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岡本喜八監督作品の紹介(その2)です。
まずは私の恥から晒します。この映画を知るきっかけは、21年前の中学3年の夏休み、
深夜の時間帯でテレビ放映していたのを録画したことから始まります。時期はこの映画の
内容からしてもおそらく終戦記念日前後だったと思います。当時、新聞のテレビ欄でこの
「肉弾」の文字を見つけたとき、私はそうとうエロいポルノ映画を想像していました。
で、翌日親が出勤した後で期待に胸を膨らませながら再生をしたのですが、そしたら・・・
白黒の、ややコントラストがきつめな本映画がテレビ画面に映し出されたのです。
その瞬間は、おもいっきりがっくり!という感じでしたが、映画の展開やナレーションを
含めた雰囲気がそれまでに見たこともないものだったので、つい見とれて最後まで見て
しまいました。
当時のこの映画を見て感じたのは、まず冒頭の黒板で平均寿命の差を計算する
シーン。差が21.6歳となるんだけど、ナレーション(仲代達也)では21歳6ヶ月と
言い切ります。「違うじゃん」って中学生は細かいところにこだわります。今なら喜八映画は
細かいところはこだわらないのがいいとこだって割り切れるのですが。あとは、ストーリーとか
心情の描写というより、主演の寺田農が全裸で作業をしたり、ドラム缶に入ったまま太平洋
を漂流したり、田中邦衛が兵隊の速成教育だというとトコロテンの映像が出てきたり、天の
土竜の尊(寺田農が土管に入って砂中に埋っている)が見た、浜辺で女学生達が若い兵隊達に
襲われるシーンを、因幡の白兎がワニに襲われるシーンとオーバーラップさせたり、とにかく
表現と映像が独特で強烈に印象に残ったのを覚えています。まあ、大谷直子さんが当初の期待に
応えて(?)くれましたが、大変綺麗なヌードでした。
キネマ旬報で2位をとったほどの有名映画ですので、長たらしくあらすじを書くのはやめます。
この映画が岡本監督の最高傑作だと思いますが、独立愚連隊シリーズや時代劇モノではあたかも
好戦的と印象付けるようなシーンを数多く演出し、「日本のいちばん長い日」では終戦という
”事件”を生々しく描写してきた喜八監督が、この映画では全く異なった視点でその史実に直面
する個人をユーモラスかつ悲しく表現しています。「独立愚連隊」「日本のいちばん長い日」
「肉弾」の3作を見ると戦争で見え隠れする人間模様がなんとなくわかるような気がします。
余談ですが、戦争で本当に隠れているものについては「ゆきゆきて神軍」とかで、キョーレツ
に思い知らされます。「肉弾」では「ガダルカナルではネズミを喰っておる」と、田中邦衛が
寺田農に怒鳴りつけますが、本当はねずみだけじゃなくて・・・というお話。
ATGの映画はどの作品も”よくも1千万円でこんな映画が作れるなぁ”と感心してしまい
ますが、肉弾でも笠智衆、仲代達矢(ナレーション)、伊藤雄之助など豪華なメンバーが至る所に
出演していて、岡本監督をサポートする俳優さんたちの協力的姿勢がうかがえます。
意図していたわけではないですが、喜八映画のなかでATGのものを2つ紹介しましたので、
この次は「吶喊」を・・・
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古い記事ですがコメントします。
この映画、おっしゃるとおりい喜八監督渾身の映画だと思います。
でも、画面ではそんなに力が入った雰囲気ではなく、相変わらず変化球。青春映画であり、声高ではない反戦映画になっていました。
こういう映画はそれまで観たことがなかったです。
2008/12/28(日) 午後 8:02
コメント有難うございました。恋愛に関しておそらく不器用であったであろう喜八監督の純粋さも、この映画を印象付ける要因であったことと思います。大谷直子さんのためだったら、「ボクハ、キミノタメニシネル」と言えるのか、思索しています。
2009/1/2(金) 午前 0:54 [ 泰司楼 ]