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2010年05月12日
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数年前までは田中屋美術館だった川越市指定文化財の田中家住宅。外見は洋館、内部は蔵造りという和洋折衷の珍しい建築である。大正4年の建築で、当時は桜井商店であった。
鉄砲・馬具・洋品などを扱っていたが、明治28年からは自転車の販売も始めた。当時の自転車修理には鍛冶職人の技術が必要とされ、桜井商店の屋号が「槌屋」であることからも、当然そのような技術を持っていたのだろう。英国ラーヂ社の自転車直輸入元日米商店(東京)の代理店となり、有名なラーヂ自転車を販売したことで知られている。
明治42年当時ラーヂ自転車の価格は150円。100名の購入希望者から六回にわけて代金を集金して銀行に預ける簡易購買組織をつくり、各回ごとに抽選を実施し、五回までに10名に自転車が引き渡された。最終回で残り90名に自転車が引き渡されたが、銀行に預けた代金が生んだ利息で福引景品を購入し、全員に銀時計・置時計・ランプ・反物などが当たった。
明治末年の広告に「桜井支店」の記載があるが、これは桜井商店で働いていた人に自立心の強い人がいて、市内松江町に独立開業したものだという。大正時代の新聞広告に記載されている八王子・秩父の支店もおそらくは暖簾わけだろう。
桜井商店に続く川越の自転車店開業は日露戦争後というから、桜井商店は川越における自転車店の嚆矢かもしれない。
●参考資料
川越市史第四巻近代編 川越市 昭和53年
川越案内 明治42年
英国皇室御料ラーヂ自転車申込書 武州川越町桜井自転車店 明治42年
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