ファイブビートのアルチザン

日記を書いたことのない男のブログなんで・・・

一寸と言いつつ1時間(映画)

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 南田洋子さんがお亡くなりになりました。

 認知症にかかってからの、夫長門裕之さんとの夫婦愛の映像は、
ご本人にとっていかがなものだったのでしょうか。今朝、テレ朝の
ニュース番組で江川紹子さんも言っておられましたが、何となく
長門さんにはプラスイメージ、南田さんにはマイナスイメージに
思えます。だって、とても可愛らしくて頭のいい女優さんだった
のですから。

 南田洋子さんの代表作といえば、私は「幕末太陽傳」と答えます。
殿山泰司扮する商人の親父をはじめ、数々の男を手玉に取り、
女郎No.1の地位を「小染(左幸子)」と争う、キュートでずる賢い
女郎「小春」の印象は、結婚後の彼女の印象とは大きくかけ離れて
いながら、違和感なく返って小気味よくさえも感じる演技でした。

 私が認知症になったら、私を座敷牢に隠してください。そして
誰も会いに来ないで下さい。私は思い出と妄想だけで死ぬまでの
時間を過ごしますから・・・。

 2ヶ月以上サボりました。呆れないでくださいね。

 この間、ビデオテープの在庫を整理していまして、見つけてまた観ちゃいました。
映画「砂の器」(野村芳太郎監督)です。
 40歳を迎え、年々涙脆くなっていくのは分かるんですけど、最後の30分、
涙が止まらない。まあ、泣かそうというのは製作者の目論見でしょうから悔しい
んだけど、泣ける。

 映画「砂の器」については本ブログの第2章で書いていますが、私が選ぶ名作映画
10傑のうちの1作として間違いありません。この映画のどこに惚れたか?それは
加藤嘉さんの演技です。

 主人公の丹波哲郎や加藤剛、島田陽子をはじめ、登場人物はそれほどこの映画を
引き立てる魅力に満ちているわけではありません。この映画に出演している役者を見つめる
なら、加藤嘉、春日和秀、緒方拳の3人を見ていればよろしい。春日和秀君は子役
ですが、表情の険しさはとても子役とは思えない。こんなに苦しさに耐えている表情を
表現することのできる子役は彼以外には小林綾子さんしか思い浮かびません。また
主役の加藤剛によく似てるもんだから、完全に感情移入が出来ちゃいます。
緒方拳さんも彼らしい人情味溢れる人柄を見事に演じていらっしゃいます。

 で、本題の加藤嘉さん。彼の演技は演技でない錯覚を覚えることに難くない。
彼は本浦千代吉なのです。いえ、決して本当の加藤嘉さんがそうである訳ではなくて、
本来の加藤さんはダンディな方だと思いますが、映画「ふるさと」で見せたぼけ老人役、
「タンポポ」の老人役、「神々の深き欲望」で見せたずる賢い名士の役など、
どれをとっても彼自身がそこにいるかのよう。だから、最近ドラマ化された砂の器は
見る事を拒絶してしまいました。加藤さんの印象が強すぎる。彼は映画撮影の中で
本当に故郷を捨てた、らい病患者になったのだと思います。完全に役になりきるのは
彼のポリシーであることは見て明らかです。だからリメイクされたドラマでもこの役を
オーバーラップすることが出来なかった。加藤嘉を超える役者を見つけることが
出来なかったのです。松本清張の原作から逸脱せざるを得なかったと推測されます。
あるいはらい病をテーマに出来ないほどへっぴり腰なテレビ局なのかのどちらかですが。

 あれだけの小さくて華奢な俳優がものすごい存在感。砂の器では完全に主役を食って
しまいました。共演者がやりにくかったのも事実だと思います。でも、映画「砂の器」
が名作として語り継がれているのも、最後の30分で号泣する人が多いからであるし、
それも嘉さんあってのモノダネだと思います。個人的な主観が入りすぎちゃったかも
しれませんが・・・。

 安易な発想かどうかは分かりませんが、役者の優劣がはっきりしているのだから、
話題性で視聴率を稼ぐために過去の名作をリメイクするような、打算的な行為だけは
願い下げにして欲しいと思うわけです。「椿三十郎」でもどこかの映画会社がやらかし
ちゃいましたけどね。呆れている人多いと思いますよ。

 今月の初執筆・・・ずるすると執筆間隔は伸びる一方です。

 最近、映画を最後まで見られません。半分も見ないうちに寝てしまいます。
ヒッチコックを久しぶりに見ても前半で寝てしまっている・・・、ヒッチコック映画を
見ている意味がありません。まあ、それだけ見たいという情熱も冷めているということ
でもあるのですが・・・。

