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・ クリスマスの贈り物には、沢山の物がある。取り分け、小さい子どもが夢を見るのはサンタクロースからの、華やかなプレゼント。12月になると、街はクリスマスの飾りつけとイルミネーションで、一年中で一番、華やかな時期を迎える。取り分けニューヨークの中心が華やかで、喧騒とした中に全ての物が光って見える様である。 しかし、その中心地から数マイルしか離れていない所に、その華やかさとは全く無縁の場所がある。ニューヨークの下町にあたるブロンクス地区である。ここは、高い犯罪率と低所得者、そしてホームレスが溢れ、この一角だけが先進文明から取り残された貧困層の集まりで、アメリカでも最悪のスラム街になっていた。 ジョージ・ブルックは、ここブロンクスで生まれ孤児院で育った。孤児院はプエルトリコから黒人の子どもなど、ほとんど街に捨てられた子ども達が集まっていた。贅沢な生活や両親の愛情とは無縁な彼らにも、ただ一つの楽しみがある。慈善団体のアンバサダーズが持って来るクリスマスのプレゼントである。 御世辞にも奇麗なパッケージとは言えない包に、子ども達はみな心を躍らせた。何と言っても、一年に一度のプレゼントだし、数少ない鶏肉のご馳走もついていた。プレゼントは取り合いをせずに、皆が仲良く並んでもらった。そのほとんどが、使い古されたおもちゃや人形の寄付を、再利用したものだったが、子ども達にとっては宝物であった。 ジョージはある時、貰ったおもちゃで、公園で遊んでいたら、身なりのきたない小さな子ども連れの母親にすれ違った。その子どもは、ジョージのおもちゃをいつまでも見つめていたが、ジョージは思い切って、何も言わずにそのおもちゃを子どもに手渡した。おどろいた子どもは、大騒ぎして喜んで、おもちゃに夢中になっていた。 ジョージは、来た道を孤児院に帰ろうと振り返った時、後ろから呼び止められて、子どもの母親に抱き締められた。涙を浮かべたその顔に、ジョージは心を揺さぶられた。今まで自分が一番不幸だと思っていたのに、その考えが一度に変わってしまった「瞬間」だった。ジョージは孤児院を出て、働きながら苦学の末、高校も夜間ながら卒業した。 それでもここ、ブロンクス地区では、まともな仕事に有り付けず、清掃業の仕事をコツコツと続けて、漸く、配送会社を自らたちあげた。ジョージ・デリバリーサービスと言う名の会社は、お世辞にも立派とは言えなかった、彼の真面目な性格から、ブロンクスでは、数少ない成功者の一人にいつしかなっていた。・・・ 彼には、年に一度の誰にも知られていない秘密があった。それは、クリスマスの晩に、宅配会社の人間になりすませて、貧しい人達にクリスマスのプレゼントをすることだった。勿論、自分の身分を伏せて、他人名義での贈り物を届けるだけの事だった。彼が、その年に選んだ家は、ブロンクスでも取り分け、貧しい所である。 デリバリーサービスの作業服に着替え、目的の家の一つに来たら、中では小さい子どもの泣き叫ぶ声と、母親の神経質な金切り声が響いていた。母親と4人の小さな子どもには、クリスマスのプレゼントを買う余裕はおろか、まともな食事も出来ない有り様だった。この地区ではめずらしくも無い、片親の家庭である。 車をその家に横付けして、ジョージは配送車から七面鳥の料理から、クリスマス・ケーキ、そしてプレゼントを次々に運び入れた。何度も人違いだろうと言う母親に、ジョージは無表情なしぐさで、単なる仕事です・・・とだけ言って、受け取りのサインを求めた。家の中では、子ども達の歓声が上がるのが外にまで聞こえていた。 私は単なる配達人です・・・と言うジョージに、黒人の母親は、何度も抱きしめて来て涙ながらにお礼を言った。贈り主の欄には、サンタクロースから・・・とだけ、書いてあった。ジョージは迷惑そうに、今日は忙しいので・・・と言って、また次の家へ急いだ。プレゼントは、けっして高価なものでは無かったが、だれしもが満足していた。 