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To 姉…
さて、貴女の手紙の中に私への謝罪が書かれていましたが、私の方こそ首に手を廻して申し訳ありませんでした。
『アクンッ』
私の右手に貴女の首の感触!叔母に止められ手を離した私は自分の中に獣を飼っているんだと、自己嫌悪で眠れませんでした。まだまだ、修行が足らないんだなと実感しつつ、首に手を廻した謝罪文と原稿を送れば良かったのだと反省しきりです。
さてさて、私が小説を書いた動機は家族(貴女や祖母&父母)に対する報復ではありません。怨み辛みの文章を書いたつもりもありません。そんな自己中の文章は出版されません。も〜うちょっと読み進めて欲しいです。ず〜っと過去に貴女の事は許していますから、私のプレゼントしたネックレスをニコニコ受取ってくれて、私の妻にプレゼントをくれましたから。た〜だ、私を理解してくれるだけでイイんです。
作家としての意図として以下。
1.若い世代の日本語は“て・を・に・は”が省略されていて、会話では確実に“い・ら”抜きで喋ってます。
お金が無く“て”展覧会に行けない。
絵“を”見れない。
バイト“に”行く。
この紙“は”白い。
タバコを吸って“い”る。
ユッケを食べ“ら”れない。
20歳もサバ読んで書いた、現代若者文法です。会話のようなリズミカルな文章を目指しました。
2.貴女の1を踏まえた指示&指摘が欲しいと思います。主人公マキを私だと思わない評価を希望。まぁ、無理か?
なぜに私は小説を書いたのか?と言う理由について以下。
ず〜と、私は一人で墓参りをしていました。ミニカーがあったり、可愛い人形があったり、母or妻が置いたのか?ともかく、私は十三年前から一人で泣くために墓の前に行ってます。人前で泣けない♂って性別はなんて不自由なんでしょう?家を建てた前年、長男と次女を埋葬した土饅頭が崩落して平らになっていました。月日の流れに仕方の無い事だと納得しつつも、彼岸の温かさに私の子供達を滋養として咲き誇る水仙が許せなかったんです。思わず引き抜きボリボリ、うずくまってケロっぱ。私は春先の桜の花が大嫌いです。桜は入学式のイメージ!死んだ子達も私の中で年齢を重ねるのです。生きてれば幼稚園・小学校・中学校。私がこんなにダメージを受けてるのなら、妻はどう思ってるのでしょう?怖くて怖くて妻に聞けない質問があります。『こんな家で、こんな私で、幸せ?』
貴女は手紙の中で血について書いています。私もこの血は大嫌いです。でも、死んだ子供達に誓ったんです。『絶対、お前達の名前で作品残してやる!それまでは、もう来ないよ!』と。正樹&詩織の筆名とか雅号。でも今年は三年振りに、書籍出版の決定後に祖母が亡くなり、大手を振って泣かずに子供達の墓前に行けたのでした。
三十路を過ぎてから健康診断書に山ほどの書き込み。隔年ごとに現れる右肺の影。コレステロール&中性脂肪。太っている人なら痩せればイイ。痩せてる私の場合どうしたらいいのさぁ?バブル真っ盛りから、化学工場に出入りしてて、暴露して危ない薬品に気付かず被爆したの?子供の頃に食べた今は認可されていない駄菓子の食品添加物がいけないの?子供の頃に食卓の私の前に出された背骨の曲がったサンマの開きがいけないの?女性が想像妊娠でホルモンバランスを崩すように、無意識に崩したの?外見は五体満足なのに染色体異常なの?だから、私の子供達は二人も先天性の病気で死んだの?以上を踏まえると多分、私は短命であろうと思われる。私にとって、も〜う死は身近。父母より先に死ぬかもしれない。で〜も、もし、死ぬのなら『誰も怨まずに憎まずに死にたい』&『誇れる作品を残して死にたい』って強烈な欲求が湧き上がるのです。腐ってても芸術家!芸術家は命よりも作品を大事にするんだ!大正元年生まれは残念でした。私は結局、憎んだまま見送ったのです。
戸籍上次男が生まれてからの私のストレスは最悪で(家を建てる前)、七人で囲む夕餉の時間!大正元年生まれに文句を言う父!娘の箸遣いを注意する私をも、目を三角にして攻撃する父母!子供の頃の記憶がフラッシュバック。祖母に向けられた父の怒りは大人になってから、私に向けられたのでした。
「虐待と躾けは違うんだ!」
目を三角にした民生委員である父の言い分。
『怒鳴り散らす大人の姿を見せつけるのも虐待です』
子供の前で飲み込んだ私の思い。ビバ孫!ジーク孫!ハイル孫!父母は孫可愛さに、朝の靴下も自分で探せない&選べない娘に育てたのでした。次男が生まれる前、父母が長女に『お前が跡取り』ってマインドコントロール。私は長女に『財産欲しけりゃ自分で相続税払え』って洗脳解除。父母は私の夢や希望を奪っただけでなく、子供達をも奪ったのでした。昔、自分が嫌いだった家族関係を、父母が娘&息子が作り上げたのです。上目使いで大人の顔色を伺う息子。昔の自分を見てるようです。愛情貧乏で育った父母は愛情乞食の姉弟を育て、また愛情貧乏の孫達を可愛がるのでした。めでたくなし。めでたくなし。妻のストレスも相当なもので、疲れて帰ると待ち構えていたようなグチの嵐。家を建ててから、私だけ夕食を一人でモグモグ。8桁の借金をして建てた家など無価値!私は自分で自分の座敷牢を建ててしまったのでした。本当に、めでたくなし。めでたくなし。い〜やっ、絶対に負けない!めでたし、めでたしでエンドマーク出すんだよ!
