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イ・サン」も12話まで来ました。週一話だと、なかなか気の長〜いお話です。 今回は12話から、というよりは、再視聴して感じたことをいろいろと。 改めて観て思ったのは、この作品、時代背景を知っているのと知らないのとでは、物語への入り込みが全然違うな〜、ということ。 これはなにも「イ・サン」に限った話ではないですが。 そもそも史劇ドラマなんていうものは、本国視聴者向けに、時代背景はある程度分かっているという前提で作られてますから。 ただ、ビョンフン監督の他のお話「チャングム」「ソドンヨ」「ホジュン」「商道」などを考えると、官職の上下とか地名とか、衣装のこととか、素朴な疑問はあったにせよ、「イ・サン」で感じたような苛立ち?に近いものは余りなかったような。。 まあ、イライラの原因は人により様々と思いますが、私の場合はどうだったかというと… 衛星劇場で観ていた当時、一番納得いかなかったのは、どうして実の父が、重臣の言葉をすんなり信じて息子を断罪できたのか、実の祖父が孫につらく当たるのか、実の叔母が甥を失脚させようとするのか。どうして周りにいるのが、王子として尊重せず失脚を狙う重臣ばかりなのか、等等… 要は、主人公が余りにも理不尽に追い詰められているのがいまひとつ理解できず、そのためすっきりと感情移入ができなかった覚えがあります。 もともと逆境にいる主人公は、這い上がりたいという目的が明確。追い詰められるにしても、逆境だから仕方ないね、と見ている側も同情したり納得できるところがあります。 衛星劇場編の記事とダブりますが、他のビョンフン監督作品を見てみても、 ・無くした身分・特権を奪還、両親の復讐(チャングム) ・もともと身分がない(商道) ・庶子ゆえに苦しむ(ホ・ジュン) ・本当の自分の身分を知らない(ソドンヨ) でも、サンの場合は正統な世継ぎで、本来はなんら問題などない境遇。これらの作品に限って見ても一番恵まれている。そのサンが実は逆境状態にいる、と理解するには、視聴時の私は朝鮮王朝について余りに無知で、理解しきれずもどかしい思いをした気がします。 まあ今では、同じ正祖の時代や朝鮮王朝を舞台とした他の作品を色々と観たお陰で、朝鮮王朝の体質?のようなものが掴めてきたので、サンの境遇がどれだけ厳しいものだったかも、当時に比べれば理解できるようになった、かな(笑)。 で、「イ・サン」12話です。 この辺りから、今までは厳しくとも、サンには一応期待を込めた目線を送ってきた祖父・英祖の態度が、微妙に変化していったような記憶があります。 それと共に視聴しているほうも、なんでなの?というイライラ感がさらに募ることに。 英祖がどうしてそんなに実の息子の無実を認めたくないのか、そこが分からないのが、すごーくもどかしかった覚えが(笑) そもそもは10年間封印されていた思悼世子の事件が、また持ち出されたことが原因。ここで史実上の英祖と思悼世子の関係(参考:7話・9話記事)を念頭に考えると、「イ・サン」の英祖は、息子を罪人として処罰したことは間違いでなかった、蒸し返したくないし、蒸し返す必要もない、と思っている。 でも、これはビョンフン監督の解釈です。 「正祖暗殺ミステリー」はまた違って、幼いサンに祖父が自らの過ちだったと伝え、サンを護る為に自分の真意を永らく極秘にさせていました。「風の絵師」も正祖即位前に英祖が御真を描かせた辺りからすると、早くから英祖自身が悔いていた、という解釈のようです。 ところが「イ・サン」では、サンはもう21歳、即位まであと4年というのに、まだ英祖は思悼世子事件を悔いてない、と公的には頑張ってるわけです。サンにも周囲にも、思悼世子は罪人だ、と言い張ってます。そうでないと、王様が無実の子を殺したことになってしまいますし、これまでの英祖を見ていても分かるように、確固たる証拠なしに断行する王様ではない。子を殺すにはそれなりの証拠があったということです。 元々、老論が王にしたのが英祖ですから、英祖自身が老論派なわけです。老論が自分を貶めるなどと英祖が考えるはずはありません。ところがドラマでは、そう思っているのは英祖だけ。実際には王后が中心になって朝廷を牛耳ってます。 朝鮮王朝での党派と王権の均衡がどう保たれているのか、実は時代によって、また王様自身によって様々に違っているので、必ずしも王様が絶対的な立場にいるわけではないということを理解しないと納得できない構図だなーと思います。 罪人の子は王になれないのは、王朝としては鉄則です。しかしサンは記録上は夭折した思悼世子の兄の養子となっており、思悼世子の子ではないことになっているので、なんとか身分を保持しているんですね。 