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画像1:GUARDI, Gianantonio 1699−1760
『The Marriage of Tobias』 1750
第12章
婚礼の宴が終わると、トビトは息子トビアを呼んで言った。
「トビア、お前と一緒に行ってくれた人に報酬を支払うのをくれぐれも忘れないように。
少し多めに払いなさい。」
トビアは父に答えた。
「お父さん、報酬はどのくらい支払いましょうか。
彼がわたしと一緒に持ち帰ってくれた財産の半分を支払ってもわたしはかまいません。
彼はわたしを無事に導き、妻の苦悩も解決し、例のお金も一緒に持ち帰ってくれました。
そしてあなたをもいやしてくれたのです。
どのくらいまで支払いましょうか。」
トビトは、「持ち帰って来た物の半分を彼が受け取るのは当然だ」と答えた。
そこでトビアはラファエルを呼んで告げた。
「持ち帰って来た物の半分を報酬として受け取ってください。
これからの御無事を祈ります。」
ラファエルはトビトとトビアの二人だけを呼び寄せて言った。
「いつも神をほめたたえていなさい。
神があなたがたのためにしてくださった数々の恵みをすべての人々に告げて感謝し、人々が神の御名をほめたたえ、賛美の歌をうたうようにしなさい。
神がなさったことを、畏敬の念をもってすべての人々に語り、神に感謝することをためらってはなりません。
王の秘密は隠されていて当然だが、神のもろもろ御業は明らかにされ、畏敬の念をもって宣べ伝えられるべきです。
善い業に励みなさい。
そうすれば災いに遭うことはありません。
真実をもって祈りをささげ、正義をもって慈善の業をする方が、不正を行って金持ちとなるよりも、よいことです。
金をため込むよりも慈善の業をする方がはるかにすばらしいことなのです。
慈善の業は、死を遠ざけ、すべての罪を清めます。
慈善を行う者は、幸せな人生を送ることができます。
罪を犯し、不正を行う者は、自分自身を不幸にするのです。
わたしはあなたがたに、真実をことごとく明らかにし、何一つとして隠すことはしません。
『王の秘密は隠されていて当然だが、神のもろもろの御業は畏敬の念をもって明らかにされるべきだ』とはっきりとあなたがたに言ったとおりです。
さて、今だから言うが、トビアよ、あなたが祈り、サラが祈ったとき、その祈りが聞き届けられるように、栄光に輝く主の御前で執り成しをしたのは、だれあろうわたしだったのだ。
あなたが死者を葬っていたときもそうだった。
あなたが食事にも手をつけないで、ためらわずに出て行き、死者を手厚く葬ったとき、わたしは試みるためにあなたのもとに遣わされて来たのだ。
神はまた、あなたと嫁のサラをいやすためにわたしをお遣わしになった。
わたしは、栄光に輝く主の御前に仕えている七人の天使の一人、ラファエルである。」
トビトとトビアの二人は驚いてひれ伏し、恐れおののいた。
ラファエルは二人に告げた。
「恐れることはない。
安心しなさい。
とこしえに神をほめたたえなさい。
わたしがあなたがたと共にいたのは、あなたがたに好意をもっていたからというより、神がそう望まれたからである。
日々、神をほめたたえ、賛美の歌をささげなさい。
わたしが実際には何も食べなかったことは今お分かりでしょう。
食べているように見えていただけです。
さあ、地上で主をほめたたえ、神に感謝をささげなさい。
わたしはわたしを遣わされた方のもとに昇って行く。
あなたがたに起こったすべての事を書き記しなさい。」
こう言ってラファエルは天に昇って行った。
トビトとトビアは立ち上がったが、もはやラファエルの姿は見えなかった。
二人は神をほめたたえ、賛美の歌をうたい、神に感謝をささげた。
神の使いが彼らに現れ、このように偉大なことを神が行ってくださったからである。
画像2:REMBRANDT Harmenszoon van Rijn 1606―1669
『The Archangel Leaving the Family of Tobias』1637
画像3:Jan Victors 1619−1676
『The Angel Taking Leave of Tobit and His Family』1649
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