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GWは単なる週末でした。

トビト記

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第6章

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第6章
そこでハンナは泣くのをやめておとなしくなった。
そこで息子トビアは天使と共に出発した。
トビアの犬も出て来て彼らについて行った。
二人は旅を続け、ある晩チグリス川のほとりで夜を明かすことになった。
トビアは川で足を洗おうとして、下りて行った。
すると、一匹の大きな魚が川から跳び上がり、トビアの足を一呑みにしようとしたので、彼は叫び声をあげた。
天使ラファエルは言った。
「捕まえなさい。しっかりと魚を捕まえて放さないように。」
そこでトビアは魚をしっかりと捕まえて、陸に引き揚げた。
ラファエルは言った。
「魚を切り裂き、胆のうと心臓と肝臓を取り出して取って置きなさい。
ほかのところは捨ててしまいなさい。
魚の胆のう、心臓、肝臓は薬として役に立つからです。」
そこでトビアはラファエルに尋ねた。
「兄弟アザリア、魚の胆のう、心臓、肝臓にはどんな効き目があるのですか。」
そこでラファエルは答えた。
「魚の心臓と肝臓は、悪魔や悪霊に取りつかれている男や女の前でいぶしなさい。
そうすれば、悪霊どものどんな力も消えてしまい、今後一切その人に及ぶことはありません。
胆のうは目にできている白い膜に塗り、その部分に息を吹きかけなさい。
そうすれば、目は良くなります。」

メディア地方に入り、エクバタナに近いところまで来たとき、
ラファエルは、「兄弟トビア」と言った。
トビアは「何でしょうか」と答えた。
ラファエルは言った。
「今夜はラグエルのところに泊まらなくてはなりません。
ラグエルはあなたの親戚に当たり、サラという名の娘がいます。
サラ一人のほかに息子も娘もいません。
あなたは彼女の血縁の中でだれよりも、彼女をめとり彼女の父の財産を相続する資格のある者です。
この娘は思慮深く、勇気があり、大変美しく、父親もすばらしい人物です。」
ラファエルは言葉を続けた。
「あなたには、彼女をめとる資格があるのです。
兄弟よ、わたしの言葉に従いなさい。
わたしは今夜この娘のことで父親と相談し、あなたと彼女の婚約を取り決めましょう。
そしてラゲスから戻ったときに結婚式を挙げるのです。
ラグエルは、あなたがだれよりも娘をめとる権利を持っていることを知っているので、娘があなたと結婚するのを妨げたり、他の男に嫁がせたりすることは、決してできないのです。
そのようなことをすれば、モーセの書の定めに背いて死に値する罪を犯すことになります。
さあ兄弟よ、わたしの言葉に従いなさい。
今夜、わたしはこの娘のことで話をし、婚約を取り決めましょう。
そしてラゲスから戻ったときに、彼女をもらい受け、わたしたちと一緒に家に連れて帰るのです。」
そこでトビアはラファエルに言った。
「兄弟アザリア、聞くところによれば、この娘は今までに七人の男に嫁がされたが、男たちは初夜の床に入るとそのつど、死んでしまったということです。
そして悪魔が彼らを殺したのだといううわさを聞きました。
わたしは怖いのです。
――悪魔はあの娘には危害を加えず、彼女に近づこうとする男を殺してしまうのですから。わたしは父にとってたった一人の息子です――
わたしが死んでしまうと、父も母も悲しみのあまり死んでしまうのではないかと、それが心配なのです。
父と母を葬る息子はわたしのほかにはいないのです。」
すると、ラファエルは言った。
「父の家系から妻をめとるようにと命じた父親の戒めを忘れたのですか。
さあ兄弟よ、わたしの言うとおりにしなさい。
悪魔のことは心配せず、サラをめとりなさい。
今夜必ず二人は一緒になるでしょう。
初夜の床に入るとき、魚の肝臓と心臓を持って行き、香をたいてその上に置きなさい。
そうすれば、においが立ちこめ、悪魔はそれをかいで逃げ出し、二度とあの娘のところには姿を現すことはないでしょう。
そして一緒になる前に、まず二人とも立ち上がり、あなたがたの上に憐れみと救いがあるように天の主に祈り求めなさい。
恐れることはありません。
世の始まる前に、この娘はあなたの妻として定められていたのですから。
彼女を悪魔から救い出すのはあなたであり、彼女はあなたと生涯を共にするのです。
きっと二人の間に子供たちが授けられ、子供たちはあなたにとって、愛すべき者となるでしょう。
心配するのはやめなさい。」
トビアは、サラが父の家系に属する身内の娘であることをラファエルから聞くと、彼女を深く愛するようになり、心は彼女に固く結び付けられたのである。