 昨日、久しぶりに最後まで見た映画が「股旅」。市川崑監督のATG映画。ATG配給の
映画らしい内容です。昔、衛星放送でやっていたのを偶然途中から見たような記憶があって、
全部見たいと思っていた映画の一つです。主演は萩原健一、尾藤イサオ、小倉一郎の3人。
水呑百姓の家を捨て、渡世人の道を選んだ若者3人が、ヤクザの助っ人を請負いながら旅を
続けるという、江戸時代のアウトロー貧民の生活を描いた作品です。その映像は、東宝の
金田一耕介シリーズで描かれているような、いわゆる市川映画らしいセピア系色彩が基調の
自然美を背景にした叙情的な雰囲気がベースになっています。主役の3人が三度笠をかぶり
風吹く峠道を歩いている姿は、郷を捨てた若者の寂しさを感じさせますが、バックの風景が
美しすぎてちょっとミスマッチな印象です。
 先述のように、郷里を捨てて流浪の旅を続ける3人は、訪れた村々でヤクザの屋敷に立寄り、
仁義を交わしながら寝床と食事の恩義の礼として、抗争の助っ人を請負う。ここで描かれて
いるヤクザの決闘は、豪快な太刀廻りを演じている時代劇やヤクザ映画等とは異なり、より
リアルで護身的な戦いです。1対1ではどちらかが死ぬまで決着がつかないから、死ぬ確率が
高いので、戦いの基本は助太刀。また、所詮陳腐な刀なので、一太刀では致命傷にはならず
腕を斬られたり足を斬られたりして、痛みで絶叫しながらのた打ち回っている。こんな刀で
相手を仕留めるには首を切るか突くしかない。そんな太刀廻りも剣道の型もないような白兵戦
を繰り返しながら、どうやら生き延びている3人は、戦いが終わるとまた旅に出る「股旅」。
こんな無秩序な時代でも絶対的な価値を持っているのは金。小倉一郎は渡世人の義理立ての
ために、父親を斬り殺してはした金を受け取る。また、百姓の嫁を連れ出し、別の村でこの
女を売る。無秩序な時代に生きた無宿人の最後は惨めなものである。尾藤イサオは足に刺さ
った何かが原因で、破傷風になって苦しみながら死ぬ。小倉一郎は萩原健一との口論が原因
で斬り合いになって、追いかけているうちに足がもつれ坂を転がり落ち、岩に頭を打って死ぬ。
萩原健一は斬り合いの際に腕を怪我し、痛手を負いながらまたトボトボと歩き続けた。

 この映画がATG映画らしいのは、正義とか愛とか主義主張とかを感じずに、個の
生きることへのバイタリティと無秩序の混沌さを、当時の風俗、民俗とともに表現している
点です。ATG映画が素晴らしいのは、商業映画にありがちなヒーロー意識や正義は勝つと
いう王道的パターンが排除されている点。多数派からドロップアウトされた人達の視点や
価値観をも表現してくれます。一つの事象を様々な視点で捉えることが、その人の懐を深く
してくれると思います。こういった映画を撮ることが出来るような配給組織が今もあればなぁ
と思います。

 長いこと更新しませんでした。もう訪問者してくれる方も無いかな。

 最近、ハマっているのが「水戸黄門 第1部」です。
DVDで一気に発売されたようで、レンタルショップにずらりと並んでいました。
もう過去に見た記憶さえも忘れるぐらい古い作品で、今の水戸黄門とは全く異なる
ストーリー展開がかえって新しく感じます。東野黄門に助さんは杉良、格さんは横内正、
あとは風車の弥七(中谷一郎)の4人がオリジナルメンバーで、八兵衛も女形もいません。
最初の旅は、水戸から高松藩の御家騒動を鎮めるのが目的ですが、幕府の老中柳沢吉保の
放った刺客古川兵庫(露口茂)に常に追われながら、諸藩の騒動を鎮めつつ高松を目指す
という非常にスリリングな展開に終始します。

 とにかく初期の水戸黄門は斬るわ斬るわ、黄門様も斬られそうになりますが、大物ゲスト
も容赦なく斬られます。加藤剛に至っては切腹します。後にも先にも加藤剛が死ぬのは、
このドラマ以外見たことがありません(逮捕されるのはありましたが)。他にも北大路欣也や
佐藤慶も斬られます。まあ、北大路さんは何度も「撃たれ」てはいますが・・・。

