♂!♀?

GWは単なる週末でした。

掌編小説

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Side story 2

Side story 2(原稿用紙5.5枚)

『目指せ芸術家!』
ニコニコ笑って高い目標を喋ったマキ。
『芸術家って、オタクでネクラの甲斐性なしじゃない?』
『諦めなきゃなれるってさぁ。50年後なんて予定は未定』
『忍さんの絵を描いてるから、貰ってよ』
ホールでニコニコ。
当てにしてねぇよ。
『でも、作品を見せなきゃさぁ。口では何とでも言えるでしょ』
そうだね。
『口だけじゃ、ミュージシャン目指してるって、九九の八の段が言えないホストと変わんないでしょ?』
マキは相変わらずニコニコ。
アタシの店に届けに来てくれた絵は、もうアタシのお宝。悲母観音と鬼子母神の二枚。アタシの背中の鬼子母神。
ホントに貰ってイイの?
絵を見て言葉が出なくて、ようやく出せた言葉。
マキはニコニコ。
アタシの夢って何だろ?
夢って見たかな?
団地で育って、こんなトコ絶対に出てくって思ってた。家の頭金が貯まったら、親も団地出てくって、頑張ってた。共稼ぎでも、なかなか貯まんない金。気が付いたら、壊れかけた夫婦。焦るアタシ。抗議のための、非行?仲直りするまで帰らないって、家出?いっぱい心配かけて困らせてやる。友達のねぐらを渡り歩いて、親切な男の口車に乗ちゃって、ありきたりのパターン?欲しいものはメチャクチャ沢山あった。いつも、満たされなかった。はじめは寝る場所。その次は居場所が欲しかった。
『守ってやるから、言うこと聞けよ』
守られてんだか、敵だったのか?なぁんでこんな風になっちゃったんだろう?
『ふざけんなよ!ここまで来てなんだよ』
『もったいぶってんじゃねぇ』
当然のように、当たり前のように求められるSEX。男に『稼いで来い』って言われて何でも売った。マキ、何でも商品になったんだ。
アタシ、バカだよね。
『そんなこと言わないの』
何人目かの男が893でさぁ。
強い男が好きで、強さと権力がって。アタシも二・三日表出れないくらい、殴られたけど、強いアイツが誇りだった。
しょっちゅう喧嘩するのに、別れられなかったんだ。
よくある話じゃ〜ないかぁ〜♪性格は合わないけど、別れられない。
『魔法が効いてたんだねっ』
魔法?
『喧嘩しても、恋愛中の胸キュン状態でも脳内物質は放出されるんだって』
ドメスティクな夫婦が離婚しないのも、脳内物質のおかげ?
アイツは兄貴に恥をかかせたくないって頑張ってた。
上も舎弟を男にって、女の私が嫉妬するぐらいで。
女に会うより、目上の男に会うときの方がメカして、緊張してて。
アタシが嫉妬した相思相愛の兄弟愛。893の男と付き合いだして、女友達は消えてった。
男の力を自分の力だって勘違いしてたんだよ!
『しゃべると苦しいよ』
背中を擦るマキの柔らかい手。
男の金と権力!
ホント勘違いしてた。男の強さと権力はアタシの物じゃなかった。
子供が産まれて…、子供がっ…。
背中のマキの優しい手。
『ほらっ、もうしゃべんないのっ』
やっぱり、アタシはバカだった。左手に根性焼きの跡、薬指に鑑別行きましたってリングの墨。背中にも墨。薬指の墨を隠す幅広のシルバーリング。縄目の模様が凝ってる。このリングもアタシのお宝。

「忍さん、出てないねぇ。顔が暗いよ」
マキがニコニコ。両手で私の肩をモミモミ。
「今日はダメッ。出たり飲まれたり」
「私も隣に座ろうかな」
「バイトは?」
「うん、行くよ」
マキはニコニコ。おっ、私の台がケンシロウの紫オーラ。ケンシロウの北斗百裂拳。アタシは思わずニマニマ。
「ま〜た、マキのツキ貰っちゃったねぇ」
「えぇ〜、今日こそ、私が奢ってあげようって思ったのに」
「今日もマキのラッキー吸っちゃった。アタシの勝利!」
「吸血鬼みたい?」
「ホントに吸ってあげようか?」
「いいです」
「はい、いいえ、どっちよ?」
んっふふ、やっぱ、アタシは馬鹿だねぇ。
    つづく〜

Side story 1

Side story 1(原稿用紙6.5枚)

