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■「小津安二郎名作選」 川越スカラ座 10月27日(火)〜31日(土)の期間に小津安二郎監督の代表作6本が上映される。いずれの上映も川越では公開以来かもしれない(図書館の名作上映会で上映されたくらいか?) 上映内容詳細はスカラ座のホームページ検索で。 上映作品の1本「東京物語(1953)」は映画史上の名作。 尾道から老夫婦(笠智衆・東山千栄子)が東京で暮らす子供たち(山村聡・杉村春子)に会いにやってくるが、息子も娘も歓迎するものの忙しさに追われて、悪気は無いがついついぞんざいに扱ってしまう。そんな中で戦死した次男の嫁(原節子)だけが親身に世話をしてくれる。老夫婦は複雑な気持ちを隠して尾道へ帰るが・・・ レンタル店にはDVDがあるしテレビでもよく放映されるが、ここはひとつ大きい映画館のスクリーンで見てみたいもの。それもシネコンではなく、姿を消しつつある昔ながらの映画館の暗闇でじっくり見ることは、感じるものも少しばかり違うかもしれない。苛酷なテーマをやんわりと包むように描いて、鑑賞後に喫茶店で珈琲飲みながら思いにふけりたくなるような(したことはありませんが)珠玉の一篇。 ▼「東京物語・予告編」をどうぞ。小津作品の音楽はあまりいいと思わないが、斉藤高順作曲の東京物語のテーマ曲は好きである(予告篇後半に流れる) 小津安二郎 / 東京物語. Yasujiro Ozu / Tokyo Story (1953) TRAILER 撮影中の原節子の背中にトクホンが貼られていたと「絢爛たる影絵 小津安二郎(高橋治著)」に書かれてある。役作りもたいへんだったのだろう。原節子が東山千栄子を自分のアパートに泊めた翌朝、さりげなく小遣いを渡すシーンが予告の中にある。嫁からのふいの親切に涙ぐむが、たしか本編ではこのあと「紀さんもいっぺん尾道へ来てよ」と原節子に言う。原は「もう少し近かったらぜひ」と答えるが、今のように新幹線もない当時は、東京から尾道へ行くことは容易でなかったのだろう。 しかし、数日後には重い気持ちで尾道へ行くことになってしまう。 ■東京物語 昭和28年 松竹 白黒 2時間15分 監督/小津安二郎 脚本/野田高梧・小津安二郎 撮影/厚田雄春 出演/笠智衆・東山千栄子・原節子・杉村春子・山村聡・三宅邦子・香川京子・東野英治郎・大阪志郎・中村伸郎・十朱久雄・長岡輝子・桜むつ子・高橋豊子・安部徹・三谷幸子 ・・・今もお元気なのは、原節子・香川京子・長岡輝子くらいか? |
川越スカラ座
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コメント(12)
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この映画を見て「納棺師」という仕事をはじめて知りました。亡くなった方の整顔・着付け・メイクをし納棺をして送り出す地味な仕事。モッくん(本木雅弘)のひたむきな表情が秀逸です。友人の母親を納棺するシーンには涙腺がゆるみました。山形の美しい風土と久石譲の音楽が効果をあげています。
そろそろ各映画賞の選考がスタートしているようですが、一部発表されたものでは受賞もしておりかなり評価は高いようです。しかし・・モッくんと妻(広末涼子)の結びつきに疑問を抱いてしまいます。1800万円もの楽器を内緒で買ったこと、納棺師の仕事を妻に隠していることがちょっと腑に落ちません。そのせいか夫婦というより、友達同士のように見えてしまうのです。納棺師をしているとわかったときの妻や友人の拒絶反応も大げさに思います。シリアスとユーモアがほどよく融合しているところは素晴らしいですね。亡くなった美人の納棺をモッくんが行うのですが、着物の下に腕を入れて体を拭いていたモッくんがおや?という表情になって、そばの上司(山崎務)に耳打ちします。しかめっ面した山崎が遺族の耳元で「メイクは男性用と女性用のどちらになさいますか?」とささやくシーンには館内に笑いが漏れました。 「おくりびと」は川越スカラ座で1月16日まで上映です。 【おくりびと】 ■監督/滝田洋二郎 2008年 出演/本木雅弘・広末涼子・山崎務・余貴美子・杉本哲太・峰岸徹・吉行和子・笹野高史 |
