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大晦日、ってまだつい月曜日のことなんですけど。すごく前のような気がします。
年越しの壁って大きいですね。
うちは紅白を観る習慣がないので「行く年くる年」が始まるまでの時間、いつも困ります。
毎年どうしてたっけ。
そういえば昨年は録りだめた「坂の上の雲」を年末年始に家族で一気視聴してたんだった→この記事
夫はさっさと自室に行ってPCチェックを開始。娘も買ってきたばかりの本を見てるし。
そうだ。時間もちょうどいいし、あれを観よう!
韓国映画「クロッシング」
かなり前に録画したものの、こういう映画は私一人で観るのはもったいない、家族とじっくり観たい、と
実は機会がくるのを狙ってずーっと我慢してたのでした。
娘は二つ返事で賛同。でも夫は呼んでも降りてこず。かなり残念だけど。
娘がいてくれるから、まあ、よしとするか。
ということで視聴致しました。
(注)以下の画像はすべて「クロッシング・オフィシャルサイト」からお借りしました
作品紹介 → オフィシャルサイト「クロッシング」2008年製作
監督 : キム・テギュン
2008年
<韓国映画評論家協会賞・音楽賞>
<第16回イチョン春史大賞映画祭>
最優秀作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞・子役賞・美術賞・音楽賞・審査委員特別賞
<第21回東京国際映画祭>招待作品
2009年
<第81回米国アカデミー賞外国語映画賞>韓国代表作品
<第13回米国ハリウッド映画祭>グランプリ受賞
オフィシャルサイトから抜粋…1990年代半ば過酷な食糧危機を迎え、2003年、国連世界食糧計画(WFP)ジェイムス・モリス局長は「北朝鮮の食糧事情は極度に悪化し、300万〜400万人が飢餓と栄養失調に直面するだろう」と発表した。 事実、北朝鮮の住民たちは飢餓による家族の死を目の当たりにし、死線をさ迷いながら国境を超え、脱北者となった。その数は中国とその周辺国に約30万人に達すると分析され、韓国には約2万人がたどり着いたといわれている。 あらすじ(ネタバレです)舞台は北朝鮮の炭鉱村。かつてサッカー選手として活躍し、国から勲章までもらったキム・ヨンス、いまは炭鉱夫として貧しい生活を送っている。妻と幼いジュニに充分な食事を与えてやれることだけが彼の生きがい。
友人のサンチョルは中国に住む従兄弟のおかげで国から貿易を許されている。厳しい監視の目を盗み、こっそり韓国のドラマやサッカーの試合のテープも手に入れてヨンスやジュニにも見せてくれる。サンチョルの娘ミソンとジュニは幼馴染み。互いにほのかな思いを抱いている。
ある日、身重の妻が倒れる。栄養不足から結核になってしまった妻。しかし風邪薬すら簡単には手に入らない。サンチョルは友のために中国で薬を手に入れる約束をしてくれるが、密貿易が党に発覚し連行されてしまう。
妻のため、息子の愛犬までも食卓にのせなければならないヨンス。ついに豆満江を越え中国に渡る決意をする。
きっと帰ってくるという父を健気に見送るジュニ…
