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青山墓地の遊歩道はホントに桜の回廊。一方通行で車も走る。ちょっと肌寒く、私たちはコートをON。ピンク、桃色。カクテルだったら、カンパリかグレナデン・シロップになに混ぜよう。歩いてる人もなぜかセンスがいい。マンバもセンターGAYもいない。カッコイイ外人のカップルとすれ違った。でも、木立の間から見える灰色の四角柱と卒塔婆がミスマッチ。千恵姉と腕を組んで歩く私の前を、瞳の色が左右違ってる猫がトボトボ。
「千恵姉、猫!」
私は猫にオイデオイデ。毛足の長いペルシャのミックスで少し短足。
「人間であんな瞳をもってたらイジメられちゃうよね」
「人間意外だったら天使か悪魔かなぁ」
千恵姉の言葉に私の返事。猫は私を一瞥、無視してテクテク。
「猫って人間の女性の声の周波数が好みに合ってて、男性よりは女性がすきなんだってさぁ」
猫に無視された私は目元をぬぐったけど、涙は流れてなかった。
「ファーストが猫なの?」
「そう」
千恵姉の肘が私のわき腹にヒット。そのうち猫にこだわってる理由を話してあげよう。ポツポツ歩いて、墓地の中央には墓参り者の臨時駐車場。
「マキちゃん、コッチ!コッチ!」
クレープや焼きそば屋台の端から、ママの呼ぶ声。ピクニックシートに座ったママ達は缶ビールを片手にもう姦しい。アルコールが体内を駆け巡ってるのか、コートを脱いで露出の高い服。
「ホラッ、千恵ちゃん飲んで飲んで」
出来上がってるマコ姉にビールを手渡された。
マコ姉はビールとクレープを交互にゴクゴク&モグモグ。
「ヨシコ姉は?」
「アッチで団体に混じってる」
「マキちゃん、嘘じゃなかったでしょ」
「ごめんなさい、かなり疑ってました」
ママに謝る私。
「千恵姉、何か食べたい?」
「クレープ買ってきて」
「ラジャー」
テクテク、私はお買い物。ダメ、ムサイ叔父さんが焼いてる。木立の間からは墓石。明治時代、日本の近代化に貢献した外国人の洋風の墓もポツポツ。抱き合ってるカップルがチラホラ。な〜んか場違い?おっ、あっちではお姉さんが焼いてる。
「マキちゃん、遅いよ。千恵ちゃんが厭きちゃうよ」
「オネエさんのクレープが混んでてさぁ」
「何でワザワザ遠いトコで買って来るのよっ。ほんと、要領悪い」
ミエ姉の質問。
「だって、オヤジだったら、トイレ行っても手ぇ洗わないかも知れないじゃない?」
ビタン、後頭部にマコ姉の平手。
「何〜であたし達が食べ終わってからそんなコト言うのよっ!」
「口直しに寄こしなさいよ!」
ミエ姉にクレープを取上げられた。
「マキちゃん、桜ってキレイだね」
千恵姉はアルコールと桜でウットリ。
「うん。来て良かったね」
「アタシ、上京してから花見てキレイって思ったこと無かったよ」
私は千恵姉がリラックス出来るように肩をモミモミ。コートを脱いで襟元から見える鎖骨に私は桜より見惚れながら…。背中を押す右手親指が、人差し指が、中指がブラのホックをピシッ。胸元に滑り込む私の左手。
「どうしたの?」
「キレイだなって思ってさぁ」
「ゆうべ出来なかったくせに」
「だって、サバが見てるんだよ。出来ないって」
アメショーのサバのネコパンチ&ネコキックの攻撃とクリクリの瞳が気になって萎えちゃった私。
「もう大丈夫なんだ?」
「自分から触る場合なら鳥肌は出ないみたい」
「マキちゃんはビアンみたい」
「それって?褒めてんの?」
「マキちゃん、アタシさぁ、お店の仲間に入れて貰って嬉しいなぁ」
背後から抱きしめる私。
「そこっ、お墓で発情禁止!」
「お墓で姦ったらバチ当るわよ!」
ミエ姉とマコ姉の教育的指導。
「アッ、さては私に惚れてて、私達の赤い糸切りしようと思ってんじゃないの?」
「あんた達を見てたら暑いのよ」
「エ〜ッ、あっちのバカップルにも言ってきてよ」
顔だけ動かして、他のペアを指示する私。
「見ず知らずの人に言えないわよ」
「大体、見せ付けてんじゃないわよ」
「なにさぁ、八つ当たりじゃない」
「八つ当たりのどこが悪いの?」
開き直る姉さん達。
「ホラ、ホ〜ラ。ケンカしないの。ヨシコが団体捕まえたから行くわよ」
ママにシブシブのマコ姉とミエ姉。
「マキちゃんはお店開けて頂戴ね」
私はお客様で、てんてこ舞い。ママ達はブラに名刺をシコタマ挟んでカモの団体連れて、フラフラになって来店!
やれやれ。
めでたくなし。
めでたくなし。。。
つづく〜
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