画像1:LASTMAN, Pieter Pietersz 1583―1633
『The Angel and Tobias with the Fish』 1625

画像2:Giovanni Gerolamo Savoldo 1480-1548
『Tobias and the Angel』 1542

画像3:DOMENICHINO 1581-1641
『Landscape with Tobias laying hold of the Fish』 about 1610-13

画像4:Adam Elsheimer 1578-1610
『Tobias and the Archangel Raphael Returning with the Fish』 1600s

第4&5章

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第4章
その日、トビトはメディア地方ラゲスにいるガバエルに預けておいたお金のことを思い出した。
そして心の中で言った。
「わたしは死ぬことを願い求めた。死ぬ前に、息子トビアを呼んで、このお金のことについて告げておかねばなるまい。」
そこで息子トビアを呼び寄せ、こう言った。
「わたしを手厚く葬ってくれ。母親を敬い、母が生きているかぎり、見捨ててはならない。母親の前では、その喜ぶことをなし、何をするにしても、母の心を悲しませてはいけない。
わが子よ、生きているかぎり、主をいつも覚えておくのだ。
罪を犯したり、主の戒めを破ったりしようとしてはならない。
命のあるかぎり、正義を行いなさい。悪の道を歩んではならない。
なぜならば、真理を行う人はすべてその行いのゆえに栄えることになるからである。
すべて正義を行う人々には、お前の財産のうちから施しをしなさい。
施しをするに際しては喜んでするのだ。
どんな貧しい人にも顔を背けてはならない。
そうすれば、神もお前から御顔を背けることは決してなさらないだろう。
お前の財産に応じて、豊かなら豊かなりに施しをしなさい。
たとえ、少なくても少ないなりに施すことを恐れてはならない。
そうすることで、お前は窮乏の日に備えて、自分のために善い宝を積むことになるのだから。
施しをすれば、人は死から救われ、暗黒の世界に行かずに済むのである。
施しは、それをするすべての者にとっていと高き方の御前にささげる善い献げ物となる。
わが子よ、すべてのみだらな行いから身を守りなさい。
何よりまず、先祖たちの家系から妻をめとりなさい。
父の部族でない他のところからめとってはならない。
なぜなら、わたしたちは預言者の子孫なのだから。
わが子よ、ノア、アブラハム、イサク、ヤコブなど、わたしたちのいにしえの先祖たちを心に留めておきなさい。
彼らはすべて、同族の中から妻をめとり、子宝に恵まれた。
そしてその子孫が約束の地を受け継いできた。
わが子よ、同族の者たちを愛しなさい。
そして、お前の同族や同胞の息子、娘たちより自分の方が偉いなどとおごり高ぶって、彼らのうちから妻をめとらないと言ってはならない。
なぜなら、おごり高ぶれば、破滅を招き、秩序は大いに乱れる。
無為に時を過せば、財産を失い、ひどい欠乏に陥るから。
怠けることは飢えにつながるのだ。
働いてくれた人にはだれにでも、すぐその場で賃金を支払いなさい。
支払いを翌日に延ばしてはならない。
そうすればお前が神に仕えるとき、神は報いてくださるであろう。
わが子よ、何をするにせよ、十分に注意し、あらゆる点で、教えが身に付いていることを示しなさい。
自分が嫌なことは、ほかのだれにもしてはならない。
ぶどう酒を酔うまで飲んではならない。
また、酔うことが習慣となってはならない。
飢えている人に、お前の食物を、裸の人にはお前の衣服を分け与えなさい。
余分なものはすべて施しなさい。
施しをするときは喜んでしなさい。
正しい人々を埋葬するときは、そこで宴を設けなさい。
しかし罪人たちの場合には、そうしてはならない。
思慮深い人からは忠告を求め、有益な忠告はどんなものも軽んじてはならない。
いかなるときにも主なる神をほめたたえなさい。
お前の道がまっすぐであるように、またお前のすべての歩みと計画がうまくいくように、神に求めなさい。
すべての国民が導きを得るのではないのだから。
主は、正しい導きを与えてくださるが、人を陰府に落とすこともおできになるのだ。
わが子よ、これらの戒めを心に覚え、忘れ去ることのないように。
さてわが子よ、今お前に伝えておこう。
メディア地方ラゲスに住むガブリの子ガバエルに、わたしは十タラントンの銀を預けてある。
わが子よ、わたしたちが貧乏になったことを心配してはならない。
もし神を畏れ、あらゆる罪を避け、主なる神の前に喜ばれることをするなら、お前は多くの良きものを得ることになる。」

