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★川越スケッチブック-埼玉都民の川越暮らし
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★To Go There

To Go There
 
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                     鈴木伝明[東郷是也](1900年〜1985年)
 
 
 「To Go There」に「東郷是也」の漢字を当てはめたユニークな芸名の俳優が、上のハンドルをにぎる写真の御方。日本映画界最初の大学卒業の肩書きを持つ俳優である。大正10年公開の「路上の霊魂」出演時にはまだ在学中だったため、周囲にばれないようにと付けた芸名だった。明大水泳選手としても鳴らしたがそのまま俳優の道へ進み、以後は本名「鈴木伝明(でんめい)」で活躍し、栗島すみ子・田中絹代らとコンビを組んで昭和初年頃の日本映画界を代表するスターとなった。
 
 鈴木伝明は二度川越に来たことがわかっている。当時の川越には有志による文化活動グループがあって、演奏会や映画会を開催していた。その三周年記念のイベントに鈴木伝明が来川したのである。会場は市内鉄砲町の劇場「舞鶴館」。現在の松江町二丁目旧織物市場に隣接してあった劇場で、年配の方には戦後の「文化劇場」の名称が懐かしいと思う。来川は昭和6年4月のことで、当日のプログラムはレコード演奏(チャイコフスキーの曲)、東京の有名弁士松井翠声による外国映画「最後の中隊」上映、地元川越の西川喜峰の舞踊(京鹿子娘道成寺)、そして俳優鈴木伝明の舞台挨拶であった。
 じつは一周年記念イベントの折にも鈴木伝明は来川したのだが、ラジオ出演の時間が早まったため観客前に現れずに帰京したアクシデントがあり、今回がはじめての顔見せとなった。テレビなぞ無い時代、ましてや生で大スターが見られる機会など川越では滅多になかったに違いない。さぞかし話題になったことと思う。
 
 「東郷是也」の名で出演した、日本映画史に残る作品「路上の霊魂」の一部がユーチューブにアップされていたのでご紹介。フィルムの保存が良好で画面がきれいなのに驚かされる。無声映画なのでどんなシーンなのかは不明だが、1分ばかり過ぎたあたりに女の子と女性を両脇に抱えて草原を彷徨するマフラーの青年が鈴木伝明。
 
 ■参考資料
  ○川越ミュージカルグループ三周年記念プログラム  昭和6年
  ○日本映画俳優全史 男優編  猪俣勝人/田山力哉 教養文庫  昭和52年
  ○日本映画俳優全集 男優編  キネマ旬報増刊 キネマ旬報社  昭和54年

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