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夫が思想犯として投獄され獄死。残された妻と子供の生活描写をとおして、戦争が引き起こす深い悲しみを滲ませた山田洋次監督作品。男はつらいよシリーズに代表される喜劇も得意とした監督は、さりげなく笑いの場面も入れ全体的に押さえた演出だけに、そんなに重い雰囲気はしない。しかしすべてを説明せず、見る者に考えさせるように仕向けているから、見終わったあとでズッシリとくるものがある。 主人公の住む家にリアル感があったが、その周辺はいかにもセットっぽいのが残念。品川駅出征シーンはもちろん大井川鉄道ロケだが、せめてもう少し山がわからないようにして! 主人公の家は大通りから路地を入ったところにあるのだが、この手のパターンって多い気がする。「3丁目の夕日(2005)」も「あうん(1988)」もそうだった。なぜだろう・・ 吉永小百合の母親像は見事。「細雪(1983)」で口数少なく控えめながらもシンのある役をこなしたあたりから、役柄の幅が広がったんじゃないだろうか。もちろん溌剌とした役が多かった若い頃の「だれの椅子?(1968)」「美しい暦(1963)」「私、違っているかしら(1966)」「光る海(1963)」などもよかった。 出色はやまちゃんを演じた浅野忠信!存在感あって圧倒された。新人時代の「青春でんでけでけでけ(1992)」でもセリフが巧かったことを思い出した(この映画の浅野は今からは想像つかない顔) 特高警察役を演じた笹野高史も巧い!おっかない! 山田洋次作品はあまり見ていないのだが「愛の讃歌(1967)」はわりと好きである。瀬戸内海の島を舞台に若い男女(倍賞千恵子・中山仁)の愛情を描いた内容で、2人を取り巻く島の人たちがみなひょうひょうとおもしろおかしくて秀逸だった。 ●母べえ(かあべえ) 監督/山田洋次 2007年 松竹作品 出演/吉永小百合・浅野忠信・壇れい・戸田恵子・倍賞千恵子・笑福亭鶴瓶・板東三津五郎 ★「母べえ」は7月13日までスカラ座で上映。
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上映作品「めがね」主演の小林聡美嬢は何気で昔からのご贔屓女優。「転校生(1982)」「やっぱり猫が好き(テレビ)」などでのコミカル演技で知られるが、女優としての底力を見せたのはATG映画「廃市(1984)」
没落寸前の旧家の二女役でおきゃんながらも控えめな性格だが、その内側には密かな熱情を秘め、ひとりの男性をめぐって姉(根岸季衣)と激しく言い争うクライマックス場面では、抑えていた心情を一気に溢れさせて秀逸だった。この作品をみて小林聡美スゴイと思った。
さて「めがね」はソーダ水のような映画。美しい南国景色の中で癒しの時間が進行する心地よい映画。でももうひとつ心奥深く忍びこんでくる感銘はなかった。もしかするとかなり間を置いてから印象深くなるのかもしれないが・・荻上直子監督作品は「かもめ食堂」も見ているが、あれもなぜベストテン入りしたのかちょっと不可解だった。「かもめ食堂」よりこの「めがね」のほうが優れているように思う。 珍しく前知識なく映画に臨んだので、いきなり薬師丸ひろ子が登場したのにびっくり。それも怪しい宿屋のおかみ役。ワンシーンながらかつてのアイドル薬師丸の演技絶品。この人、かなり喜劇向けなのかもしれない。 みなさんでひたすらたそがれましょうという映画なのだが、小林聡美は「私はたそがれるために旅に来たんじゃありません」と最初のほうで言い放つ。 自分も国内あちこち一人旅したけれど、たそがれようと思って旅したことはなかった。しかし、海岸で登場人物たちがゆったりたそがれているシーンを見ていると、かつての自分にも無意識にこういうシーンがあった。北海道美瑛の誰もいない農道で、鹿児島指宿の美しい砂浜で・・ きわめつけは岡山の山間の小駅中国勝山駅ホーム。数時間に一本の列車を待ってベンチにぼんやり座っていると、あたりにゆっくりと夕暮れが忍んできて白い靄に包まれはじめたのである。ひっそりとした逢魔が刻の幻想的な雰囲気は、気持ちの中まで忍んできてたそがれずにはいられなかった。暮れゆく山々の情景は今でもよく覚えている。20代半ばだった自分はあの時なにを思っていたのだろうか・・ 多分、その晩のめしのことを考えていたのでしょうな〜 *中国勝山駅は姫新線沿いの古い小さな町の駅。 ★【めがね】 1時間46分 監督/荻上直子 主題歌・大貫妙子 出演/小林聡美・市川実日子・加瀬亮・光石研・もたいまさこ 他 メルシー体操とかをやるもたいまさこが、ヨガや気孔をやっている知人の坊さんを彷彿させて笑えた・・ 「めがね」は川越スカラ座にて1月18日まで上映予定。
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