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子どもの頃、川越祭りを見に出かけることは、すなわち蓮馨寺(れんけいじ)へ行くことだった。
本音を言えば山車を見るより蓮馨寺。広い境内に足を踏み入れると小屋掛けした露店がひしめき、その中心を成すのがお化け屋敷と見世物小屋。その頃の境内には豆汽車や豆自動車の走る遊園地があり、中央通りに面した参道の片側には、長屋式の小さい店舗が並んでおもちゃ屋があった。ブリキの汽車セットが飾られていたのを今でも覚えている。寺を出たすぐの中央通りにもおもちゃ屋が2軒あったから、川越まつりが近づくとワクワクした。普段の買い物は新富町通りだから、祭礼でもない限りこの界隈に来ることはまずなかった。
長い歳月、祭礼中の蓮馨寺境内に行ったことがなかった。久しぶりにのぞいた境内は、見世物小屋は無いが、お化け屋敷が昔と変わらない位置にあった。マイクから流れる客寄せのダミ声も、小屋の中から聞えてくる見物客の叫び声も昔のまま。そこを囲むように原色の看板を出した露店が縦横に並び、境内はまさに「盛り場」
雑踏と喧騒の中に様々な食べ物の匂いが交ざりあって、ふらふら歩いているだけでおもしろい雰囲気にあふれている。今、新宿や池袋を歩いていたって、こんなに食べ物の匂いはしない。盛り場っていろんな匂いのするところだと思う。
川越祭りの、もうひとつのハイライトシーンがまさにこの蓮馨寺境内。
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