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★川越スケッチブック-埼玉都民の川越暮らし
忙しすぎて更新ままならず・・すいません

書庫川越・旧山吉デパート

山吉デパート(其の一)

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                     写真上・山吉ビル正面
                     写真中・復元工事完成図
                     写真下・山吉ビル背後

川越市仲町の蔵造りの建ち並ぶ一番街通りにある「山吉(やまきち)ビル」は、戦前の埼玉県において最初といわれ、また川越唯一だったデパートの跡。
「近世復興式」のデザインを施した鉄筋コンクリート3階建ての建物は、建築家保岡勝也の設計になるもので昭和11年(1936)に竣工した。昭和58年(1983)に背後の木造部分が取り壊されたあと、正面部分はずっと風雨にさらされたまま歳月を重ねてきたが、このほど保存再生への道を歩みだした。うれしいことである。

 一月下旬に一番街を通りかかって工事の準備を知り、数日後カメラを手に訪れた。このとき1階軒下部分の木造の覆いが除去されていることに気付いた。内側からしか見られなかったステンドグラスが道路側から見えるようになり、隠されていた正面両側の曲線の窓枠デザインが露わになって、この建物全体の印象を違うものにしていることに驚いた。
木造の覆いはおそらく戦後まもなく、丸木百貨店(現丸広)がテナントになるときに付けられたものと思う。じつに50数年振りに曲線部分は姿を現したのである。これまでは円柱の柱や、三階窓下のレリーフが山吉ビルのデザイン価値を語っていたが、この曲線が更にこのビルの美しさを際立たせ価値を高めている。優しい曲線はデパートの持つ華やかさ・楽しさ・高級感を感じさせてくれる。当時の小学生が、山吉デパートに行く楽しみを文集に書いた気持ちがよく理解できる。この覆いがなかったら、山吉ビルの価値ももっと早くから検討されたのではないか。
道路隔てて山吉ビルを見ていると、完成当時にいささか古風と言われていた鍛治町南町通りの景観に、相当斬新なものを与えたのではないだろうかと想像するのである。

 二月中旬にも撮影のため訪れた。保存再生ということは消えてしまう旧状もある。特に山吉ビルの場合、吹きさらし状態の背後部分は塞がれてしまうはずだから、写真に残しておかねばならない。20年前に木造部分を壊したときには確認できた、階段部分の壁の色もすっかり退色している。2階・3階にはシャッターがあるが、これは建築当初の防火設備のはずである。エレベーターの痕跡(実際には取り付けられなかった)。ステンドグラスと当時のままと推定される1階天井部分も撮影した。1階南隅は3階まで吹きぬけになっているが、これはキャバレー時代に取り付けた階段跡で百貨店時代のものではない。撮影させてもらいながら、市から派遣されて調査していた人と少し会話をした。
 ビル前を「あら工事してる。保存するのかしら?」「昔は3階まであがれたのよね」と二人の老婦人が話しながら通り過ぎた。
 シャッター切りながら、10年ほど前にビルの持ち主の方に、お話をうかがったことを思い出した。
 
 昨年、愛知県西尾市の大正時代の旧百貨店建築が保存の声もむなしく取り壊された。函館の旧森屋百貨店も、現役でがんばっていた丸井今井デパート小樽支店の建物もすでに無い。函館十字街の旧丸井今井デパートは市役所分室でまだ残存していると思う。いずれにしろ戦前の百貨店建築はそう多くないはずである。川越織物市場の建物が市場建築として全国唯一に近い稀少価値ならば、山吉ビルも戦前地方百貨店建築としての稀少価値は高いはずである。
 蔵造り建築がかつての川越商人の経済力を示すものならば、この山吉ビルは戦前の川越が百貨店を必要とするほど、商業力が大きかったことを示すものなのである。

 山吉ビルの耐震補強工事及復元工事の完成が待ち遠しい。

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    前時代をどうのようにとらえるかは非常に難しい問題ですよね。明治維新の時には前時代のものは取り壊すことで文明開化を意味するものにするつもりだったようですが、心有る人々の力によって残されたものも有りましたよね。現代ではもっと違った意味で、民族って変ですが、日本の文化の証明として保存していくってことも必要になってきそうですよね。

    Dassai Tamagoro

    2006/5/25(木) 午後 7:17

  • 顔アイコン

    古い建物を保存維持していく時には、そこに住む方、所有する方の犠牲にも近い気持ちが存在します。自分の家もかつては江戸時代の建物でしたから、使いづらさ汚さなど大変な面が理解できるのです(うちは改築してしまいましたが)。今回、山吉ビルが保存再生されることに、所有者の方の決心の奥底を思いやると感謝でいっぱいです。川越=蔵造りですが、蔵造りだけ残してもだめなんですね。

    mak**756*000

    2006/5/28(日) 午前 10:49

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    ほんと昭和11年築の前面部分が残されていたことだけでも 奇跡だと思います。さすがmakiさん、新装されたらこの背後の階段あとの部分などはすっかり時代の痕跡が消されてしまうわけですよね。 記録として残しておくのは大切ですね。 この二階がカフエになったらいいな・・・と楽しみにしているのですが、 意外と狭い空間かもしれませんね。

    [ koedo ]

    2006/5/30(火) 午後 8:09

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    残された前面部分は、ほんと狭いですよね。ワンフロア20坪無いはずです。自分も階上は、気軽に入れる喫茶室とかになったらなと思いますけど、さてどうなるのでしょう?

    mak**756*000

    2006/6/1(木) 午後 2:02

mak**756*000
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