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セリョンは必死に訴える。
判官が罠を張っている。騙されぬようにと。
自分のために危険を顧みぬ妻に
胸打たれる子息。
兵を集めよと息巻くミョンを止める副官。
夜更けに敵地に向かうのは危険だと。
逆らうのかと目をむく判官に承服する。
子息は根城にセリョンを連れ帰る。
フンスらは王女と気づくが、誰かと問う将軍に答える。
「私の妻です」
思わず夫を見るセリョン。一同も顔を見合わせる。
何も知らぬ将軍は妻帯者だったとはと笑う。
幕舎で妻の知らせを明かすスンユ。
官軍がすぐに妻を追って攻めてくる。
夜中に兵を動かすのは危険。
秘策のある子息は根城の兵だけで迎え撃つべきと。 手勢を従え潜伏するスンユの前に現われる官軍。
天幕を見つけ近づいていく。
囮役のソクチュとノゴルが逃げ込む。
天幕を襲撃させる判官。が、中には誰もいない。
罠と気づく官軍に、スンユの兵が矢を射掛け切りかかっていく。
退却を促す副官。このままでは全滅だと。
やむを得ずミョンは退却を叫ぶ。そこに新たな義兵が。
逃げ道をなくすミョン。気づいたスンユは
判官めがけて手にした刀を投げつける。
その体を貫く刀。
驚愕する判官の前で倒れていく副官。
抱きとめるミョンにお逃げくださいと告げ
こと切れる。
援軍が現れ義兵らは退いていく。
副官を抱き慟哭するミョン。
根城に戻る義兵を女たちが出迎える。
妻を認めほっとした笑みを浮かべるスンユ。
次の戦いに備える反乱軍。
官軍はさらに大軍を送り込むはず。
退路はない。避けられぬ激戦になると覚悟を決める。
兵たちの手当てをする妻を優しく見守るスンユ。
セリョンは夫の手首に流れる血に驚く。
部屋で包帯を巻く妻に子息は尋ねる。
ミョンのところにいたのか。私邸にいると思っていたと。
手荒な扱いは受けてはいないと微笑むセリョン。
返り血を浴びた夫の顔を見つめる。
血の匂いが嫌かと気遣う夫に首を振り
その頭を自分の胸に抱き寄せる。
戦いで血にまみれるとき
自分が人なのか獣なのか分らなくなると。
「私にはこの上なく愛しい人です」
妻の言葉に目を閉じるスンユ。
やがて立ち上がり、そっとその頬に触れ幕舎に戻る。
見送るセリョンは再び吐き気に襲われる。
森で副官ジャボンを葬るミョン。
冷たい土に横たわった姿に涙を流し語りかける。
感謝の言葉も言えなかった。
愚かな自分に従い守ってくれた。ありがとう。
遺骸に頭を垂れよろめきながら離れていく判官。
王宮。
世祖は判官が寝返るのではないかと危惧するも
目の前のスクチュに笑う。
父親を王宮に残して裏切りはすまい。
王の脅しに顔をこわばらせるスクチュ。
起きてきた妻を川辺に誘う。
穏やかな空気に心和ませるセリョン。
真顔で妻に向き直り子息は告げる。
今日は激戦になる。咸吉道全土が戦場と化す。
都に戻り僧法寺で待っていて欲しい。
残りたいと答える妻にさらに請う。
危険な場所に残して戦いには出られぬと。
夫の眼に映る覚悟を読みとり答えるセリョン。
「生きてお戻りを」必ず私の傍に戻ってきてください。
微笑みを浮かべ頷くスンユ。
官庁。ミョンフェが判官に告げる。
未だ鎮圧できず王様はお怒りだ。信頼を回復したくば必ず壊滅せよ。
万一に備え自分は後方で待機すると。
その真意を探りながら頭を下げる判官。
都に戻ったら二度と離れぬと妻を見る子息。
セリョンはその肩に腕を回す。
抱き締めあう二人。
振り返りながら去っていく妻を
思いを込めて見送るスンユ。
作戦を練る幕舎に斥候が戻る。官軍が出立した。
全軍との知らせに身を引き締める反乱軍。
対峙する両軍。
官帽を取りミョンが叫ぶ。逆賊どもを生きて帰すな。
首陽の手先を討てと声を張り上げるスンユ。
戦いの火蓋が切られる。
繰り広げられる死闘を伺うミョンフェは
弓兵に矢をつがえて待機させる。