第5章
そこでトビアは父トビトに答えて言った。
「お父さん、わたしにお命じになった事はすべて行います。
でも、その銀をどうやって手に入れたらよいのでしょうか。
彼はわたしを知らないし、わたしも彼を知りません。
どんな証拠の品を渡せば、彼はわたしがあなたの子であると認め、わたしを信じて銀を返してくれるでしょうか。
またメディアに行く道も、わたしは知らないのです。」

トビトは息子トビアに答えた。
「ガバエルは自筆の証文を作り、わたしもそれに署名した。
そしてそれを二つに分け、おのおのが証文の一方を受け取った。
彼は証文の半分と共に銀も受け取った。
今はもう、銀を預けてから二十年になる。
わが子よ、だれか一緒に行ってくれる信頼できる人を見つけなさい。
その人には帰って来るまでの期間の報酬を与えよう。
さあ行ってガバエルからその銀をもらって来なさい。」

メディアまでの道に詳しく、一緒に行ってくれる人を探しに、トビアは外に出た。
出てみると、天使ラファエルが目の前に立っていた。
しかしトビアには、神の使いであることが分からなかった。
そこでトビアは尋ねた。
「若者よ、あなたはどちらの方ですか。」
ラファエルは答えた。
「わたしはイスラエル人で、あなたの同族の者です。仕事を見つけにここに来ました。」
トビアは更に尋ねた。
「メディアに行く道をご存知ですか。」
ラファエルは答えた。
「はい、わたしは度々メディアに行っており、どの街道もよく知っています。メディアに行ったときに、その地方のラゲスに住む私たちの同族のガバエルの家に何度か泊まったこともあります。エクバタナからラゲスまでは二日の道のりです。ラゲスは山岳地帯にあり、エクバタナは平野の真ん中にあるからです。」
トビアは言った。
「若者よ、わたしが家に入って父に報告する間、ここで待っていてください。
ぜひ一緒に行っていただきたいのです。
もちろん報酬は差し上げます。」
ラファエルは言った。
「ここで待っていましょう。ただあまり長くならないようにお願いします。」
そこでトビアは家に入り、父トビトに告げた。
「イスラエル人で、しかも同族の人を見つけました。」
トビトは言った。
「その人をここに呼んできなさい。
わが子よ、彼がどの部族の出で、どの家系に属するのか、また、信頼してお前と一緒に行ってもらえる人なのかを知りたいのだ。」
そこでトビアは外に出て、ラファエルに言った。
「若者よ、父があなたを呼んでいます。」
ラファエルが入ってトビトのもとに行くと、先にトビトが挨拶をした。
ラファエルは、「あなたに多くの喜びがありますように」と答えた。
しかしその言葉を受けてトビトは言った。
「わたしに何の喜びがありましょうか。
わたしは目が見えず、天の光を見ることができないのです。
もう二度と光を見ることのない死人のように、暗闇の世界にいるのです。
生きていても、死人たちの世界にいるようなものです。
人の声は聞こえますが、姿は見えないのです。」
ラファエルは言った。
「元気を出しなさい。
間もなく神があなたをいやしてくださいます。
元気を出すのです。」
そこでトビトは言った。
「わたしの息子トビアはメディアに行こうとしています。
一緒に行って道案内をしていただけませんか。
兄弟よ、報酬は差し上げます。」
ラファエルは答えた。
「一緒に行きましょう。
わたしはどの街道もよく知っています。
メディアに行き、その地方の平野を歩き回りました。
山岳地帯とその当たりの街道もよく知っています。」
トビトは更に尋ねた。
「兄弟よ、あなたはどの家柄、どの家系に属しているのですか。
教えてください。」
ラファエルは言った。
「なぜ家系を知る必要があるのですか。」
トビトは答えた。
