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上映作品「めがね」主演の小林聡美嬢は何気で昔からのご贔屓女優。「転校生(1982)」「やっぱり猫が好き(テレビ)」などでのコミカル演技で知られるが、女優としての底力を見せたのはATG映画「廃市(1984)」
没落寸前の旧家の二女役でおきゃんながらも控えめな性格だが、その内側には密かな熱情を秘め、ひとりの男性をめぐって姉(根岸季衣)と激しく言い争うクライマックス場面では、抑えていた心情を一気に溢れさせて秀逸だった。この作品をみて小林聡美スゴイと思った。
さて「めがね」はソーダ水のような映画。美しい南国景色の中で癒しの時間が進行する心地よい映画。でももうひとつ心奥深く忍びこんでくる感銘はなかった。もしかするとかなり間を置いてから印象深くなるのかもしれないが・・荻上直子監督作品は「かもめ食堂」も見ているが、あれもなぜベストテン入りしたのかちょっと不可解だった。「かもめ食堂」よりこの「めがね」のほうが優れているように思う。 珍しく前知識なく映画に臨んだので、いきなり薬師丸ひろ子が登場したのにびっくり。それも怪しい宿屋のおかみ役。ワンシーンながらかつてのアイドル薬師丸の演技絶品。この人、かなり喜劇向けなのかもしれない。 みなさんでひたすらたそがれましょうという映画なのだが、小林聡美は「私はたそがれるために旅に来たんじゃありません」と最初のほうで言い放つ。 自分も国内あちこち一人旅したけれど、たそがれようと思って旅したことはなかった。しかし、海岸で登場人物たちがゆったりたそがれているシーンを見ていると、かつての自分にも無意識にこういうシーンがあった。北海道美瑛の誰もいない農道で、鹿児島指宿の美しい砂浜で・・ きわめつけは岡山の山間の小駅中国勝山駅ホーム。数時間に一本の列車を待ってベンチにぼんやり座っていると、あたりにゆっくりと夕暮れが忍んできて白い靄に包まれはじめたのである。ひっそりとした逢魔が刻の幻想的な雰囲気は、気持ちの中まで忍んできてたそがれずにはいられなかった。暮れゆく山々の情景は今でもよく覚えている。20代半ばだった自分はあの時なにを思っていたのだろうか・・ 多分、その晩のめしのことを考えていたのでしょうな〜 *中国勝山駅は姫新線沿いの古い小さな町の駅。 ★【めがね】 1時間46分 監督/荻上直子 主題歌・大貫妙子 出演/小林聡美・市川実日子・加瀬亮・光石研・もたいまさこ 他 メルシー体操とかをやるもたいまさこが、ヨガや気孔をやっている知人の坊さんを彷彿させて笑えた・・ 「めがね」は川越スカラ座にて1月18日まで上映予定。
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