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何年か前に、ほんとうひろしさんから、小松崎茂戦後の子供向け作品の作品リストを作らないかという依頼があり、小松崎茂展図録巻末の作品リストにはまだ抜けがあるのと、図録の作品リストは非常にわかりづらいので、協力して作ったことがありました。いろいろ事情があり、そのリストは結局日の目をみなかったのですが、この作品リストの作業に携わることができて、もう一度小松崎茂の作品を見つめ直すいい機会を与えていただけとおもっています。
私はもともと小松崎茂さんのファンで、『地球SOS』桃源社版の復刻で未復刻だった話数の掲載誌を探そうというのが、古書収集のきっかけでした。地元では昭和30年代の少年雑誌は見つかるのですが、昭和20年代の雑誌というのはほとんど見つかりませんでした。1980年代の話です。昭和20年代の雑誌の入手先は、この当時でも都内の古書店の目録頼みでした。 その後、弟が就職で私よりも早く上京して、私も就職で1年後に上京するわけですが、そこで驚いたのが、1年前に上京した弟の本棚には、地元入手の雑誌からは考えられないようなピカピカな状態で『地球SOS』の掲載誌が未復刻の部分も含めて20冊近くずらっと並んでいたところした。僅か1年でこんなに…。これは『地球SOS』全話収集も夢ではないねなんて勝手に思い込んでいました。当時は、漫画とか絵物語の単行本入手のほうは、かなり厳しい状況で、ある程度知名度のある本はみかけることはあっても、大量にあると言われている赤本漫画の類は、どこを探してもありませんでした。それもあって漫画の単行本なんかよりクオリティーの高い雑誌の魅力に取りつかれて、それから何年も当時はまだある程度出ていた戦後の少年雑誌を買いあさるみたいになっていくわけです。 最初の話に戻りますが、昭和20年代の特に力を入れていた前半の少年雑誌で、まだまだ入手できていない雑誌はありますが、作品リスト作成の依頼を受けたときは原作付も含めた小松崎茂の絵物語作品については全作持っているんではとおもっていました。でも作品リストを作っていくときに、見つけられない作品が1作出てきたのです。それが『ロビンフッドの冒険』という原作付の作品でした。私はてっきり昭和23年の「少国民の友」に掲載されているものと勝手に思っていて、でも探してもないのです。たぶん私は「少国民の友」に掲載された小松崎茂の『ジークフリード』から別な「少国民の友」の号に『ロビンフッドの冒険』が掲載されているとおもっていたようです。 『ロビンフッドの冒険』自体は、1990年に出版された「ロマンとの遭遇」(国書刊行会)に私にとっては小松崎作品収集のバイブルでしたが、この中に1頁だけですが『ロビンフッドの冒険』が紹介されていて、それで2色のカラー作品とわかるのですが、『ジークフリード』と併せて詳細不明となっているんですね。これ根本さんのところには切抜きがあるだけなのでしょう。 これはやばいなー。小松崎さんの図録の方を見ると掲載誌は「友達」と書いてあります。よく調べられたな。それもよく見かける友達社の「友達」ではありません。朋友社版のほうです。これはますますやばいね。朋友社版の「友達」も別な作家の作品が欲しいので、こちらも当然ながら昔から集めていますが全冊は持っていない。これオレ持ってないやつなんだなーってやっと気づいて、図録の作品リストにあるということはどこかに所蔵されていると予想できるので調べてみると、プランゲ文庫に全冊ではないですが所蔵されていることがわかりました。日本では残念ながら白黒フィルムでだけ国会図書館で見ることができるようです。 この作品の気になるところは、なんといっても昭和23年の作品というところですね。昭和23年は小松崎さんの作品に駄作はないというか、兎に角絵的には一番いいですね。それと昭和23年には「冒険活劇文庫」誌上に『地球SOS』が掲載される年で、それまで挿絵画家だった小松崎さんが、絵物語作家に転身する年になります。そこで私が前々からというか収集当初から気になっているのは、本当に一番最初の小松崎さんの絵物語作品は『地球SOS』なのかということです。