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飲酒運転に甘すぎないか?
先月、埼玉県久喜市でパトカーに追跡されたワゴン車が、家族4人が乗った別のワゴン車に追突し、男の子が死亡するという痛ましい事故が起きました。
亡くなった男の子は大好きなマラソンの大会に向かう途中でした。
子供を失った両親が、悲しみをこらえながら、テレビでインタビューを受けていた姿を覚えている方も多いと思います。
この運転手は、当時無免許で、しかも酒を飲んで運転していました。さいたま地検は、当初業務上過失致死などの容疑で送検していましたが、危険運転致死傷罪に切り替えて起訴することになりそうです。
業務上過失致死の刑は、5年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。
一方、危険運転致死傷罪は、悪質・危険な自動車運転による死傷事犯を「故意犯」として捉え、法定刑も業務上過失致死傷罪(懲役5年以下)に比べ、大幅に引き上げています。
具体的には、
(1)アルコールまたは薬物等の影響で正常な運転が困難な状態
(2)制御不可能な高速度による運転
(3)他車や歩行者などの通行を妨害する目的での危険な割り込み
(4)危険な速度での信号無視
などによって死傷事故を起こした場合に適用され、死亡事故で1年以上15年以下の懲役、負傷事故で10年以下の懲役と定められています。
当初この事件を巡るテレビ報道は、パトカーがサイレンをならしながら追跡していたのか?追跡が過剰だったのではないのか?といった警察の過失を検証するものが主流でした。
しかし僕はこの報道に非常に違和感を覚えました。
確かに警察が不審車を追跡する場合、二次的な事故を起こさないよう細心の注意を払うべきで、その検証報道は必要でしょう。
しかしこの運転手、警察の追跡を避けながらスピードオーバー、信号無視を繰り返し、無免許でしかも当日明け方まで飲酒をしていたことが事故発生当初からわかっていました。
これだけ運転手に責められるべきものがありながら、警察の不手際を探すという報道の姿勢には、どこかバイアスがかかっているのではないか?と疑います。
そして最も大切なことは、飲酒運転に対する日本の社会の甘さです。
この運転手は家で一人で飲んでいたのではなく、カラオケボックスで友人たちと飲んでいたのです。
これから運転して帰宅する者に酒を飲ませたカラオケボックス店と友人たちも、同様に罪を問われるべきではないのでしょうか?
日本は地方に行けば、完全な車社会であり、飲酒運転がなかば黙認されたかたちになっています。
しかし、こうした悲劇を繰り返さないためにも、国民皆があらためて飲酒運転は人の生命を奪う可能性の高いものだと認識することが必要ではないでしょうか?
先日司法は、4人の生命を奪った飲酒運転による事故で、運転手に対する危険運転致死傷罪の適用を見送りました。
しかしその理由は、飲酒運転であっても、4キロ運転できたのだから、「危険運転」にはあたらないという極めて不合理な判断でした。
この判断、逆に言えば「酒を飲んでも運転できれば危険運転ではない」というトンデモないものです。
「飲酒」に対する認識を厳しくする姿勢は、司法にも求められています。
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