「わたしは、あなたがだれの子であり、何という名前なのか、事実を知りたいのです。」
そこでラファエルは答えた。
「わたしはあなたの同族の一人、偉大なハナニアの子アザリアです。」
トビトは彼に言った。
「兄弟よ、御無事を祈ります。
わたしがあなたの家柄や素性を知りたいと願ったことで、腹を立てないでください。
あなたはわたしの同族で、優れた血筋の方です。
わたしは偉大なセメリアの二人の息子ハナニアとナタンをよく知っておりました。
彼らはよくわたしと共にエルサレムに行き、一緒に礼拝をしたものです。
彼らは、道を踏み外すことのない人々でした。
あなたの同族はすばらしい人ばかりです。
あなたの先祖もすばらしい人々です。
元気で行って来てください。」
トビトは続けて言った。
「わたしはあなたに一日一ドラクメの報酬を支払い、そのほか、息子と同様に必要な物は差し上げます。
息子と一緒に行ってください。
報酬をはずみましょう。」
ラファエルは言った。
「息子さんと共に参りましょう。
御心配には及びません。
危険のない旅ですから、わたしたちは元気で行って戻って来ます。」
トビトは言った。
「兄弟よ、あなたに祝福がありますように。」
それから彼は息子トビアを呼んで、言った。
「わが子よ、旅の仕度をし、同族のこの人と出かけなさい。
天の神が、かの地でお前たちを守り、無事にわたしのもとに戻してくださるように。
わが子よ、神の使いが道々お前たちと共に歩み、無事に旅をさせてくださるように。」
トビアは旅路につくため家を出て、父と母に口づけした。
トビトは言った。
「元気で行って来なさい。」
しかし母は泣き悲しんで、トビトに言った。
「なぜ息子を行かせるのですか。
彼はわたしたちの手の杖として、いつもわたしたちのそばにいてくれるはずではなかったのですか。
それほどお金が大切なのですか。
息子の命に代えられるものではありません。
わたしたちは主によって生かされているのですから、今のままで十分です。」
そこでトビトは彼女に言った。
「心配するな。わたしたちの息子は元気で出かけ、また無事に戻ってくる。
再び元気でお前のもとに戻って来る日に、お前は彼に会えるのだ。
あの二人のことは心配するな。恐れるな。
神の使いが息子のよい同伴者となってくれるから、旅は順調にいき、息子は元気で戻って来るにちがいない。」

画像1:バチカン1948年発行。

画像2:Francesco Botticini 1446-1498
『The Three Archangels with Tobias』1470

画像3:VERROCCHIO, Andrea del 1435―1488
『Tobias and the Angel』1470-80

画像4:GOZZOLI, Benozzo 1420―1497
『Raphael and Tobias (on the pillar)』1464-65

画像5:GUARDI, Gianantonio 1699―1760
『The Departure of Tobias』 1750

画像6:Bouguereau, Adolphe William 1825-1905
『Tobias Saying Good-Bye to his Father』 1860

画像7:Carl Borromäus Andreas Ruthart 1630-1703
『The Story of Tobias』 1660

第3章

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画像1:REMBRANDT 1606-1669
『Anna and the Blind Tobit』1630