チッ!
ケンシロウのパンチで、ラオウの北斗剛掌波。ケンシロウの攻撃が強いほど期待度が◎で、敵の攻撃が弱いほど期待度が◎。ケンシロウの攻撃が弱くて、敵の攻撃が強いってことはトホホ。アタシの右手はレバーをペシペシ。ボタンをピッピッピッ。惰性の機械的な動き。目で追って狙ったって出やしない。設定だよ。設定のイイ台に座れる運だよ。
「ネエチャン、ツイてねぇなぁ」
パーラーの常連の爺ぃ。
「肩の手、退かせよ。もっとツキが逃げってしょっ!」
「スマンなっ、スマン」
アタシの肩を叩いた手がスゴスゴ。
「今日は彼氏いねぇなぁ」
「彼ぇ?」
ヒモとかツバメって思ってるくせに。
「あのっ、女みたいな」
「学校だよ」
オマエは何してんだよっ。
「寂しいだろ?」
「アッチ行けって!」
そのうち、自分に順番が回って来ると思ってんのかよ?寂しいかって、聞かれてムカムカ。
『自動ドアを通った時には、もうさぁ、勝つor負けるが決まってんじゃないの?』
マキ、そうかも?
マキに初めて会ったのは、この店。ぼ〜っと、盤面を流れる銀玉を見てたっけ。勝つぞ!なんて考えないで、ホントに時間潰しって感じ。上皿に玉が無くなったのに、た〜だ、ボ〜っと昼行灯って印象。道を歩いたらチェックが入るほどのアタシ。冬の寒さにも負けねぇで、露出度の高いアタシ。そのアタシの隣に座って無視!男か女どっちだろ?って思って声の掛けたんだっけ。
ジャラジャラジャラ〜。
ふふんっ、彼の台の上皿にアタシは玉を補給。驚いてアタシを見る彼の顔を見ると美〜人!
『ありがとうございますっ!』
彼はニコニコ、アタシの足元の箱をチラチラ見ながら礼。
『お金は大事に使いなさいね』
勝って偉そうに喋るアタシ。彼に五千円の使いかけのカードをピッ。指と指が触れてビクって。ははぁ、見かけは派手でもコイツはきっと…。
『ありがとうございます』
ニッコリした返事。丁寧でキレイな言葉と声。だから悪戯心が出たのかなぁ?ご飯食べて、腰振ってバイバイ。後腐れ無しの一回のみ。
『お姉さんがセッカクくれたのに、ごめんなさい。ムダにしちゃった』
すまなそうにアタシに礼をする彼。
『ゴハン奢ったげるから、カート持ってきて』
もうちょっと、話しててみたい。彼はカートをカラカラ。アタシは金をお財布に格納してニマニマ。
『私がこれだから…』
マキは左手の甲を右頬に当てて、アタシはフリーズ。
『マキは女の子になりたいの?』
『男じゃたいして稼げないけど、変身すれば稼げるでしょ』
納得。
『ケムシを見るような目で見られることもあるけどねぇ』
すっごく、納得。
『女になりたいわけじゃないけど、形で女になってるから、女らしさにこだわってるのかも?』
う〜ん、うまく化けてる。
『自分では男だと思ってる。だって、女性とセックスしたいもの〜』
『私がどんなにお化粧して着飾っても、女性の贋物。だから、笑いを誘うギャグ?』
見分けが付かないから、ショックなんだよ。
『忍さんは女であることに疑問持ったことない?』
疑問はないけど、男だったら良かったなって思ったことならあるよ。女って出世しねぇし。マキ、女のヤリマンて軽蔑される。男だったら逆に羨ましがられるだろっ。
いつだって姦られちゃうのは女だろ?
『姦られちゃう男もいるかもね?』
マキは人差し指で自分の鼻を指差して、ニコニコ。
じゃぁ、姦ってみようよ。
初めから、アタシはそのつもりだった。仕事で姦ってるから、自分の楽しみのためのSEXは相手を選びたいんだよ。
『ホラッ、姦りに行くぞっ』
『忍さん、そんなに酔ってできんの?』
『別にもう姦んなくてもイイよぉ』
結局、アタシは区役所通りを脇に入ったホテルのトイレでケロって、アタシは吐く合い間にポツポツ身の上話。顔は涙でクシャクシャ。パンツはお互いに脱いでない。
『団地で育って、こんなトコ絶対に出てくって』
『友達のねぐらを渡り歩いて、親切な男の口車に乗ちゃって、ありきたりのパターンでしょ?』
『喋んない方がイイよ』
『アイツは兄貴に恥をかかせたくないって頑張ってた』
『うん』
『上も舎弟を男にって、女のアタシが嫉妬するぐらいで』
『……』
『強い男が好きで、強さと権力がって。アタシも二・三日表出れないくらい、殴られたけど、強いアイツが誇りだった』
『うん』
『男の力を自分の力だって勘違いしてたんだよ』
『うん』
『アタシ、バカだよねっ』
『忍さん素敵だよ』
『背中、怖いでしょ?』
『全〜然、怖くないよ。素晴らしいアートだよ』
『絵の入ったオリジナルギターみたい』
アート?アートって何?
褒められることなんて、何ヶ月ぶり?何年ぶり?
しかも、年下に?ホント何年ぶりだったろう?
思い出せねぇ、馬&鹿だから。
       つづく〜。

