政策の窓を開けようinNY

.ニューヨークからアメリカと日本の今を発信します。

過去の記事 経済

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]

銀行は本当に変わったか?
おこめクラブ

金融界に身を置く者にとり、この10年ほどは、本当に目まぐるしい変化の連続で
あった。全く予想もしないような、かつての一流大銀行の破綻、外資の買収、大合併
によるメガバンクの登場などの大イベントが、次々と起こった。そういう激動の時代
を経て、日本の銀行は、本当に変わったのだろうか。

私の見る答は、変化の兆しは見えているものの、根本的にはNOである。理由は以下
のとおり。

1.オーバーバンキング状態の継続
ゼロ金利でも預金需要は減らず、行き場のない金は国債で安全運用するか、依然優良
企業への貸出に回さざるを得ず、過剰供給状態が続く。公的セクターによる、経済原
理を無視したダンピング価格でのローンや出血サービスの預金金利も、収益性を求め
ようとする民間の足かせとなる。確かに銀行の数は減ったものの、まともな利ざやの
取れない状態は、依然変わらず。たとえば新生銀行のように収益を追求すると、預金
からローンへというバランスシートを大幅にスリム化して、他行ができないハイテク
金融を用いるホールセールと、ハイクォリティのリーテイルサービスを志向するな
ど、別の戦略をとらざるをえない。

2.経営手法の変化の乏しさ
破綻した銀行以外は、メガバンクを始め、経営陣は基本的に内部のたたき上げばかり
であり、昔と変わらず。経営手法を変えることは自己否定であり、また行内の抵抗勢
力も大きく、基本的に不可能。同じような人たちが指揮を取れば、同じような手法に
なるのは当然であり、外部人材とかなりの若手を活用して経営陣を総入替えしない限
り、本質的に変化なし。今期の収益の急回復は、株式市場回復や好企業業績の結果で
あり、決して自己変革を主因とするものではない。

3.官民のもたれ合いの継続
結局は「金融システムの維持」という御旗の基に、メガバンクは破綻しないというこ
とが、暗黙の了解。昨年度は資本比率維持のため、クレジットデフォルトスワップや
証券化を使った大幅なリスクの外部移転に対しての、規制上の認識を緩和。今年度は
一転、収益目標達成のため、今年度に落ちる手数料収入アップへの戦略転換への縁の
下のアシスト。あうんの呼吸による、官の水面下でのサポートが続いている。ラスト
リゾートとしては、皆で一緒に渡れば怖くないという、公的資金という伝家の宝刀も
あり。メガバンクの経営陣が、モラルハザードを起こしてしまうインセンティブは
揃っている。また金融庁としても、投入した税金がドブに捨てたようになってしまう
ことは何としても避けたく、そのためにもメガバンクに立ち直ってほしい。

4.外資や他業種の新規参入による、競争の限界
世界に冠たるシティバンクでさえ、日本での影響力は知れている。せいぜい外資で目
立つのは、昨期まで日本でいちばん儲かっている銀行であった、新生銀行くらい。
サーべラスが全面に出たあおぞら銀行は、まだ未知数。またソニー、イトーヨーカ
ドーなど、それぞれの業界の雄の参入もあるが、まだほんの局地戦で戦っているの
み。やはり官民ともスクラムをがっちり組んだ、究極のドメ産業である金融には、本
丸に攻め込むのはまだ時間がかかる様子。


以上「変わらない銀行」の象徴は、合いも変わらず、お役所のような窓口。慇懃無礼
な対応、人を待たせても何とも思わないサービス。これでも何とかやっていけるか
ら、銀行は変わらない。コンビニを見よ、レジに人ができれば、すぐに人がとんでき
て他のレジを開ける。これぞ本当の、お客様第一主義。早くすべてのコンビニや自分
のパソコンで、ATM機能だけでなく、すべての銀行の用が足りるようにならないも
のか。そのときこそ、メガバンクの人間は大幅にいなくなり、生き残りのために大転
換をしていることだろう。

当局にできること 〜時間軸効果〜
高市 英俊

 一度金利が上がり始めると手がつけられなくなるリスクについては当局が一番心配しています。どうやって市場にショックを与えずにゼロ金利を解除するかというのが「日銀の出口戦略」ですが、現在は「出口戦略」について議論することすら金利上昇をまねくとしてタブー視されているような状況です。

 かつてのグリーンスパン議長のようなカリスマ性を望むのは無理にしても日銀総裁の市場との対話能力は非常に重要となります。日銀に残された最後の政策手段が、「時間軸効果」というものです。これは「当面利上げはしない」と宣言する直接的な場合や「消費者物価がゼロを超えるまで」といったインフレターゲット的なものもこれに含まれるでしょう。この手法は最近になってFRBも「considerable period」金利を上げないと宣言し長期金利の上昇を抑えるのに成功しました。驚いたのは、格付機関のS&Pまでも、米フォード社(民間企業で世界最大級の社債発行額)をジャンク債ぎりぎりのBBB‐に格下げした際、「今後2年程度は格付けは安定的」というコメントを付け、米国の社債市場が混乱に陥るのを回避しました。

 今のところ絶大な効果を発揮している「時間軸効果」ですが、そもそもが万策尽きてからの窮余の策であり、「逆・狼少年」のようなもので何度も使うと効き目も小さくなるでしょう。VaRによる金利暴騰におびえながら、「きっと日銀は利上げする前に我々に逃げる時間を与えてくれる」という期待だけで国債を買い続けるしかない銀行債券運用担当者の現状レポートでした。