第3章
彼女のこの言葉を聞いて、わたしは心に深い悲しみを覚え、涙を流した。
そしてうめきながら祈り始めた。
「主よ、あなたは正しく、あなたのすべての業もまた正しいのです。あなたはすべての御業において、憐れみと真実を示し、この世を裁かれます。
主よ、今わたしを覚え、わたしに目を留めてください。わたしの数々の罪ゆえに、またわたしと先祖たちの無知のゆえに、わたしを裁かないでください。
わたしは御前に罪を犯し、あなたの掟に従わなかったのです。
それゆえ、あなたはわたしたちをあらゆる国民の中に散らし、そこで略奪、捕囚、死を経験させ、そのためにわたしたちは物笑いの種となり、あざけり、辱めを味わいました。
あなたが、わたしの罪ある行いに対して下される多くの裁きは正しいのです。
わたしたちはあなたの掟を守らず、あなたの御前に真実をもって歩みませんでした。
今こそ、御心のままわたしを裁き、わたしの魂を取り去り、わたしが地上から解き放たれ、土に戻るようにしてください。
なぜなら、わたしは生きるよりも死んだ方がよいのです。
わたしが耳にするのは、不当な辱めであり、わたしは大いなる悲しみに包まれています。
主よ、どうぞ、わたしをこの苦しみから解き放ち、永遠の住まいへ行かせて下さい。
主よ、あなたの御顔をわたしから背けないでください。
なぜなら、死んで辱めを耳にすることのない方が、生きて大きな苦しみに遭うよりましなのです。」

その同じ日に、メディアのエクバタナに住むラグエルの娘サラも、父親に仕える女奴隷の一人から辱めの言葉を受けた。
サラは七人の男に嫁いだが、初夜を過す前に、そのつど悪魔アスモダイが男を殺してしまったからである。
そのことで、女奴隷はサラに言った。
「あなたが、御主人たちを殺したのです。あなたは七人の男に嫁ぎながら、どの方の名も名乗らなかったではありませんか。
それなのに、あなたの夫たちが死んだからいって、なぜわたしたちにつらく当たるのですか。
あなたもあの方々のもとへ行ったらいいでしょう。
これから先、あなたの息子も娘も見たくはありません。」
その日、サラは心に深い悲しみを覚えて涙を流し、父の家の二階に上がり、首をくくろうとした。
しかし思い直して、こう言った。
「恐らく人々はわたしの父を侮辱して言うでしょう。
『お前には愛する一人娘がいたが、不幸を苦にして首をくくってしまった。』
そうなれば、年老いた父を悲しませて、陰府に送り込むことになる。
だから、わたしが自分で首をくくってしまうよりも、主にお願いして死なせて死なせていただく方がよいのです。
そうすれば、生き永らえて辱めの言葉を耳にすることもないでしょう。」
そこで彼女は、両手を広げて窓の方に差し伸べ、こう祈って言った。
「憐れみ深い神よ、あなたとあなたの御名を永遠にほめたたえます。あなたに造られた万物がとこしえにあなたをほめたたえますように。
今わたしは、あなたに向かって顔を上げ、あなたを仰ぎ見ます。
どうか、わたしがこの世から解放され、辱めの言葉を二度と耳にすることのないようにしてください。
主よ、あなたはご存じです。
わたしがどの夫とも夫婦の関係を持たず、清い身であることを。
また、捕囚の地で、わたしの名も、わたしの父の名も汚さなかったことを。
わたしは父にとってたった一人の娘であり、父にはほかに跡継ぎはありません。
また父には、わたしを妻として迎えるべき近い親族も、親戚もないのです。
既にわたしの七人の夫も死んでしまいました。
わたしがこれ以上生き永らえて、何になりましょう。
しかし、もしわたしの命を奪うことをお望みにならないのならば、
主よ、今わたしに向けられている辱めの言葉をお聞きください。」

トビトとサラの祈りは、栄光に満ちた神に同時に聞き入れられた。
そこで二人をいやすために、ラファエルが送られた。
すなわち、トビトの場合は、自分の目で神の栄光を見られるように、目から白い膜を取り除くためであり、
ラグエルの娘サラの場合は、トビトの息子トビアに妻として与え、彼女から悪魔アスモダイを引き離してやるためであった。
というのは、サラをめとる資格は彼女との結婚を望んだどの男にもなく、トビアにこそあったからである。
時はまさに神が二人の祈りを聞き入れられたちょうどそのときであった。
トビトが中庭から家に戻り、ラグエルの娘サラは父の家の二階から下りてきた。

画像2&3:Asmodayの紋章&想像図。
以下参照。
http://www.rahoorkhuit.net/library/ceremonial/classics/plancy/demony.html

第1&2章

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画像1:http://www.companysj.com/v141/written.html