♂!♀? ACT3!

  ACT3!(原稿用紙6.5枚)
 ドアベルがカラン。
「おはようございます」
ヨシコ姉と私の沈んだ挨拶。
「おはよう」
ママの返事。
「あれっ、同伴じゃなかったの?」
ママの疑問。
「ママぁ、聞いてよっ、マキちゃんが怒らしちゃって」
私はメゲメゲ、カウンターに入ってシェイカーをフリフリ。ミエ姉とマコ姉は、またやらかしたかって、無言。
「事務所で、お金貰って寿司屋に行ったとこまでは良かったのに」
私はヨシコ姉のグチを遠くに聞いてる。
ヨシコ姉は回らない寿司屋でニコニコ、高価な寿司ネタからモグモグ。浜田さんもニコニコ、私の絵&努力を褒めてくれた。ブチ壊したのは私の何気ない一言。私のミス。
『親兄弟を大切にしろよ』
墨背負って親不孝現在進行形の浜田さんが、私に説教。
『家なんかどうでもイイんですよ』
絵を学問と認めない親、言葉で何度も私を殺し続けた姉を連想して、私の口から出た言葉。
ブンッ、ガシャッ!
私の左肩口を飛行し、壁にぶつかり壊れた灰皿だった物体。
『この野郎、親はいつまでも親なんだぞ!』
野郎って、誰のことさぁ?年齢の逆転は不可能ってわかってるよ。
『オマエ、親の愛情いっぱい貰ってそだったんだろっ!』
いっぱいもらったから、姉の妬みもいっぱいだったよっ。
『育てて貰った恩ってもんがあんだろっ!』
恩も貰ったけど、憎しみもいっぱい貰ったんだよっ!
『親の金で大学まで行かせてもらってんだろっ!』
そう、私が大学進学したことすら姉は気に入らないんだよっ!
『どんな育ち方をしたんだっ!』
親の愛情以上に、姉に疎まれ踏まれて育ったよっ!血圧が上昇した浜田さんは私を罵声で罵倒。私は反論せずに、視線のレーザービーム。殴り掛かりたいけど、我慢しなくちゃ、だんだんストレスが蓄積されて目が潤んで…。
「マキちゃん、ちゃんと聞いてんの?」
ヨシコ姉の疑問。
「はいっ。すいません」
「それで、ママねぇ」
ヨシコ姉のグチが継続。
「浜田さんがマキちゃんにさぁ」
『オマエの目は人殺しの目だっ!』
灰皿投げられて優しい目なんか出来ないってさぁ。浜田さんを瞬きしないで、睨んでるから、目が乾いて涙が溢れる。決して、悲しくて泣いてる訳じゃない。
『自分がどうなってもいい目だっ』
ケンカ上等!
『相手を理解せず力ずくで黙らせるのが、貴方のやり方ですか?』
『なにっ、この野郎!』
浜田さんは握りをギュ。私の顔にあたり散らばるネタと酢飯。
『物を投げつけ、怒鳴れば言うことを聞くと思ってるんですか?』
『やめてっ』
立ち上がろうとした浜田さんを、縋って止めるヨシコ姉。
『お前等っ、出て失せろっ!』
私は正座したまま三つ指で御馳走様。寿司屋の前でヨシコ姉を待ってた。い〜や、急に痺れが出て歩けなかった。
「マキちゃん、もっと場の雰囲気とか考えてしゃべってよ」
「ヨシコ姉、すいませんでした」
善意の忠告とは、自分に迷惑が及ばないように布石。つまり、『お願いだから、何かあっても絶対私を巻き込まないでね』って、自己防衛。
「だいたい、マキちゃんはさぁ…」
なんで私はこんなにも攻撃されるのだろう?
佐伯祐三(1898〜1928)洋画家。鋭い感性と奔放な筆致で、パリの日常風景を描いた。パリでの製作活動中、結核を患い精神に変調をきたし三十歳で客死。日本の美術学校を卒業した佐伯はパリに渡航、巨匠ヴラマンクに遭遇。佐伯の画風はルノアールの亜流だったり、セザンヌの支流だったり。憧れのパリで有頂天のお上りさん状態。ヴラマンクは正規の美術教育を受けず独学で画家になったゴッホを尊敬し、色彩を叩きつけるような筆遣い。佐伯が持参した絵を見て、ヴラマンクは激怒。
『馬鹿野郎!アカデミズムに染まった絵じゃないか!』
『絵にまったく生命が無いぞ!』
一時間半もの間、ヴラマンクも佐伯を罵声で罵倒。怒られた後、佐伯の絵は変化。顔が無残に消された佐伯の自画像は、佐伯のショック&人真似じゃない自己を探し出す決意表明。芸術とは自己の内面の告白とか懺悔などいろんなもの。人真似なんかは問答無用。徹底し己、そのものを描くべし。佐伯はヴラマンクの怒りを受け止め、一皮剥けた?
「あたしだってフォローの限界があるんだからねっ」
「ヨシコ姉、すいませんでした」
「マキちゃん、もっと自分を大事に好きになれって言ったでしょ」
「でも、ママ…」
実の母以上に、姉以上に私を理解してくれるママの言葉に私は沈黙。
「自分を大切に出来ない人間が、他人を大切にできるわけがないでしょ」
「はい」
「自分を好きになれない人間が、他人を好きになれないでしょ」
「はい」
ママに素直な返事を返しつつ、
 一、敵の塩なんか受取り拒否!
 一、長い物には巻かれねぇよ!
 一、売られた喧嘩は上等だぁ!
ヤッパ、私は心の中で自分の戒律を再確認した。
 めでたくなし?
 そう、めでたくなし!

