいのじゃ」
どうでも良く無いが…
「兎に角じゃ、其のロゴマークは三つの→が一点で重なって居る(おる)じゃろう。あれは幸運の印(しるし)なのじゃよ」
終わり。
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運物語
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歌詞
カー カー
カー カー カーカーカーカー いつも見てるよ人間の事 実は分かるよ人語って奴を 誰が何して何を思うか それくらいなら解るんだ 昔、昔、魔法使いは烏の家来だった 今じゃ人間(ひと)も偉くなった 果たして其れは本当か カーカー言ってるだけじゃ無い アホーと鳴いてるだけじゃない 其れなりの行いには 其れなりの報酬を 俺様が動物達に伝言をして 其れなりの行いには 其れ成りのラッキーを 状況から変えてって 状況を打ち破る サビ ラッキーを与えてやるぜ 俺様が与えてやるぜ 其れなりの行いには 其れなりのluckyを 俺様が動物達に伝言して 其れなりの行いには 其れ成りのラッキーを カー カー カー カー カーカーカーカー つきひクロウ
001
杜鵑(ほととぎす)は托卵(たくらん)をします。 「しでの鳥」は鳥の形をしたお化けです。 「以津真天」は鳥の形をしたお化けです。 不死鳥。 聖なる鳥。怪鳥。 フェニックス。 死なない鳥。 夕影鳥。 拠る直鳥。 あやなしどり。 くつてどり。 五露取り。 くきら。 しでのたをさ。 しでの鳥(さ)。 死出の鳥。 しでのとり。 いつまで生きる積もりだ。 しでの鳥は。 いつまで〜。 以津真天空。 以津真天空ヴァン。 以津真天空版。 以津真天CARAVAN .以津真天さえずるのよ。 何時まで。 何時迄。 今迄。 今、まで。 いままで。 今まで。 怪異、以津真天と、しでの鳥を追い払う為には、過去を見る事と、今を見る事が必要だ。 以津真天に対する怪異は、「居間真天」(いままで)だ。 「いつまで」と言う問いに対して「いままで」と応えた時点で、其の「念」は沈む。
念が残ら無い。
月日ちゃんは、其(そ)の身が、生まれる前から、怪異であった事を知った。 其れでも、彼女は、此処まで生きて来た。 002
僕は、其れでも、燃える兄だ。 阿良々木暦。 ファイヤーシスターズの兄、暦。 最近に成って、やっと自覚してきた事がある。 それは、「自分も炎」だという事だ。 阿良々木暦は、阿良々木月日と阿良々木火憐の兄であるのと同時に、 ファイアーシスターズの兄でもある。 僕が妹達から貰い火をしたというよりも、元を辿ると、兄が妹達を燃える闘魂に変えてしまった様だ。 月日ちゃんとの事件が有って以来、僕は、月日ちゃんにどの様な態度をとれば良いか今1つ(いまひとつ)解らなかった。 蟹が解った様な虫なら、僕は、解らない鬼だった。 僕がもし新しい怪異だとするなら、漢字で書くと、 「不解鬼」だ。 読み方は何だろう。 ふかいき。 何だか、不快に成りそうだ。 ヶ原さんの気持ちが今一解らないという意味でも、この「不解鬼」は僕にぴったりの漢字だろう。 003
其の嘘みたいな事が起きたのは、月日ちゃんとの事件が有った後の事だ。 黒いカラスが遣って来た。 訳が無い。 向こうから、ラッキーが遣って来るなんて事が在る筈(はず)も無いのだ。 僕は、何気なく、忍野忍に訊いて見た。 「もしかして、もしかして、まあ、月日ちゃんは月日ちゃんなんだから、別に「しでの鳥」を追い払う必要なんて何処にも無いのだろうけれど、それでも、若しかして、方法があるとしたら、「しでの鳥」を追い払う事は出来るのか。」 「…」 「おい!」 僕は、頭の後ろで組んでいた手を上に上げて、其の後床に叩きつけて、起き上がり、 風呂上りで、白い煙(正しくは水蒸気)がもくもくする自分の体越しに、自分の部屋の電灯出来ている影に首を捻って半分怒鳴った。 「ばあろお。そんな物あるか。 そんな都合の良い方法があって堪る(たまる)か!」 忍野忍はその姿を現して、そう悪態を突いて来た。 忍野忍は元怪異だから、「悪態を憑く」の方が、適切だ。 彼女が発する言葉一つ一つが怪異の一部なのだから。 004