無事中国の朝鮮族自治州に入り仕事にありつき、同様に逃れてきた仲間たちと励ましあいながら薬を得るための金を稼ぐヨンス。しかしそこに公安の取り締まりが入る。逃げおおせたものの進退窮する一行に思わぬ救いの手が。脱北者らを密かに支援する組織。その計画に巻き込まれさらに家族と引き離されることになるヨンス。
言われるままに向かった先は中国のドイツ大使館。組織の手引きで仲間たちと共に駆け込み韓国への亡命に成功するが、それはヨンスの望んだことではなく…
中国の近代化に驚くヨンスたちだが、南朝鮮・韓国の発展ぶりには言葉も出ない。薬局で薬の名前の書かれた紙切れを見せるが、薬剤師の答えは衝撃的なものだった。結核の薬なら保健所にいけば無料でもらえると。
妻ヨンファは帰らぬ夫を思い、息子に詫びながら息を引き取る。無情に運び去られる母の遺骸を必死に追いかけ、お父さんが帰ってくるまで僕が守ると約束したんだと、泣き叫ぶジュニ。
残された僅かな金を手に父に会いたい一心で中国国境をめざす。途中、両親を失ってストリートチルドレンとなっていたミソンと再会する。夜の豆満江に入るも党に捕まり強制収容所に入れられるジュニとミソン。労働と飢えのなかで衰弱し息をひきとるミソン。
韓国のヨンスは家族の消息をたどり、妻の死と息子の失踪を知る。必死に足跡を追いついにジュニの居所をつきとめ、携帯電話で息子に話しかけるヨンス。もうすぐお父さんに会えるから。父の言葉を頼りに支援組織の助けで北京行きの列車に乗るジュニ。北京につき、そこから内モンゴル自治州を通過してモンゴルへ。息子を迎えるためヨンスもまたモンゴルに向かう。砂漠を走るジュニを乗せた車。やがて国境手前で降ろされ、同様に亡命しようという女性たちと国境線の鉄条網に向かうが、公安に見つかり捕えられる女性たち。ジュニは一人、鉄条網をくぐる。
広い砂漠、建物もなく誰もいない。首から下げた亡命者であることを記す札が風に揺れる。炎天下の砂漠を歩き続け疲れ切って砂の上に横たわるジュニは、夜の寒さに身を縮め、その背を少しずつ砂が覆っていく。
モンゴルの国境線は広すぎる。息子の遺骸を前に、間に合わなかったと詫びながら泣き伏すヨンス…。
役者紹介と感想キム・ヨンス役:チャ・インピョ
最近はお笑いシットコム「天女がいなきゃ」で毎週お会いしてます。
実生活でも慈善家として活動するこの方ならではのリアリティ。真面目で芯が強くて熱い、そんな真摯なイメージが、この父親像からも滲みあふれていました。運命に翻弄されどんどん思惑とは違う方向に流されてしまう、でもなんとか軌道修正して家族のもとに戻りたいという望みは捨てない。公安に追われ身の危険を冒しても貯めたお金だけは死守しようとし、韓国に逃れてからも家族を思って着の身着のままで決して贅沢をせず、息子のためにサッカーボールを買い。
モンゴルでついに息子に会える、その前の晩、目覚めてなにかいそいそと準備し始めるヨンス。でもそれが税関でひっかかって入国に手間取る結果に。それは息子に真っ先に飲ませてやりたい栄養剤だったんです…
ごく普通の父親が夫が、当たり前のことを切望しているだけなのに。
それが叶わない現実の重さに胸が痛みました。
キム・ジュニ役:シン・ミョンチョル
静かな演技に深い深い哀しみをたたえて、幼い少年には思えないほどの思慮深さをもにじませて。涙を誘われました。
2007年設定の物語ですが10歳〜12歳くらい?