 この第1部で最も強烈なキャラクターは刺客「古川兵庫」を演じている露口茂です。
柳沢吉保の命を受けて、執拗に黄門様の命を狙う手強い悪役です。太陽にほえろで演じている
真面目で厳しいキャラクター「山さん」とは似て非なる役どころですが、「山さん」のような
ボサボサ頭ではなく髷を結った露口さんは、目がつり上がって眼光も鋭く、いかにも手強い
印象で好演しています。さいとうたかをファンであれば「雲盗り暫平」の柳生三郎がイメージ
されると思います。黄門様の命を取るためには手段を選ばず、邪魔者は容赦なく斬り捨てます。
最後は情報屋にしていた女「お蝶」(弓恵子)に寝返られ、あと一歩のところで斬られて
しまいます。

 露口茂さんは映画「赤い殺意」で、春川ますみをレイプする役もやっていますが、
端整な二枚目で、ファンも多いようです。でも、本作を見てもっと悪役をやって欲しかった
と思います。もっとも本作以外にも悪役を演じておられるのかもしれませんが。
ご健在な姿をテレビや映画で見れればと思っています。

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 ここ数週間だいぶ疲れました。会社の忙しさもピークな上、オヤジと大喧嘩。
自分の存在価値を見失いつつ、旅に出たいなぁ、トンズラしてやろうか・・・等と。
浮き沈みは人生の通過点なのだよ、でもリセットボタンあったらいいなぁ。

 気を取り直して今日からブログ執筆も復活します。
岡本喜八監督の映画の、独特のテンポやアクションの面白さなどは以前に書いた
とおりですが、この監督の映画のもう1つの見どころは主人公の演技ではなく、
脇役を演じる俳優さんたちです。どの作品にも常連のバイプレイヤー達が、個性
たっぷりの演技を披露してくれています。代表的な俳優を以下に挙げます。

砂塚秀夫・・・愛嬌のある明るいキャラクターで、江戸っ子のような快活な役柄。
      神田山陽のような感じ。「ああ爆弾」の伊藤雄之助の子分役、「殺人
      狂時代」の大友ビル(仲代達矢の子分)役等。とにかくテンポのよさが
      真骨頂(だと思います)。

中丸忠雄・・・東宝の役者。端正な美形顔でクールな視線。視線がクールすぎて
      悪役のほうが多かった印象。喜八映画でもクールな役は彼の仕事。
      「独立愚連隊」の上官失脚を企てた副官、「独立愚連隊西へ」のスパイ役等。
      隠れファンも多いようで、「中丸忠雄全仕事」なるHPも存在します。
      故人です。

小川安三・・・東宝。喜八映画で唯一の太っちょ役。といってもそんなにデブではないが、
      監督を含め他がほとんど痩せているため、太さが際立っている。細い目で
      優しそうに笑うが殺人鬼だったりする(殺人狂時代)。ちょい役が多いが
      どの作品でも、「あっ、小川安三だ!」と思わせる存在感がある。

沢村いき雄・・・東宝。小柄な老人だがギョロッとした目で一癖も二癖も感じさせる。
       謎の中国人の役からタクシー運転手まで器用にこなす名俳優。小さい体
       から出される高い声も記憶に残る。

江原達怡・・・ニヒルな若者を演じたらこの人。スリムな体に小さい端整な顔。いい男
      なんだけど不健康な感じ。まあ、チョイ役というより準主役という感じ
      だから、バイプレイヤー的な趣きは薄いですが。椿三十郎にも出てたっけ。

堺左千夫・・・東宝。七人の侍ではほんのチョイ役ですが、喜八映画では存在感たっぷり。
      「独立愚連隊西へ」ではニセ連隊長の神谷一等兵役。人間臭さはこの人が
      一番かな。四角い顔に人情を感じます。'60年代を中心にすごい量の東宝映画
      に出演しています。

山本 廉・・・東宝。喜八映画では彼はソルジャー。髭の濃さそうな顔はまさに戦う人を
      イメージさせます。迫力のある形相で語りかけます。

大木正司・・・睨みつける眼力が印象深い。どちらかというと乱暴者の役回り。この人と
      樋浦勉が並んで歩いていたら間違いなく怖い。悪役ではあるが「吶喊」の
      瀬尾参謀の役が記憶に残る。

今福将雄・・・以外と俳優デビューが遅かったようで、「日本のいちばん長い日」が、
      デビュー作なんですね。髭がチャームポイント(?)の、トボけた味わいが
      魅力の俳優さんで、「近頃なぜかチャールストン」の外務大臣が印象的。
      デビュー作(上述)以来喜八作品のほとんどの作品に出演。今でも立派な
      老人役。

以上の俳優さんは、私的に印象に残る喜八作品では欠かせない名バイプレイヤーです。      

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