♂!♀?

GWは単なる週末でした。

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谷崎潤一郎の名前は広く知られています。もっとも、具体的な作品は読んでいない人が過半数だと思います。偉大な作家というより、女性の肉体を表現する老作家という先入観もあるでしょう。

 小説を読むという行為では、誰しも主人公に感情移入をするのだと思います。感情移入をしても共感&感動を得られない小説も存在します。私にとっての共感&感動を得られなかった小説は『罪と罰』でした。犯罪行為を正当化する主人公に共感できなかったのです。他には、ファンタジーの名作『指輪物語』ですね。他力本願&弱弱しい主人公に共鳴できなかったです。

 で〜も、この谷崎の『刺青』の主人公に、私は共感&共鳴したのでした。画家・彫刻家・版画家・写真家、美を求める者は究極の素材&テーマに自分のありったけの技を注ぎこみ至高の美を追い求めるのです。それを探し当てられずに惑ってしまう芸術家もいます。

 もちろん、刺青とは入墨のことです。『刺青』は谷崎の処女小説として、明治43年十一月に『新思潮』で発表された短編です。明治政府は刺青をアイヌの刺青すら『野蛮だ』って禁止。アイヌの文化としての刺青を野蛮!欧米の文化&化学力に追いつけ!こんな時代に『刺青』を発表した谷崎の『政府が禁止した刺青は芸術だ!』といった反骨根性が感じられるのです。

 作品冒頭部の『愚』と云ふ貴い徳を持った時代は江戸時代。世界史の中では戦争が繰り返されるのに、日本はミラクルピースで300年もの天下泰平。日本の文化はジャポニズムとして世界に輸出。この江戸文化の円熟期、腕利きとされる彫り物師の紹介から物語りはスタートします。

 主人公の清吉は浮世絵師を目指しながらも、刺青師に転落。でも、清吉の志は、清吉の宿願は『光輝ある美女の肌を得て、それへ己の魂を刺し込むこと』。美女の肌に刺青を彫ることが清吉の快楽なのではないことを強調して、清吉の長年の宿願&悲願を説明しています。

 では、刺青師・清吉の快楽って何?

 清吉の快楽は、刺青を施している最中の苦しむ♂を見ること。お客様の苦痛を喜ぶ性癖!ホントに、なんてイヤな奴なんでしょう。治療中の患者さんの苦痛を楽しむ歯医者さん!のような人間?実に、サディストなんです。他者の苦痛を見て、自己の至福の喜びを感じるなんてさぁ、はっきりいってデモ〜ニシュ!また、逆の立場で可虐を蒙ることで喜びを感じる者がいることも、現実の事実。♂を踏みつけグリグリ、美女に対しては命を賭して平伏してギュッっと踏みつけられる。う〜ん、誰しもこういう気持があるよね。

 まぁ兎に角、清吉のサディスティックな面が描写されてて、快楽と宿願の違いが説明されてます。でっ、宿願を抱いた四年目に焦がれ続けた美女を発見するものの、清吉は見逃してしまいました。顔やスタイルに惹かれたのでは無く、清吉が惹きつけられたのは足!足を見ただけで、清吉は宿願の美女を発見しました。主人公は足フェチ?い〜や、谷崎自身がフェチなのだろうと思われます。

 冒頭部からここまでが過去だとすると、宿願の娘との再開が現在。文中の時間は、清吉が宿願の美女を求めつづけた5年間のことですが、出来事としては一昼夜です。

 宿願の娘が使いの者として清吉の前に来訪して物語は転換します。清吉の過去の説明から現在へ。清吉が初めて見る宿願をかなえる美女の器量の描写。

 清吉が娘に見せた二幅の絵は、作中に登場する特殊なアイテムです。谷崎は読み手に何を連想させようとしたのでしょうか?二幅の絵は何を意味するのでしょうか?日清&日露戦争の寓意だと、谷崎研究家は言ってます。でも、私は娘の前世と未来予想図であると思います。娘の前世は西太后のような毒婦で、娘の未来は男を肥しに君臨する女王様。娘が絵を見て恐怖したのは、自分の秘められた願望が表現されていたからでした。(娘の願望は後述)

自分の宿願の娘の意識を失わせて、昏倒している娘に刺青を施す現場。犯罪に近い行為で彫り上げられた作品は女郎蜘蛛。清吉は自分の悲願とする娘に対し、マゾヒスティックな面を見せます。清吉の魂が打ち込まれた女郎蜘蛛の刺青によって変身した娘は、もう娘ではなくてヴァンプ!清吉を肥料にして娘から悪女になった姿が結末部で読みとれます。娘は以前とは逆の性格となるのです。さらに、宿願を果し肥やしになった清吉の死をも暗示されています。『自分の生命を賭しても美を創造する』この悲願の為には、非合法&犯罪に近い行為さえも正しいと、当然だとしてるのです。芸術家を自称すれば何でも許されるわけではないのです。がっ、しかし、芸や美を究めることを目的とする者の中には、多少なりともそういう傾向があるのは否めません。(私の美への好奇心も)