♂!♀? ACT2!

ACT2!(原稿用紙6.5枚)
「はぁ〜、お題は金太郎鯉かぁ」
私はアパートで写真をシゲシゲ、ブツブツひとり言。金太郎が自分より大きな真鯉をヨイショ。金太郎の顔は力を込めた雄雄しい顔。全体の色は赤・濃紺・黒・黄。金太郎を取巻く周囲の雲形の紺色グラデーションは主題を惹きたてる装飾。
「う〜ん」
やっぱり、全〜然ヤル気は起きない。和彫りイコール極め道で、やっぱ893。刺青は他人に威嚇&威圧を与える意味合いと、苦痛を我慢する男の見栄を張る意味とか、893同士の虚栄と自己顕示欲の象徴かなぁ?犯罪の汚れ仕事を引き受けるほど私の人間性は腐っていないけど、イイ気分じゃない。全身に施した刺青は肝臓を悪くしたり、墨が入ってる部分は汗がかけなくなって体温調節が鈍くなるとか。入れるときの痛みは、切れないカミソリで切られるような痛みらしい。確かに刺青は日本が誇る芸術だけど、私はTATOOシールとかPCソフトの合成で大満足。生きてるアート?
「お店に来た以上はお客様&依頼を承諾した以上は私の仕事」
最初から大きなサイズで描くのではなく、F8のスケッチブックに黙〜々、カキカキ。思わずディフォルメ。自意識過剰の前衛芸術作品?例えるなら、アル中で発狂寸前の画家がバフォメットのノートに名前書いて描いた、狂える金太郎と真鯉の恋心の誕生と受胎の光景。
「ダメじゃん…、ボツ」
天上天下唯我独尊で極め道まっしぐらの浜田さんに見せたら、持病の連続猟奇XX病がぁ再発してぇ〜、和蘭獅子頭のようなXXXでぇ〜、うっ笑えない。
「見たものを、見たままに」
過激武闘派テロリストの浜田さんが納得しますように、忠実に金太郎の下書きが終了。もち、鉛筆画。コンビニにGOして多量にコピー。コピーした絵にパステルで色彩バランスの試行錯誤。納得するまでゴシゴシ。出来るだけ色数を抑えつつ、雄雄しく見えるように。
「雄雄しくかぁ」
今の私にはかなり?マークがたくさん。でも、妥協は後悔のもと。谷崎潤一郎の『刺青』は浮世絵師を目指しつつ、刺青師に身を落としてしまった青年のお話。青年は自らが美しいと認めた肉体を持つ者以外には刺青を施さなかった。腐っても鯛。夢破れても、アーティスト。ある日、彼の前に長年の悲願だった完璧な肉体美を持つ娘が現れて、無理矢〜理、女郎蜘蛛の刺青を施しちゃうって、犯罪行為に近いストーリーを谷崎は官能&耽美に描いた&書いた。
「なんだかなぁ?」
バランスはイイんだけどなんか違和感を感じる私。試行錯誤の結果、油絵具をチョイス。選んだのはインディゴ・ブラック・ホワイト・セピアの四色。F6サイズのカンバスとA1サイズのパネルを用意。パネルにしたのは縁にテープ処理で飾れるから。大きいサイズのカンバスだと額が高くて買えないから。
「まさに入れ墨」
自分のつぶやきで違和感が解決。誰かの作品の模写、って思っちゃったから気分が乗らないんだよ。ラジカセで乗りのイイ曲流して気分転換。
「自分なりにアレンジして装飾画みたいにして」
バックは使ったことのない金と銀の油絵具。部屋を飾るインテリアみたいな洋&和風装飾画。油絵だけど、襖絵とか枕絵に見えるように。インディゴで輪郭線、まるでスジ彫りみたい。絵の顔は浜田さんを思い浮かべて。カンバスとパネルの白い部分が徐々に、先に選んだ四色と、四色の中間色で埋まってく。一枚一枚、鱗がメンドイけど、絵筆を手に取って、リズミカルにステップを踏んでターンして、踊るように舞うように…描き続けて、私の心は高揚感に満ちて…。
「ウシッ、完成」
チマチマ、描いて一週間&乾燥させるのに一週間。納期の一ヶ月まで二週間の余裕。ママに見せて感想聞いて、紅色の落款書けばエンド。
「ンッフッフ、いくら貰えるんだろう?」
材料費一万円未満&私の労働力評価。思わずニマニマ。

