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正直者が沈み、悪者が浮上する 原発推進のPR映画
東京電力が半世紀ほど前に原発推進のPR映画を作っていた。( http://live01.mediaimage.jp/0687/reimei.wmv) 見た人も多い。その映画を今見ると、よくもこれだけ虚妄を並べて、白々しく住民をだましたものだと感心する。見ていて怒りよりも、原発事故避難民の方々には申し訳ないと思いながら、笑いが出てきて困った。 それは、バブル期のインチキ投資顧問会社が作成した沢山のPRビデオにナレーションがそっくりだったからだった。当時、多くの零細投資家がインチキ投資会社のビデオを見て、なけなしのへそくりや、退職金をはたいて、その詐欺師らの口車に乗っかって、全財産を失った。 どうしてこう簡単に騙されてしまうのか。オレオレ詐欺にしても信じきれないくらいの数の高齢者が、次から次へと被害にかかる。これは、日本だけの特異な現象だ。 電力会社が悪い、投資会社が悪い、オレオレ詐欺師が悪い、では済まされない。これは言い難いが、だまされる方にも多分の責任がある。いままで、われわれは、ひとを信じるように教育されてきた。 たとえば、ひとを疑うのは相手に失礼だとか、お上のやることに反対すると周りから冷たい眼で見られたり、いつも、疑問や異論を持ち出すことに抵抗を感じてきた。何も疑問を発せずに、ただ素直に従順に従うことが、美徳のように思ってきた。 学校では、従順でない子供は徹底的に内申書で問題児として叩かれ、社会ではのけ者にされた。だから、内申書にかかれないように、会社や組織では窓際族にならないように、両親は、大切な子供を従順で素直に育て上げた。 そして、五十年、百年たって、その子供がいま、原発の放射線に苦しみ、インチキ投資顧問会社に、振り込め詐欺に騙されたのである。 見方をかえれば、この人たちがその社会で一番素直で、従順で、みんなから望まれた善良な人たちだった。 ここで、矛盾を感じるのは、諸先進国に比べ詐欺行為にあまい日本の社会では正直者がふるい落とされ、悪者が生き延びるようなってしまっていることだ。 今回の、東北大震災津波原発災害で、被害を受けた農家や漁民はいっせいに行政の責任と支援や補償を要求している。 東電のPR映画に見られるように、いままで、住民を無知の状態において、批判力を削いで、国の政策を進めようとした愚民政策の被害者だった被災民には、その要求は当然かもしれない。 だが、これからは住民個人個人の危機管理は自分自身が考えて、お役所まかせ、他人(ひと)まかせにするのは、そろそろ終わりにしなくてはいけない。まず、いぶかってみて、自身で納得してから同意しよう。 何度も津波に襲われた地方は、もうお役所任せ、ひとまかせにしないで地域住民が政策に参加して最善の策を議論しながら津波に強い街づくりをしたい。 それには、いまの子供たちを、いままでのような、素直で、為政者の思うようになる住民に育てることではなく、この子供たちを、西洋の子供たちのようにしっかりした政治教育を学校で、家庭ですることだ。三十年後は、住民全員で知恵を絞って、同じ津波が来ても、もっと犠牲が減る最善策が生まれているだろう。住民の知恵の結集が、国、地方政府のどんな策より優れていることは、世界の歴史がしめしている。 今日(2010/5/23)の毎日新聞にこんな記事があった。「純真な反原発派の方々に、心を鬼にして申し上げたい。思いや心情は皆ある。それを生で出しても、政治にならない。政治を逃げたら、政策決定はない。核抑止論は、核廃絶と同じ核への恐怖心をよりどころに組み立てられている。」 このひとも、愚民教育の中で育った被害者のひとりだろうか。 (2010/5/23 JCNCC) |
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