大正生まれ&戦前、戦後&平成と世代世代の価値観は違うのです。その世代では正しくとも、時の流れに社会の価値観はローリングスト〜ン。堀江モンを批判する森元主相を見ても明らかです。戦後、アメリカ型自由教育で『人は人として、男も女も平等で対等』と子供の頃から私は教わっています。『年齢の上下など関係ない』と、私の世代は校内暴力を、不登校を、イジメを社会問題になるくらい起こしました。私の作品に共通するテーマはこれなのです。世代の価値観&性差の違い。私の反骨精神は貴女に向かっているのではないのです。
今回、カバーイラストに使った作品を送りました。POPに仕上がったと自画自賛&誰我独尊!どっかに飾って下さいませ。最後に、この文章は遺書じゃないからねっ!どうせ寿命が尽きるんだから、自分からは絶対に死なないからねっ!目指せ芸術家!いつ死ぬかわかんないけど、生きてる限り可能性アリ!大学四年の時みたいに親に電話を掛けないでちょうだい。
乱筆乱文ご容赦。
草々
姉から…2
前略
表装の綺麗な小説本とArt(とてもPOPな色使いが素敵です。)を、ありがとうございます。不器用な主人はとても感嘆しておりました。娘は「すごいね、叔父ちゃんは芸術家なんだ」と誇らし気でした。息子も意外だったようでとても驚いておりました。
ただ、きっと理解しては貰えないと思うので本は見せてはいませんが…何故って、家族関係が、主人と私では違い過ぎるので、理解不能だと思われます。姑と夫はとても仲の良い母と息子で、信頼関係が成立していましたから…そしてその分、私は死ぬまで姑(義母)とは理解しあえなかったけれど、それは致し方ない事と思っています。他人ですから…
夫の母は、亡くなった祖母と同じで自分自身が一番大切な人でしたから、孫に対しても気分で扱いの違う人でした。ですから、私の息子と娘は、丁度幼い頃の私達姉弟のように、祖母に対して優しくなれなかったのですが母を愛していた、私の夫には許せなかった事のようです。夫も、父と同じで子供達に父親としてどう接すれば良いのかが、わからずに不器用にとまどうばかりでしたから、尚更子供達の気持ちを理解できなかった。
子供達に対する不満が胸に渦巻いているようです。それが私のせいだと思ってもいるようです。自分の母が悪かったのだとは夫は死んでも認めようとはしないでしょう。それもまた仕方ない事なのですが…
貴男の本を、私に対する報復文であるとは思っておりません。まだ全て読んだ訳ではないのですが、先日送っていただいた本を読んでみた限りでは、報復の為だけの文とは思えなかったので…
年頃の若い世代にどう受け入れられるかはわかりませんが、「会話のようなリズミカルな文章」と云う点では成功だと思われます。読解力が低下している活字離れの世代には難しいのではと思います。理解できるかどうかが疑問ですね。
私は、貴男は嫌がるかも知れませんが、貴男には、あの家の…父と母のそして死んだ祖母の期待を一身に背負って裏切らずに、品行方正な弟でいて欲しかったのです。今、現在ではなく大学の頃の貴男のことですよ。
貴男の奥さんが、○子さんが「お義姉さん」と呼んでくれたおかげで私は救われました。お前は少しも変じゃないよ。感受性が鋭いだけなんだよ。「座敷牢」なんて言っちゃ駄目でしょ。お前がそんな風に思っていたら奥さんが辛くなるでしょ!?愛する妻子の待つマイホームでしょ!間違えちゃだめでしょ。妻が夫に愚痴れるのなら大丈夫。信頼関係成立してるじゃない!私は愚痴を夫ではなく、母に聞いてもらってたから、姑が死んでからは母の愚痴を聞いてあげてました。そんな事しか私にはできないので…姑が亡くなる以前から、母には助言してたつもりなんですが、少しも効果がなかったみたいで、貴男の役に立てなくてごめんなさい。
貴男は私のたった一人の弟なんだから、六つも年上の姉に「短命だ…」なんて言わないでよ。私が死んだら、貴男が私の骨を拾って、貴男の焼いてくれた骨壷に納めてくれるんでしょ!? Artな骨壷をお願いするわ!そうね、貴男にも云っとく必要があるか。主人には云ってないけど、子供達には話してあるの。私が死んだらお葬式なんてあげないで本当に身内だけで骨にして、「骨は灰にして、海に撒いてくれ」と…主人の墓に入るつもりもないし、仏壇に飾る位牌も要らない…と。最後の最期まで嫁でいたくないじゃない。私としては…。娘は理解してくれた。息子は手続きが云々とブツブツ云ってた。もう、お互いに二十年も前の二人じゃないでしょ。これは姉と弟の問題だから父と母に云う必要はないわよ。理解しあえれば、何の問題もないもの。弟が貴男で良かった。遺言と思っても良いわよ。どうせ、いつかは死ぬんですから…でも、それまで悔いのないように生きたい。私もそう思います。
お互いにその日まで、頑張りましょう。めざせ!芸術家!
かしこ
はぁ〜、どんな素材でつくりましょうか?陶器は却下として、和紙&木&石?ア〜チストの匠の技の見せ所ですね。アクセントの絵は何にしましょうか?彼岸花?蓮?小菊?何十年もかけて、ようやく姉の愛情がもらえた様な気がします。嫁ぎ先には骨も残さないけど、お前の作品なら…ってかぁ〜?!
ふっ、つくづく馬&鹿な姉弟だことねぇ。。。
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