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アメリカの政治

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歴史には常に「ポイントオブノーリターン〜後戻りの出来ないポイント」がある。
アフガニスタンのタリバンの台頭から911までを描いた高木徹氏の「大仏破壊」を読んで、
つくづく思った。

911の3年後に書かれたこの本は、オマル師の率いるタリバンがアフガニスタンの平和的統一を目指して軍閥と戦った時代から、オサマビンラディンの登場とアルカイダ勢力の拡大、そして最後はオマル師がビンラディンに物心ともに支配されバーミヤンの大仏破壊、911に進んでいくまでを克明に描いている。
その間国際社会は、タリバンが911へ向かういくつかの兆候〜ポイントオブノーリターンを見逃してきた。

ポイントオブノーリターンという言葉で、思い出すのは地球温暖化現象だ。
2006年のアメリカは記録史上平均気温が最高だった。
今後地球の気温が平均0.5度上がれば、温暖化に歯止めがかからなり、環境が激変するという説もある。
まさに今が地球環境にとってポイントオブノーリターンかもしれない。

また北朝鮮・イランの核保有や中東イラク情勢、南米諸国の反米化など、今年は国際政治上「ポイントオブノーリターン」となるのか?目が離せない問題が続きそうだ。

なにやら悲観的な話ばかりになったが、ポイントオブノーリターンにはもちろんポジティブな評価ができるものもある。
今日15日、アメリカはマーティンルサーキングJr.の日だ。
人種差別と戦って暗殺されたキング牧師のこの演説の日も、まさにアメリカの歴史上「後戻りできない日」となった。
http://www.youtube.com/watch?v=PAKnMLPus1M&mode=related&search=

1963年8月28日のあまりにも有名な「I have a dream」演説だ。
今聞いても、この演説には血が沸きあがってくるのを感じる。
キング牧師の冥福と、人種差別が無くなることを祈りたい。
歴史は人が作るのである。

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まだNYは2006年。
最後の数時間でこの年日本の政界で最も特筆すべき出来事、小泉政権の終わりについて触れたい。
といっても、ここにまさにうってつけの本を、まずはご紹介。
ジャーナリストの上杉隆氏の上述した「小泉の勝利 メディアの敗北」だ。
本の帯には「誰もが小泉政治を見誤っていた いかにして彼はメディアを圧倒したか」とある。

小泉政権の発足直後から、メディアはその政治手法に戸惑いながらも、その本質を様々な言葉で探り出そうとしてきた。
いわく、「ワンフレーズポリティックス」、「テレポリティックス」、「小泉劇場」、「サプライズ人事」、「丸投げ」、「刺客選挙」…。
今改めてみると、ひとつひとつが当時の状況をまさに言い当てている。
しかし実際にその状況が起こった当初は、従来の発想と取材手法に凝り固まっていた我々メディアは、驚きとともに右往左往のし通しだった。

一方で小泉は様々な言葉で、国民を熱狂させ続けた。
「自民党をぶっ壊す」、「構造改革」、「抵抗勢力」、「靖国参拝」、「北朝鮮訪問」、「郵政民営化」、「道路公団改革」、…
そして我々メディアも、国民の熱狂に応えるべく、その度に現れる「役者たち」の見せ場作りに追われた。
政治が、お茶の間の主婦たちを沸かせ、ニュースのみならずバラエティやワイドショーまでが政治の話題で持ちきりになった。

上杉氏の本は、小泉政権の五年半のメディアとの関係を、自らの記事をあらためて公表し検証を加える形で浮き彫りにしている。「メディアは敗北に気づいていない」と。

しかし、果たしてメディアは五年半もの間、小泉に利用されてきただけなのだろうか?
実は小泉政権の5年半を利用してきたのは、メディアだったのではないか?

「テレポリティックス」は、政治にとってもメディアにとっても両刃の剣だ。
安倍政権が「テレポリティックス」に距離を置き始めた今(というか、誰も小泉をまねできない)、
07年は政治とメディアの関係をあらためて冷静に考えるいい年かもしれない。

どうなる?キューバ


カストロに振り回された2006年だった…
筆者をはじめ中南米を担当する海外の記者たちは、この社会主義最後のカリスマの安否情報に振り回された一年だった。

世界にとってキューバとは、小国でありながら大国アメリカを敵に回し、革命・カリブ・ラテン…とロマンチズムをかきたてて止まない稀有な存在だ。
もっともアメリカにとっては、地理的にも思想的にもこれほど目障りな存在はないだろうが。

