政策の窓を開けようinNY

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まだNYは2006年。
最後の数時間でこの年日本の政界で最も特筆すべき出来事、小泉政権の終わりについて触れたい。
といっても、ここにまさにうってつけの本を、まずはご紹介。
ジャーナリストの上杉隆氏の上述した「小泉の勝利 メディアの敗北」だ。
本の帯には「誰もが小泉政治を見誤っていた いかにして彼はメディアを圧倒したか」とある。

小泉政権の発足直後から、メディアはその政治手法に戸惑いながらも、その本質を様々な言葉で探り出そうとしてきた。
いわく、「ワンフレーズポリティックス」、「テレポリティックス」、「小泉劇場」、「サプライズ人事」、「丸投げ」、「刺客選挙」…。
今改めてみると、ひとつひとつが当時の状況をまさに言い当てている。
しかし実際にその状況が起こった当初は、従来の発想と取材手法に凝り固まっていた我々メディアは、驚きとともに右往左往のし通しだった。

一方で小泉は様々な言葉で、国民を熱狂させ続けた。
「自民党をぶっ壊す」、「構造改革」、「抵抗勢力」、「靖国参拝」、「北朝鮮訪問」、「郵政民営化」、「道路公団改革」、…
そして我々メディアも、国民の熱狂に応えるべく、その度に現れる「役者たち」の見せ場作りに追われた。
政治が、お茶の間の主婦たちを沸かせ、ニュースのみならずバラエティやワイドショーまでが政治の話題で持ちきりになった。

上杉氏の本は、小泉政権の五年半のメディアとの関係を、自らの記事をあらためて公表し検証を加える形で浮き彫りにしている。「メディアは敗北に気づいていない」と。

しかし、果たしてメディアは五年半もの間、小泉に利用されてきただけなのだろうか?
実は小泉政権の5年半を利用してきたのは、メディアだったのではないか?

「テレポリティックス」は、政治にとってもメディアにとっても両刃の剣だ。
安倍政権が「テレポリティックス」に距離を置き始めた今(というか、誰も小泉をまねできない)、
07年は政治とメディアの関係をあらためて冷静に考えるいい年かもしれない。

どうなる?キューバ


カストロに振り回された2006年だった…
筆者をはじめ中南米を担当する海外の記者たちは、この社会主義最後のカリスマの安否情報に振り回された一年だった。

世界にとってキューバとは、小国でありながら大国アメリカを敵に回し、革命・カリブ・ラテン…とロマンチズムをかきたてて止まない稀有な存在だ。
もっともアメリカにとっては、地理的にも思想的にもこれほど目障りな存在はないだろうが。

カストロは7月に手術で入院して以来、弟ラウル氏に議長職を「暫定」委譲したままだ。
たまに声明や映像が公開されるだけで、06年は反米国際社会の桧舞台だった非同盟諸国会議や、国内の最重要イベントであった革命記念式典にも姿を見せなかった。

12月に入りカストロを診断したスペインの医師が「がんではない」と公表したものの、もはやカストロが議長職に復帰すると思っている関係者はどこにもいないだろう。
07年のXデーに向け、すでに世界中のメディアが動き出しているのだ。

06年カストロの安否を巡って右往左往した同志(!?)・時事通信サンパウロ支局の市川氏は、「お加減いかが、カストロ議長」として、今後のキューバ情勢をこう読んでいる。

「事が人の生き死ににかかわることゆえ、軽々に言えないが、筆者はラウル氏が「フィデルに代わることができるのは共産党だけだ」と最近繰り返し発言している事実、数年前から周到に準備されていたとみられる権力分散委譲がこれまでのところスムーズにいっており、国民にも好意的に受け入れられている事実、また、同議長の再学習キャンペーンが進められていることなどから、同議長の完全復帰はないと考えている。
 キューバは近くカストロ議長の引退宣言を受け、予定通り共産党の集団指導体制に移行。その後は米国のさらなる露骨な介入により、数年後に体制の選択を迫られる。そのようなシナリオが妥当か。」

ラウル氏を中心とした共産党の集団指導体制への移行までは、現状予測出来うるシナリオだろう。
キューバ国民と国家にとっては、もっともソフトランディングといえるシナリオだ。

しかし、中東で大失策を演じているアメリカが、次はキューバで同様のことを行えば、反米左翼の巣窟と化している中南米諸国が黙っているだろうか?
中東、北東アジアに続く第三の弾薬庫が出来上がってしまう可能性さえ否定できない。

最後に市川氏はこう締めくくる。
「ただ、個人的には、あれほどのキャラクターを持った人物を亡くすのは惜しい、長生きしてほしいと願っているのだが…。」

まったく同感である。
カストロ亡き後の反米の旗手がベネズエラのチャべス大統領では、ちょっと役者が違うのである。

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ヤンキース流広報術!


年末手当たり次第に本を読んでいるが、これは!という本に出会った。
「ヤンキース流広報術」。
この本はニューヨーク・ヤンキース広報に所属し、松井秀樹選手の広報も担当している広岡勲氏が書いたものだ。
広岡氏には常日頃取材でお世話になっているが、その人柄と卓見にはずっと敬意をもっていた。

広岡氏は就任当時に、まず広報の仕事を「信頼関係」と位置づけた。
そして、「四つの対象」つまり日本メディア、アメリカメディア、ヤンキース球団、そして松井選手本人を公平に大切に扱うところから出発した。
スポーツ記者として球団取材の経験があったからこその、着眼点である。

広岡氏のとった様々な広報戦略やそれにまつわるエピソードは、ぜひ本を読んで欲しい。
筆者はこの本を読み終わったとき、日ごろからあった「なぜ松井選手は日本人にもアメリカ人にも、球団からも愛されているのか」という問いの答えが判ったような気がした。
そして広岡氏のような人材がそばにいる松井選手は、とても恵まれていると感じた。
もちろん松井選手本人の人格の素晴らしさは、おいておいてもだ。

多くの大リーグにやってくる日本人選手が、球団やメディア、そしてファンとの軋轢に苦しみ、その実力を発揮できずに去っていく。
広岡氏が示しているのは、「選手たちの戦場は決して球場だけではない」ということだ。
メディアとその先にいるファン、球団との絆をどう守るのかが、選手にとって大切なのだ。

さて、07年のシーズンには松坂投手が大リーグにやってくる。
先日の入団会見では、通訳の拙さや会見の仕切りの悪さが何かと話題になっていた。

たぶんキャンプには100人以上の日本メディアが殺到するであろう。
果たしてレッドソックスと松坂投手の周りに広岡氏のような人材が見つかるかどうかが、今後のポイントとなりそうだ。

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