VaRによるリスク管理が市場の失敗を引起す
高市 英俊

 財政赤字と国債残高の累増が話題となっています。確かに緊縮財政といわれる小泉政権下にあっても税収に匹敵する新規財源国債が発行され続けています。しかし経済学的には誰かの借金は誰かの貯蓄(投資の減少)とバランスするという恒等式が成り立ち、この議論は常に誇張され過ぎるきらいがあるように思います。現状でいえば、銀行の貸出が毎年20兆円を上回るペースで減少しており国債の需給は決して悪くないといえるでしょう。

 しかし近年、需給とは別の問題が発生しています。それが会計制度における時価会計の流れ、なかでも銀行におけるVaR(バリュー・アット・リスク)によるリスク管理です。VaRによるリスク管理を簡単にいえば、「同じ商品でもボラティリティ(市場の値動きの大きさ)が倍になればリスクも倍になる」というものです。今年の6月から9月にかけて生じた債券市場の暴落は、日本国債が初めて経験した「VaRショック」といえるでしょう。

 一般的に相場というものは、上昇はゆっくりと、下落は急激に進むものです。今年の国債相場は10年債で昨年12月末の1.0%から6月暴落直前の0.45%までジリジリと相場が上昇(金利は低下)しました。10年国債が1%をどんどん割り込んで金利が低下していく過程は、感覚的には相場下落(金利上昇)のリスクが高まったと感じるでしょうが、ボラティリティの低下によりVaRによるリスク管理は、「リスクは減少し買い余力増加。もっとリスクをとれる」というサインを出し続けました。逆に7月以降の相場下落局面ではボラティリティが急上昇し、売っても売ってもVaRのリスクは減らないという状況となりました。

 VaRによるリスク管理はディーリング業務には適していると思いますが、銀行のポートフォリオに適用すると必ず市場の失敗(売買機能を失うような暴落)にいたる性質を持っていることが分かっていただけると思います。しかし残念ながら時代の流れは、銀行経営そのものがディーリーング化してしまうような厳格な時価会計へと向かっています。銀行の貸出減少=国債保有の増加が、ボラティリティに対する債券市場の脆弱性を強めていることを今回の「VaRショック」は教えています。

貸出残高にみる銀行融資機能の現状
高市 英俊

 銀行の貸出残高は10月末現在で、都銀7行が前年比7.3%減、全国銀行で4.3%減となっています。都銀以外でみれば1.5%減となり、自己資本比率が高く融資機能には全く問題のない地銀クラスでは、マイナス1%前後の「自然な伸び」であるいうことが伺えます。都銀の貸出減少には不良債権の損切りという面もありますが、融資機能が未だ回復していないことも事実です。この辺の事情について考えてみましょう。

 デフレで貸出は減少しても預金全体では2?3%程度は伸びていますから、預金が流出している銀行を除けば貸出を伸ばしたくない銀行はありません。都市銀行が貸出を縮小せざるを得なかった理由は、引当の強化と株価下落(引当に関し金融庁は都銀には厳しく地域金融機関にはやさしいダブルスタンダードをとった。また、都銀が自己資本を超える株を保有するのに対し地銀の株保有は自己資本の40%程度)による自己資本の毀損という事情がありました。自己資本が100億円減少するとそれを貸出減少でカバーしようとすれば、自己資本比率の逆数倍の1200億円程度の貸出を減少させる必要があります。平成15年3月末を控え、都銀は大きなプレミアムを払って貸出のオフバランス化と自己資本の調達に走りました。

 では大口の不良債権の引当を終え株式の売却にもめどをつけた現在、都銀の融資機能は回復するのでしょうか。私の考えでは今しばらく時間がかかると見ています。

 都銀の経営者がいま考えている最重要課題は、政府出資を一刻も早く返して経営の自由度を取り戻すことだと思われます。政府出資を返して自己資本比率10%というのが一つのゴールでしょう。東京三菱・住友信託に続き、UFJか三井住友のいずれかが政府出資の返済を完了というニュースが流れるころ、銀行の融資機能は自己資本=不良債権処理のくびきから解き放たれたといえるでしょう。

 企業部門が資金余剰で国と個人が資金不足という状況がますます進行しています。融資の主戦場が中小企業から個人部門へと移っていくなか、オーバーバンキングという過当競争体質を抱えながら、縮小する融資というパイを奪い合うという不毛の構図は、自己資本比率や不良債権という銀行側の都合とは無関係に今後も続かざるを得ません。

日本経済の長期低迷の根深い要因
高市 英俊

 特に政治家に多い論調として、「銀行の融資機能さえ回復すれば景気は回復する」といったものがあります。確かに後で述べるとおり、銀行の融資機能の低下はデフレスパイラルを加速する大きな要因とはなりますが、デフレとその背景にある日本経済の長期低迷の直接の原因ではありません。

 日本経済の長期低迷の原因は、少子化と円高にあると思っています。少子化の弊害は論を待つまでも無いわけですが、人類が無尽蔵に増加することが許されないとすれば、先進国から人口を減らしていかなければバランスしないわけで、人知を超えた生物の本能に根ざした問題かもしれず、一朝一夕に解決する問題ではありません。

 円高は日本にとってユニークな問題です。通常の国ならここまで深刻な経済不況に陥れば、デフレどころか自国通貨安でインフレになりそうなものですが、トヨタに代表される強力な輸出競争力をもつ日本は、自国通貨安という教科書的なデフレ脱出方法がなかなか使えません。少子高齢化から貯蓄率がマイナスになり数年後には経常赤字国になるという見方もありますが、中国から日本の工業団地に工場が戻ってくるよな円安は期待しないほうが良いでしょう。

 外需(輸出)と財政(赤字国債発行)によりプラスの実質経済成長率達成は今後も可能でしょうが、銀行の融資機能が回復しても銀行貸出は年率1?2%程度減少し続けるのが自然という気がします。

全3ページ

[1] [2] [3]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事