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昭和10年代の東京山手郊外を舞台に、戦争の影忍び寄る世情を背景に中流家庭に起きた密かな波紋。
ひと回りの年齢差の夫婦と幼いこどものいる平井家に女中として住み込んだタキ(黒木華)。人柄がやさしい夫人時子(松たか子)は姉妹のように接してくれ、タキも懸命に働いたことから平井家になくてはならない存在となる。そんな平井家に夫の部下である板倉(吉岡秀隆)が出入りするようになり、彼も平井家に溶け込んでいく。あるとき縁談話を持って板倉の下宿へでかけた時子が帰宅したとき、タキは時子の帯の模様が出がけとは逆になっていることに気づいた。
晩年のタキ(倍賞千恵子)が遠い昔を回想して大学ノートに記しながら物語は進行していく。時子と板倉の許されぬ恋に関してタキは死ぬまであることを秘密にしていた・・・
タキの死後にさまざまなことが判るのだが、今より通信手段は少なく、戦中戦後の混乱が様々な人の消息をわからなくしてしまい、戦後もお互い無事に生きていたのにとうとう会うこともなかったのは悲しい。
昭和のはじめのサラリーマン家庭の生活がていねいに描かれている点も見逃せない。よい意味で子どもがいながらも女学生の雰囲気を残したような時子を松たか子が好演している。嵐の晩に時子が自ら衝動的に板倉に接吻するシーンは原作にも脚本にもなかったそうだ。原作を読むとこの嵐は昭和13年に実際に東京を襲った台風である。谷崎潤一郎「細雪」にもこの台風は登場し、蒔岡姉妹が渋谷の長姉の家で遭遇し恐ろしい思いをする。吉岡秀隆演ずる板倉という青年の名は細雪にも登場するが、パンフを読んだら細雪からひっぱってきたのだそう。
黒木華も倍賞千恵子も好演。倍賞千恵子は文句なくうまい。冒頭の雪中シーンに出ていた女優があき竹城だったとは気づかなかった〜
久石譲の音楽が作品をふんわりと包み込んで、たおやかな旋律の中に寂しさ悲しさを感じさせてくれる(CD買ってしまった)。
監督・山田洋次
出演・松たか子/黒木華/吉岡秀隆/片岡孝太郎/吉行和子/室井滋/
中島朋子/橋爪功/米倉斉加年/妻夫木聡/倍賞千恵子
川越 南古谷ユナイテッドシネマで公開中
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