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音楽に対する情熱も時と共に風化していきます。昔好きでいつも聞いていた音楽が
いつのまにか自分から離れていたことに気がつく瞬間があります。
僕にとってそんなグループがザ・ムーヴ。このバンドに興味をもつきっかけがあった
としたら、ELOのジェフ・リンのファンであるか、60'Sブリティッシュポップスを
こよなく愛しているかのどちらかだと思います。私の愛するジェスロ・タルと同様、
日本での評価が低いバンドだと思います。ザ・ムーヴはジェフ・リンの加入前と加入後で
印象が違います。
初期のムーヴは、ギターの達人ロイ・ウッドを中心に、ボーカル:カール・ウェイン、
ベース:トレヴァー・バートン、ドラム:ベブ・ベバンで構成されます。結成時には
エース・ケフォードというキーボード奏者が在籍しています。このときのムーヴはポップ
中心。Night of FearとかI can hear the glass glowが知られています。前者はクラシック
の曲をフィーチャーしていますが、初期のロイウッドの曲はブリティッシュ・ポップらしい
軽い曲が多い。ノーソウルです。まあ、私的にはソウルのなさが好きなのですが・・・。
演奏スタイルも独特。ロイ・ウッドは顔をメイクしてギターを掻き鳴らしながら甲高い声で
歌い(アルフィーの高見沢さんのよう)、カール・ウェインは、白系の体に貼り付いている様な
シャツとパンツで男のセクシーさを強調したような感じ、トレヴァー・バートンは荒くれ者
のよう、ベブ・ベバンは荒くれ者の手下のような太い腕でハードにビートを刻みます。
まあ、こう書けば分かるようにルックスはちぐはぐな感じで、いかにもB級といった印象
なのですが、ロイ・ウッドのギターテクニックとアレンジ力はS級です。Wild tigar woman
は心に刻まれるような曲ではないですが、ロイのギターテクニックを存分に聞ける曲です。
ブリティッシュビートは、根底にイギリスの風土があるのでクラシック等をアレンジすること
もよくあるようだし、演奏者自体が管弦楽器を演奏できることもよくある。現在はともかく
当時の邦楽と洋楽の根本的な違いはここにあると思います。音楽の歴史とその裾野が広く深い。
つい最近まで、和製ポップスと洋楽にはこういう面で決定的な隔たりがあったように思います。
話が飛びましたが、ロイ・ウッドはオーボエを演奏します。イアン・アンダーソンがフルート
を吹き、ブライアン・ジョーンズがシタールを演奏したように、当時のブリティッシュビートは
様々な楽器を取り入れながら新しい音楽を模索していたのです。
で、ザ・ムーヴの中でのマイフェイバリットは、3作目の「ルッキン・オン」。トレヴァー
が抜けカールが抜けていく中で、ジェフ・リンが加入し、ロイとジェフが自分たちの音楽を
模索していく中で作られたアルバムだと思います。基本的にロイがポップス傾向なのに対し
ジェフはプログレッシブ傾向。曲質が全く異なるためにアルバムとしてのまとまりは無し。
非常に雑多な感じのするアルバムですが、個々の曲は聞き応えのあるいい曲が多い。ギターも
エフェクトされてるし基本的にはハードロック的なのですが、ロイはサイケデリックなアレンジ
を、ジェフはプログレッシブなアレンジを試みているようです。アルバムジャケットもセンス
抜群!って老人のはげ頭しか写っていませんが・・・。
で、この中で一番いいのが最後の「Feel too good」。夜に酒飲んで酩酊状態といったような
怠惰な感じの曲。非常にドライで無機質な印象の曲調の中に、ベブベバンのいかにも腕っ節
の太そうなドラムビートがずんずん響いてくる。実際に僕も酩酊状態でよく聞いていた曲です。
まさにFeel Too Good!。
その後のザ・ムーヴはジェフ・リン色が強くなり、4作目「Message from the Country」
はあまり聞き応えのないアルバムです。ELOが好きな人はいいのかな?私はELOを聞いた
ことがないので・・・。
大したこと書いていませんが、本章は私、結構書きたかった内容です。今日は気分的に
書きたいと思ったので、思い切って書きました。少ない訪問者の皆さんにだけでも、聞いて
頂きたい・・・。
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