ここでサンが、思悼世子が無実だった、あるいは自分の実の父は思悼世子だ、と認めることは王室のタブーなわけなのですが、老論は、サンがそう認めざるを得ない状況に持っていこうとしています。 なぜかといえば、老論ではないサンによって、自分たちの罪が暴かれるのを恐れているから。もっと御しやすい王子だったらよかったのに、思わぬ逸材に成長してしまった。これはさっさと消して、幼い別の王子とすげ替えなくては、というところです。 頑張っている(笑)英祖はどうか。サンには絶対に父の無実を認めさせたくないと思っている。権力者としてのプライド、祖父としてのプライド、色々あると思いますが、中でも認めたくないのは、もしも無実だったとすると、誰が思悼世子を陥れたのか、黒幕は誰か、自分の周りの者でどれほどがそれに関わっているのかということ… これを考え出すと、英祖じゃなくても頭が痛くなりますね。。自分の間違いを認めるだけでもつらいことなのに、自身が謀られたこと、裏切り者の顔ぶれ、自分が磐石だと信じてきた王権そのものへの不信など知りたくない現実が次々に頭をもたげる羽目になります。 でも実際問題として、息子を殺して封印したまま、10年間全く考えなかった、なんてことはないはずです。英祖もきっと意識下では、もしかすると、という疑念を持っていたはず。 このドラマの一見絶対的な王である英祖は、実はそうやって蓋をしてきた意識を、娘により無理やりこじ開けられ、考えたくなかった現実と向き合わされていく年老いて余命僅かな哀れな父王として描かれているのだと思います。 ところでサンはというと。 サンはそもそも、本当の父を父とは呼ばないことで生きながらえています。そこからしてサンには耐え難いこと。心の底では父が無実であると信じて疑っていません。これは儒教国朝鮮では当然のことですが、それ以上に生前の父を知っている息子の信念、身内への情です。この「身内への情」が、この方はとても篤いのです。たとえ死ぬことになっても父への孝心を貫きたいのが本心。ところが実際には声を押し殺して生き抜かねばならない。 なぜか。それは父との約束を果たすため…つまり「聖君」になるためです。 ここがサンの苦悩の原因となります。自分の立っている場所が砂上の楼閣だと分かっていても、耐えて立ち続けなければ、父との約束を果たす日は来ないのです。 しかも、その約束のための王道の教えを請う相手は、父を殺した実の祖父で、この方への情も、サンはしっかりと持っています。父への情と祖父への情の板ばさみになるわけです。 というわけで、やっぱりサンも逆境の中にいるのです(笑) 国家の頂点に最も近い所にいながら、内面的には下々の民には計り知れないほど厳しーーーい苦境です。 父を信じる、罪のない者を救う、虐げられる者に手をさしのべる…この先遭遇する様々な事件で、いつも人道的に正しいと思われるほうを、選択していくサンです。 王としての資質を開花させていきながら、常に正しいほうを選ぶサンを見ていると、「正」という字がこの方に与えられたのも道理…これほど「正祖」の名が相応しい君主もいないのではと思えてくるくらいです。 正道を貫こうとするとき、たとえ危うい自分の立場が、さらに揺らいだとしても、サンが危惧するのは保身ではなく、父との約束を果たせなくなる、その一点です。見ているほうもここを忘れなければ、サンが廃世孫となることや死ぬことをなぜ恐れるか、理解できるのでは、と思います。 こういう孫と正面から向き合わされることになっていく英祖。英祖にとっては開いてはいけない扉が開いてしまいました。英祖が現実とどう向き合うのか。二人の関係がどう変化していくか。どういう決着を迎えるか。 ビョンフン監督も二人の俳優さんも、この複雑な葛藤を、実に見事に丁寧に描き出して見せてくれます。
視聴中の方には、イライラはなんとか抑えて(笑)、全てが明らかになる中盤に向かって、是非とも頑張って見届けて頂きたいなー、なんて。 長々書いて、自分の頭の中が半分も整理できなかった気もしますが(^^ゞ なにはともあれ、これからテスやソンヨン、それからホン・グギョンらが力をつけてサンをサポートしていってくれますから。まだまだ、これからが面白い「イ・サン」です☆ |

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こんにちは〜〜〜〜☆☆
実に奥深い解釈ですね。勉強になります〜〜〜〜m(__)m
私なんてただぼ〜〜〜と見てるだけだから。
こういう身内同士の争いって別に韓国だけじゃなく、日本でもそういった親兄弟の争いは絶えず歴史として残ってます。
現代の私達の家族とは違うでしょうね。