「なあ、トランプでもせんか」 「はあ?トランプ?」 「そうじゃ、トランプじゃ。御前さんが千石と遊んだじゃろう。アレをワシも遣りたいのじゃ。久し振りにな」 忍野忍は、600年程も生きている吸血鬼。 「そういえば、トランプって、ヨーロッパ、いや、ギリシャで大流行して、国が法律で禁じる程だったって話をテレビで聞いた事があるけど、忍は其の時生きていたのか?」 僕は、忍野から、月日に憑いて居る怪異を追い払う方法を訊けずに、内心落ち込んでいたが、其れでも話を切り替えした。 「ワシを何歳じゃと思ってるのじゃ、そんなに老人じゃないわい。古代ローマと言ったら、600念どころ昔では無いわたく、どいつもこいつも、ワシを高貴高齢者扱いしたがって」 「ああ、そうなのか、ごめん、ごめん。」 「何をするかのぉ」 「ううんそうだな。」 「神経衰弱以外はせん!」 「初めからその気なら、訊くな!」 僕は、忍に突っ込みを入れた。 「此れから、御前様に、特別な話を聞かせてやろう。神経を衰弱させながら、ワシの有益な話をどれだけ聞き漏らさずに聞けるかのぉ」 005
意外な展開だった。 彼女は、何か、しでの鳥の事で知っている様だった。 もしかすると、忍野メメからの話の中に、しでの鳥を何とかする話が含まれていたのかも知れない。 実を言うと、僕は、少々、月日ちゃんの事、いや、月日ちゃんに憑いて居る(いる)化け物、托卵する鳥、杜鵑の怪異、「しでの鳥」の事を忌んでいた。 どうして、そう思うのかと言うと、幾ら(いくら)、害の無い、寧ろ(むしろ)不死身と言う素晴らしい能力の怪異だとは言え、怪異は怪異なのだ。 お化けはお化けなのだ。 化け物は化け物なのだ。 女の子にとって、化け物が身に付いているという事を知った以上、其れは苦痛以外の何でも無いだろう。 特に、月火ちゃんは、さばさばした性格だ。 兄である僕を裁こう(さばこう)とする程の「サバサバ」加減だ。 彼女はそんなに長ったらしく生きて居(い)様(よう)等と思って居(い)無(な)い筈(はず)だ。 彼女にとって、「不死の鳥」はただの化け物だ。 だから、僕は、化け物を彼女の体から引き剥がしたいと考えていた。 化け物だけを。 間違って、月火ちゃんと化け物がくっ付いたまま、剥がして(はがして)月火ちゃんの生き血を浴びる様な事無く、彼女の背負っている化け物を取ってあげたいと思った。 006
月火ちゃんは初めから怪異なのかもしれない。
しかし、此れ迄本人は其の気無しに此処生きて来た。 生きて来て仕舞ったのだ。 本性(ほんしょう)がどうのこうの何て、此処迄来て仕舞ったら、 致し方無いのだ。 以下回想。 火憐ちゃんと月火ちゃんの出来事だ。 其れは、僕が中学生の時の話だったから、彼女等(ら)は小学生だったろう。 僕が有る日学校から帰って来たら、2人は喧嘩していた。 火憐ちゃんが月火ちゃんの赤色蛍光色マーカーを奪おうとしていた。 火憐ちゃんから話を訊くに「此れはあたし物だ!」と言い張る。 次いで月火ちゃんから話を尋ねるに「此れはあたし物だ!」とヒステリック気味…否、ヒステリックを実際に起こしながら、 言い張る。 そしてもう一度火憐ちゃんに尋ねる「確かに、ついさっき迄は妹である、月火ちゃんが所持していたが、 元を辿れば、その赤マーカーはあたしの物なのだ。あたしが月日ちゃんに贈呈した物なのだ。」 と言う。 月日のヒステリックを恐れたか、語尾のエクステンションマークは外れている火憐ちゃん。 再び月日ちゃんの話を伺う。 「違うもん!私の物だもん!」 元から誰の物かどうかは口にしない月火ちゃん…。 僕は、恐らく、元々は火憐ちゃんの物だと思う。 きっと、最近ちょっとばかし勉強が面白く成って来たがから、よっしこれから勉強に励むキャラで売って行くぞ! と思ったのだろう火憐。 