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王后は目を閉じて歩いてみる。灯篭にぶつかり目を開く王后。光を失っても生きていけるのか。王様にはまだやりたいことが山ほどおありなのに… ヨンシルの庵で歩く王もまた、障害物に気付かずぶつかって倒れる。灯りをつければなんとかなる。王は言うが部屋は十分に明るい。心配そうなヨンシルの顔がやがてしっかりと視界に戻りほっとする世宗。余の眼はいつまで持つのか…落胆する王に、自分にできることがあれば最善を尽くします、と励ますヨンシル。王は告げる。 「余の考えを知ればそなたは驚愕するだろう。それでも力を貸してくれるか」 勿論です、と力強くうなずく上護軍。 ヘサンはその王の考えをヨンシルから聞かされて耳を疑う。 「人体解剖だと。正気か!?」 朝鮮語の発声、音の出る位置の違い、それを知るには解剖しかない。ヨンシルの表情に硬い決意を読み取り、口をつぐむヘサン。 世宗は文字創製に関わる者を集めて自分の決意を伝える。息を呑む学士たち。朝鮮は儒教の国、知れれば世間の非難は必定。それでも前向きに考え具体案を検討せよという王に、晋陽が反対する。 「前向きに考えるのだ。父には余り時間がない」 父の眼のことを知らない王子はなんのことかといぶかしむ。スクチュ、サムムンらにも反対すべきだと説くが、7年かかってもなんの進展もない、完成のためなら悪鬼とでも手を結ぶ、と王に従う決意の学士たち。 ヨンシルは必死でヘサンを説得する。王様の眼のためにも一日も早い文字の完成を。文字は武器開発にも不可欠。ヘサンの父が書き残した技術も全て漢文。しかし後世のために、民への普及のためにも優しい文字で残すべき。それを聞いてへサンも考え込む。 「大砲の扱いを文字で書いて配れば、怪我をするやつが減るな」 多くの者が早く技術を習得できれば技術開発も進展する…承諾を求めるヨンシルに苦笑いするヘサン。 「全く。王様とお前はいつも面倒ばかりおこす」
ヘサンが秘密研究所のある津寛寺から出てくるのを目撃するプンゲ。ヘスはそこが王の研究所だと睨み寺の地図を入手するよう命じる。 世子は礼判ジョンソに、回回人(ウィグル人)の医者を探すように頼む。盗み聞いたキム・ムンがマルリに報告。王様の病状を診せるためか、不審に思い医官に確認するマルリ。 一方晋陽大君は兄・世子に、父上の暴挙を止めるべきだと訴える。儒教の伝統を壊せば王室は正統性を失う。しかし世子は説く。 「正統性は治世の中心に民がいる限り失われない」 杞憂に流されず前向きに。回回人の医者を迎えに行け、と命ずるが断固として拒む晋陽。 そこに医官を伴ったマルリが踏み込む。医官の問いに、王様を診せるのではなく意見を聞くだけだ、と説明する世子。しかし医官は血相を変えて抗議する。回回人の医者は医療の基本も知らず人の体を切り裂く悪鬼のような輩です、とんでもない、と。それを聞いたマルリも驚いて反対する。“身体髪膚を父母に受く”が儒教の大原則。 「これを共有できぬ者に意見を聞くなど許されません!」 ヘサンは官吏が尋問の終わった死体を捨てるのに近づいては、どんな罪だったのか、身寄りがあるのかと確認する。胡散臭そうに見る官吏に、葬儀くらい出してやれば前世の罪が軽くなるそうだ、と説明する。しかし引き取り手のない死体はなかなか入手できない。心配して見に来たヨンシルに、誰かに見つかったらどうするのだ、と慌てるヘサン。今は謀反もないので放置される死体がない、とぼやく。その言葉に 「王様が血と汗で築かれた太平の世を嘆くのですか」と笑うヨンシル。 マルリは晋陽大君に近づき説き伏せようとする。今は乱世も同然、新王樹立が必要、その王には王子様がふさわしいと思うと。冷ややかに副提学を見る王子。 「そなたが私から聞きだしたいのは、父上を責める決定的な証拠だろう」 にやりと笑い、王子様の手を借りずとも必要な情報は得られます、とマルリ。「聞かなかったことに」と言って立ち上がる王子の胸に手を置いて続ける。ここに潜む葛藤を知っている。どれだけ研究しても、王や世子を支えても権力を持てぬ者の葛藤。晋陽は、王子の宿命だとかろうじてかわすが、その背にさらに言葉を浴びせるマルリ。真実と向き合い王座が欲しくなったら門を叩いてください、私が王子様の策士になりましょう。
