日活作品『非行少女』
1963年/浦山桐郎監督
出演・和泉雅子、浜田光夫、北林谷栄、小夜福子、小池朝雄、佐々木すみ江、浜村純
■久しぶりに五反田駅に降りたとき、目黒川の淵まで行ってみた。掘割のような流れに面してビルやマンションが林立している。
「五反田東映/五反田TOEIシネマ」があったのは、この目黒川沿いだったが、どの建物が映画館だったのかは思い出せなかった。1990年代に閉館してしまった映画館の面影はどこにもない。
2館のうち「五反田TOEIシネマ」は3本立ての名画座で、高校一年生の初冬に二度見に来ている。番組は「今村昌平監督」「浦山桐郎監督」特集だった。
浦山桐郎特集は「キューポラのある街」「非行少女」「私が棄てた女」の三本。朝から夕方まで満員の館内で見た。
「非行少女」は北陸金沢を舞台に、荒れた家庭環境の中でグレてしまった少女(和泉雅子)に、幼馴染の青年(浜田光夫)がひたむきな心で接して更正を決意させるまでの物語。ラスト、大阪へ就職する少女と青年の別れのシーンで、混雑している食堂内で青年への愛を覚えた少女が、大阪行きの決心を鈍らせて激しく泣き出す姿が印象的だった。カメラは二人の周囲をゆっくり回りながらワンカットで撮影していたと思う。和泉雅子の感情の表現も素晴らしかった。
「キューポラのある街」は埼玉川口で貧しくとも明るく懸命に生きる少女を描いた、吉永小百合の出世作。「私が棄てた女」は、出世のために付き合っていた田舎娘を薄情に捨て、金持ちの娘(浅丘ルリ子)と結婚する男(河原崎長一郎)の話だったが、高校一年生に は退屈なだけだった。今見たらば、なにか感じるものがあるはずと思う。
後日、叔父が「高校生のくせに川越から五反田くんだりへ映画を見にいくとはなんだ!」と文句を言ってたことを耳にしたが、映画に興味を持ち始めた自分はせっせと「ぴあ」をめくっては見たい作品を探し、蒲田や立川などの名画座へ出かけていた。
◆↑「非行少女」の和泉雅子。後年、北極へ行ったことで有名。デビュー頃は埼玉銀行(現埼玉りそな)のイメージガールを務めたこともある。
◆↑五反田TOEIシネマは、目黒川沿いの右側のあたりにあった。6月というのに桜満開は御愛嬌(笑) 検索していたら、この浦山桐郎監督特集を同じ日に見ていた方の思い出話が載せられているブログを発見してしまった。
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