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(承前)
日本には日本独自の民主主義があったことについては、私が言う
より占領者側の大物に証言してもらった方が説得力があるだろう。
西鋭夫『国破れてマッカーサー』より、ヘンリー・L・スティムソン米
陸軍長官がポツダム宣言をトルーマン大統領に提案した際の言を
以下に引く。
「日本は、我々と全く異なった精神構造を持った狂信者によって
構成された社会ではありません。日本人は、この百年の間、
非常に頭の切れる民族であることを十分証明しました。前例の
ないほど短期間に、西洋文明の複雑な技術を導入しただけでは
なく、西洋の政治・社会思想までもうまく採用してきました。
僅かに六、七十年間で日本が達成した進歩は、歴史の中で
もっとも驚くべき国造りの偉業であります。」
ただし、だからそんな相手に敬意を払って統治した、
なんて麗しいお話ではなくて。
(念のためそう断っとかないと、そんな美談かと勘違いするおめでた
いお人好しが、この平和主義の国には多すぎます。)
国際社会のリアリズムは、
そんな恐るべき優秀な相手だからこそ、
再び自分たちにとっての脅威(手強い競争相手)にならぬよう、
相手の驚異的ポテンシャリティの肝である
[ 明治大帝の驚くべき国造りの偉業 ]
を徹底破壊する教育大改造を彼らは強行した
であります。
そういうシビアな占領者に便利に使われ、日本人でありながら
日本の子弟に、
「8月15日革命(大日本帝国が負けて日本が「平和と民主主義の国」
に生まれ変わったこと)以前の旧日本は、
我々平和憲法・民主憲法を戴く新生日本人(天皇制国家のおぞまし
さを骨身にしみて学んだ戦争体験・歴史の教訓に立脚する、目覚め
たわれら。もう天皇制国家には騙されない!) とは
全く異なった精神構造を持った狂信者(忠君愛国の天皇制の奴隷。
騙されていた人々)
によって構成されたおぞましき全体主義社会でありました」
と、おどろおどろしい歴史認識を刷り込んできたのが、戦後日本の
教育界・教育学界を牛耳ってきた左翼知識人だった。
おぞましいのは、こういう変節漢の方ではないだろうか。彼らの大半
は、昨日まで陛下の忠良な臣民を育てる仕事に邁進しながら、
祖国が負けた途端に手のひら返しに宗旨替えして「平和と民主の
使徒」となった。
百歩譲って、占領下ではそうしなければ生きて来られなかったから、
というのはまだ許せる。私が一番許せないのは、七十年代八十年代
になっても占領下の処世術を見直そうとしないで鵜呑みにしてきた
同世代の教育者達だ。
この、敢為の精神が欠如した教育界の大勢に流されまい、抗おうと
する時、先祖から受け継いだ武家の気性(武家のスピリット、武士道)
は、決して過去の遺物ではなく、今を生き未来を切り拓く現役文化
であることを、私は身を以て感ずるのだ。
明治以前の武士道もまた、 黎明期 → 鎌倉 → 南北朝 →
戦国 → 江戸 → 幕末 と生成変化してきた。
アカデミズムの世界ではともかく、我々一般国民の世界では、その
いずれを本来の武士道と定めるよりも、このように生成変化しつつ
民族の歴史と共に歩む、世界に誇れる伝統文化と考えては如何だ
ろう。過去千年間日本人のバックボーンとなり、民族の運命を切り
拓いてきた精神文化遺産なのだと。
西郷隆盛が常に曰く、
吾れ先輩においては藤田東湖に服し、同輩においては橋本景岳
(引用者註:西郷さんより七歳下、当時二十一歳。この現代なら
さしずめ大学三、四年生の天才青年が立てた救国策が近代
日本の基になった)
を推す、この両人はその才器といい学問といいまた識見といい、
吾輩のまねようとしてもまねられるものではない
と。その橋本景岳が、国是を定めるために会議を開くから帰国せよ
と言ってきた上司に宛てた手紙には、
「国是と申す者は、国家祖宗の時既に成り居り候者にて、後代子孫
に在りては、その弊を救ひ候へば宜しき義に御座候。子孫の代に
在りて、別段国是を営立すると申す例もなく、道理もなし。祖宗とても
別に深智巧慮して、御編み出しなされ候にてはこれ無く、ただ、天地
自然一定の理に御基づき遊ばされ、時勢人情を御斟酌在らせられ、
衆人の心、一同趣向致し候処を御考え合せ成され、国是御立て遊
ばされ候なり。」
「元来、皇国は異邦と違ひ、革命と申す乱習悪風これ無き事故、
当今と申し候ても、直ちに神武皇の御孫謀御遺烈、御格守御維持
遊ばされ候て然るべき義と存じ奉り候。」
「神皇の御孫謀御遺烈と申し候は、即ち人は忠義を重んじ、士は
武道を尚び候二ヶ条に御座候。これ即ち我が皇国の国是と申す者
に御座候なり。」
新渡戸博士が指摘するように、武士道にも弊害や欠点はある。
が、それは民主主義にも言えることであり、いずれも我々と後続
世代の努力でよりよいものに育ててゆけばよいではないか。
21世紀武士道の国日本を、先祖に恥じぬよい国にしよう。
(終)
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