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飢饉は故郷カナンの土地にも及んで、
ヨセフの兄弟は食料の買い付けにエジプトにやって来る。
昔〜、ヨセフを売り払った兄弟達はエジプトの宰相がヨセフだとは知りません。
さぁ、ヨセフの心情は如何に?
ヤコブは、エジプトに穀物があると知って、息子たちに、
「どうしてお前たちは顔を見合わせてばかりいるのだ」と言い、更に、
「聞くところでは、エジプトには穀物があるというではないか。
エジプトへ下って行って穀物を買ってきなさい。
そうすれば、我々は死なずに生き延びることができるではないか」
と言った。
ヤコブの命令でエジプトにやってきたヨセフの兄弟。
同腹の弟がいないので、ヨセフは言いがかりを付けて兄弟達を投獄。
獄中で兄弟達は、、、
彼らは同意して、互いに言った。
「ああ、我々は弟のことで罰を受けているのだ。
弟が我々に助けを求めたとき、あれほどの苦しみを見ながら、耳を貸そうともしなかった。
それで、この苦しみが我々にふりかかった。」
すると、ルベンが答えた。
「あのときわたしは、『あの子に悪いことをするな』と言ったではないか。
お前たちは耳を貸そうともしなかった。だから、あの子の血の報いを受けるのだ。」
彼らはヨセフが聞いているのを知らなかった。
ヨセフは彼らから遠ざかって泣いた。
食料を持たせ帰郷を許すのですが、同腹の弟に会いたいがために条件をつけます。
そして、再度、全員でやってきた兄弟達をもてなします。
執事は一同をヨセフの屋敷に入れ、水を与えて足を洗わせ、ろばにも餌を与えた。
彼らは贈り物を調えて、昼にヨセフが帰宅するのを待った。
一緒に食事をすることになっていると聞いたからである。
ヨセフが帰宅すると、一同は屋敷に持って来た贈り物を差し出して、
地にひれ伏してヨセフを拝した。
ヨセフは一同の安否を尋ねた後、言った。
「前に話していた、年をとった父上は元気か。まだ生きておられるか。」
「あなたさまの僕である父は元気で、まだ生きております」
と彼らは答え、ひざまずいて、ヨセフを拝した。
ヨセフは同じ母から生まれた弟ベニヤミンをじっと見つめて、
「前に話していた末の弟はこれか」と尋ね、
「わたしの子よ。神の恵みがお前にあるように」と言うと、
ヨセフは急いで席を外した。
弟懐かしさに、胸が熱くなり、涙がこぼれそうになったからである。
ヨセフは奥の部屋に入ると泣いた。
やがて、顔を洗って出て来ると、ヨセフは平静を装い、
「さあ、食事を出しなさい」と言いつけた。
食事は、ヨセフにはヨセフの、兄弟たちには兄弟たちの、
相伴するエジプト人にはエジプト人のものと、別々に用意された。
当時、エジプト人は、ヘブライ人と共に食事をすることはできなかったからである。
それはエジプト人のいとうことであった。
兄弟たちは、いちばん上の兄から末の弟まで、
ヨセフに向かって年齢順に座らされたので、驚いて互いに顔を見合わせた。
そして、料理がヨセフの前からみんなのところへ配られたが、
ベニヤミンの分はほかのだれの分より五倍も多かった。
一同はぶどう酒を飲み、ヨセフと共に酒宴を楽しんだ。
帰り際に同腹の弟ベニヤミンを引きとめるために、
また言いがかりをつけます。
ヨセフは、そばで仕えている者の前で、もはや平静を装っていることができなくなり、
「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。
だれもそばにいなくなってから、ヨセフは兄弟たちに自分の身を明かした。
画像1:Cornelius, Peter von 1783-1867 『Joseph Recognized by his Brothers』
兄弟に名乗るヨセフ。自分が兄弟たちに売られたヨセフだと自白。
ヨセフは、声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、
ファラオの宮廷にも伝わった。
ヨセフは、兄弟たちに言った。
「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」
兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかった。
ヨセフは兄弟たちに言った。
「どうか、もっと近寄ってください。」
兄弟たちがそばへ近づくと、ヨセフはまた言った。
「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。
しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、
責め合ったりする必要はありません。
命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。
この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、
まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。
神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、
この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、
大いなる救いに至らせるためです。
わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。