「マキちゃん、イイじゃない」
私の絵を見たママの評価。私は拳を握り親指を立てて、ヨシッッ!
「私は才能あっぺでしょう」
私はニコニコ。
「追い詰められて発揮される秘めた能力!」
ヨシコ姉の褒め言葉?
「変身ヒーローじゃないってさぁ」
私はアハハハ、苦笑。絶対、姦られたくない。
「でも、マキちゃんさぁ、金太郎が微〜妙に笑ってない?」
「いいのっ、天上天下唯我独尊!」
自己満足の自己催眠。
「誰我独尊?」
ミエ姉のケチ付け2連発。
「ホントだぁ〜、右の口の端が上がってる」
マコ姉の指摘。
「だってさぁ、怖い顔になっちゃたんだよ」
私の回答。まさに極め道の顔。
「受取拒否でヤラれちゃったらどうする?」
マコ姉のケチ。
「ヤるって、姦or殺どっちさぁ?」
「姦って殺られんのよ」
ミエ姉のイジメ。
「デフォルトが姦&殺だってかぁ?」
私はムカムカ。
「埋るor沈るがオプションでしょ」
マコ姉のトドメ。
「そんなことにはなんないのっ!」
私の返事に他の四人はウヒャヒャ。
「絶〜対っ、ヤラレキャラになんないからねっ!」
私は絶叫!爆笑の渦の中、いつか、必ず、きっと、口撃に勝ってみせるって、心の中で誓った。
 めでたくもあり。
 めでたくもなし。

♂!♀? ACT1!

ACT1! (原稿用紙6枚)