この昭和23年の『地球SOS』前後は、思いつくだけでも、小学館や二葉の学年誌、「少年」「少国民の友」「PTA世界少年」「冒険少年」「探偵少年」「冒険世界」等々と連載作品や複数の単行本の挿絵をも多数抱え、そこに新たにこの「友達」の『ロビンフッドの冒険』掲載と、多忙を極めています。 この絵物語問題はかなり複雑で、1つの作品でも挿絵作品、絵物語作品と単純に分けることができず、どういうことかというと、当初、挿絵作品から連載が始まっても途中から絵物語化される作品もあるので、掲載誌の全号を確認しないとわからないようになっています。 『ロビンフッドの冒険』は、原作付ですが、こういう昭和23年後半の雑誌における絵物語の動向を多分に敏感で、おそらく経営的にはかなり厳しかった朋友社が起死回生ということで、この小松崎に白羽の矢を当て『ロビンフッドの冒険』を雑誌の看板にしたかった作品だったはずです。 『ロビンフッドの冒険』は、昭和23年の後半に発表した作品なので、気になるのは果たして絵物語なのかそれとも挿絵作品なのか? それと「ロマンとの遭遇」によると、『ロビンフッドの冒険』は2色のカラー作品のようですが、本編はどの程度のカラー作品かといことですね。翌年から始まる『沙漠の魔王』は4色で有名ですが、それ以前でもカラーの絵物語は少ないですが存在します。『地球SOS』は、3色以上だと口絵だけですが、この時期小松崎作品では「冒険世界」連載の乱歩原作『黄金仮面』なんかも3色ですね。「冒険少年」なんかもわりとフルカラーの絵物語掲載しますが、昭和24年になってからのほうが多いですかね。 この時期の小松崎茂の作品という意味では、未見の作品という意味ではおそらく最後のピースで、この『ロビンフッドの冒険』は気になっていました。 これは調査という意味でも見に行くしかないなということで、国会に行ってそのフィルムを見に行ってみました。そこには題名掲載の頁が2色カラーで、口絵2頁があるらしいのですがカラーの為、白黒のフィルムにすると真っ黒でまったく見えない口絵と、本編は残念ながら絵物語ではなく挿絵作品でした。。口絵を見るためには結局、実物を手に入れないと見ることはできないということがわかりました。でも朋友社版だとなーかなり厳しいね。だってこの号は過去40年古書店等で一度も見たことがないっていうことですから。 それから数年経ちましたが、先日、この作品が掲載された「友達」をやっと買うことができました。都内の古書店からですが、これで口絵をやっと見ることができます。 まあ日本でこんなことしてるのはオレだけだとおもいますが、まあコレクターとはこんなことをしている人種のことですね。 最近は他には、梵天太郎の絵物語や、久々に竹内寛行のSM誌掲載作品何冊か(全部かな)入手できたのと、あと、横井福次郎の戦前デビュー単行本入手と、これ結構探してました。横井さんのデビュー単行本は、まあ時期的に翼賛漫画ですが、最近、大塚さんが翼賛漫画がらみの著書の宣伝をツイッター等でみかけます。酒井七馬を取り上げているので、以前にも酒井さんのことぼろくそに言ってましたから、また酒井さん叩きがあるのか気にはなっています。今回、翼賛漫画をどういう意図で取り上げたいのかが、過去の著書も読んでないのでわかりませんが。まさか今更、翼賛漫画を描いた漫画家を糾弾するなんていうわけでもないでしょう。長谷川町子の翼賛漫画のデビュー単行本『進め大和一家』とか取り上げて、まあ同じキャラで他の漫画家や確かに当時レコードでも映画でも当時翼賛ものありますから、メディアミックスとか言ってここを取り上げたいのでしょうか。何を今更ともおもいますが、翼賛漫画面白くないのに。意外とこの長谷川町子の単行本の『進め大和一家』は、雑誌連載時と違って、作品の色使いとか絵とかいいですけどね。そんな話でもないでしょう。 手塚が戦前に翼賛絡みの作品が多数発表してたというのは、前々から知ってる人は知ってる話で、私なんかも30年くらい追いかけてました。酒井さんなんは当時、大塚さんが取り上げてない本でもいっぱい翼賛もの書いてます。 大塚さんは、当時、翼賛漫画を描いている主流の漫画家達を取り上げるのではなくて、長谷川町子や酒井七馬、手塚?なんかの当時でいうと脇を取り上げるのは、当時の主流派のことはもう誰も知らないという判断なんでしょうね。 |

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