第1章
トビトの物語の書。
父はトビエル、祖父はハナニエル、更にアドエル、ガバエル、ラファエル、ラグエルとさかのぼるナフタリ族アシエルの家系にトビトは属する。
トビトは、シャルマサルがアッシリア人の王であったときにティスベの地で捕囚の身となった。
ティスベは、上ガラリアのケデシュ・ナフタリの南、アセルの北、西へ向かう道の後ろ、フォゴルの北にある。
わたしトビトは、生涯を通じて真理と正義の道を歩み続けた。
またわたしは、一緒に捕らえられてアッシリア人の地ニネベに行った親族や同胞の者たちのために多くの慈善の業を行った。
わたしがまだ若くして故郷イスラエルにいたとき、父祖ナフタリの部族はこぞって先祖ダビデの家とエルサレムから背き離れた。
このエルサレムはすべての部族のためいけにえを献げる目的で、イスラエル全体によって選び出された町である。
この町には神の住まいである神殿が代々限りなく続くようにと聖別され、建てられていた。
親族全員と父祖ナフタリの一族は、北イスラエルの王ヤロブアムがダンで造った子牛に、ガリラヤの山々でいけにえを献げていた。
しかし、イスラエル全体のため永久に守るべき定めとして記されているように、祭りのときには、わたしはただ一人、収穫と家畜の初物、家畜の十分の一、および羊の初刈りの毛を携え、足しげくエルサレムへ通った。
そして祭壇に進み出て、それらの物をアロンの子孫である祭司たちに差し出し、穀物、ぶどう酒、オリーブ油、ざくろ、いちじくおよび他の果物の十分の一を、エルサレムで仕えているレビの子孫たちに与えた。
別の十分の一を六年分金に換えて取って置き、毎年エルサレムに行って使うのであった。
また3年ごとにはその金を孤児、寡婦、およびイスラエルの仲間に加わった改宗者たちに持って行って与え、モーセの律法が定めている規定に従って、共に食事をした。
それはまた、父祖ハナニエルの母デボラが命じた掟でもあった。
というのは、父が死に、わたしは孤児となっていたからである。
さてわたしは大人になったとき、先祖の家系から妻をめとり、彼女によって男の子をもうけ、その名をトビアと名付けた。
わたしはアッシリアに捕囚の身となり、ニネベの町に連れて来られた。
そこでは、親族、同胞の者たちは皆、異教徒の食事をしていた。
しかしわたしは心に固く決めて異教徒の食事はしなかった。
そして、心から神のことを思っていたので、いと高き方は、わたしがシャルマナサル王の恵みと好意を得られるようにしてくださり、それでわたしは、王に必要な物を買い入れる役を与えられた。
そこで、王の存命中、わたしはメディアに行って王に必要な物を買い求め続けたが、メディアの地方にいるガブリの兄弟ガバエルに、銀十タラントンの入った財布を預けておいた。
しかし、シャルマナサルの死後、彼に代わってその子センナケリブが王となるとメディアに至る道は危険となり、わたしもメディアに行くことができなくなった。
シャルマナサルの存命中、わたしは同族の者たちに慈善の業を行った。
飢えた人々に食べ物を与え、裸の人々には着物を着せ、また同族のだれかの死体がニネベの町の城外に放置されているのを見れば、埋葬した。
王センナケリブは、その犯した冒涜のため、天の王である神の裁きを受け、ユダヤから逃げ帰って来た。
そのとき、彼が殺した者がいたので、その人をも葬った。
事実センナケリブは、怒りにまかせて多くのイスラエル人を殺害したのであるが、わたしはその死体をこっそり運んでは埋葬していたので、センナケリブが死体を捜しても見つからなかった。
しかし、ニネベの一市民が王センナケリブに密告したので、わたしは身を隠した。
王が私のことを知り、わたしは自分がお尋ね者として命をねらわれていることがわかったので、恐ろしくなって逃げた。
財産はすべて没収されて王の宝庫に取り上げられ、わたしには妻ハンナと息子トビアだけが残された。
それから四十日もたたぬうちに、王はその二人の息子に殺された。
しかし二人がアララトの山々へ逃れたので、センナケリブの別の息子エサルハドンが王位についた。
そして彼は、わたしの兄弟アナエルの息子アヒカルを王国の財政管理者に任じたので、アヒカルは国務全体にわたって権力を持つようになった。
そのアヒカルがわたしのことを王に釈明してくれたお陰で、わたしはニネベに帰ることができた。
アヒカルは、かつてセンナケリブがアッシリアの王であったときに給仕頭、王の印章の管理者、かつ国務と財政の担当者でもあったので、エサルハドンは再度彼をその任につかせたわけである。
しかもアヒカルはわたしの親戚で、甥に当たっていた。