神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、
エジプト全国を治める者としてくださったのです。
急いで父上のもとへ帰って、伝えてください。
『息子のヨセフがこう言っています。
神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。
ためらわずに、わたしのところへおいでください。
そして、ゴシェンの地域に住んでください。
そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、
わたしの近くで暮らすことができます。
そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。
まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、
困ることのないようになさらなければいけません。』
さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。
ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのです。
エジプトでわたしが受けているすべての栄誉と、
あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください。
そして、急いで父上をここへ連れて来てください。」
ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。
ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いた。
ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。
その後、兄弟たちはヨセフと語り合った。
ヨセフは兄弟達の罪を許し、エジプトへの移住を勧めます。
喜びの中兄弟達はヤコブに報告。
「よかった。息子ヨセフがまだ生きていたとは。わたしは行こう。
死ぬ前に、どうしても会いたい。」
イスラエルは、一家を挙げて旅立った。
ヨセフは車を用意させると、父イスラエルに会いにゴシェンへやって来た。
ヨセフは父を見るやいなや、父の首に抱きつき、その首にすがったまま、
しばらく泣き続けた。
イスラエルはヨセフに言った。
「わたしはもう死んでもよい。お前がまだ生きていて、
お前の顔を見ることができたのだから。」
カナンの土地からエジプトに一族すべて移住して、父との感動的な再会。
ヨセフはファラオのところへ行き、
「わたしの父と兄弟たちが、羊や牛をはじめ、すべての財産を携えて、
カナン地方からやって来て、今、ゴシェンの地におります」と報告した。
そのときヨセフは、兄弟の中から五人を選んで、ファラオの前に連れて行った。
画像2:Granacci, Francesco 1477-1543
『Joseph Presents his Father and Brothers to the Pharaoh』 1515
ファラオに謁見。過酷な飢饉を乗り越え生き延びます。
これらのことの後で、ヨセフに、「お父上が御病気です」との知らせが入ったので、
ヨセフは二人の息子マナセとエフライムを連れて行った。
ある人がヤコブに、「御子息のヨセフさまが、ただいまお見えになりました」
と知らせると、イスラエルは力を奮い起こして、寝台の上に座った。
画像3:REMBRANDT Harmenszoon van Rijn 1606−1669
『Jacob Blessing the Children of Joseph』 1656
ヨセフの子供たちを祝福するヤコブ。
ヨセフの兄弟たちは、父が死んでしまったので、ヨセフがことによると自分たちをまだ恨み、
昔ヨセフにしたすべての悪に仕返しをするのではないかと思った。
そこで、人を介してヨセフに言った。
「お父さんは亡くなる前に、こう言っていました。
『お前たちはヨセフにこう言いなさい。確かに、兄たちはお前に悪いことをしたが、
どうか兄たちの咎と罪を赦してやってほしい。』
お願いです。どうか、あなたの父の神に仕える僕たちの咎を赦してください。」
これを聞いて、ヨセフは涙を流した。
やがて、兄たち自身もやって来て、ヨセフの前にひれ伏して、
「このとおり、私どもはあなたの僕です」と言うと、
ヨセフは兄たちに言った。
「恐れることはありません。わたしが神に代わることができましょうか。
あなたがたはわたしに悪をたくらみましたが、神はそれを善に変え、
多くの民の命を救うために、今日のようにしてくださったのです。
どうか恐れないでください。
このわたしが、あなたたちとあなたたちの子供を養いましょう。」
ヨセフはこのように、兄たちを慰め、優しく語りかけた。
めでたし。
めでたし。
そして、大団円で創世記は終了し、モーセの出エジプト記に続くぅ〜。
宗教的雰囲気や教訓が余りないので、物語性のある肩のこらない読み物だと思います。
まぁ、じっくり読むと、ヨセフの心理描写とか、
小説的面白さがあって、かなり私的には良い話です。
注1.私のHPでは絵画主題としての旧約聖書を取り上げたいと思いますので、
物語の整合性は求めていません。
布教するつもりもありません。
絵画を読み解く知的遊戯ってことで御理解下さいませ。
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