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★川越スケッチブック-埼玉都民の川越暮らし
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                       ★↑「翼の世界」の西村阜子(有村敬子役)

 女性飛行士になったころの西村阜子(にしむらあつこ)は、新聞社のインタビューに「私には主婦業は向かないようなので」という意味合いのことを答えている。県立川越高等女学校を卒業後、東京大塚の文化学院に通い、その後飛行士を目指すまでの間しばらくは自宅にいたらしい。川女の校友誌で同級生は「たいへんな社交家とお見受けした」と彼女を評している。屈託のない明るい人だったに違いない。飛行士になったときに大きな人気を得たのには人柄もあつたのだろう。

 昭和11年夏の日活映画「翼の世界」の製作発表前後には、海軍陸軍協力の「少年航空兵」や、女性パイロットの登場する外国作品が公開されている。映画出演の要請があったとき、西村阜子は飛行士に惹かれたのと同じく持ち前の好奇心から、女優をやってやろうと思ったに違いない。スチール写真の彼女は素人っぽくなく堂々としている。
 残念ながら初出演映画「翼の世界」は高い評価を得る内容ではなかった。航空会社の娘有村敬子を演じた西村への評価も、女優としては平凡すぎると書かれている。

 しかし、日活が彼女に可能性を見出したことは確かである。なぜなら日活所属の女優として契約しているからである。「翼の世界」のあとすぐさま「男性審議会」という作品に出演した。女学校を卒業した同級生たちが男性審議会という組織をつくり、4人の常任委員が級友たちに結婚相手を世話したり恋人の採点をしてあげるのだが、或る日委員たちの前に颯爽としたイケメンが現れて大騒ぎという物語。西村は委員のひとりで下町娘の役。画像で一目瞭然のように健康的な丸顔の彼女は、下町の娘や明るい妹役が似合いそうな雰囲気だ。この作品は昭和12年2月公開で「翼の世界」公開のわずか10日後。評価は演出・演技とも酷評で駄作の域を出ないものだった。委員役4人の新人女優の中では、岡野初子のみに希望があると評された。

 西村阜子の映画出演は続くが、主役はおろかストーリーを支えるものではない役へと後退をしていく。映画雑誌のグラビアを飾る日活の女優も他の新人たちばかりであった。
「嫁ぎ行く日まで」は新人小町とし子主演。見合いに失敗した娘が理想の相手を見付けるまでの物語だが、配役表に美奈子(西村阜子)と名前はあっても、概略紹介には登場してこない。
4月には「青い背広で」に出演。サラリーマンもので、西村はタイピスト役のひとり。この時期に藤山一郎の流行歌「青い背広で」が大ヒットしているが、この映画の主題歌であったかは不明。

 夏には「そんなの嫌い」にタイピストAで出演している。既に配役名もつかない。この他の出演作品は今のところ確認できない。松竹作品にも出たことがあるらしいが、その作品の確認も現時点では不明である。

 推察するに昭和12年中には、女優業をやめたのではないかと思われる。短い女優業ではあったが、彼女には大きな糧となってなにかを残したことだろう。

  余談だが西村阜子が在籍した当時の日活には10代だった原節子がいた。
 

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 川越市出身の女流飛行家西村阜子(あつこ)出演の「翼の世界」は、今週末に所沢市の航空発祥記念館で上映される。現存するフィルムは地方巡回用に使用されたという無声短縮版だが、実際は日本最初の本格的航空映画として撮影されたトーキー版であった。

 「翼の世界」の製作が発表されたのは昭和11年(1936)晩夏。俳優島耕ニと女性飛行士として有名だった西村阜子主演として企画された。発表後にシナリオ執筆と他キャストの選定が行われたが、結果的には島耕ニと中田弘二の友情物語に黒田記代が絡むことが主軸となり、西村阜子は準主役的な位置になってしまった。
 監督は田口哲。「非常線」という作品に続く2作目である。国策会社だった日本航空輸送株式会社との全面タイアップ作品で、撮影が開始されると田口監督は4班に分けて、大連線・台湾線・福岡飛行場等でロケを敢行した。作品タイトルは「翼の世界・日本航空路」「日本航空路」などと二転三転したが、最終的には「翼の世界」に決定をみた。10月に全キャストが決定しロケは年末まで行われ、年明けにはセット撮影が行われてクランクアップした。

 11年暮れの映画雑誌に作品紹介がされたが、公開は翌昭和12年2月1日。浅草富士館・新宿帝都座・神田日活館で封切された。ちなみに新宿帝都座は、現丸井新宿店のところにあった有名な映画館である。

 日本映画最初の本格的航空映画として公開された「翼の世界」であるが、その評価は残念ながら散々たるものであった。肝心の航空場面の醍醐味が外国作品に到底及ばず、未熟さを露呈しただけに終ったらしい。協賛の航空会社の路線をなぞるだけで、全体的に宣伝映画の色彩が濃厚だったという。
 新人西村阜子に対する評価も映画雑誌に載ったが、とりあえずは言わぬが花だろう。

 主演の島耕ニは数年後に監督へ転向し、戦前は「転落の詩集」戦後は「宇宙人東京に現る」「細雪」など多彩なジャンルの作品を監督した。

 スケジュールのやりくりがついて、なんとか「翼の世界」が見れそうである。駄作の烙印を押された作品の短縮改作版であるから、尚更見るに堪えない予感がするが、フィルムの中の西村阜子の姿が拝めるだけでも貴重なことはまちがいない。

●画像は「翼の世界」の一場面。左から島耕ニ・黒田記代・中田弘二

花曇り

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 山手線のドア際にもたれていたら、渋谷宮下公園の桜がちらほら薄桃色になりかけているのが見えた。

 すでに静岡で開花しているから、都内もまもなくらしい。

 外人と犬がやたら目立つ公園を横切ったとき、芝生の周囲の桜の蕾もほころびかけていた。

 携帯カメラに収めたものの、ほとんどわかりませんなこれは。

 桜は何気で薄曇の日が映えていい感じと思う。

 以前そんな日に歩いた田園調布の坂の桜が、ため息でるほど美しかった。

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