賽銭箱にぃ〜♪100万円投げたらぁ〜♪投げ返される人生でもいいよぉ〜♪
ごつくって悪人顔の浜田さんがステージでニコニコ熱唱中。私とヨシコ姉は微〜妙な愛想笑い&大拍手。
「マキちゃん、約束しちゃってホントにっ、だいじょうぶ?」
「心配なし」
「でもねぇ」
ヨシコ姉の心配顔。
「もうさぁ、約束しちゃったんだよ。いまさら断れないじゃん」
「う〜ん」
「ヨシコ姉、初めての依頼なのっ。頑張んないとさぁ」
お店の壁に掛けられた絵を見ながら、私はガッツポーズ。ママに芸術家目指してるなら作品持ってきなさい、って言われて持ち込んだ私の作品。
「でもねぇ、浜田さんだよ」
「あの絵を見てさぁ、私の絵を欲しいって思ってくれたんだよ」
自分の顔は鏡で見ることは出来ても、実力映す鏡は存在しない。私の絵を見た人の賞賛の言葉が私の実力!
「一生懸命〜口説かれたから?」
「違うのっ、とうとう、お金払ってまで絵を描いてって、私に仕事の依頼が来たのさぁ!」
私はヨシコ姉にニマニマ胸張り!
 パチパチパチ〜
遠慮したような他のお客様の拍手。私とヨシコ姉は盛〜大な拍手。
「いや〜今夜は気分がいいなぁ」
浜田さんは歌い終わって私の隣に帰還。グラスを持つ左小指の先が、第一関節からチョン。小指には赤い石の付いたPt指輪がキラッ。さりげなくじゃなくて、、、思いっきり金のロレックス&アルマ〜ニ。。。
「浜田さん、どんなイメージの絵を描けばいいの?」
私は飲み干されたグラスを受け取って質問&ヘネシーをトクトク。
「絵の大きさは壁の絵と同じでいい」
グラスを、ど〜ぞ。
「了解ですっ」
浜田さんは左手で水割りを受け取り、寸足らずの指を立ててグラスをカラカラ。
「ホントに描いてくれんだろなぁ?」
急に威圧感を帯びた顔、ヤッパ、指無し893。キティな私はヒ〜ン怖いよぉ。
「初めての仕事ですから頑張りますっ」
「おっ、これ描いてくれ」
げっ、浜田さんは六尺を締めた自分の背中の写真を私に手渡しニコニコ。
「浜田さんこれって?」
「金太郎鯉」
浜田さんの回答に私は顔面蒼白、ヨシコ姉は絶句。
「マキちゃん、お前は仕事だって言い切ったんだからなっ」
小指の約束はしてないんだけど。
「はいっ、頑張ります」
ちっちゃい写真じゃわかんないからカラーコピー機に乗ってよって、喋っちゃいそうだったけど私はゴックン。

お店が終了、居酒屋でお疲れ様。
「ほらっ、マキちゃんさぁ。やっぱイイことないじゃん」
ヨシコ姉の心配顔。
「あたしにも写真見せて」
「マコっ、これ描いてくれって」
「ヒャヒャヒャ〜」
マコ姉とミエ姉には他人事だからね。
「大丈夫って聞いたのにさぁ。言うこと聞かないんだから」
ヨシコ姉が言葉の爪楊枝でチクチク。
「マキちゃん、ヤッパ描けませんってゴメンなさいしちゃえば?」
「先に写真見せられてたら断ってたよぉ」
私は格下ナンバー5で、この中で唯一チンコ持ってるホステス。
「マコ、ダメっ。かなり期待してたから」
ヨシコ姉の言葉に怖い顔を思い出す私。
「そうだよね。何回も通って来てたもんね。これで断ったらやられちゃうよね」
私の脳幹が漢字変換。やるは、姦る!
「アハハハ、マキちゃんも体で人を受け止めたら懲りるかもね〜」
ミエ姉の言葉のアイスピック!
「大丈夫です!そんなことになりません」
しょせん、私の不幸は姉さん達の笑いのネタ。
「ヤッパ自分の墨を飾って眺めたいのかなぁ?」
ミエ姉の質問。
「ヒャヒャ、鏡で見ると背中が攣っちゃうじゃん」
「アハハハ、マキちゃんが凝りをほぐしてあげなきゃさぁ」
「ミエ、どこでどの部分をよっ?」
「決まってるじゃない。なにでなにをなにするのっ」
いつもは一緒にウヒャヒャ笑いするのに、私だけ笑えない。
「マキちゃん、ちゃんと仕上げなさいよ。お店のお客様だからね」
ママの教育的指導&念押し。
「はい。十分わかっています」
もうすぐ春休みだから時間は十分。
「ママ、マキちゃん大丈夫かな?」
「ヨシコ、マキちゃんが描けばイイのよっ」
「はぁ〜、ねだられる(強請られる)と、ゆすられる(強請られる)は同じ忌み(意味)の言葉!」
「ヒャヒャヒャ、マキちゃん、上手い座布団三枚!」
ふぅ〜、座布団もらっても憂鬱の溜息が出ちゃいそう。
めでたくなし?
めでたくなし!

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