敵を切り倒しにらみ合うスンユとミョン。
その言葉に斬りかかる判官。激しく切り結ぶなか
ミョンの払いのける勢いで地面に転がるスンユ。
体勢を立て直し振り下ろされる刀を防ぐ。
子息の劣勢を見逃さないミョンフェは指揮官に
キムめがけて矢を放てと命じる。
判官に躊躇する指揮官だが構わぬとミョンフェ。
矢が両軍の上に降り注ぎ判官の背に突き刺さる。
驚くスンユ。ミョンは怒りを込めて後方を振り返る。
容赦なく放たれる矢は官軍の兵をも射ぬいていく。
スンユは咄嗟に友の体を掴んで後方に下がる。
なぜ官軍がお前に矢を放つかと問い詰めるも
ミョンは笑って返す。
なぜ助けようとするのかと。
自らも矢を受け逃げようと促すスンユ。
友の腕を振り払い拒むミョン。
脳裏にはかつて親友と呼び合った日々が甦る。
「お前たちはいつも俺に惨めな思いをさせる」
言葉の出ないスンユに笑いかけ言い放つ。
「先にジョンに会いにいく。行け!」
友を突き飛ばし立ち上がる。
その背を襲う幾本もの矢。
見開かれた目を閉じてやり囁きかける。
「すべて忘れろ。ミョン」
沸き起こる憤りに立ち上がり
敵に向かって踏み出す子息。
その姿に奮起する反乱軍の反撃が始まる。
大勝利に湧く幕舎。南に進撃すると意気込むイ・シエは
スンユに先鋒を任せようとするが、子息は腹案を明かす。
首陽が大軍を送れば都は手薄になる。
その隙に乗じ都を混乱に陥れると。
子息を都に向かわせる将軍。
王宮。
鎮圧に手間取り過ぎると怒り顕わの王。
スクチュを前に判官は任務を全うできなかったとなじるも
気落ちした様子に下がれと命じる。
肩を落とし身を震わせるスクチュ。
キョンヘからシン判官の死を知らされ言葉をなくす。
苦しめてばかりだったと心を痛めながら
吐き気に口を押さえる。
その様子にキョンヘは従姉妹の妊娠に気づく。
あの方の子が、と腹に両手をあて涙ぐむセリョン。
都に戻ったスンユが王宮を探っているとも知らず。
王の寝所。
世祖の夢に端宗が現われる。無言で泣き続ける甥。
その涙が王の手の甲に落ちる。
飛び起きる世祖。手に残る赤い傷に蒼白になる。
毎夜うなされる王を案じる王后は寺参りを勧める。
スンユらの元に反乱軍からの知らせが。
密告で拠点が奇襲され将軍も捕らえられたと。
進退に窮し苦慮するスンユとソクチュ。
酒場にいるノゴルは客から朗報を得る。
王が僧法寺に行幸すると。
思わぬ好機の到来に目を見張るスンユは
ソクチュに決意を告げる。
「俺は首陽を討ちに行く」
共に行くという二人を断り妻を託す子息。
妻を支えて欲しい。
なおも案じるソクチュに子息は心中を明かす。
多くの犠牲者の悲願を背負いいつも苦しかった。 もう荷を下ろしたい。
「誰も代わることのできぬ俺だけの戦いだ」
その想いを汲み必ず再会しようと力づけるソクチュ。
僧法寺。
王夫妻の来訪に驚くキョンヘは従姉妹に知らせる。
見つかってはならない。
母親は娘の妊娠に気づくものだと。
しかしその会話を夫妻が聞く。
身ごもったとは誰のことかと娘を見つめ蒼白になる。
キムの子かと詰問する父に答えるセリョン。
「あの方は私の夫です」
激怒する王は娘を軟禁せよと叫ぶ。
娘にジョンソの孫を宿らせたのか。
仏像を睨みつける王は
護衛イムに酒を持ってこいと命じる。
敵と情を交わすとはと娘を咎める王后。
子が不幸になるだけと言う母にセリョンは毅然と答える。
「子供の将来は誰にも分りません。この子が自分で選びます」
僧法寺に潜入するスンユは見張りを倒し
兵になりすまして仏堂に迫る。
ひとり座る首陽。その後ろからゆっくりと近づいていく。
ジョン、イ・ゲ、そして父の無残な最期がまざまざと甦る。
イムかと声をかける王。
官帽をとり正体を明かす。
「首陽。命を頂きにきた」
息を呑みつつも、私を殺せばセリョンが悲しむぞと
子息を見据える世祖。
兵を従えイムが参じる。世祖は続ける。
「お前も私と変わらぬ」
復讐という名のもとにに大勢の命を奪ったのだと。