ジョージは今年のクリスマスも自分を名乗る事も、サンタクロースの格好もせずに、ニューヨークのブロンクス地区を、宅配車とその作業服を着て走りまわっている。クリスマスの贈り物が高価であるかどうかは、もらう子どもには問題ではなかった。それは、慈善という言葉を超越した、クリスマスのプレゼントに秘密があるのかも知れない。 ジョージ・デリバリーサービスは、いつしか世界を変えるかも知れない。拝金主義とはかけ離れた、少しの思いやりと心づかいが、恵まれない人達に満面の笑顔をつくりだすのである。まさに、贈ったほうも贈られた方も、どちらの心も豊かになる、魔法のプレゼントである。言い古された言葉であるが、プレゼントは心を伝える手法であって、高価である必要は全く無いのかも知れない。・・・ ・
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素敵な話ですね。
こんな物語がいっぱい聞きたいものですね。
2011/12/18(日) 午後 6:40 [ ろうせん ]
いつも心にぐっとくるお話をありがとうございます。
クリスマスをどう過ごすべきか、何をすべきか考えさせられるお話ですね。
2011/12/18(日) 午後 8:24
ポチッします(^^ゞ
2011/12/18(日) 午後 8:28
この記事もまた、最高のクリスマス・プレゼントの一つですね。☆
2011/12/19(月) 午前 5:48
素敵なプレゼントですね。
今年の冬、東北にもいいことがありますように♪
2011/12/19(月) 午前 7:32 [ 一人歩きの山女 ]
こんにちは、ろうせん さん、コメント有難うございます。
年の瀬には、世知辛いニュースが多い中で、心が少し暖まる実話です。(^^♪
以前・・・伊達直人(タイガ―マスク)のランドセルの贈り物が全国で相次ぎました。日本も捨てたものでもないですネ・・・(*^^)v
2011/12/19(月) 午前 9:46
こんにちは、holy さん、コメント有難うございます。
クリスマスにプレゼントどころか、捨て置かれた子ども達が沢山います。ワンコインの贈り物が、その子の人生を変えるかも知れません。(*^^)v
2011/12/19(月) 午前 9:53
PS・holy さん、福島県は原発問題で忙殺され・・・中々ブログの訪問が出来ません。年末から漸く、時間が取れそうです。(^^♪
ポチ☆有難う
2011/12/19(月) 午前 9:55
こんにちは、あまんじゃく さん、ご無沙汰しています。
クリスマスは、何と言っても山下達郎⇒http://youtu.be/ZGu7SGxNWyo
そして米国では⇒http://youtu.be/JR6HGtOy5xs ですよネ(^^♪
ポチ☆有難う
2011/12/19(月) 午前 10:16
こんにちは、一人歩きの山女 さん、コメント有難うございます。
今年の東北は大震災から原発事故まで・・・散々でしたが、来年に期待します。(*^^)v
よろしくお願いします。♪
2011/12/19(月) 午前 10:19
こんにちは。
クリスマスの贈り物、素敵な話ですね。
読んでいて、過去のメイクさんの記事を思い出しました。
そう、[賢者の贈り物]。
もう2年たつんですね。
クリスマスという時期、やはり、こういうほのぼのとしたあたたかな話、いいですね。
2011/12/21(水) 午後 2:20
こんにちは、たんぽぽ さん、コメント有難うございます。
クリスマスと言えば、クリスマス・キャロルが有名で・・・主人公を訪ねる、三人の精霊は、「過去のクリスマスの霊」、「現在のクリスマスの霊」、そして「未来のクリスマスの霊」で、最後はこころがあたたまる物語。♪
「賢者の贈り物」は、一番クリスマスの楽しみ方をしっている人の物語。・・・
PS・本当・・・あれから2年が経つのですね。(^^♪
2011/12/23(金) 午前 10:47