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「「そのテンプレは飽きた」」「これだから現代っ子は」
お前もな。
「飲み物だから最初はお酒かそうでないかを聞いてみたら?」
「ついでにドクターペッパーも」
「「なぁ、クソガキ。今すぐ黙るのと腹が蛙みたいに膨らむほどドクターペッパー流し込まれるのとどっちがいいか選びな」」
実に見事に決まるコンビネーション。
「なんて事。か弱き乙女をよってたかっていじめるわ!」
一人でやってろ。
『それはお酒ですか? それともお酒以外のドk』
「勝手にパッドをいじるな。後、どんだけドクターペッパー好きなんだよ」
「お兄ちゃんよりは好きよ」
ノオオオオオオオオオッ!?
「あんまりお兄さん苛めてると、アンタのジョブがツンデレになってしまうからそこら辺にしとけば?」
「ノオオオオオオオオオッ!?」
妹は目からドク……血を流して倒れた。
『それはお酒ですか?』
『いいえ』
「違うみたいね。あえて言わせて貰うとやっぱりドクターペッパ−じゃないかしら」
あえて言う必要ねえよ。
「祖父さん、下戸なのか?」
「や、酒豪よ。ただ、お酒よりも好きなんでしょ」
ミカンの皮を剥きながら遥華は遠いところを見つめている。
「何で、このゲームにこだわるんだ? 祖父さんはお前にとって大切な人だったのか?」
何気ない質問を投げかける。何というかお金がかかっているという理由だけで力んでいるようには見えなかったからだ。
「つまらない財産争い、静かに増える身内の死体に築き上げる無駄と腐敗。その根底にあるおじいちゃんの遺産。名字まで変えられて隅に追いやられたアタシ。そんなところね。遥貴おじいちゃんの事はどうだったのか分からない。でも、アタシは遥貴おじいちゃんを食い物にしようと思った事は一度もなかったわ。それだけは、誓ってもいい」
返ってきたのは、強い宣言だった。
「他の連中はみんなおじいちゃんのお金が目当て。だから、余計に触らせたくないの」
信心深さもここまでくると独占欲だなと思いつつ俺は次の質問を思考する。
あのジジイはひねくれ者で、遊び好きで、全てに満たされている。一代でグループを内部で崩壊させるほどに育てたジジイが好きな飲み物とは何なのか。二百五十億云々を抜きにしても気になるところではある。
「酒じゃなくてもう一つ絞り込みをかけるとしたら『清涼飲料水』かどうかだな」
清涼飲料水とは、アルコールを含まない味や香りのある水の事。牛乳やヤクルトや粉末の飲み物は含まれないが、逆にそれ以外は清涼飲料水に含まれる。誤解されがちだけどお茶もペットボトルに入っていれば立派な清涼飲料水だ。
「じゃあ、それでいこうかしら。馬鹿なお兄ちゃんでもたまにはいい事言うじゃない」
「さっきの質問に嘘をつかれてたら困るから重ねてお酒じゃないかどうか聞きましょう」
と遥華が中々いい事を言う。
『それはお酒以外で、清涼飲料水以外の飲み物ですか?』
『はい。清涼飲料水の定義くらい儂も知っておる。安心せい』
「意外だな」
清涼飲料水の定義を知っている事ではなくこの質問に『はい』と答えた事が。
「清涼飲料水以外ならめちゃめちゃ早く絞れるんじゃない? ねえ美作」
「残っている飲み物と言えば、お茶、ココア、コーヒー、紅茶、各種スポーツドリンクの粉バージョン、牛乳、飲むヨーグルト、ヤクルト、スープ位よねお兄ちゃん」
「でも、嘘かも知れねえぞ。考えても見ろ。こんなに早く質問が絞れるわけがねえよ」
口々に先程の質問結果について吟味し合うが俺はどうにも納得がいかなかった。
「馬鹿なお兄ちゃん……。お兄ちゃんの脳にはきっとゴキブリがわいているんでしょうね」
「そこまで言われる筋合いはねえぞ!?」
「あるわよ、馬鹿美作。いい? さっきの質問で嘘をついていたのならお酒の質問でも嘘をついた事になるのよ? 二回嘘はつけないからこの質問は石橋よりも堅牢なの」
ああ、そう言う事か。
「俺は……馬鹿だ」
「落ち込む暇があったらさっさと次の質問を考える」
遥華に叱咤され、俺は渋々思考を再開する。
「リスト作って聞けばいいんじゃねえか?」
シンプルかつお手軽で堅実な方法を俺は提案する。
「一回しか聞けないよ。それにそれがいいえだったり嘘だった時どうするの?」
「それこそ貴方は嘘をつきましたか? と聞けばいいよお姉ちゃん。ってかお姉ちゃんもお兄ちゃんと同程度の馬鹿だね」
「ムキーッ!!」
「はいはい。中学生相手にムキにならない」
やり取りの低能さに呆れながら俺はリストを並べていく。
『お茶、ココア、コーヒー、紅茶、各種スポーツドリンクの粉バージョン、牛乳、飲むヨーグルト、ヤクルト、スープ。この中にデッドマンズチェストの中身は入っていますか?』
『いいえ』
『貴方はさっきの質問に嘘をつきましたね!』『いいえ』
『もう一度聞く。貴方は今までの解答に嘘をつきましたね?』
『残念、いいえじゃ。』そう言ってアバターは呵々と笑った。
「何だ、こいつ!?」勢いで質問をしてしまったが、そうなるにはワケがあった。
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