途方に暮れるヨンシルとヘサンの前に、官吏が新たな死体を持ってくる。昨夜獄死した身寄りのない死体。やっと手に入った死体を運び出す二人。その様子を監視するプンゲがヘ・スに報告する。別の部下が、ヘサンと共にいたのはヨンシルに間違いない、と。驚くヘ・ス。部下はプンゲが描いた似顔絵を見て断言する。その似顔絵は、プンゲがヨンシルへの想いを込めて描いたもの。以前ヘ・スに見つかり、後で必要かも、と誤魔化したのだが、ヘ・スはプンゲへの疑いをさらに強め、ヨンシル殺害を決意する。 死体を運んでいくのを集賢殿のハ・ウィジとパク・ペンニョンが目撃。尾行しながら、文字創製の資料に間違いない、現場を押さえよう、と寺に侵入。カン・フィが王を呼びに行く間、部屋に入り蓋を開けて中身を見た二人は仰天。慌てて脱出、山を駆け下りるが。転げ落ちた二人の前に死んだはずの上護軍が立つ。その姿を見るやパニックに陥り震える二人。ヨンシルの後ろから現れた世子の姿にさらに息を呑む。 世宗は運び込まれた死体を、医官に確認させる。ところが驚きに目を見張り、解剖はできないと告げる医官。これは疫病の死人、下手をすれば都全土に広がってしまいます。驚愕と落胆に顔色を変える世宗。 マルリ部下チャンソンは、東廠がヨンシルを見つけたことを知りマルリに報告する。上護軍への非情な処罰が王の謀だったと悟るマルリ。さらにヘサンと二人で死体を運び出したと聞き、頭をひねる。脳裏によぎる回回人の医者の一件。人の体を切り裂くという医官の言葉。突然真実に気付き声を上げるマルリ。 「まさか王様は、ご立派な文字を創るために人の体を切り刻もうと!?」 驚愕する部下たち。マルリは回回人の医者の到着と共に踏み込んで現場を押さえることを決意。国中の両班が決起すれば王様も王座を追われ文字創製もなくなるだろう、と。 一方ヘ・スは、寺の地図からヨンシルの隠れ家が庵だと見抜き部下に命じる。 「チャン・ヨンシルを殺し、わが明国を侮辱した朝鮮王を征伐するのだ」 プンゲは急を知らせようと外に出る、しかしヘ・スと部下らに囲まれる。裏切り者はお前だったか。逃げるプンゲに矢を射るヘ・ス。急所に刺さった、と確信し寺へと急ぐ。 ヘサンはヨンシルの庵を訪ねるが、そこにはインジらが残っているだけ。どこに?と問うと、大勢では人目につくからと一人で回回人の医者を迎えに行ったのだと答えるインジ。一方背に矢を受けたプンゲは、近道を通って寺近くに辿りつき、居合わせたヘサンと尚膳に、東廠がこちらに向かっている、上護軍さまが危ない、と急を知らせ力尽きる。 なにも知らないヨンシルはヘ・ス一行と鉢合わせになる。必死に逃れるヨンシルを追うヘ・ス。しかし傷ついた体では思うように動けない。木の根元に隠れたヨンシルに迫る東廠。そこに大きな爆音が。次々にはじける火薬。投げるのはヘサン。東廠がその後を追っていく。追い詰められたヘサンの前に抜刀し近づいていくヘ・ス。ヘサンは後方に駆けつけたヨンシルの姿を認める。逃げろ、と目配せするが、こちらに向かおうとするヨンシル。気付かせまいとヘサンは自らヘ・スの剣の前に身を投じる。驚くヘ・ス。なおも目でヨンシルを行かせようとするヘサン。ついにヘ・スが気付きヨンシルを見つける。 「あいつには手を出すな!」 訴えるヘサンを蹴り飛ばしてヨンシルに向き直るヘ・ス。ヘサンはそれでもヨンシルを行かせようとする。呆然としたまま近づいてくるヨンシル。ヘ・スが剣を振りかざす。そこにカン・フィら護衛武官が駆けつける。死闘が繰り広げられるなか、ヘサンの元ににじり寄り抱え起こすヨンシル。ヘ・スの剣を捉えその首をかき切るカン・フィ。崩折れるヘ・ス。 ヘサンを抱くヨンシル。チェ様!と声をかけるのを、「父さんと呼べ」とヘサン。傷口を必死で手で押さえ、しっかりして下さいと叫ぶヨンシルの右手を持ち上げて見る。 「よかった。怪我はない」 ヨンシルを見上げ、お前のお陰でいい人生だった、と礼を言う。 「王様にしっかり伝えてくれ。しがない私ですが、死んだ後くらい役立たせて下さい、と。学びやすい朝鮮の文字を創るためにお役に立てれば幸いです。私との約束を決して忘れないで下さい、と」 ヨンシルの頬に手を触れ、やがてその手が落ちる。声もなく涙を流しながら、見開かれたその両の目をそっと閉じるヨンシル。押し黙ったまま傍らに立ちうなだれるカン・フィ。 世子とヨンシルから報告を受けた世宗は無言のまま。やがて搾り出すように「無理だ」と。 「余りに重すぎる忠心だ。受け取れぬ…」 そう答えて涙をこらえる王。 知らせを聞いて呆然とするファン・ヒ。マルセン、ユンドク、イ・チョンも駆け込んでくる。あのヘサンが。一体なぜ…。悲しみつつも皆に現実を思い出させるファン・ヒ。今我々が考えねばならないのは勅使ヘ・スの死を明にどう釈明するか。大きな外交問題に発展せぬよう万全の措置をとらねばならない。マルセンが呟く。あの者が助かるのを祈りましょう、と。 それは東廠に潜入した密偵プンゲのこと。心配そうに手当てする尚膳と見守るカン・フィ。やがて目覚めるプンゲ。安堵の笑みをもらす二人。 礼判ジョンソが、ヨンシルと共に回回人の医者を連れて寺の世宗の前に現れる。何故連れて来たのか、そなたは何を知っているのか、と説い質す王に、微笑みながら答える礼判。 「民を思う心です。王様と我々を結び付けているのは正にその心です」 御心を察すれば言葉はなくとも道がみえるもの… 振り返る王を見返すジョンソ。傍らのヨンシルが告げる。 「父の忠心をお受け取り下さい」
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