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17・18章省略。
イスラエルに王がいなかったそのころ、
エフライムの山地の奥に一人のレビ人が滞在していた。
彼はユダのベツレヘムから一人の女を側女として迎え入れた。
しかし、その側女は主人を裏切り、
そのもとを去ってユダのベツレヘムの父の家に帰り、四か月ほどそこにいた。
夫は若者を伴い、一軛のろばを連れて出で立ち、彼女の後を追い、
その心に話しかけて連れ戻そうとした。
彼女が彼を父の家に入れると、娘の父は彼を見て、喜び迎えた。
そのしゅうと、娘の父が引き止めるので、
彼は三日間そこにとどまり、食べて飲み、夜を過ごした。
四日目の朝早く彼は起きて出発しようとしたが、娘の父が婿に、
「パンを一切れ食べて元気をつけ、それから出かけた方がいい」と言うので、
二人は一緒に座り、食べて飲んだ。
娘の父は男に、「どうか、もう一晩泊まってくつろいでください」と言った。
男は立ち上がって出発しようとしたが、しゅうとがしきりに勧めるので、
また泊まることにした。
五日目も朝早く彼は出発しようとしたが、娘の父が、
「元気をつけた方がいい」と言うので、
二人は日の傾くころまでゆっくり食事をした。
彼が側女と若者を連れて出発しようとすると、そのしゅうと、娘の父は、
「日もかげってきて、もう夕方です。
もう一晩お泊まりください。
日は暮れかけています。
ここに泊まってくつろぎ、明朝早く起きて旅路につき、
家に帰ることにしてはどうですか」と言った。
しかし、男は泊まろうとせず、立ち上がって出発し、
エブスすなわちエルサレムを目の前にするところまで来た。
彼は鞍をつけた一軛のろばと側女を連れていた。
彼らがエブスの近くに来たとき、日は大きく傾いていた。
若者は主人に、
「あのエブス人の町に向かい、そこに泊まることにしてはいかがですか」
と言ったが、主人は、
「イスラエルの人々ではないこの異国人の町には入るまい。
ギブアまで進むことにしよう」と答えた。
更に彼は若者に、
「さあ、このいずれかの場所に近づいて行き、
ギブアかラマに泊まることにしよう」と言った。
彼らは旅を続け、ベニヤミン領のギブアの近くで日は没した。
彼らはギブアに入って泊まろうとして進み、町の広場に来て腰を下ろした。
彼らを家に迎えて泊めてくれる者はいなかった。
画像1:Gerbrand van den Eeckhout 1621-1674
『The Levite at Gibea』 1650s
夕暮れに、一人の老人が畑仕事を終えて帰って来た。
この人はエフライム山地の出身であったが、ギブアに滞在していた。
土地の人々はベニヤミン族であった。
老人は目を上げて、町の広場にいる旅人を見、
「どちらにおいでになりますか。
どちらからおいでになりましたか」と声をかけた。
彼は老人に答えた。
「わたしたちは、
ユダのベツレヘムからエフライム山地の奥にあるわたしの郷里まで、
旅をしているところです。
ユダのベツレヘムに行って、今、主の神殿に帰る途中ですが、
わたしたちを家に迎えてくれる人がいません。
ろばのためのわらも飼い葉もありますし、
わたしとこの女、あなたの僕の連れている若者のためのパンもぶどう酒もあります。
必要なものはすべてそろっています。」
老人は、
「安心しなさい。
あなたが必要とするものはわたしにまかせなさい。
広場で夜を過ごしてはいけません」
と言って、彼らを自分の家に入れ、ろばに餌を与えた。
彼らは足を洗い、食べて飲んだ。
彼らがくつろいでいると、
町のならず者が家を囲み、戸をたたいて、
家の主人である老人にこう言った。
「お前の家に来た男を出せ。我々はその男を知りたい。」
家の主人は彼らのところに出て行って言った。
「兄弟たちよ、それはいけない。
悪いことをしないでください。
この人がわたしの家に入った後で、そのような非道なふるまいは許されない。
ここに処女であるわたしの娘と、あの人の側女がいる。
この二人を連れ出すから、辱め、思いどおりにするがよい。
だがあの人には非道なふるまいをしてはならない。」
しかし、人々は彼に耳を貸そうとしなかった。
男が側女をつかんで、外にいる人々のところへ押し出すと、
彼らは彼女を知り、一晩中朝になるまでもてあそび、
朝の光が射すころようやく彼女を放した。
朝になるころ、女は主人のいる家の入り口までたどりつき、
明るくなるまでそこに倒れていた。
画像2:Gustave Dore 1833-1883
『The Levite finding the corpse of the woman』 1865
彼女の主人が朝起きて、旅を続けようと戸を開け、
外に出て見ると、自分の側女が家の入り口で手を敷居にかけて倒れていたので、
「起きなさい。出かけよう」と言った。
しかし、答えはなかった。
画像3:Gustave Dore 1833-1883
『The Levite bearing away the body of the woman』1865
彼は彼女をろばに乗せ、自分の郷里に向かって旅立った。
家に着くと、彼は刃物をとって側女をつかみ、
その体を十二の部分に切り離し、イスラエルの全土に送りつけた。
これを見た者は皆言った。
「イスラエルの人々がエジプトの地から上って来た日から今日に至るまで、
このようなことは決して起こらず、目にしたこともなかった。
このことを心に留め、よく考えて語れ。」
注1.私のHPでは絵画主題としての旧約聖書を取り上げたいと思いますので、
物語の整合性は求めていません。
絵画を読み解く知的遊戯ってことで御理解下さいませ。
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