第2章
こうしてわたしは、エサルハドン王の即位後、家に帰り妻ハンナと息子トビアに再会した。
さて、五旬祭の日、すなわち七週祭の聖なる日に、ごちそうがわたしのために準備され、食事するために席に着いた。
わたしの傍らに食卓が設けられ、多くの料理が運ばれた。
そこでわたしは、息子トビアに言った。
「わが子よ、捕らわれの身となってニネベの町にいるわたしたちの同族のうちで、本当に神を心に留めている貧しい人を見つけて連れて来なさい。その人と一緒に食事をしよう。わたしはお前が戻って来るまで待っているつもりだ。」
そこでトビアは、同族のうちでだれか貧しい人がいないかと探しに出かけた。
しかし彼が戻ってきて、『父よ』と言ったので、わたしが、「わが子よ、どうしたのだ」と尋ねると、彼は答えて言った。
「わたしたちの部族の一人が殺されて広場に投げ捨てられております。たった今そこで首を絞められて殺されたのです。」
そこでわたしは、料理には全く手をつけずに家から飛び出し、その死体を広場から運び去り、日没を待って埋葬するため、一軒の小屋に安置しておいた。
家に戻り、身を洗い清めてから食事をしたが、悲しい気持ちであった。
預言者アモスが、ベテルの人々に語って言った言葉、「お前たちの祭りは悲しみに、お前たちの歌はことごとく嘆きの歌に変わる」を思い出し、泣き悲しんだ。
日が沈むとわたしは出かけて行き、穴を掘り、死体を埋葬した。
近所の人たちは、わたしをあざ笑って言った。
「この男はもう恐れてはいないのか。かつて、今と同じ事をやり、命をねらわれて逃げたのではなかったのか。それなのに、見よ、また死人を葬っている。」
その夜、わたしは身を洗い清めた後、家の中庭に行き、その塀の傍らで眠った。
暑かったので顔には何の覆いも掛けなかった。
さて、わたしは気づかなかったが、雀が何羽かすぐ上の塀にいた。
雀は温かい糞をわたしの両目に落とし、それがもとで、目に白い膜ができてしまった。そこで治してもらおうと何人かの医者のところへ出かけて行ったが、医者たちが目薬を塗れば塗るほど、目はその白い膜のために見えなくなり、ついに失明してしまった。
四年間、失明の状態が続いた。
親族の者たちは皆わたしのことを悲しんでくれ、アヒカルも彼がエラムに行くまでの二年間わたしの世話をしてくれた。
そのころ、わたしの妻ハンナは機織りの仕事をしていた。
出来上がったものを雇い主のところに届けて、賃金をもらっていた。
デュストゥロスの月の七日に彼女が仕事を終え、織物を雇い主のところに届けたところ、その人々は賃金を全額払ってくれたうえに、山羊の群れの中から子山羊一匹を、家に持って帰るようにとくれたのである。
妻が戻って来たとき、子山羊が鳴き始めたので、わたしは妻を呼んで言った。
「どこからこの子山羊を手に入れたのか。まさか盗んできたのではないだろうな。もしそうならば、持ち主に返しなさい。わたしたちには、盗んだ物を食べることは許されてはいないのだ。」
すると妻は、「賃金とは別に、贈り物としていただいたのです」と答えた。
しかしわたしは、妻を信じようとせず、盗んだと思い込んで、子山羊を持主に返すように言い張り、顔を真っ赤にして怒った。
すると妻は答えて言った。
「あなたの憐れみはどこに行ったのですか。どこにあなたの正義があるのですか。あなたはそういう人なのです。」

画像2&3:Rembrandt van Rijn 1606-1669
2)『The Blindness of Tobit: The Larger Plate』1651
3)『Tobit and Anna』1626

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