現代では刺青とか特殊なマイノリティの世界は、ファッションの一部となりつつあっても、普通の生活を送っている人に嫌悪を感じさせます。主人公・清吉は最高の素材を見抜き、さらに自己の匠の技で磨き立て、至高の女&美を創造しました。

娘は最後に清吉に『お前さんは真っ先に私の肥料になったんだねえ』と言います。私的には『命を賭した至高の美』を創造することができた清吉の方が幸せだと思います。だから、私は『刺青』に嫌悪を感じません。

不二家のぺコちゃんが、熱帯の毒蛇のように、『ワタシ、病気持ちでヤバいです』って感じるケバい夜の蝶のように変身するのです。『ナウシカ』のイロイロな植物と蟲。『私っ、毒持っててヤバいです』って言わんばかりの、警戒色バリバリの体はオシャレでカラフル&デモーニシュ!私の美意識の範疇を超えた前衛的なボディや外骨格のテクスチュがぁ〜、アバンギャルド!

うっ、脱線。

 ♂を苦しませる美女を創造することこそが宿願であるとする清吉。臆病な心を捨てたい願望を持ってた娘。二人はお互いに運命的な出会いをしました。

 人は誰しも変身願望というものを持っています。舌先を蛇のように割るスプリットタン、ボディピアスもその一つであろうし、宿願の娘が刺青を背負って性格が変わっていったように、何らかのきっかけを誰もが無意識のうちに探しているのです。この作品は人間として当然持っている願望を、耽美に美しく描いているのです。自分の手で理想の女性を作り出すという考えは、理想の女性を遠くから眺め、場合によっては友人に譲るという漱石の作品とは異った谷崎の執念を感じます。

 人の心の中の奥底に潜む願望を、耽美に優美に唯美に、至高の美を谷崎は描いたのでした。アーティストの至福をも描いたのです。ぜひ、読んでみて下さい。あなたの谷崎先入感が変わるかもしれません。

  最後に、私的な考えでは『自分で背負う刺青は無意味』だと思っています。だって、どんなに素晴らしい刺青を背負っても自分では愛でられません。作中の娘も他者(たぶん♂)の目で評価を受けるのです。私は作品&作品を見て感嘆する鑑賞者の顔を、交互にではなく同時に見たいのです。

 やっぱ、アーティストは彫る側だっぺでしょう?

ちょっと前のAOL芸能NEWS全文。
 女優、吉井怜(23)が、文豪、谷崎潤一郎原作の「刺青 SI−SEI」(2月25日公開、佐藤寿保監督)で映画初主演し、全身に“刺青”を入れたことが19日、分かった。サンケイスポーツは映画のシーンを独占入手。刺青は劇用だが、大胆なヌードになって12時間かけて描かれた。吉井は「すごくいい経験でした。今後もいろいろなことに挑戦したい」と意欲的だ。
 約2年間、白血病と闘い、14年9月に復帰した吉井。ここまで見せたことがないというヌードになって刺青も体当たりで挑戦。悶々とする紋々シーンが完成した。
 「刺青−」は谷崎潤一郎原作の文芸作品で、彫物師・来栖精像(弓削智久)が、最高のカンバス=背中を持つ雨宮美妙(吉井)との刺青を通した心の交流を描くヒューマンドラマ。昭和41年に増村保造と若尾文子、同59年に曾根中生と伊藤咲子の主演で映画化されて話題となり、今回は3度目の映画化となる。
 吉井の起用理由について、プロデューサーの今井朝幸氏は「つらい時期を乗り越えてきた吉井さんが、女優として、大人の女性をどのように演じるか見たかった」といい、佐藤監督は「理由の一つは刺青が映える白い肌だった」と説明する。
 撮影は11月に都内のスタジオで行われ、作品の核となる刺青は12時間かけて、肌絵師(刺青のように描ける職人)の田中光司氏によって入れられた。刺青のタイトルは「八重垣姫」で、女性が鬼に変化していく様子が描かれている。刺青を入れられていくことによって、2人の関係や立場が変化していく大事なシーンは密室で2日間かけて集中して撮影された。
 佐藤監督は「吉井さんはこちらの要求に素直に応えてくれた。この素直さはこれから役者をやる上で伸びていく要素になると思う。この難しい作品で、一皮むけたのでは」と高く評価。作品全体についても「脚フェチと言われる谷崎氏だが、その描写は表現できたと思う」と吉井の美しさを存分に引き出せたようだ。
 ヌードに刺青と体を張って挑んだ吉井は「覚悟はあったのですが、うまく言葉では表せられません。すごくいい経験でした」。今後は「そのときの自分にしか出来ないことをいろいろと挑戦して自分の感性を磨きたい」と女優業にまい進する意気込みだ。

ど〜しようかなぁ。
DVD発売してから買おうか?
死を乗り越えた演技!
かなり、期待してるんだけどねぇ。。。

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随分酷い感想文だな

2018/7/6(金) 午後 1:00 [ hrk***** ]

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