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銀行は本当に変わったか?
おこめクラブ
金融界に身を置く者にとり、この10年ほどは、本当に目まぐるしい変化の連続で
あった。全く予想もしないような、かつての一流大銀行の破綻、外資の買収、大合併
によるメガバンクの登場などの大イベントが、次々と起こった。そういう激動の時代
を経て、日本の銀行は、本当に変わったのだろうか。
私の見る答は、変化の兆しは見えているものの、根本的にはNOである。理由は以下
のとおり。
1.オーバーバンキング状態の継続
ゼロ金利でも預金需要は減らず、行き場のない金は国債で安全運用するか、依然優良
企業への貸出に回さざるを得ず、過剰供給状態が続く。公的セクターによる、経済原
理を無視したダンピング価格でのローンや出血サービスの預金金利も、収益性を求め
ようとする民間の足かせとなる。確かに銀行の数は減ったものの、まともな利ざやの
取れない状態は、依然変わらず。たとえば新生銀行のように収益を追求すると、預金
からローンへというバランスシートを大幅にスリム化して、他行ができないハイテク
金融を用いるホールセールと、ハイクォリティのリーテイルサービスを志向するな
ど、別の戦略をとらざるをえない。
2.経営手法の変化の乏しさ
破綻した銀行以外は、メガバンクを始め、経営陣は基本的に内部のたたき上げばかり
であり、昔と変わらず。経営手法を変えることは自己否定であり、また行内の抵抗勢
力も大きく、基本的に不可能。同じような人たちが指揮を取れば、同じような手法に
なるのは当然であり、外部人材とかなりの若手を活用して経営陣を総入替えしない限
り、本質的に変化なし。今期の収益の急回復は、株式市場回復や好企業業績の結果で
あり、決して自己変革を主因とするものではない。
3.官民のもたれ合いの継続
結局は「金融システムの維持」という御旗の基に、メガバンクは破綻しないというこ
とが、暗黙の了解。昨年度は資本比率維持のため、クレジットデフォルトスワップや
証券化を使った大幅なリスクの外部移転に対しての、規制上の認識を緩和。今年度は
一転、収益目標達成のため、今年度に落ちる手数料収入アップへの戦略転換への縁の
下のアシスト。あうんの呼吸による、官の水面下でのサポートが続いている。ラスト
リゾートとしては、皆で一緒に渡れば怖くないという、公的資金という伝家の宝刀も
あり。メガバンクの経営陣が、モラルハザードを起こしてしまうインセンティブは
揃っている。また金融庁としても、投入した税金がドブに捨てたようになってしまう
ことは何としても避けたく、そのためにもメガバンクに立ち直ってほしい。
4.外資や他業種の新規参入による、競争の限界
世界に冠たるシティバンクでさえ、日本での影響力は知れている。せいぜい外資で目
立つのは、昨期まで日本でいちばん儲かっている銀行であった、新生銀行くらい。
サーべラスが全面に出たあおぞら銀行は、まだ未知数。またソニー、イトーヨーカ
ドーなど、それぞれの業界の雄の参入もあるが、まだほんの局地戦で戦っているの
み。やはり官民ともスクラムをがっちり組んだ、究極のドメ産業である金融には、本
丸に攻め込むのはまだ時間がかかる様子。
以上「変わらない銀行」の象徴は、合いも変わらず、お役所のような窓口。慇懃無礼
な対応、人を待たせても何とも思わないサービス。これでも何とかやっていけるか
ら、銀行は変わらない。コンビニを見よ、レジに人ができれば、すぐに人がとんでき
て他のレジを開ける。これぞ本当の、お客様第一主義。早くすべてのコンビニや自分
のパソコンで、ATM機能だけでなく、すべての銀行の用が足りるようにならないも
のか。そのときこそ、メガバンクの人間は大幅にいなくなり、生き残りのために大転
換をしていることだろう。
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