2007年、娘は9歳でした。同じくらいの年ごろかと思うと余計に胸が締め付けられます。
お父さんと雨のなか、大好きなサッカーをする。普通のそこらの子供と同じに楽しそうにはしゃぐ。でもとても痩せているんです、餓えのせいで。ひょろひょと長い手足が痛々しくて。
食卓のご馳走が愛犬の肉だと知ったとき、私も娘もものすごくショックでした。父親は病気の妻のために一口ずつ箸で運んでやる。母親はうつむいて口にするけれど顔を上げられない。真実を知ったジュニは口から吐き出して泣きわめきます。どうしてどうしてって。犬を食する文化があるっていったって好んで食べるわけじゃない。一緒にサッカーボールを追っかけたジュニにとっては親友みたいな犬だったのに。
大切にしていたお父さんの勲章が、軍官に足蹴にされる。ひどいです。
傷が痛むミソンのためにネズミの皮を探してあげたりして一途で正義感があるのはお父さん譲り。でもその皮が仇になってミソンは命を落としてしまう。二人で自転車にのって川辺を逃げるシーン、やるせないほど美しく悲しかった。
電話越しにお父さんの声を聞いたときも、大騒ぎしない。落ち着いて、いつも通りにお父さんを全幅に信頼して
静かに言いつけに従う。そうそう、お父さんやお母さんに礼儀正しく接して敬語を使うのもとても印象的でした。もともと朝鮮半島ではそうなんだけど、韓国以上に徹底していて。義務付けられているのかも。戦前の日本の父と子の関係のようにきっちりと。年端もいかないのに人間ができている。それに比べて娘ときたら。。いやいや、平和ボケした私(親)が育ててるのだから仕方ないですね。
キム・ヨンハ役:ソ・ヨンファ サンチョル役:チョン・インギ ミソン役:チュ・ダヨン
ソ・ヨンファさんはお初ですが
演技派女優として名高い方のようですね。
チョン・インギ氏は最近では「同伊」「相棒チャクペ」他でお目にかかってます。
チュ・ダヨンちゃんは「チャングム」「推奴」「金満徳」にも出ていましたが私には「大王世宗」のジョンソ王女が印象深いです。
ダヨンちゃんは長身でスタイル抜群。それが、やはり役作りでしょうけど、さらに細くなって折れそうで。
ジュニと共に入れられた強制収容所はまさにナチのそれに酷似。子供だろうと妊婦だろうと容赦しない軍人たちの横暴さ残酷さ、敵ではないのに自国の民なのになぜ、と怒りを覚えました。脱北者は徹底的に主義を教え込まねばならない不穏分子。だから容赦ない。獄中でも党を賛辞する愛言葉?を唱えさせられ。ナチによるユダヤ教徒迫害と同じです。人を人とみなさない。これがいまだにまかり通っているなんて。
ものすごく悲しかったのは、雨のシーン。はからずも韓国に来てしまった父と、父を思って待つ息子が、雨を見上げて共にサッカーをしたあの日を思い出す。同じ雨雲の下にいる。地理的にはとても近くにいるんです。なのにこんなにも遠い。それが朝鮮半島の現実だということがとても重くて悲しくて。
初めのほうで、ヨンスはサンチョルから聖書をもらって、なんなのか分からずに読み始めます。やがて天国のことが書かれてあると分かる。現実社会は無情だとしても天に行けば幸せになれる。心の支えにと大切にするんですが妻を亡くし息子を失い最後は聖書を投げ捨てる。同じ朝鮮人なのになぜこれほどの差別があるのか、と。
10年以上前に会社の観光旅行で板門店に行ったのですが。国連軍の車と銃に守られて見学した当時、この2国は「休戦中」なんだと実感させられて戦慄する思いでした。
ラストシーン、あれはどこに向かう飛行機かな。ヨンスは搭乗前にジュニが「お父さん」と呼ぶのを聞いて外に出ます。空を見上げると雨粒が落ちてくる。雨が大好きだったジュニ、雨とともにお父さんのそばにいつもいるよ、と囁いているようで…
エンディングでは質素ながらもこぎれいな服に身を包んでに日常を営む人々の姿が映し出されます。
ヨンス家族、サンチョル家族、楽しげに、笑って踊って、皆が平穏に過ごしている。
そしてあの、ジュニの大事にしていたわんちゃんも、こどもたちの蹴るボールに戯れて一緒にサッカーを
していて…
天国が本当にあってほしい。そう思いました。
戦争によってかけがえのない人たちが離れ離れになる。今もその痛みの中で暮らしている人たちがいる。
深く心に刻みつけたい、忘れてはならない現実を教えてくれる映画でした。
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