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PINR

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北朝鮮の核問題と東アジアにおけるパワーバランスの行方

2005年5月12日
エリック・マークアート
Erich Marquardt
パワーアンドインタレストニュースレポート
Power and Interest News Report
http://www.pinr.com

北朝鮮とイランの両国はいずれも米国の国益と直接に対立することとなる一連の行動を取り続けている。北朝鮮は、核兵器を保有しており、米国からの何らかの譲歩を得られない限り核兵器の生産を続けるつもりであることを宣言した。また、イランは、核燃料サイクル統制の意向をはっきりと表明し、それによって、核兵器を秘密裏に開発することを計画しているのではないかという世界の懸念を高めた。

イラクに対する介入で手がいっぱいとなっている米国は、自国の国益に関わるこれらの2の脅威への対応という難しい問題に直面している。ブッシュ政権は自らにマイナスになる思われうる事態が一層エスカレートすることを押さえようとしている。そのような状況の中で、北朝鮮とイランがその目的を達成できるかどうかは不明である。イランの現在の状況がどう展開するかをさらによく見極めるには今後の事態の展開を待つ必要があるが、北朝鮮に関する状況は明らかだ。

賭けにでた北朝鮮

北朝鮮は実戦的な核兵器を開発したと主張している。米中央情報局(CIA)は北朝鮮が1基か2基の核兵器を所有していると信じており、国際原子力機関(IAEA)事務局長モハメド・エルバラダイはその数は6基にのぼるとみている。

5月1日、平壌は日本海に向けて短距離ミサイルを発射することによって、周辺地域の目標に核弾頭を到達させる能力があることを実証した。北朝鮮が米国西岸にまで核弾頭を到達させることができるということもあり得る。

このミサイルテストを背景に、北朝鮮がもう一歩踏み込み、地下核実験を行うのではという懸念がある。平壌が、咸鏡北道(ハンギョンプクド)の吉州(キルジュ)にある地下実験場とみられるところで実験観察用スタンドを建設し、現場から土を除去している映像をアメリカの偵察衛星は記録している。北朝鮮は、朝鮮戦争記念日の6月25日あるいはその前後でこの地下実験を実施する可能性がある。

押さえられた緊張

瀬戸際外交政策を採っているにも関わらず、北朝鮮外務省スポークスマンは5月8日、「朝鮮半島を非核化するために、交渉による解決策を追求するというわれわれの意思は変わらない」と述べた。この声明は平壌が核兵器の実験を行うつもりがあるのかどうかに触れてはいないが、一方で、平壌が核兵器の脅威を米国との交渉の材料としてどのように利用してきたかをうかがわせるものとなっている。平壌は、現在の方針を変えるには、ブッシュ政権が北朝鮮を主権国家として認めることが必要であり、核問題について直接協議を持つことに同意すべきだと主張している。

5月9日、ワシントンはこれに反応し、事態の一層の深刻化を押さえるための措置を採った。米国務長官コンドリーザ・ライスは、「米国はもちろん北朝鮮を主権国家と認めている」とCNNで述べた。そして、米国務省のスポークスマンであるトム・ケーシーは、「米国と北朝鮮は3回の6カ国協議のそれぞれのラウンド期間中に直接協議を実施しており、もし北朝鮮が六カ国協議に復帰するなら、米国は確実にその前例に従うだろう」と説明した。

ワシントンの譲歩は、ワシントンが核武装してしまった北朝鮮と交渉する事態になることを望んでいないということを反映している。北朝鮮が核武装するという事態は、イラクでの引き続く武装勢力の抵抗によって米国の軍隊が過度に展開しているまさにそのときに、米国が軍事力の均衡の変化に対応することを強いることになるからだ。(「再建または後退:アメリカの戦略的ジレンマ」参照)

北京による平壌の説得を仕掛けるワシントン

中国は北朝鮮の資源の多く、特に食料とエネルギーの供給源となっている。このことから、米国は中国が北朝鮮に圧力を行使することを求め続けてきた。そして、中国は、朝鮮半島を非核化することに本気でコミットしていることを公式に宣言している。

それにもかかわらず、北朝鮮政権の崩壊が中国に難民の流入をもたらし、北朝鮮の再建のために中国の貴重な資源を使わせることになることから、中国は北朝鮮政府の崩壊という事態になることにより大きな懸念を抱いている。したがって、中国は、米国に行動を起こさせることになるような核兵器の実験を北朝鮮に行わせず、一方で同時に北朝鮮に核兵器保有の脅威を有効にしておくことを許すという政策を追及しているように思われる。北朝鮮の核兵器プログラムに関するあいまいさが存在している限り、北朝鮮の潜在的核兵器能力に対する懸念から、外国が北朝鮮に対し軍事行動を仕掛ける可能性が小さくなるだろうと考えられるからだ。

例えば、エネルギーと食料の供給を停止することによって平壌に圧力をかけるようワシントンから要求されたとき、中国外交部の劉建超(リウ・チェンチャオ)報道官は5月10日、「通常の貿易の流れは核問題と関連付けるべきでない。われわれは高圧的姿勢で問題を解決しようとすることに反対だ」と述べて要求を拒否した。劉報道官はまた、この問題を国連安全保障理事会において取り上げることについて、「この問題に取り組む正しいチャンネルは国連安全保障理事会ではなくて、6カ国協議だとわれわれは考えている」と述べ、警告した。また、「6カ国協議に参加していない国は6カ国協議の継続にとって好ましくないことを言うべきでなく、すべきでもない」とも劉報道官は述べている。(「北朝鮮に対するプレッシャをかける米国による努力」参照)

予想できること

北朝鮮にとって最も安全な外交的行動は不承不承ながらも六カ国協議に復帰することだろう。そうすることによって、北朝鮮はその隣国や米国の譲歩と引き換えにゆっくりとその武器プログラムに関する交渉を継続することができるからである。実際のところ、これこそが北朝鮮の戦略だという可能性もある。例えば、北朝鮮は過去にアメリカの偵察衛星を混乱させる手の込んだ演習を行ったことがあり、吉州(キルジュ)での最近の出来事もその最も新しい企みにすぎないかもしれないのだ。

また、北朝鮮との対立は中央アジアと中東で続いている紛争のため、米国にとって最も不適切なタイミングで生じていることから、ワシントンはそれが一層エスカレートすることを望んでいない。中国もまた、北朝鮮の核施設への空爆をする等の措置を採らざるを得ない状態まで北朝鮮が米国を刺激する事態を望んではいない。

とはいえ、核実験をすることによって自国が核大国であると宣言するため、平壌がさらに一歩踏み出すということはあり得る。自国の核兵器整備はパキスタンとインドの例に従っているだけだと北朝鮮が正当化する可能性がある。両国の場合、国際社会は当初否定的な反応を見せたが、時間をかけて不承不承核宣言を受け入れた。もし北朝鮮が、米国による攻撃を招くことなく核兵器を開発することができるなら、北朝鮮は東アジアにおける力を飛躍的に増大させ、同地域におけるパワーバランス(力の均衡)を大きく変えるという結果を招くだろう。

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