黙れと遮る子息。
「生き残った者の使命を果たしたまでだ」
たとえ負けようとも誰かが遺志を継ぎさらに他の者が続く。
お前は一生後悔し苦しみ続けるだろう。
「あの世で無念の死を遂げた者たちに許しを請うがいい」
渾身の思いで刀を振り上げる。その子息に
思いもよらぬ言葉を投げかける世祖。
「セリョンが身ごもった」
「キム・スンユ、お前の子だ」
怯みつつも、だまされぬぞと振り上げるその手に
イムの刀が放たれる。
兵に取り押さえられながら睨みつける子息に
世祖は勝ち誇った笑みを返す。
半死半生にされた子息を見下ろす世祖。
イムが鞭をふり更に一撃を加える。
許しを請い王として認めるなら娘と逃がしてやる。
王の言葉にツバを吐きかけるスンユ。
逆上した王は首をはねよと叫び、イムが刀に手をかける。
そこにセリョンが飛び込んでくる。
「殺すなら私を先に」
駆けつけた王后が仏様の前だと叫び
子を宿す身だと続けるキョンヘ。
世祖は構わず、処刑する、投獄せよと言い放つ。
イムに抑えられ涙を流しながら
引きずられていく夫を見つめるセリョン。
牢に横たわる子息に王の言葉が甦る。
セリョンが身ごもった。お前の子だ。
妻と子と三人、幸せそうな己の姿。
薄れる意識の中で幻に笑みを浮かべるスンユ。
一度だけ折れれば3人とも助かる。
大義名分など忘れさせよと。
頑なに拒むセリョンにキョンヘが告げる。
子のことを考えるべき。
もう自分一人の体ではない。
涙をたたえ従姉妹を見て続ける。
「子供に父親の顔をみせねば」
その言葉に声を上げて泣くセリョン。
王后と共に牢を訪れるセリョンは
夫の頭を膝に持ち上げ傷ついた顔に触れる。
目を開き弱々しく微笑む夫に囁く。
「すべて忘れて遠くへ行きましょう」
目を閉じ顔をそらす子息。
セリョンは、などとは言わないと続ける。
父との間でつらい思いをさせた。最後はお望みの通りに。
僅かにうなずくスンユ。
あの世で父とジョンに話すつもりだ。
最後まで守ってくれた女人がいたと。
涙をこぼしながらも吐き気をこらえるセリョン。
子息は妻の腹に目をむける。
その手をとり体にあてて夫を見るセリョン。
妻の頬の涙をぬぐい子息は切れ切れに告げる。
「生まれ変わっても俺を忘れないでくれ」
不意にその首が傾ぎ手が床に落ちる。
茫然と夫を見つめるセリョン。
その胸に身を重ね目を閉じる…
二人の墓に酒をまいてやりながら
一緒にいられて嬉しいかと話しかけるソクチュ。
チョヒらも呟く。共に眠れてさぞ幸せだろうと。
年老いた世祖は体の痒みがひどく眠れない。
王后の勧めでお忍びで湯治へ。
輿に揺られる王は前方から来る父娘に目を奪われる。
食い入るように男を見る王。王后も顔色を変える。
目の前の王に気づきもせず通り過ぎる。
その手には長い棒が。
王后は思い起こす。
二人を死体に見せかけ王宮から逃して
夫を欺いたのだった。
セリョンは自害した。共に葬ったので安らかに眠らせてやって欲しい。
涙ながらに告げる妻の姿に
全てを信じた世祖。
二人を迎えるセリョンの姿に目を見張る。
女の子をあやし睦まじく笑う娘と子息。
その様子に涙ぐみながら
王は妻を振り返る。
そなたの計らいかと。
妻の手をとり微笑む世祖。
野を連れ立って歩くスンユとセリョン。
後悔していないかと問う妻に子息は答える。
光を失ったが心を取り戻した。
復讐は挫折したがそなたを得たと。
前方には用意した馬がいる。
夫に尋ねるセリョン。
「怖くないですか」
妻に微笑むスンユ。
「そなたと一緒なら怖くない」
ヨリの膝に座る女の子は
扇子に書かれた詩を読みあげる。
情とは一体何かと世に問うてみた。
私はこう答える。
馬で野を駆ける二人の声が続ける。 なんのためらいもなく生死を共にさせるもの。
それこそがまさに情だと…
「王女の男」
完
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