月日としては、以前から勉強を其れ成りに遣って居たから、今さらに成って 赤マーカーを他人に寄越す(よこす)何て、飛んでも無いのだろう。 回想終り。 其の事件の際、僕はこう思った。 ―――どっちでも良くね? 寧ろ、月日ちゃんの言い分が正しくないか? だって、現実問題として、此れ迄、月火ちゃんはちゃんと勉強に励んでいた訳だし 実際に其の赤マーカーを使用して居たのは彼女なのだ。 だから、其れは元元が確かに他人の物でも、 其れは、彼女、阿良々木月火の 月火ちゃんだけに、赤マーカーと月日を共にした時間が長い月火ちゃんの方が正しい… と言う事にした方が事態が旨く収まる。 そして、彼女の方が正しい。 もはや、赤マーカー使用者としては月火ちゃんの方が本物なのだ。 火憐ちゃんは元々の所持者で在ったが、赤マーカー使用者としては偽物なのだ。 月日が火憐ちゃんの社会的位置を下げて仕舞った。 嘗て(かつて)赤マーカー所持者として本物だった彼女は、月日に拠って、赤マーカー所持者の偽者に成り下がった。 丸で、西尾維新に変わって、羽旨まぼるが台頭したかの様に。 007
忍野忍は話し始めた 「カラス、烏。ヤタガラス。ヤタガラスは、アメリカの先住民が信じておる、若しくは居(お)った怪異じゃ。 ヤタガラスは、善い事も、良い事も、悪い事も引き起こす。 何も変わら無い状況から、何かを引き起こす怪異として存在した。 別名、スターだ。 トリックスターだ。 ヨーロッパでは、トリックスターと言う名前で親しまれておる。 精神学に置いても使用される言葉じゃ。 アメリカの先住民は、トリックスターと同じ意味で、ヤタガラスを見ていた。」 其の話の最中も、僕と、忍はトランプをしている。 「烏(からす)に乗った人の木彫りの像何かが発見されて居る(おる) そして、この、今執り行っている、トランプ。トランプには、どの様な意味が在るか解るか?」 僕は、(頭の脳味噌を手で掻き回さずに)思い出そうとした。 「確か、「切り札」だったかな」 「そうじゃ。御前さんも受験勉強でちっとは頭が良くなったんじゃ無いのか? ちっとは、ちょびっとは、ほんのチョビットは、ちびちびっとは、」 「もう良いから、先を話してくれい!」 「ま、まあ、そう焦らずに」 こいつ、忍野メメの真似をしようとしている。が、其(そ)んなに、似て居(い)無(な)い。 其の時、僕は、「ジョーカー」を引いた。 「それじゃ」 「ああ、あ引いちまったよ。でも、このゲームは、神経衰弱だから、なあに何等(なんら)落ち込む必要は無い。 もう一枚、ジョーカーを引けば、良いだけの話だ。」 「いや、わしがさっき、ジョーカーを一枚抜いて置いた」 「は?じゃあ、このジョーカーはどう使うんだ?そんなローカルルールは知ら無え(しらねえ)ぞ。御前何処で神経衰弱のルールを覚えたんだ?」 「戯け者!(たわけもの)ワシは、正しいルールを知っていて其の上で抜いたのじゃ!神経衰弱は、ただ、話の引き合いにしているだけじゃ」 「なんだよ。御前、僕と千石がトランプを楽しそうにしていたのを裏疚し(うらやまし)がって居た(いた)んじゃ無かったのか?」 「其れも在る」 有るのか。 「其のジョーカーが何を意味しておるが解るか?」 「え?だから、何か、裏技みたいな事をしてくれるカードだろ?」 「其の通りじゃ、ワシが今から教える事は、裏技じゃ。ジョーカーは、別名、トリックスターと呼ばれておる」 008は永遠の数字。蜂、詰まり、囲い火蜂なので、刺される事を避ける為に、抜かします。
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Illustration/HamuneMaboru
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Illustration/MaboruHamune
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