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さて、またソフトブレーンからのメルマガが届き、またまた論語についてのシリーズが掲載されていて、改めて論語を読んでみたい!と思える内容だったので、記録としてここに載せさせてもらいます。
前回の品格の本にもありましたが、相手を思う気持ち・・という気持ちが欠如していれば、その時点で、仕事では成功者であったとしても人としての成功者とは言えない・・ということなのでしょうか・・。
深い・・・・・・
第六回 歴史を未来への道具とする
守屋 淳
実は、孔子にも目標とする歴史上の偉人がいました。
それが周王朝の創始者の一人、周公旦という人物なのです。孔子は春秋時代の
末期に活躍しましたが、時の王朝は「周」で、その草創期に文化制度を作った
のが周公旦だといわれています。その憧れぶりはかなり激烈で、
・ああ、私もすっかり気力が衰えてしまった。周公が夢に現れなくなって、も
うどれくらいたっていることか(甚だしいかな、吾が衰えたるや。久しいかな、
吾また夢に周公を見ず)述而篇
という言葉さえ残されています。現代でいえば、アイドルの熱烈なファンが、
毎晩、彼や彼女を夢に見るように、孔子が元気な頃は、ずっと周公旦を夢に見
ていたのです。
しかし――ここが孔子の素晴らしい所なのですが、孔子はひいきの引き倒しに
はなりませんでした。こんな言葉も『論語』には残されています。
・周公のような素晴らしい能力に恵まれていても、そのために人を見下したり、
また、人のために出し惜しむとしたら、他にどんな美点を持っていてもすべて
帳消しになってしまう(もし周公の才の美あるも、驕かつ吝ならしめば、その
余は観るに足らざるのみ)泰伯篇
たとえ夢にまで見ている周公旦でも、エバリ腐っていたり、ケチだったりした
ら俺は認めないよ、と孔子は言うのです。この言葉を鑑みる限り、孔子とは、
物事を見るのに透徹したバランス感覚を持つ人物でした。好きな相手でも過大
評価しすぎず、嫌いな相手でも切り捨ててしまうことがなかったのです。
だからこそ、『論語』にはこんな一節が記されています。
・孔子の弟子の顔淵が、国の治め方について尋ねた。孔子が答えるに、「夏王
朝で使っていた暦を使い、殷王朝で使っていた馬車を使い、周王朝で使ってい
る冠を使いなさい」(顔淵、那を為めんことを問う。子の曰く、夏の時を行い、
殷の輅に乗り、周の冕を服す)衛霊公篇
憧れの周公旦が作った周の文化制度なわけですから、当然それがすべてに一番
と考えそうなものですが、孔子は違ったのです。あくまで冷静な視点で歴史を
見つめ、他王朝でも良いものがあればそれを取り入れ、現代に活かそうとしま
した。
この意味で、孔子にとって歴史とは、未来に活かすべき道具に他なりませんで
した。良いとかダメとか、バカだとかマシだとか、主観的な評価でぶった切っ
て喜ぶ対象ではなく、「何に使えるのか」「どうすれば活かせるのか」を冷静
に考えるべき対象だったのです。
実は、こうしたバランス感覚を備えていた偉人が、日本にもいました。それが
日本の資本主義の父、渋澤栄一なのです。彼は、『論語』に心酔し、その教え
によって日本的な資本主義や経営を形作ろうとしましたが、次のような言葉を
残しています。
《論語は最も欠点の少ない教訓であるが、この論語で商売はできまいかと考え
た》『論語と算盤』国書刊行会
つまり、『論語』は素晴らしいが、欠点もある、と栄一は考えていたのです。
また、この書き方からは、栄一はおそらく、他の仏教やキリスト教、武士道な
どの教えなども幅広く見聞したうえで、『論語』がベストと結論付けた跡が見
えてきます。
「心酔しても、ひいきの引き倒しにならない」という、絶妙のバランス感覚を
持っていたからこそ、孔子や渋澤栄一は、時代を超えた偉人となった一面もあ
ったのでしょう。
*守屋淳 1965年東京生まれ。作家。著書に『最強の孫子』(日本実業出版
社 1,500円)『活かす論語』(日本実業出版社 1,500円)、講演CDに『新
説 孫子の兵法』(日経BP社 32,000円)『ビジネス版 三国志』(日経BP
社 36,000円)などがある。
http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/main/148222104720.html
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