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今日は、配転について、最後です。
3、十分説明のなされない特異な配転命令
会社の関西技術部所属の電気技術者として勤務していた労働者に対し、
会社は販売体制を強化すること等を理由に、未だ開設されていない札幌、仙台、高松などの出張所へのセールスエンジニアとして配転命令を発したが、
労働者がこの命令に従わなかったため懲戒解雇した事案
です。
裁判所は、
「本件配転命令は、これまでの配転例からみても極めて特異な内容を含むものである」
から、
「その発令の前後に、十分慎重な手続きがとられて然るべきである。」
然るに、
「会社は事前に赴任の可否について本人の意向打診をすることもなく、」
「当初から3日間あるいは5日間という極めて短い赴任期間を設定し、」
「いったん電撃的に発令するや本件配転命令の特異性について労働者が抱いた数々の疑問について
十分説明を加えることもせず、」
「本件配転命令に応じなければ業務命令違反による解雇もやむを得ないなどと一方的に会社の
強硬方針を宣言するに終始し、」
「赴任機関の満了を待って即座に労働者を懲戒解雇にしたものであり、」
「長期継続的労働契約を規律する信義則に鑑み看過することができない」
として、配転命令を人事権の濫用として無効としました。(日本精密計測事件・大阪地裁)
(「Q&A労働法実務シリーズ配転・出向・転籍」中央経済社 より )
裁判所において配転命令権の行使が
信義則違反として無効
とされた事案は、上記のとおり、
使用者の配転命令の手続がいずれも使用者と労働者との信頼関係を破壊するようなもの
ということができます。
したがって、法律的には、
・業務上の必要があり、
・労働者の被る不利益の程度もそれほど大したことがない
場合でも、手続き的にみて労使間の信頼関係を破壊するような場合には、
配転命令を信義則違反として無効
とすることができます。
配転命令が出されたときには、以上のことを考慮に入れ、会社と話し合いましょう。
では。
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