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第4章
画像1:GELDER, Aert de 1645-1727
『Esther and Mordecai』 1685
画像2:LIPPI, Filippino 1457-1504
『Mordecai laments, Esther faints before Ahasuerus, and Haman implores Esther's grace in vain』 −
モルデカイは事の一部始終を知ると、衣服を裂き、粗布をまとって灰をかぶり、都の中に出て行き、苦悩に満ちた叫び声をあげた。
更に彼は王宮の門の前まで来たが、粗布をまとって門に入ることは禁じられていた。
勅書が届いた所では、どの州でもユダヤ人の間に大きな嘆きが起こった。多くの者が粗布をまとい、灰の中に座って断食し、涙を流し、悲嘆にくれた。
女官と宦官が来て、このことを王妃エステルに告げたので、彼女は非常に驚き、粗布を脱がせようとしてモルデカイに衣服を届けた。しかし、モルデカイはそれを受け取ろうとしなかった。
そこでエステルはハタクを呼んでモルデカイのもとに遣わし、何事があったのか、なぜこのようなことをするのかを知ろうとした。ハタクは王に仕える宦官で、王妃のもとに遣わされて彼女に仕えていた。
ハタクは王宮の門の前の広場にいるモルデカイのもとに行った。
画像3: WEIGEL, Johann Christoph 1654-1725
『Hathach and Mordecai』 1695
モルデカイは事の一部始終、すなわちユダヤ人を絶滅して銀貨を国庫に払い込む、とハマンが言ったことについて詳しく語った。
彼はスサで公示されたユダヤ人絶滅の触れ書きの写しを託し、これをエステルに見せて説明するように頼んだ。同時に、彼女自身が王のもとに行って、自分の民族のために寛大な処置を求め、嘆願するように伝言させた。
ハタクは戻ってモルデカイの言葉をエステルに伝えた。
エステルはまたモルデカイへの返事をハタクにゆだねた。
「この国の役人と国民のだれもがよく知っているとおり、王宮の内庭におられる王に、召し出されずに近づく者は、男であれ女であれ死刑に処せられる、と法律の一条に定められております。ただ、王が金の笏を差し伸べられる場合にのみ、その者は死を免れます。三十日このかた私にはお召しがなく、王のもとには参っておりません。」
エステルの返事がモルデカイに伝えられると、
モルデカイは再びエステルに言い送った。
「他のユダヤ人はどうであれ、自分は王宮にいて無事だと考えてはいけない。
この時にあたってあなたが口を閉ざしているなら、ユダヤ人の解放と救済は他のところから起こり、あなた自身と父の家は滅ぼされるにちがいない。この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか。」
エステルはモルデカイに返事を送った。
「早速、スサにいるすべてのユダヤ人を集め、私のために三日三晩断食し、飲食を一切断ってください。私も女官たちと共に、同じように断食いたします。このようにしてから、定めに反することではありますが、私は王のもとに参ります。このために死ななければならないのでしたら、死ぬ覚悟でおります。」
そこでモルデカイは立ち去り、すべてエステルに頼まれたとおりにした。
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