兄弟といえども兄には兄の後ろ盾が。弟には弟の後ろ盾が。親には親の後ろ盾が。親族それぞれ家臣たちがいっぱいいますので、ただの兄弟げんか&親子喧嘩ということにはならず、殺し合いの抗争が繰り返し×2おこってきたんでしょう。
そう考えると、宿命とはいえ、王族の方々は一般の民よりしんどい生き方をしないとダメなんでしょうね。
イサンにしても英祖にしても、思悼世子例外ではないということですな。
[ とん子 ]
2009/10/31(土) 午前 11:32
アンニョン!私も20話ぐらいまでは、理不尽さがなんともでした。
風の絵師も最近見終わりましたが、イサンを見終わっていたので、さらに興味深かったです。
王族も楽じゃないですね。今、大王世宗を見始めたばかりですが、そう思います。(簡単に言いすぎましたね)
イサンに嵌って、時代劇の本を買ったせいか、何倍も楽しくなって嬉しいです。
興味深く読ませて頂きました。コマスミダ(^^)
[ ゆーゆー ]
2009/10/31(土) 午後 0:00
とん子さん、勉強だなんてそんなそんな…
考えて見ると、小さい頃から物語を作ったりするのが好きだったので、嵌まりこんだお話の場合、「作り手」をすごく意識しちゃうんだと思います。それであれこれ考えるハメに。。損な性格です(>_<)
さすがはとん子さん、韓ドラ史劇の裏を分かってらっしゃいますね〜。仰るとおり、王族にはそれぞれの後ろ盾がいて、家族の情なんて二の次にせざるを得ないですよね。
「天地人」など観ていても構図は同じですものね。李氏朝鮮ものは話が国家の君主となるから、スケールが大きいですけれどね。
2009/10/31(土) 午後 1:56
ゆーゆーさん、アンニョン♪
やはり理不尽さを感じられてましたか。。
私も周囲の未視聴の友人らに勧めておきながら、自分自身が中だるみしたことがひっかかっていて、なんだか色々考え込んでしまいました。
大王世宗は、さらにさらに>王族も楽じゃない、って思い知らされますよね。私は44話まで観ましたが、あらためて実感しています。
王様は、もうやめた!って投げ出すわけにはいきませんものね。
王様の生き様から勉強できることがたくさんあるな〜と思いつつ楽しんでます。(勉強したことを生かせるかどうかは、別ですが(^^ゞ)
2009/10/31(土) 午後 2:04
さすがkiokioさんですね!!
私も疑問に思ったことですが、その「何で?」を深く掘り下げてそのままにしておかないで調べて勉強することって尊敬します。
今度韓国を訪れることがあったら史跡を見学するときに、王と生まれた人たちのもしかして平民より過酷であったかもしれないその生き様
に思いをはせながら見ることができると思います。(今まではノホホンと見てました〜)
[ miharu-kdora ]
2009/11/1(日) 午前 0:51
miharuさん、おはようございます。
気になりだすと白黒つけないと収まらない性格なんだなー、ってこの歳になって思い知っております(-_-;)
でも仰るように、史跡を見ながらその裏にあったであろうドラマに思いを馳せるのと馳せないのとでは、格段の差がありますよね、きっと。
いつか正祖や英祖の息遣いが感じられるような場所に立つことができたら…考えるだけで胸がドキドキしてきます。
2009/11/1(日) 午前 9:14
大王世宗に続いてまた出ました。イサンは女房が第1話からビデオにとってあります。自分はまだみていませんがたしか日曜日21時から放送しています。時代ものは好きで今迄{テジョヨン」「王の女」「チャンヒビン」風の国」「朱蒙」「龍の涙」結構見ていますね。
[ HANABI ]
2009/11/2(月) 午後 4:43
domatuさんも、色々ご覧になってますね。テジョヨン、龍の涙はまだ見ていません。龍の涙は大王世宗を理解するには、先に観ておいたほうがよかったようです。
イ・サンは面白いですよ〜♪衛劇で見たくせに、NHKでまたまた見ている私です♪
2009/11/2(月) 午後 11:59
こんにちは昨日から大王四神紀1,2話今日3,4話夜中ですのでビデオに撮っていますが、煮るのが大変さらにイサンを見ると時間がほしい夜みるとねむってしまうしたいへんですね(〜〜)
[ HANABI ]
2009/11/3(火) 午後 4:02
domatuさん、大王四神紀ってまた始まったんですか!?
結構何回もやってますよね〜、やはりヨン様ファン狙いでしょうか(^^ゞ
私は初回のハイビジョン放送で結構嵌まってしっかり最後まで見ましたよ♪歴史物というよりは、ファンタジーみたいな視点で楽しみました。
しかし夜中なんですね〜。。2話連続とか?イ・サンと両方はかなりキツイと思います…(>_<)
2009/11/3(火) 午後 8:32