カストロは7月に手術で入院して以来、弟ラウル氏に議長職を「暫定」委譲したままだ。
たまに声明や映像が公開されるだけで、06年は反米国際社会の桧舞台だった非同盟諸国会議や、国内の最重要イベントであった革命記念式典にも姿を見せなかった。

12月に入りカストロを診断したスペインの医師が「がんではない」と公表したものの、もはやカストロが議長職に復帰すると思っている関係者はどこにもいないだろう。
07年のXデーに向け、すでに世界中のメディアが動き出しているのだ。

06年カストロの安否を巡って右往左往した同志(!?)・時事通信サンパウロ支局の市川氏は、「お加減いかが、カストロ議長」として、今後のキューバ情勢をこう読んでいる。

「事が人の生き死ににかかわることゆえ、軽々に言えないが、筆者はラウル氏が「フィデルに代わることができるのは共産党だけだ」と最近繰り返し発言している事実、数年前から周到に準備されていたとみられる権力分散委譲がこれまでのところスムーズにいっており、国民にも好意的に受け入れられている事実、また、同議長の再学習キャンペーンが進められていることなどから、同議長の完全復帰はないと考えている。
 キューバは近くカストロ議長の引退宣言を受け、予定通り共産党の集団指導体制に移行。その後は米国のさらなる露骨な介入により、数年後に体制の選択を迫られる。そのようなシナリオが妥当か。」

ラウル氏を中心とした共産党の集団指導体制への移行までは、現状予測出来うるシナリオだろう。
キューバ国民と国家にとっては、もっともソフトランディングといえるシナリオだ。

しかし、中東で大失策を演じているアメリカが、次はキューバで同様のことを行えば、反米左翼の巣窟と化している中南米諸国が黙っているだろうか?
中東、北東アジアに続く第三の弾薬庫が出来上がってしまう可能性さえ否定できない。

最後に市川氏はこう締めくくる。
「ただ、個人的には、あれほどのキャラクターを持った人物を亡くすのは惜しい、長生きしてほしいと願っているのだが…。」

まったく同感である。
カストロ亡き後の反米の旗手がベネズエラのチャべス大統領では、ちょっと役者が違うのである。

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独裁者の死

イラクのフセイン元大統領の死刑が執行された。
ABCは早速報道特別番組を組んで、フセインの死を伝えている。
筆者は独裁者を肯定する気はさらさらないが(今の北朝鮮を見れば判る)、
アラブには「一夜の無政府主義より数百年にわたる圧制のほうがましだ」という格言があるという。

今や内戦状態のイラクにとって、フセインの死刑が行われたことなど、もはやそれほどの意味をもたないのではないか?
第二の独裁者が現れないと、この地に「治安の安定」は訪れないのか?
聞くところではアフガニスタンもすでに内戦状態であるという。
アメリカの中東の民主化ドミノの野望は、既に破綻していることをあらためて感じる。

メキシコからクリスマスのメッセージが届いた。
「メキシコは・・相変わらずメキシコです。何も変わっていません。
先日、ティファナに数年ぶりで行きましたが、あの国境の明暗。」

今年の夏ごろ、不法移民の取材でメキシコ国境に行った。
思えば、20年前アメリカに駐在していたころ、メキシコのティファナに行き、
たった一枚の国境を隔てた貧富の格差を目の当たりに見て、愕然とした。
国と人と、そして世界の成り立ちに非情さを感じた。
そして、久々に訪れたメキシコ国境は、20年たっても何も変わっていなかった。

今全米で不法移民の数は推定1200万人。
そのうち半分がメキシコからの移民と言われている。
毎年120万人が拘束され強制送還されるのだが、50万人が成功して不法のまま滞在する。

NYやロスに住んでいれば、汚れ仕事や過酷な肉体労働を厭わない彼らなしには、
もうアメリカ経済が回らないことがわかるだろう。
一方でブッシュ政権は国境警備の強化のために、さらに12億ドルの予算をつぎ込むとしている。
完全なダブルスタンダードなのだ。

メキシコからの不法移民の数は増え続けるだろう。
取材の際に、在米メキシコ領事の言った言葉がその理由のすべてだ。
「メキシコが貧しく、アメリカが豊かであり続ける限り、彼らは不法入国のリスクを厭わない。」

中南米は今年選挙の年だった。
各国で左翼政権が誕生し、反米の気運が高まった。
持つものと持たざるものとの争い。
歴史は再び同じ歯車を回し始めたのかもしれない。

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